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日本で短期的に滞在をする為には、短期滞在ビザを取得しなければなりません。
この記事では、短期滞在ビザ(在留資格)と短期滞在ビザ(査証)について詳しく解説します。
ビザという言葉は2種類あります。1つは母国から日本に来るために第一審査を受けて得る切符のようなものである「査証」、もう一つは「査証」をもって日本に入国後に第二審査を受けて得る滞在が認められた権利のようなものである「在留資格」です。
正式にはビザ=査証ですが、在留資格も一般的にビザと言われています。
以下、「ビザ(査証)」と「在留資格」の言葉を用いて解説します。
在留資格「短期滞在」について
日本で短期滞在者として日本に滞在するためには、原則は、短期滞在ビザ(査証)を取得→日本に入国→在留資格「短期滞在」を取得しなければなりません。
そして、在留資格「短期滞在」を取得するためには、入管法に規定された下記の活動に適合しなければなりません。(在留資格該当性)
在留資格「短期滞在」の在留資格該当性
本邦に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動
以下、詳しく解説します。
解説・用語の定義
該当する具体的な活動範囲
例示的に観光~業務連絡と規定されていますが、具体的には下記も含みます。
- 観光:娯楽、参詣、通過の目的での滞在
- 保養:病気治療の目的での滞在
- スポーツ:競技会,コンテスト等へアマチュアとして参加する目的での滞在
- 親族の訪問:親族等の訪問に限らず、友人・知人の訪問、親善訪問、冠婚葬祭等への出席まで含む目的での滞在
- 見学:視察等の目的での滞在
- 講習又は会合:教育機関や企業等の行う講習、説明会、その他の会合等への参加
- 業務連絡:会議、商談、契約調印、アフターサービス、宣伝、市場調査、その他短期商用の目的での滞在
- その他これらに類似する活動:
- 報酬を受けないで行う講義、講演等
- 我が国を訪れる国公賓、スポーツ選手等に同行して行う取材活動等、本国での取材活動に付随した一時的用務としての報道、取材活動
- 本邦の大学等の受験、外国法事務弁護士となるための承認を受ける等の手続
- 報酬を受けずに外国の大学生等が学業等の一環として本邦の公私の機関に受入れられて実習を行う「90日」以内の活動(90日以内の無報酬での「インターンシップ」)
- その他本邦において収入を伴う事業を運営し又は報酬を得る活動をすることのない短期間の滞在
「短期間滞在して行う」とは
生活や活動の基盤を日本に移転させる意思のない一時的な滞在であり、「15日以内」「30日以内」「90日以内」「180日以内」のように、定められた期間内に予定された活動を終えることが条件として求められています。
「商品の宣伝活動」について
報酬が支払われず、商品の宣伝のみを目的とし、商品販売はしない場合は、在留資格「短期滞在」が該当します。
例えば、外国の会社と日本の会社との契約に基づいて、日本のデパートや百貨店で開催される物産展にて、外国文化の製品・料理の製作実演や演舞等の宣伝をする場合です。
この報酬は、滞在費等の実費の負担は認められます。日本側が滞在費や旅費、食費を日本側が負担しても差し支えありません。
なお、契約に基づいて商品の宣伝活動が行い、その対価として報酬が伴う場合は在留資格「興行」に該当し得ます。
審査のポイント
入国審査における審査のポイントは2つあります。
報酬の有無
収入を伴う事業を運営・経営・管理する活動、又は、報酬を受ける活動の場合は、在留資格「短期滞在」は認められません。
この報酬・収入の考え方が難しいところです。
在留資格「短期滞在」が認めない報酬・収入要件の定義は、「外国人による役務提供が日本国内で行われ、その外国人が役務提供の対価を受ける」こととしています。これは対価が日本国内の機関から支給されるか、国外で支給されるかは関係ありません。
では、お小遣いレベルならいいのか。要するに在留資格「短期滞在」にも認めらえる一定範囲の報酬・収入が存在するということです。
具体的には下記のものが、在留資格「短期滞在」が認めている報酬・収入です。
- 日本国外で行っている主業務に関連する従たる業務を行う為に短期間の来日をする場合
- 例えば、機械の輸出業者によるアフターサービス等の為の短期来日が代表例
- 渡航費、滞在費の実費弁償の範囲を超えない金額の支給
- 業として行わないう下記の活動に対する謝金・臨時報酬等
- 講演、講義、討論その他これらに類似する活動
- 助言、鑑定その他これらに類似する活動
- 小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作
- 催物への参加、映画又は放送番組への出演その他これらに類似する活動
活動内容の真実性
たとえ、母国で短期滞在ビザ(査証)を得た後に日本の海空港へ到着したとしても、入国審査において、在留資格「短期滞在」に認められた活動を行うことに真実性が認められなければ、日本に滞在できません。
審査実務としては、その外国人の経歴や、日本への出入国歴、母国での職の有無、滞在費支弁能力、所持金、訪問先の信用度や関係性、同行者との関係、所持品、宿泊先の確保の有無、滞在予定期間及び滞在日程の把握状況などから判断されます。
「短期滞在」から「長期滞在」への変更・更新
在留資格「短期滞在」の在留期間更新許可申請
在留資格「短期滞在」を有する外国人の更新申請は、原則は認められません。
例外として1つ目は、「人道上の真にやむを得ない事情又はこれに相当する特別の事情」に該当する場合です。例えば、短期滞在としての入国後に病気やケガ等の特別な事情変更があった場合などが代表例です。
2つ目の例外としては、出国準備を理由とする更新が認められる場合があります。本来であれば、認められた短期滞在期間中に出国準備を済ませて出国しなければなりません。しかし出国便が確保されており、確実に出国が見込まれるときに限り、出国準備を理由とする更新を希望する更新申請を必要最小限の期間として認める取り扱いです。
なお6ヶ月以内の短期滞在が認められた国からの入国の場合は、90日を超える前に一旦更新申請をする必要がありますが、この場合は通常認められます。
在留資格「短期滞在」から長期在留資格への在留資格変更許可申請
在留資格「短期滞在」を有する者からの在留資格の変更については,やむを得ない特別の事情があることが必要です。
具体的には下記のような場合が認められます。
- 在留資格認定証明書を事前に取得したうえで、在留資格変更許可申請をする場合
- 在留資格認定証明書を取得できない「告示外特定活動」「告示外定住者」への変更許可申請
- 短期滞在の間に日本で婚姻届を提出するような「特別な事情がある」と認められて、配偶者ビザに変更する場合
- 子どもの面倒を見るための「特別な事情がある」と認められて、配偶者ビザに変更する場合
短期滞在ビザ(査証)について
前述した在留資格「短期滞在」を取得するためには、まず原則、短期滞在ビザ(査証)を得る必要があります。
短期滞在ビザ(査証)を得る為には、外国人の方の住む国にある日本の在外公館(領事館・大使館等)に申請しなければなりません。
国によって手続きの方法・審査・条件等は異なりますが、概ね下記の手続きの流れとなります。
①海外に居る外国人本人が必要書類を準備する、②日本に要る外国人を招き入れたい方が必要書類を準備する、③日本側の書類を海外の外国人に送付する、④外国人が母国の日本大使館等へ申請する、⑤約1ヵ月の審査により結果をうける
そして必要な書類は、国と短期滞在目的ににより異なりますが、下記のような書類が必要となります。
なお、短期滞在ビザ(査証)が不要な国もあり、査証免除国については後述します。
一般的な必要書類
短期商用目的
- 外国人が海外で準備する書類
- 航空券予約確認書等、航空手段が確定していることを証明する書類
- 所属先からの出張命令書・派遣状等、渡航費用支弁能力を証明する書類
- 在職証明書等、所属機関を明らかにする書類
- 受け入れ側が日本で準備する書類
- 招聘理由書等、会社間の取引契約書、会議資料等、活動内容を明らかにする書類
- 滞在予定表
- 身元保証書
- 法人登記簿謄本、会社案内書等、所属機関を明らかにする書類
親族・知人訪問目的
- 外国人が海外で準備する書類
- 航空券予約確認書等、航空手段が確定していることを証明する書類
- 所得証明書や預金残高証明書等、渡航費用支弁能力を証明する書類
- 出生証明書、婚姻証明書、戸籍謄本等、親族であることを証明する書類
- 写真、手紙、メール履歴、国際電話通話明細書等
- 受け入れ側が日本で準備する書類
- 招聘理由書
- 住民票
- 身分証明書
観光目的
- 外国人が海外で準備する書類
- 航空券予約確認書等、航空手段が確定していることを証明する書類
- 所得証明書や預金残高証明書等、渡航費用支弁能力を証明する書類
- 宿泊先の予約証明等、滞在予定表
各国の短期滞在ビザ(査証)
中国
中国には下記のようなビザの種類が存在します。
- 短期商用目的の一次有効ビザ
- 1回限りの入国
- 90日以内の滞在
- 短期商用である事を証明する書類が必要
- 収入・報酬を伴う活動は認められない
- 親族・知人訪問目的の一次有効ビザ
- 1回限りの入国
- 90日以内の滞在
- 親族・知人訪問目的である事を証明する書類が必要
- 短期商用目的の数次有効ビザ
- 複数回の入国(有効期限は3年)
- 1回の入国につき、90日以内の滞在
- 一時有効ビザよりも要件が厳しい
- 収入・報酬を伴う活動は認められない
- 文化人・知識人の数次有効ビザ
- 複数回の入国(有効期限は3年)
- 1回の入国につき、90日以内の滞在
- 該当者の配偶者・子も認められる(該当者との同時申請に限る。有効期限は1年)
- 団体観光ビザ
- 1回限りの入国
- 15日以内の滞在
- 旅行会社を通じて団体観光ビザを申請
- 添乗員なしの自由行動は認められない
- 個人観光の一次有効ビザ(1回限りの入国、15日又は30日の滞在)
- 1回限りの入国
- 15日又は30日の滞在
- 旅行会社を通じて個人観光ビザを申請
- 個人観光の数次有効ビザ
- 複数回の入国(有効期間3年)
- 1回の入国につき、30日以内の滞在
- 1回目の入国が沖縄県・岩手県・宮城県・福島県のいずれかに1泊する事が前提。
- その他経済力要件、渡航歴要件あり
- 1回目のみ旅行会社を通じて個人観光ビザを申請
- 高所得者の数次有効ビザ
- 複数回の入国(有効期間5年)
- 一回の入国につき、90日以内の滞在
- 経済力要件あり
- 1回目のみ旅行会社を通じて個人観光ビザを申請
「短期商用」について
日本に短期間の滞在をして行う、商用目的の業務連絡・会議・商談・契約調印・アフターサービス・宣伝・市場調査・国際会議・学会参加・文化交流・自治体交流・スポーツ交流等を目的とするものを含みます。
「親族・知人訪問」について
親族・知人に会うために短期間の来日を目的とするものであり、観光目的の訪日で親族・知人宅に宿泊する場合を含みます。また、ここでいう「親族」とは、ビザ申請人が日本にいる配偶者及び三親等内の血族並びに姻族の方を訪問する場合を指します。
フィリピン
中国には下記のようなビザの種類が存在します。
- 短期商用目的の一次有効ビザ
- 1回限りの入国
- 90日の滞在
- 短期商用である事を証明する書類が必要
- 収入・報酬を伴う活動は認められない
- 親族・知人訪問目的の一次有効ビザ
- 1回限りの入国
- 90日の滞在
- 親族・知人訪問目的である事を証明する書類が必要
- 観光目的の一次有効ビザ
- 1回限りの入国
- 90日の滞在
- 短期商用目的の数次有効ビザ
- 複数回の入国(有効期限は最長5年)
- 1回の入国につき、15日又は30日の滞在
- 一時有効ビザよりも要件が厳しい
- 収入・報酬を伴う活動は認められない
- 文化人・知識人の数次有効ビザ
- 複数回の入国(有効期限は最長5年)
- 1回の入国につき、15日又は30日の滞在
- 該当者の配偶者・子も認められる(該当者との同時申請に限る)
- 実子同伴ビザ
- 日本人との間の実子を連れて、長期滞在を目的とする準備のためのビザ
「短期商用」について
日本に短期間の滞在をして行う、商用目的の業務連絡・会議・商談・契約調印・アフターサービス・宣伝・市場調査・国際会議・学会参加・文化交流・自治体交流・スポーツ交流等を目的とするものを含みます。
「親族・知人訪問」について
親族・知人に会うために短期間の来日を目的とするものであり、観光目的の訪日で親族・知人宅に宿泊する場合を含みます。また、ここでいう「親族」とは、ビザ申請人が日本にいる配偶者及び三親等内の血族並びに姻族の方を訪問する場合を指します。
ロシア・ベトナム・インドネシア等、査証免除国以外
フィリピン・中国以外の国で、かつ、後述する査証免除国以外の場合は、概ねフィリピンに似たようなビザの種類と手続きとなっています。
詳しくは外務省HP-ビザ・日本滞在にアクセスしてご確認ください。
査証免除国
日本に入国し、在留資格「短期滞在」を得るためには、まず最初に短期滞在ビザ(査証)を原則得なければならないと前述しました。しかし国によっては、例外的に短期滞在ビザ(査証)が不要な取り決めがなされています。そのような国を査証免除国といいます。
従って査証免除国から短期滞在として日本にくる外国人の方は、母国で航空券を買ってそのまま日本まで来ることができます。
また各国によって、滞在期間や免除対象となるパスポートが決められています。
滞在期間
- インドネシア・タイ・ブルネイは「15日以内」
- アイルランド・オーストリア・スイス・ドイツ・リヒテンシュタイン・英国・メキシコは、「最大6ヵ月、90日を超える前に更新が必要」
- それ以外は「90日以内」
査証免除国となる国
アジア
- インドネシア
- ICAO標準のIC旅券を所持し、かつ、在外日本公館で事前登録完了した者のみ
- シンガポール
- タイ
- ICAO標準のIC旅券を所持者のみ
- マレーシア
- ICAO標準のIC旅券を所持者のみ
- ブルネイ
- 韓国
- 台湾
- 身分証番号が記載された台湾護照(台湾旅券)所持者のみ
- 香港
- 香港特別行政区旅券、英国海外市民(BNO)旅券の所持者のみ(香港居住権所持者)
- マカオ
- マカオ特別行政区旅券の所持者のみ
北米
- 米国
- カナダ
中南米
- アルゼンチン
- ウルグアイ
- エルサルバドル
- グアテマラ
- コスタリカ
- スリナム
- チリ
- ドミニカ共和国
- バハマ
- バルバドス
- ICAO標準のMRP旅券又はIC旅券の所持者のみ
- ペルー
- 査証免除国でありながらビザ取得勧奨措置が取られており、ビザ取得が実質必要
- コロンビア
- 査証免除国でありながらビザ取得勧奨措置が取られており、ビザ取得が実質必要
- ホンジュラス
- メキシコ
大洋州
- オーストラリア
- ニュージーランド
中東
- イスラエル
- トルコ
- ICAO標準のMRP旅券又はIC旅券の所持者のみ
アフリカ
- チュニジア
- モーリシャス
- レソト
- ICAO標準のMRP旅券又はIC旅券の所持者のみ
欧州
- アイスランド
- アイルランド
- アンドラ
- イタリア
- エストニア
- オーストリア
- オランダ
- キプロス
- ギリシャ
- クロアチア
- サンマリノ
- スイス
- スウェーデン
- スペイン
- スロバキア
- スロベニア
- セルビア
- チェコ
- デンマーク
- ドイツ
- ノルウェー
- ハンガリー
- フィンランド
- フランス
- ブルガリア
- ベルギー
- ポーランド
- ポルトガル
- マケドニア旧ユーゴスラビア
- マルタ
- モナコ
- ラトビア
- リトアニア
- リヒテンシュタイン
- ルーマニア
- ルクセンブルク
- 英国
免除対象となるパスポートの種類について
ICAO標準のMRP旅券とは
ICAO(国際民間航空機関)標準で定められている機械読取式旅券(MRP)のことで、旅券の身分事項ページに下図のような機械読み取り可能な個人情報等の旅券データが記載されている旅券のことです。
ICAO標準のIC旅券
旅券表紙に下図のようなICロゴマークがついた国際民間航空機関(ICAO)標準の旅券です。