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2017年入管内部基準に記載されている、ビザ審査における「家族滞在ビザの審査」について記載します。

家族滞在ビザの審査要件(法文)

家族滞在ビザは、日本で就労ビザまたはその他一部のビザを有する外国人の配偶者や子(養子含む)に付与されるビザです。

入管における審査では、入管法に定められたビザ該当性と基準省令に定められるビザ基準省令に従って判断されます。

ビザ該当性(法文引用)

一の表,二の表又は三の表の上覧の在留資格(外交,公用,技能実習及び短期滞在を除く。)をもつて在留する者又はこの表の留学の在留資格をもつて在留する者の扶養を受ける配偶者又は子として行う日常的な活動

ビザ基準省令(法文引用)

申請人が法別表第一の一の表若しくは二の表の上欄の在留資格、文化活動の在留資格又は留学の在留資格(この表の法別表第一の四の表の留学の項の下欄に掲げる活動の項第一号イ又はロに該当するものに限る。)をもって在留する者の扶養を受けて在留すること。

要件についての詳細解説

要件のまとめ

家族滞在ビザが認められるためには下記のすべての要件について該当する必要があります。

家族滞在ビザは本体となる就労ビザを有する外国人に付随するものです。ここでは本体となる就労ビザを有する外国人を本体人と呼びます。

  • 本体人が規定に定められたビザであること
  • 本体人の扶養を受ける配偶者または子であること
  • 日常的な活動をする予定であること
  • 本体人が経費支弁能力を有すること
  • 本体人と独立した活動ではないこと

これらの要件について詳しく解説を進めます。

「規定に定められたビザ」とは

本体人が下記のビザを有する場合、本体人の配偶者または子には家族滞在ビザが認められません。

  • 外交ビザ
  • 公用ビザ
  • 技能実習ビザ
  • 短期滞在ビザ
  • 研修ビザ
  • 家族滞在ビザ
  • 特定活動ビザ
  • 留学ビザ(高校在学以下)

本体人が外交ビザ・公用ビザの場合には、その配偶者や子にも同様に外交ビザ・公用ビザが認められますので、家族滞在ビザの該当性はありません。

また本体人が一部の特定活動ビザの場合は、その配偶者や子にも特定活動ビザが認められる場合があります。

本体人が留学ビザを有する場合は、基本的には配偶者や子に家族滞在ビザが認められますが、本体人が高校に通っている場合は認められません。

「配偶者」とは、「子」とは

「配偶者」には下記を含みません。現時点で法律上の婚姻関係にある者を指します。

  • 離婚した者
  • 死別した者
  • 内縁の者
  • 海外で成立した同姓婚による者

「子」には嫡出子・認知された非嫡出子(婚外子)・養子を含みます。

「実態を伴った扶養関係」とは

本体人と申請人の関係は実態を伴った扶養関係でなければなりません。

従って、単に扶養に入っているのみではなく、申請人である配偶者や子が本体人に対して経済的に依存していなければなりません。また子の場合には監護養育を受けている状態であることも必要です。

この点、被扶養者となる配偶者や子の収入や年齢の要件が問題となる場合があります。

収入要件や年齢要件の明確な基準は存在していないのですが、収入が多く、また、年齢が高い子である場合には、本項目の「実態の伴った扶養関係」とみなされない場合があります。

まず収入については、申請人となる配偶者や子の収入が高いからといってそのことをもって不許可となるわけではありません。しかし、本体人の収入を超えた場合、これは明らかに本体人に経済的に依存しているとはいえないでしょう。

次に子に関してのみですが、年齢については、成人に達しているからといって必ず不許可となるわけではありませんが、合理的な理由がない場合は20歳を基準に難易度が高くなるでしょう。

これまで監護していなかった子を呼び寄せる場合

既に本体人が日本で居住しており、後から本国にある子を呼び寄せる場合は、下記の事を合理的に説明する必要があります。

  • これまで監護養育していた者は誰か
  • 事情がどのように変わって、日本で扶養者が監護養育することとなったのか

なぜなら、これまでは監護養育の必要が無かったのにもかかわらず、これからはなぜ日本で監護養育の必要があるのかという疑義が生じるからです。

家族滞在ビザから変更する際の注意点

前述した通り、家族滞在ビザは、本体人の扶養を受けなければならないところ、他の就労ビザなどへ変更するということは、本体人から独立することを意味します。

従って、他のビザに変更した後に、再び家族滞在ビザに戻る場合は審査が厳しくなることについては注意が必要です。

「日常的な活動」とは

「日常的な活動」には収入を得る活動は含まれません。

収入を得る活動をしたい場合は、資格外活動許可を取得する必要があります。

本体人の「経費支弁能力」について

本体人は被扶養者を扶養しなければなりませんので、経費支弁能力を有していなければなりません。

これは明確な基準は公開されておらず、扶養人数や住居地などによって変わります。

自己と扶養者を合わせた合計人数に概ね○○万円程度を乗じた額を有していれば、「経費支弁能力」を有していると判断されます。(未公開情報につき伏字で記載)

またこの金額の立証は下記の方法で構いません。

  • 現に有する預金
  • 年収の見込み
  • 第三者による援助(第三者が援助するのに合理的な理由の説明が必要)
  • 奨学金給付

最低でも1年間、扶養者が日本に滞在できる資産・収入を立証する必要があります。

家族滞在ビザに認められる在留期間

本体人と同時申請の場合は、本体人と同じ在留期間が指定されます。

本体人と同時申請ではない場合は、本体人の残った在留期間を上回り、かつ、本体人のビザの最小の在留期間が指定されます。

例えば、技術・人文知識・国際業務ビザの場合、指定され得る在留期間は「5年」「3年」「1年」「3ヶ月」があるところ、本体人が残り2年8ヶ月の時点なら「3年」の家族滞在ビザが、本体人が残り1年2ヶ月の時点なら「3年」の家族滞在ビザが指定されます。

ただし、在留状況を1年に1度確認すべきと判断された場合は1年が決定されます。

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