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この記事では、外国人の招聘機関・受入機関が記載する採用理由書・招聘理由書の記入例・注意点について解説します。

採用理由書・招聘理由書は入管法上の要件ではありませんが、プラスになるポイントをアピールし、また、マイナスになるポイントをフォローすることにより、不許可となる可能性を極力下げ、さらに好条件な在留期間を得るために重要なものとなります。

採用理由書・招聘理由書を記載する上での考え方

採用理由書・招聘理由書は、「なぜ当該外国人を採用するに至ったか」、「なぜ当該外国人を招聘するに至ったか」についての経緯と理由を記載するものです。

採用理由書・招聘理由書を記載する上では、外国人本人が当該在留資格に該当する事、つまり、「在留資格該当性」・「上陸許可基準適合性」を満たしている事を入管側に知ってもらうという観点を念頭に置いて記載することが大切です。

さらに、その記載した内容に付随して、事実を客観的に裏付ける資料があればそれも提出すべきです。

また、申請人にマイナスとなる事情がある場合には、その事情をよく吟味し、「それほど不利な事情とは評価すべきではないこと」、「一見マイナスだが、有利な事情とも評価しうること」、「今後は二度とそのような事態は生じないこと」等の観点から合理的に説明し、入管から指摘される前に、事前に書面でフォローしておいた方がよいことも多いです。

採用理由書・招聘理由書の具体的な記載の流れ

記載内容や記載順序に決まりがあるわけではありませんが、基本的な流れとしては下記のような順序で記載すればスッキリします。

但し前述したとおり、他にプラスとなる点があれば主張すべきですし、他にマイナスとなる点があればしっかりとフォローすべきです。

なお、あとがきについては特に必要ないと思われますが、記載していたほうが個人的にスッキリと締めくくれると思います。

1.会社概要・会社紹介について

  • 会社の沿革(設立年月,現在までの大まかな変遷等)
  • 会社の資本金
  • 会社の業務内容
  • 最新年度の売上実績主な取引先等

2.「外国人」を必要とする理由

  • 業務の内容
  • 業務の現状と展望、実績等
  • 必要に応じて今後の海外事業計画等
  • 人材面における課題

3.申請人についての情報

  • 簡単な経歴
  • 語学力や業務に関する能力
  • 人柄

4.会社での申請人の活用の仕方

5.その他

  • 採用経緯
  • 雇用契約条件についての同意

6.あとがき

採用理由書・招聘理由書の添付書類

採用理由書・招聘理由書に記載する内容だけでは、入管側にとっては単なる文章であって、それが事実かどうかはわかりません。従って、客観的な証拠となる資料を併せて提出すべきです。

例えば、申請人を採用する・招聘する必要性の観点からは、下記資料があれば、申請人が従事する業務が実際に存在し、また、申請人を採用する必要性が高いこと等を立証することができます。

  • 海外取引業務におけるLC、インボイス等の取引に関する資料等
  • 外国語を必要とする取引の範囲、量等を具体的に示す資料等

また、申請人が修得している知識の豊富さや能力の高さは、許否の判断に直結します。卒業証明書や履歴書等はもちろん、下記のような申請人の能力、知識、実績等を具体的にアピールできるものがあれば、提出すべきです。

  • 語学力を証する検定試験結果
  • 成績証明書
  • 作品実績等

 

採用理由書・招聘理由書の具体的な記入例

採用理由書

平成○○年○月○日

法務大臣殿
○○入国管理局長殿○○
入国管理局○○審査部門担当官殿

大阪府大阪市中央区本町橋○ー○○ 
○○株式会社 
代表取締役  山田 太郎 

申請人氏名 : 張 三 
(国籍:中華人民共和国、生年月日:19○○年○月○日)

 

1.当社の概要

当社は、昭和○年○月に設立され、資本金は3千万円、年間取引額は昨年実績で○億円以上に達しております。

主な事業内容は、コンピューター・ソフトウェアの開発・研究・販売・輸出等であり,専門メーカーとして、その技術は国内外で高い評価を得ております。

主な国内取引先としては,◇◇株式会社,□□株式会社等が挙げられます。

また、当社事業は日本国内の他、中国・タイ・シンガポール・ベトナム等にも及び,今後も高度情報化が進むアジア諸国からの受注は大きく伸びていくものと予想され,各国の経済事情に即応したソフトウェアの開発並びに対外折衝に対応できる人材の育成が、当社の急務な課題となっております。

2.張三氏の採用に関する必要性

当社では数年前から、中国北京市△△有限公司との業務提携等、海外との具体的な事業活動をすでに展開していますが、それらの取引先との業務折衝は、他社の通訳を介して日本人社員が行っていました。

しかし、大切な商談においては専門知識を有し、かつ中国語も堪能な社員でなければ、円滑で有利な対処をすることは困難です。実際に、通訳・翻訳の手違いから生じるトラブルで大きな損失を受けた経験も何度かあります。

さらに、アジア諸国との取引においては、現地の商慣習や経済事情等から派生する問題も多く、実際にトラブルとなることも多くありました。

これらの諸問題を解決するには、語学に堪能で、中国の商慣習も身に付き、かつ、コンピューター関連の高度な專門知識に精通した中国人社員を1名採用することが当社にとって急務の課題です。

当社の海外取引業務においては,単に語学に堪能なだけでは通訳・翻訳業務は勤まらず、コンピューター関連の高度な專門知識が要求され、それだけの語学力・専門知識を兼ね備えた人材の採用は極めて難しい中、社内での慎重な協議の結果、中国在住の張三氏の採用を内定致しました。

3.張三氏の経歴と能力

張三氏は、中国○○高級中学校を卒業し、19○○年に中国○○大学に入学、19○○年に同校を卒業しました。その後19○○年に中国の◇◇有限公司に入社し、以来、情報処理技術者としてコンピューターソフトウェアの開発業務に○○年従事してきました。

また、性格についても真面目で温厚な人柄で、業務に対しても大変意欲を燃やしております。

4.当社における張三氏の役割について

今後、当社の対中国・台湾との取引における通訳・翻訳・対外折衝業務を張三氏に担当させ、当社の重要なスタッフの一員として大いに活躍して貰うつもりです。

また将来は、当社の対外取引の中核ともなり得る人材でもあり、アジア地域との業績拡大の推進力として大きな期待を寄せております。

また、本人の経歴等を考盧に入れて雇用条件等も協議し、本人の十分な納得を得て契約書も合意に達しております。

5.あとがき

張三氏の有する専門知識、実務経験、語学力は、当社の今後の対アジア諸国との取引拡大にとって、是非とも必要な能力であり,張三氏の当社で果たす役割は非常に重要なものとなります。

当社への招聘が実現した際には、今後の当社の業務拡大に大いに貢献すると共に、日本とアジア諸国との経済・技術交流の発展にも少なからず寄与してくれるものと確信しております。

何卒、以上の当社の特別な事情を御賢察頂き,張三氏が当社で勤務するための在留資格の御許可を賜りますようお願い申し上げます。

 

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