このページの目次
「不法滞在の疑いで入国管理局に収容されてしまった」
「収容されてしまったが、普段の生活を取り戻したい、家族に会いたい」
このような問題・要望を解決するために、仮放免・仮放免許可申請について少し知っていきましょう。
この記事では、仮放免について理解するべき4つの内容について解説します。その4つの内容は下記のとおりとなっていますので、興味のある方はこのまま読み進めてください。
- 仮放免とは
- 仮放免が許可される基準
- 仮放免者の制限と義務
- 仮放免許可申請の方法
また、下記キーワードについても気になった方はこのまま読み進めてください。
- 強制送還(退去強制)
- 在留特別許可
仮放免とは
日本に在留する外国人が入国警備官や入国管理局から不法な在留と認定された場合、その外国人は強制送還(正式名称は退去強制)の対象となってしまいます。
そしてその強制送還対象者は、実際に強制送還されまでは原則的に入国管理局の収容施設に収容されることになっております。
もちろん強制送還対象者となってからいくつか受ける審査の中で在留が認められて放免される場合もあります。また強制送還対象者となってすぐに出国準備にかかる方は収容期間も短く仮放免についてあまり気にしなくていいと思います。
しかし強制送還対象者となっても日本への在留を希望する(在留特別許可)場合、その外国人が数年間も収容されてしまう事例も多々あります。(詳しくは、在留特別許可について理解するべき4つの基本-収容後は仮放免申請をしましょう-をご確認ください。)嘆かわしい事ですが、収容中に亡くなってしまった事例も存在します。
そんな時にはまず仮放免を検討してみましょう。
仮放免とは、外国人側からの請求によって、それが認められた場合に条件付きで身柄を解放する措置の事です。(請求がなくとも事情によっては入国管理局の職権によって仮放免される場合もあります。)
仮放免された外国人は、条件付きではあるものの、普段の生活が出来たり家族にも会える事となります。
長期間の収容は心身ともに疲労してしまいます。在留を希望する場合は長期戦となることは覚悟して、まずは仮放免許可申請を検討することをお勧めします。
強制送還の流れについて詳しく知りたい方は、国外強制送還について理解するべき5つのことにアクセスしてご確認ください。
仮放免が許可される基準
外国人側が請求した仮放免許可申請に対して、それを許可するか否かについては明確な基準は存在しません。
しかし判断材料となる項目についてのガイドラインのようなものが、仮放免取扱要領に定められております。
内容は下記のとおりです。
- 被収容者の容疑事実又は退去強制事由
- 仮放免請求の理由及びその証拠
- 被収容者の性格,年齢,資産,素行及び健康状態
- 被収容者の家族状況
- 被収容者の収容期間
- 身元保証人となるべき者の年齢,職業,収入,資産,素行,被収容者との関係及び引受け熱意
- 逃亡し,又は仮放免に付す条件に違反するおそれの有無
- 日本国の利益又は公安に及ぼす影響
- 人身取引等の被害の有無
- その他特別の事情
簡単に言うと、その外国人を仮放免する必要性があり、仮放免をしても問題が生じないと認められれば、許可される傾向にあります。
仮放免者の制限と義務
前述したとおり仮放免された外国人は、活動について一定の制限があり、さらに一定の義務を課される事を条件に解放されて普段の生活を送れることとなります。
そしてその義務と制限は下記のような項目があります。
- 就労は認められない
- 定期的な出頭義務
- 保証金を支払う義務
- 住居の指定
- 行動範囲の制限
- 仮放免の期間
- 個々の外国人に合わせたその他制限や義務
ほぼすべての外国人が上記の項目の制限があり、そしてその程度に関しては仮放免する個々の外国人の事情に合わせて程度が異なります。
例えば、外国人の事情によって保証金額、行動範囲の広さ、出頭のペースなどが変わります。
保証人については、仮放免時に300万円を上限として保証金を支払う必要があるとされておりますが、実際には30万~50万円程度の金額が多いようです。そして支払った保証金は、上記の仮放免の義務と制限を守り、仮放免中に適正な生活をしていれば、仮放免が終了した場合(在留が認められて正式に放免された場合や実際に強制送還される場合)に返金されます。
また行動範囲の制限についてですが、もし指定された行動範囲外に行く必要が発生した場合は、地方入国管理官署に一時旅行許可の申出をしなければなりません。この申出をする際は、身元保証人・目的・必要性・期間などを明確にした書類を提出する必要があります。
これらの制限や義務に違反した場合は、仮放免の取り消され、再び収容されます。さらに保証金も返ってくることもなくなり、強制送還される可能性が非常に大きくなります。
仮放免許可申請の方法
仮放免許可申請の方法について基本的な事項を解説します。
仮放免許可申請の申請者・申請先・手数料・必要書類について知りたい方は読み進めてください。
仮放免申請の申請者
- 1.外国人本人
- 2.代理人
-
- 弁護士や行政書士、配偶者や直系の親族が代理人となることが出来ます。
- 弁護士と行政書士は申請を取り次ぐ事が出来る資格を有するもののみです。
仮放免申請の申請先
外国人が収容されている地方入国管理官署です。
仮放免申請の手数料
必要ございません。
仮放免申請の必要書類
- 仮放免許可申請書
- 仮放免を請求する理由を証明する資料
- 仮放免された場合の住所近隣図
- 本人の誓約書
- 身元保証書
- 誓約書
- 身元保証人の納税及び収入に関する証明書
- 身元保証人の資産関係を証明する書類
- 住民票もしくは外国人登録原票記載事項証明書
- 戸籍謄本などの本人との関係を証明する書類(配偶者・直系親族の場合)
- 本人からの委任状(行政書士・弁護士の場合)
なお、仮放免許可申請の際合には身元保証人が必要です。
法務省HP-仮放免許可申請-から、申請書様式のダウンロードができます。
入管手続き入門 関連コンテンツ
- 在留資格の手続きについて知るべき最も基本的な3つの事
- 在留資格認定証明書の交付申請前に知るべき4つの基本
- 在留資格更新に向けて理解するべき4つの事
- 在留資格変更の前に理解するべき4つの事
- 在留資格取得について知るべき2つの事
- 資格外活動許可に向けて理解するべき7つの基本
- 就労資格証明書について知っておきたい3つの事
- 日本の永住権を取得する為に理解すべき3つの基本
- 帰化申請をする前に理解すべき5つの基本
- 国外強制送還について理解するべき5つのこと
- 在留特別許可について理解するべき4つの基本
- 日本の在留資格・ビザについての全27種類とその内容