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「強制送還されそうだが、日本への在留を継続したい」
このような要望を解決するために、在留特別許可について少し知っていきましょう。
この記事では、在留特別許可について理解するべき4つの基本について解説します。その4つの内容は下記のとおりとなっていますので、興味のある方はこのまま読み進めてください。
- 在留特別許可とは
- 在留特別許可の判断基準-ガイドライン・事例
- 在留特別許可に向けてするべきこと
- 在留特別許可がされた場合
また、下記キーワードについても気になった方はこのまま読み進めてください。
- 強制送還
- 仮放免許可
在留特別許可とは
在留特別許可(特別在留許可ではありません)とは、強制送還の対象となった外国人の方について、在留を特別に許可すべき事情があると法務大臣が認めた場合に、強制送還を免除して在留継続させる制度です。
日本に在留する外国人が不法な在留をしていると認定された場合は、いくつかの審査を経て最終的に法務大臣の裁決という最終段階に至ります。最終審査である法務大臣による裁決において、やはり強制送還に該当すると認められた場合は、その外国人は原則は強制送還に基づく出国準備に入ります。しかし、その強制送還の対象者の中でも、日本人配偶者が居る場合や小さなお子さんがいる場合など、一定の特別の事情がある場合は「特別に在留することを許しましょう」とする恩恵的制度が在留特別許可です。
強制送還の対象事由や強制送還の流れについて詳しく知りたい方は、国外強制送還について理解するべき5つのことをご確認ください。
なお平成25年の統計によると、在留特別許可の申請受理件数7268件に対して許可件数2840件となっており、約39%の方が強制送還を免れております。この数字をどう見るかは人によって異なると思いますが、私は決して少なくはないと考えています。
本来はしっかりと適法に滞在すべきです。しかし、意図せずに強制送還事由に該当してしまう事も事例としては多々あります。強制送還事由に該当してしまった場合でも、日本での在留を継続したい場合は決して諦めずに在留特別許可を求めるべきだと私は強く思います。
在留特別許可の判断基準-ガイドライン・事例
法務大臣が在留特別許可を認めるかどうかについては明確な基準はありません。
個々の事案ごとに,下記の内容について総合的に考慮されます。
- 在留を希望する理由
- 家族状況
- 素行
- 内外の諸情勢
- 他の不法滞在者に与える影響等
- その他事情
具体的には、法務省が在留許可に係るガイドラインとして特にプラスに働く要因・プラス要因・マイナス要因・特にマイナスに働く要因について公表しています。
詳しくは、法務省HP-在留特別許可関係公表資料-をご確認ください。
在留特別許可に係る許可・不許可事例も公表されています。
在留特別許可に向けてするべきこと
前述したとおり在留特別許可を法務大臣がするかどうかは明確な基準がありませんので、これをすれば在留特別許可を得ることが出来るという答えのようなものは存在しません。
しかし、プラスに考慮する要素やマイナスに考慮される要素がガイドラインとして公開されています。
基本的にはこのガイドラインに従って身の回りをきちんと整理することが大切です。
摘発される前に自首出頭しましょう
不法滞在であることを自ら出頭して申告することは、ガイドラインにおけるプラス要素です。
不法滞在である事がバレた後に摘発や出頭要請を受けてから、特別に在留を許してくださいとお願いするより、自ら反省して出頭する方が情状酌量の余地は当然あります。
必ず自首出頭をしましょう。
収容後は仮放免申請をしましょう
摘発や自首出頭に関わらず、その外国人は原則は収容されます。そして、強制送還が決定すればその収容期間は無期限です。
この期間について少し詳しく説明すると、摘発や出頭によってまず収容されるわけですが、この収容期間は最大60日と法律上決められております。その間に在留継続か強制送還か出国命令が決定されます。そして強制送還が決定した場合は、その外国人の収容は出国までの無期限となります。この無期限の収容期間の中で、特別に在留を許可してもらうというのが在留特別許可です。出国を希望されれば早期に強制送還されますが、在留を希望した場合はすぐに在留特別許可が出る方もいますし、数年間も許可が出ない方もいます。つまり、何年間も収容される可能性があるということとなります。
従って在留特別許可をしたい場合には、仮放免申請をすることをお勧めします。
もちろん必ず仮放免されるわけではございませんが、仮放免されれば家族とも会えますし、ある程度の制限はありますが普通に生活できます。そして何よりも在留特別許可という長期的な手続きの中で、ずっと収容されていては心身ともにプラスにはならないと思います。
またこれは個人的な意見ですが、入国管理局側からすると仮放免許可申請もなく長期に収容されている外国人に対して、在留を特別に認める必要がないんではないかと感じることもあるのではないでしょうか。日本に居る家族から仮放免申請がされれば、特別に在留を認める必要があると感じるのではないでしょうか。
在留特別許可を得るために仮放免申請することは、直接的にはプラスにもマイナスにも働かないとされていますが、間接的には間違いなくプラスになります。
仮放免許可について詳しく知りたい方は、仮放免について理解するべき4つのことをご確認ください。
結婚について
日本人や永住者等と結婚しているという事は、在留特別許可が下りるためのプラス要素とされています。
しかし、この結婚については入国管理局側は厳しく見ています。なぜなら、在留特別許可を得るために形だけの偽造結婚がされることが多いからです。
結婚については、「通常の結婚」と摘発後に結婚する「駆け込み婚」に分けられています。「通常の結婚」の場合はそこまで評価を厳しくしませんが、「駆け込み婚」の場合は非常に厳しく評価されます。もちろんどちらの結婚に関わらず、夫婦としての共同生活に実態が存在することが必要です。
もし、結婚はしていないが同棲生活をしており、周りの知人等にも交際を認められているような状況の外国人の場合は、おそらく正当な結婚であることが見込まれますので、まず結婚をしてから自首出頭することをお勧めします。
在留特別許可された場合
在留特別許可によって新たに付与する在留資格と在留期間が認定されます。
在留特別許可の事情にもよりますが、新たな在留資格を付与されて、そのまま日本での在留を継続できるケースもあれば、「特定活動」の在留資格を付与されて、一時的に在留でき、一定期間後に帰国しなければならないケースもあります。
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