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「どのような場合に偽装結婚と疑われる?」

「偽装結婚がバレる時ってどんな場合?」

「偽装結婚の罰則とは?」

真実の愛情に基づく国際結婚をした方も入国管理局から偽装結婚と疑われるケースは非常に多く存在しています。このような真実の国際結婚をした外国人の方が少しでも疑念を晴らせるよう、偽装結婚について理解した上で対処することが大切です。

この記事では、偽装結婚について気になる5つのことついて解説します。その5つの内容は下記のとおりとなっていますので、興味のある方はこのまま読み進めてください。

  • 偽装結婚とは
  • 偽装結婚の罪
  • 偽装結婚のメリット
  • 偽装結婚と真の結婚の違い
  • 偽装結婚はなぜばれる?

また、下記キーワードについても気になった方はこのまま読み進めてください。

  • 偽装結婚の罪の時効
  • 偽装結婚と疑われる場合

 

(この記事は偽装結婚を推進するものではありません。私は行政書士として外国人の方々が適法に在留することを支援する立場であり、正当な真実の結婚をサポートしますが、偽造結婚について支援するつもりはございません。)

 

偽装結婚とは

偽装結婚とは、何かしらの目的をもって実態のない結婚をすることとされていますが、明確な定義はありません。

法的な議論から入りますと、日本の法律には下記のような規定があります。

憲法 第二十四条
  • 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
民法 第七百五十二条
  • 夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
刑法 第百五十七条
  • 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
出入国管理及び難民認定法(入管法) 第七十四条の八
  • 退去強制を免れさせる目的で、第二十四条第一号又は第二号に該当する外国人を蔵匿し、又は隠避させた者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
  • ・営利の目的で前項の罪を犯した者は、五年以下の懲役及び五百万円以下の罰金に処する。

法律の文章は慣れていないと読みにくいので、上記を簡単な言葉で説明しますと、このようになります。

憲法と民法
  • お互い合意して結婚をし、結婚後は同意して協力しましょう。
刑法
  • 虚偽の婚姻届けを提出した者には罰則を与える
入管法
  • 外国人の不法な在留を手助けした者には罰則を与える
  • それが営利目的ならさらに大きな罰則を与える

結婚や外国人の在留に関してはこのような法律の規定があります。

ちなみに離婚に関してはこのような法律の規定はなく、たとえ母子家庭手当を得る目的で偽装離婚をし、交際を続けていても法律上は制限できません。(人道的な問題は置いておきますが・・・)

しかし結婚に関しては法律によって明記されているのです。

 

偽装結婚の罪

上で説明した通り、偽装結婚の罪は下記になります。

  1. 虚偽の婚姻届けを提出すれば公正証書原本等不実記載罪(刑法)にあたり、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  2. 日本に在留する資格を持たない外国人を隠匿すれば、入管法違反として3年以下の懲役又は300万円以下の罰金
  3. 営利の目的で2の罪を犯した者は、5年以下の懲役及び500万円以下の罰金に処する。

また、外国人の在留資格(ビザ)問題に関する偽装結婚という場面をを考えた場合の登場人物は、外国人女性・日本人男性・ブローカーという形が最も多いパターンです。この場合で説明しますと、まずブローカーは明らかな営利目的なので3の罪が適用されます。次に外国人女性は、虚偽の婚姻届けを提出するので1の罪が適用されます。日本人男性については、偽装結婚について知っており金銭を受け取った場合は1と3の罪が両方適用されます。(悪質性にもよりますが)また、偽装結婚について知っていたが無報酬の日本人男性は1と2の罪が両方適用されます。

なお日本人男性は偽装結婚について全く知らなかった場合や偽装結婚の被害者となった場合には罪を問われません。しかし意図的に犯罪に関わっているつもりはなくとも、犯罪に関わっている可能性があるかもしれないという事を見過ごしたり、偽装結婚である事を状況から推測できるような場合には、法律用語で「未必の故意」として罰則の対象になる場合があります。

ちなみに平成25年の偽装結婚の検挙人数は462人で最も多いのが中国人の偽装結婚で133人、次にフィリピン人が27人となっています。また、検挙された日本人の人数は250人です。

 

偽装結婚の罪の時効

上記1の公正証書原本等不実記載罪に関しては、刑事訴訟法に規定されている公訴時効が適用されます。犯罪が終わってから5年であり、犯罪が終わってからとは虚偽の婚姻届けを提出した時点です。

上記2と3の入管法違反については、違法な在留が取り除かれてから3年です。つまり、偽装結婚により取得した在留資格を放棄し、新たに適法に在留資格を取得時点もしくは帰国した時点から3年後が公訴時効となります。

 

偽装結婚のメリット

偽装結婚とはどんななのかについて記載しましたが、そもそも偽装結婚するメリットはどこにあるのでしょうか?

外国人が日本に滞在するためには在留資格(ビザ)を持たなければなりません。在留資格というのは、資格の種類によって働くことが出来なかったり、働く業務が制限されていたりします。また、その在留資格を取得できるかどうかの取得条件も、資格の種類によって異なります。

そして27種類ある在留資格のひとつに、結婚ビザと呼ばれる「日本人の配偶者等」という在留資格があります。「日本人の配偶者等」という在留資格は非常に有利な資格で、日本人と結婚すれば取得することができ、さらに働き方も制限がありません。

要するに日本に適法に在留できない外国人にとっては、日本人と結婚さえしてしまえば日本で生活でき、さらに仕事も制限されないというメリットがあります。

そして日本での高額な収入を得て母国へ送金する方も多くいるようです。日本に長年住んでいる日本人にとって、日本の給料が高額という印象はないかもしれませんが、それでも発展途上国と比べるとやはり高額です。

そして外国人が偽装結婚のブローカーへ支払う報酬の相場は300万円程度のようです。外国人は300万円支払ってでも、日本で働くことにメリットを感じているのでしょう。

 

偽装結婚と真の結婚の違い

では、偽装結婚と真の結婚の違いや境界はどこにあるのでしょうか。

結婚は多様なそれぞれの形があります。近年では別居婚、オンデマンド婚、DINKS婚、友情結婚など、玉の輿婚や逆玉婚など、様々な○○婚という言葉をよく耳にします。

真摯な愛情に基づく結婚ではないものも多くあるのではないでしょうか。そしてそれは今も昔も変わらないと思います。

 

偽装結婚となる要件

前述したとおり法律上は偽装結婚について定義されていません。従って偽装結婚となる法律的な明確な要件というものも存在し得ない事になります。

しかし、実務上においては処罰の対象とするかしないかの線引きをやはり考えなければなりません。

これについては私見ですが「不正な目的」で「結婚を偽装」すれば処罰の対象になるのだろうと考えられます。

いくらお金目的の玉の輿狙いで愛は存在しなくとも、この目的は不正ではなく、さらに実際に結婚生活をしているので「結婚を偽装」はされていません。

また性的マイノリティの方々が偽装結婚をする友情結婚という形も存在するようですが、これは結婚に付随する社会的信用を得るためであって「不正な目的」とは言いきれないと私は考えます。

しかし、外国人が在留資格(ビザ)を得るためだけに「結婚を偽装」した場合はどうでしょうか。

在留資格の要件は法的に決まっており、在留資格の要件を満たさない者を、偽装して満たすようにする事は完全に「不正な目的」となるでしょう。

 

どんな時に偽装結婚と疑われるのか

繰り返しますが、偽装結婚についての明確な定義は存在しません。従って、外国人の在留を管理する国側の立場にとって、真の結婚にもかかわらず疑いの目を向けなければならない場合が当然発生します。

真実の愛情に基づいた国際結婚をする方でも、入国管理局に疑われて嫌になる場面は多々あると思います。しかし国にも国の利益を守る立場がありますので、文句を言っても仕方がないことです。

私たちにできる事は、疑われてもその疑念を覆す証明をする事です。その為にはまずどんな場合に偽装結婚と疑われるのかを理解しなければなりません。そして、疑われないような結婚生活を心がけることが大切です。

ではどのような場合に偽装結婚と疑われるのでしょうか。

言葉として明確に伝えることが難しいのでニュアンスとして説明すると、国側がその結婚に対して「引っかかり」を感じる場合が偽装結婚と疑われる傾向にあります。例えば下記のようなものがあります。

  • 夫婦の年齢差が大きい
  • 結婚までの交際期間が短い
  • 結婚紹介所や出会い系等による出会い
  • 外国人が風俗関係で働いている
  • 外国人の在留資格が「興行」である
  • 結婚しているにもかかわらず同居していない
  • 夫婦の一方または両方が外国人と結婚して離婚したことがある
  • 外国人に前科があったり税金を滞納している等の素行不良が見られる

もちろん上記に当てはまる場合でも必ずしも偽装結婚を疑われるわけではありません。

真実の結婚であると主張するためには真実の結婚と信頼できるような交際をし、それを証明できるようにしましょう。

そして具体的に真実の結婚を証明する方法の一例としては下記のような簡単な方法考えられますので、出来ることはしておくことをお薦めします。

  • 短期間の交際で結婚をしない
  • 交際中のメールやLINE、または写真を残す。
  • 交際中に同居しているなら、同居している証拠となる写真を残す(期間が分かるように)
  • お互いの知人にも紹介し、交際について賛同してもらう。
  • 出会い方が風俗営業店の店員と客の立場であったり、出会い斡旋業者の仲介ではない証拠を残す。

特に交際期間は重要だと私は考えています。好きな方との結婚について早まる気持ちも理解できますが、交際期間は十分にとった方が良いでしょう。

 

偽装結婚はなぜばれる?

単なる不法滞在とは異なり、偽装結婚などの偽装滞在者は表面上は正規の滞在者となっております。

しかし入国管理局側も情報収集力や分析力を強化しており、下記のようなきっかけに摘発がされています。

  • 在留期間更新、永住権取得、帰化申請の際に届け出る情報
  • 法律違反や犯罪等による警察官による調査
  • 近隣住民や知人による通報

真実の結婚をしているにもかかわらず、上記のような事があった場合に偽装結婚ではないかというあらぬ疑いがかかることもあります。

やはり夫婦生活の実態について信憑性を有する証拠をいつでも用意しておくべきだと私は考えます。

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