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外国人を適正にサポートし在留許可へ向けて実務をこなすビザ専門行政書士の私としては、入管側の内部基準も理解しておきたいものです。ここでは、2017年入管内部基準に記されている、在留審査(資格外活動の許可)について詳しく記述します。
第1節 対象
入管法別表第一の上欄の在留資格をもって在留している者で、本来の在留活動を阻害しない範囲内において、現に有している在留資格に属しない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬(施行規則第19条の2に定める活動を除く。)を受ける活動を行おうとするもの。
第2節 審査
第1 一般原則
次に掲げる要件のいずれにも適合すると認められる活動に従事する場合に許可する。
1 申請人が申請に係る活動に従事することにより現に有する在留資格に係る活動の遂行が妨げられるものでないこと。
(注)単に活動の時間数及び収入・報酬額の多寡によるものではない。ただし、「家族滞在」又は「特定活動」のうち扶養を受ける活動を指定されて在留する者で、扶養者の収入・報酬額を超えるような資格外活動を行おうとすることが明らかな場合は、扶養を受ける者とは言えなくなり、在留資格該当性に疑義が生じることから、原則として資格外活動の許可をしない。
2 現に有する在留資格に係る活動を維持していること。
(注)留学生で学校に行っていない者など本来の活動を行っていないことが明らかな場合は該当しない。
3 申請に係る活動が法別表第一の一の表又は二の表の在留資格の下欄に掲げる活動に該当すること。
4 申請に係る活動が次のいずれの活動にも当たらないこと。
- (1)法令(刑事・民事を問わない)に違反すると認められる活動
- (2)風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する風俗営業、同条第六項に規定する店舗型性風俗特殊営業若しくは同条第十一項に規定する特定遊興飲食店営業が営まれている営業所において行うもの又は同条第七項に規定する無店舗型性風俗特殊営業、同条第八項に規定する映像送信型性風俗特殊営業、同条第九項に規定する店舗型電話異性紹介営業若しくは同条第十項に規定する無店舗型電話異性紹介営業に従事して行う活動
(注)次の①から③の形態で営まれている店舗での活動及び④から⑦に該当する業務に従事して行う活動は認められない。なお、直接客の接待等を行わない従業員であっても同様である。
- ① 風俗営業…客の接待をして飲食させるキャバレー・スナックなど、店内の照明が10ルクス以下の喫茶店・バーなど、麻雀屋・パチンコ屋・スロットマシン設置業等
- ② 店舗型性風俗特殊営業…ソープランド、ファッションヘルス、ストリップ劇場、ラブホテル、アダルトショップ等
- ③ 特定遊興飲食店営業…深夜において客に遊興(ダンスを含む。)をさせ、かつ、客に酒類の提供を伴う飲食をさせるナイトクラブ等
- ④ 無店舗型性風俗特殊営業…出張・派遣型ファッションヘルス、アダルトビデオ通信販売業等
- ⑤ 映像送信型性風俗特殊営業…インターネット上でわいせつな映像を提供する営業等
- ⑥ 店舗型電話異性紹介営業…いわゆるテレホンクラブの営業等
- ⑦ 無店舗型電話異性紹介営業…いわゆるツーショットダイヤル、伝言ダイヤルの営業等
5 収容令書の発付を受けていないこと。
第2 特則
次に該当する者の申請については、それぞれに定めるところによる。
1 「短期滞在」の在留資格をもって在留する者
特別な事情が存するため、短期滞在の在留資格を付与されて在留を認められている者で、第1に掲げる各要件のいずれにも適合し、かつ、特に許可するのが相当である場合は、許可する。
2 「留学」の在留資格をもって在留する者
資格外活動の目的、内容等に応じ、後記(1)又は(2)のとおりとする。
なお、国費留学生等奨学金を十分に得ていると認められる学生が行うアルバイトについても、学業に支障のない範囲で進学、生活費用等を補う目的で行う限り、私費留学生と区別して取り扱うことはしない。
また、大学又は高等専門学校(第4学年、第5学年及び専攻科に限る。)において教育を受ける者が、当該大学又は高等専門学校との契約に基づいて行う教育又は研究を補助する活動については、資格外活動の許可を要しない(施行規則第19条の2第3号)。
(注)「教育又は研究を補助する活動」とは、一般に、優秀な大学院学生に対し、教育的配慮の下に、学部学生等に対するチュータリング(助言)や実験・実習・演習等の教育補助業務を行わせ、大学院学生への教育トレーニングの機会を提供するとともに、これに対する手当の支給により、大学院学生の処遇の改善の一助とすることを目的としたものや大学等が行う研究プロジェクト等に教育的配慮の下に大学院学生等を研究補助者として参画させ、研究遂行能力の育成、研究体制の充実を図るとともに、これに対する手当の支給により、大学院学生の処遇の改善の一助とすることを目的としたものをいう。
(1)包括許可
「留学」の在留資格をもって在留する者から、留学中の学費その他の必要経費を補う目的のアルバイト活動のため、在留期間中の包括許可について申請があった場合、第1の1、2、4及び5のいずれの要件にも適合するときは、1週について28時間以内(教育機関の長期休業期間にあっては、1日について8時間以内)の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動について一律かつ包括的に在留期間内の資格外活動を許可する。
また、入国港において、新規に「留学」の在留資格及び3月を超える在留期間を決定されて上陸許可の証印を受けた者(上陸特別許可によるものを含む。)から、当該上陸許可に引き続き在留期間中の包括的な資格外活動許可の申請があった場合、上陸は許可したものの包括許可することが適当でないと判断される特段の事情がある場合を除き、前記と同様の範囲で包括的に資格外活動を許可する。
(注1)「1週について28時間以内」とは、どの曜日から1週の起算をした場合でも常に1週について28時間以内であることをいう。
(注2)「教育機関の長期休業期間」とは、いわゆる夏季休業、冬季休業及び春季休業として当該教育機関の学則等により定められているものをいう。
(注3)本邦の高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)、中学校(中等教育学校の前期課程を含む。)及び小学校において教育を受ける者については、基本的に資格外活動許可は馴染まず、包括許可はもとより、個別許可についても申請人が所属する教育機関からアルバイトに関する取扱いや申請人の事情を聴取する等して許否を判断する。
(2)個別許可
「留学」の在留資格をもって在留する者から(1)に掲げる範囲外の活動について許可の申請があったときは、第1の各要件に適合し、かつ、次のいずれにも該当する場合に限り、活動を行う本邦の公私の機関の名称及び業務内容その他必要な事項を定めて個々に許可する。
なお、包括的な資格外活動許可以外の資格外活動許可申請については、空海港において「留学」の在留資格に係る上陸許可に引き続き申請が行われても、これを許可しない。
- ア 稼働の目的が本邦留学中の学費その他の必要経費を補うためのものであること。
- イ 申請に係る活動が語学教師、通訳、翻訳、家庭教師その他当該留学生の専攻科目と密接な関係のある職種又は社会通念上学生が通常行っているアルバイトの範囲内にある職種であること。
3 「文化活動」の在留資格をもって在留する者のうち次に該当するもの
いわゆる外国大学の日本分校又は日本研究センターにおいて留学生と同様の活動を行っている者
「留学」の在留資格をもって在留する者に係る取扱いを準用する。
4 「家族滞在」の在留資格をもって在留する者
(1)包括許可
「家族滞在」の在留資格をもって在留する者からの申請があった場合は、申請に係る活動が1週について28時間以内の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動について、第1の1、2、4及び5のいずれの要件にも適合すると認められる場合には、包括的に資格外活動を許可する。
(注)申請人が、本邦の高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)、中学校(中等教育学校の前期課程を含む。)又は小学校の生徒又は児童の場合については、上記2(1)(注3)を参照。
(2)個別許可
「家族滞在」の在留資格をもって在留する者から(1)に掲げる範囲外の活動について許可の申請があったときは、第1の各要件に適合している場合に限り、活動を行う本邦の公私の機関の名称及び業務内容その他必要な事項を定めて個々に許可する。
5 「家族滞在」以外の在留資格をもって在留する外国人の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動を行う者
次の(1)又は(2)の者からの申請については、前記4と同様、申請に係る活動の内容に応じて要件の適合性を確認した上、包括的又は個別的に資格外活動を許可する。
(1)アマチュアスポーツ選手の家族滞在活動として「特定活動」の在留活動をもって在留する者(告示7号)
(2)特定研究等家族滞在活動、特定情報処理家族滞在活動又は外国人教授の家族滞在活動として「特定活動」の在留資格をもって在留する者(告示38号)
6 継続就職活動若しくは内定後就職までの在留を目的とする「特定活動」の在留資格をもって在留する者又はこれらの者に係る家族滞在活動としての「特定活動」の在留資格をもって在留する者(告示外)
継続就職活動若しくは内定後就職までの在留を目的とする者又はこれらの者に係る家族滞在活動を行う者からの申請については、前記4と同様、申請に係る活動が1週について28時間以内であって、第1の1、2、4及び5のいずれの要件にも適合するときは、包括的に資格外活動を許可する。
ただし、継続就職活動を目的とする者又はこの者に係る家族滞在活動を行う者からの申請について、教育機関による推薦状から資格外活動許可が消去されている場合には、包括許可ではなく、個別的に資格外活動の許可を判断する。
7 EPA看護師家族滞在活動又はEPA看護福祉士家族滞在活動として「特定活動」の在留資格をもって在留する者(告示18号、19号、23号、24号、30号又は31号)
EPAの対象として本邦の国家試験に合格した看護師又は介護福祉士と同居し、かつ、その扶養を受ける配偶者又は子から申請があった場合は、申請に係る活動が1週について28時間以内であって、第1の1、2、4及び5のいずれの要件にも適合すると認められる場合でも、包括許可をせず、審査の上個別的に許可する。
8 入院して医療を受けるため本邦に相当期間滞在する者として「特定活動」の在留資格をもって在留する者(告示25号)文はその付添人として「特定活動」の在留資格をもって在留する者(告示26号)
入院して医療を受けるため本邦に相当期間滞在する者又はその付添人から申請があった場合は、原則として許可しない。
9 観光、保養等を目的として本邦に長期間滞在する者として「特定活動」の在留資格をもって在留する者(告示40号)又はその同行する配偶者として「特定活動」の在留資格をもって在留する者(告示41号)
原則として許可しない。
10 難民認定申請中の者として「特定活動」の在留資格をもって在留する者(告示外)
難民認定申請中の「特定活動」の在留資格をもって在留する者のうち、報酬を受ける活動の指定が行われていないものについては、原則として資格外活動許可は許可しない(第12編第2章第26節第2の3を参照。)。
第3節 許可
第1 許可の方式
1 証印による許可
許可は、後記2に掲げる場合を除き、旅券又は在留資格証明書に証印シール(施行規則別記第四号の2様式)を貼付することによって行うこととする。
2 許可書の交付による許可
以下の場合には、許可は、許可書の交付によって行うこととする。
- ア 申請人が中長期在留者で、有効な旅券を所持していない場合
- イ 申請人が有効な旅券を所持しているが、次の(ア)又は(イ)に該当する場合
3 許可番号
4 「住居地」、「旅券番号」及び「上陸(在留)許可年月日」欄
許可書を交付する場合、各該当欄に「省略」と表示して差し支えない。
5 「新たに許可された活動の内容」
活動内容を具体的に記載する。許可した活動が特定の企業等に所属して行うものであるときは、当該企業等の名称も記載する。
なお、第2節第2の2(1)、3、4、5及び6(ただし書きの場合を除く。)の規定により許可するときは以下のとおり証印(シール)に印字される。なお、許可書を交付する場合は、「11 新たに許可された活動の内容」欄に以下のとおり記載する。
「出入国管理及び難民認定法施行規則第四条第5項第1号に規定する活動(注)後記6の許可の期限は、出入国管理及び難民認定法第20条第5項(第21条第4項で準用する場合を含む)の適用を受ける場合は、同項に規定する日」
6 「許可の期限」
許可の終期を記載する。
7 許可年月日
許可証印を行った年月日又は許可書を交付した年月日とする。
8 その他
許可書を交付する場合には、許可書右下欄外に処分庁名印又は入国審査官認証印を押印する。
なお、資格外活動許可申請書との契印は省略する。
第2 許可の期間
1 原則として、在留期間の満了日まで許可するものとするが、雇用期間が限定されている(継続して雇用されることが見込まれる場合を除く。)等契約の内容から資格外活動の許可期間に制限を設けることが相当であると認められる者については、当該期間に限り許可することとする。
2 第2節第2の2(1)、3、4、5及び6(ただし書きの場合を除く。)の許可を行う場合は、在留期間の満了日までとする。
第3 在留カードへの記載
中長期在留者に対して資格外活動の許可をした場合には、当該中長期在留者が所持する在留カードのICチップに当該許可した活動の要旨を記録するとともに、裏面左下部にある「資格外活動許可欄」に資格外活動許可を受けている旨及び当該許可した活動の要旨を、次のとおり記載する。
1 包括許可の場合
「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」
(注)後記第4章第5節第3の5に定める措置により資格外活動許可期限の記載を行った在留カードを所持する中長期在留者に対して新たな資格外活動許可を行う場合には、資格外活動許可欄用の補助用紙を貼付して新たな資格外活動許可に係る記載をする。
2 個別許可の場合
「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」
第4 再交付
1 許可書を紛失・滅失又はき損・汚損した者から許可の有効期間内に当該許可書を交付した地方局等又は出張所に対し再交付の願出(様式は任意)があったときは、当初の許可番号、許可日、許可の期限により許可書を再交付する。
また、当該許可書を交付した地方局等又は出張所以外の官署に対して再交付の願出があったときは、当該許可書を交付した地方局等又は出張所の長の依頼に基づき、許可書の再交付を代行することができる。
2 再交付するときは、許可書の許可番号欄外に「再交付」と記載し、再交付年月日を記載するとともに、再交付の事実及び再交付年月日を進行管理簿(速報版)に記載する。
3 き損・汚損に係る資格外活動許可書は回収の上、適宜保管又は廃棄する。
第4節 資格外活動許可の取消し
第1 取消し事由
入管法第19条第3項及び施行規則第19条第6項に規定する資格外活動許可の取消しは、次のいずれかに該当する場合に行うことができる。
1 付された条件に違反した場合
付された条件に繰り返し違反したと認められる場合は、原則として当該者の資格外活動許可の取消しを検討するものとする。
2 引き続き当該許可を与えておくことが適当でないと認められる場合
- (1)法令に違反する行為を行っていたと認められる場合
- (2)収容令書の発付を受け、仮放免許可されている者が、仮放免の条件(報酬を受ける活動に従事することの禁止に限る。)に違反したと認められる場合
- (3)その他引き続き許可を与えておくことが適当でないと認められる場合
第2 取消し
1 通知書の交付
資格外活動許可の取消しを行うときは、当該外国人に対して資格外活動許可取消通知書(施行規則別記第29号の3様式)を作成した上、申請人の出頭を求めて交付、又は郵送する。
2 通知書の記載内容
(1)理由
資格外活動許可取消しの理由については以下の例により記載する。
(例)「入管法第19条第2項の規定に基づき付された条件に違反しているため」
(2)番号
通知書右上の番号は歴年別に交付庁において一連番号を付すものとする。
(注)通知書欄外の備考欄(携行するもの)について
資格外活動許可書を交付していない者に対して取り消す場合は通知書欄外の備考欄に印刷された「及び資格外活動許可書」の部分を、中長期在留者以外の者に対して取り消す場合は同欄に印刷された「在留カード」の部分をそれぞれ二重線で抹消する。
3 取消訴訟の提起に関する事項の教示
資格外活動許可取消しの通知を行う際は、行政事件訴訟法第46条の規定に基づき、申請人に対し、取消訴訟の提起に関する事項の教示書(別記第10号様式)を交付して、取消訴訟の被告とすべき者及び取消訴訟の出訴期間について教示する。
(1)窓口等において直接行う場合
前記1に係る通知書の交付による通知とともに、教示書を2部作成の上契印し、うち1部を被通知者に手交するとともに、控えの教示書の余白部分に被通知者から受領年月日及び受領の署名を任意に徴する。
被通知者が署名をしない旨申し立てたときは、教示書の写しの余白部分に、その旨を記載するとともに入国審査官認証印を押印する。
控えの教示書については、当該不利益処分に係る書類とともに保管しておく。
(2)郵送により通知する場合
前記(1)に準じ、不利益処分の通知書に教示書を1部同封し、控えを保管する。また、送付する封書の宛名の写しを作成し、保管しておく。
4 取消し手続
通知書を交付した際には、その者が所持する資格外活動許可書を返納させ、又はその者が所持する旅券に記載された資格外活動許可の証印を抹消するものとする。また、中長期在留者にあっては、所持する在留カードの提出を求め、ICチップに記録された資格外活動許可情報を抹消するとともに、カード裏面の「資格外活動許可欄」に記載されている資格外活動許可を受けている旨及び当該許可した活動の要旨を黒色の二重線で抹消する。
5 通知書の管理
通知書を交付した場合には、当該通知書の写しを作成し、交付庁において保管する。
6 その他
他の地方局等又は出張所からの依頼により資格外活動許可の取消しを行った場合は、取消し手続完了後、依頼を行った地方局等又は出張所の長に対しその旨通知する。