Pocket

外国人を適正にサポートし在留許可へ向けて実務をこなすビザ専門行政書士の私としては、入管側の内部基準も理解しておきたいものです。ここでは、2017年入管内部基準に記されている、在留資格の取消(取消手続き)について詳しく記述します。

第2節 取消手続の開始

第1 在留資格取消台帳への登載

1 端緒等

(1)入国審査官又は入国警備官は、入管法第22条の4第1項各号のいずれかに該当すると思われる外国人についての端緒を入手した場合は、「在留資格取消対象者に係る端緒報告書」(別記第2号様式)により所属する地方局の長に報告する。

(2)地方局の長は、前記(1)の報告に係る在留資格取消対象者が、自局の管轄外の区域に住居地又は居所を有する場合は、当該住居地又は居所を管轄する地方局の長に対し、当該在留資格取消対象者に係る端緒報告書を添付の上、通報する。

(3)前記(1)の報告又は前記(2)の通報を受けた地方局の長は、在留資格の取消手続の開始の可否について決定し、手続の開始を決定した場合又は他局から在留資格の取消事案の移管を受けた場合には、自局又は管下支局若しくは出張所のうち、在留資格取消手続を行うことが適当と認める審査部門又は出張所を決定し、当該審査部門の首席審査官又は出張所の長(以下「首席審査官等」という。)に対し、手続の開始を指示する。

2 在留資格取消台帳への登載

首席審査官等は、前記1(3)の指示を受けたときは、取消しの対象となる者についてFEIS上の「在留資格取消台帳」に登載する。在留資格取消台帳の登載により、16桁の登載番号が自動的に付与される。登載番号は、年(4桁)、官署コード(6桁)、年別一連番号(6桁)で構成される。

第2 取消し記録の作成等

1 記録の作成

(1)在留資格の取消しに係る記録は、対象者ごとに1件ずつ作成する。

(2)作成・入手した記録は、在留資格の取消手続に関する資料、施行規則第25条の12第1項の規定による閲覧をすることにより第三者の利益を害するおそれがある資料その他閲覧を拒否すべき正当な理由がある資料と閲覧を認める資料等を、次により区分して編てつする。

ア 意見聴取通知書等の在留資格の取消手続に関するもの

(注)在留資格取消手続に係る通知書等を作成した場合は、当該通知書等の写しを作成し、記録に編てつする。

イ 在留資格の取消しに係る入国・在留関係諸申請及び許可の記録並びに中長期在留者に係る届出等の記録

ウ 在留資格の取消しに係る調査の結果に係る調書

  • (ア)閲覧することに支障のないもの
  • (イ)閲覧することに支障のあるもの

エ 在留資格の取消しの原因となる事実を証する資料

  • (ア)閲覧することに支障のないもの
  • (イ)閲覧することに支障のあるもの

オ その他

(注)同一の文書に「閲覧することに支障のある」部分が含まれている場合は、その写しを「閲覧することに支障のないもの」に編てつし、支障のある部分を塗りつぶす等して保管する。

2 記録の保管

在留資格の取消しに係る記録は、入国・在留審査を担当する審査部門の首席審査官又は出張所の長が保管する。

なお、原則として、審査管理部門が置かれている地方局等にあっては同部門の首席審査官が、その他の地方局等にあっては就労・永住審査部門の首席審査官が保管する。

(注)地方局等の実情に応じて、上記以外の部門の首席審査官が保管することとして差し支えない。

また、入管法第22条の4第1項第1号、第2号又は第5号(同条第7項ただし書による場合に限る。)に該当するものとして在留資格を取り消し、警備部門へ通報する場合は、在留資格の取消しに係る記録は在留資格審査画像照会システムに入力した上で、警備部門へ引き渡す。

第3 事実の調査

1 調査の指示

(1)地方局の長は、在留資格取消しに関する処分を行うため必要がある場合には、入国審査官又は入国警備官に、入管法第59条の2の規定に基づく事実の調査を行わせるものとする。

(2)地方局の長は、事実の調査を行う場合に調査先が他の地方局の管轄区域内にあるときは、当該調査先を管轄する地方局の長に事実の調査を依頼することができる。

2 調査の実施

第11編の規定により実施する。

3 調査報告

入国審査官又は入国警備官は、在留資格取消対象者に係る住居地等における実地調査を実施し、又は関係資料等を入手した場合は、調査状況、調査結果、資料の入手経緯等について「調査報告書」(別記第4号様式)を作成しなればならない。

4 証拠保全

入管法第59条の2の規定に基づき、在留資格取消対象者若しくは関係者等からの事情聴取又は関係機関への照会を実施した場合においては、第11編第8章に定める各種様式に必要事項を記入の上、証拠として保管しなければならない。

第3節 意見聴取

第1 意見聴取前の手続

1 意見聴取担当入国審査官の指定

地方局の長は、意見聴取の通知を行うときまでに、一般職の職員の給与に関する法律別表第1行政職俸給表(一)の4級以上の入国審査官を意見聴取担当入国審査官に指定する。

なお、永住者の在留資格の取消しについては、別途法務大臣が指定する。

2 意見聴取通知書の作成・送達等

(1)意見聴取通知書の作成

「意見聴取通知書」(施行規則別記第37号の3様式)の作成は次のとおり行う。

ア 意見の聴取を行う期日については、施行規則第25条の3第2項に規定する「相当な期間」を置くものとし、原則として意見聴取通知書を送達する日から2週間後の期日を指定する(同項ただし書に該当する場合を除く。)。

(注1)意見聴取通知書を送付送達する場合は、発送の日から2週間後の期日として差し支えない。ただし、郵便事情等により送達が遅れて完了した場合は、後記8に規定する期日の変更により対応する。

(注2)意見聴取通知書を交付送達する場合において、被聴取者からの希望があるときは、代理人又は利害関係人の参加及び資料等の閲覧等、被聴取者の防御の機会を十分に確保した上で、前記の期間を短縮して期日を設定することができる(意見聴取通知書を交付送達する場合以外の場合においては期日の変更(後記8)により対応する。)。

前記により期日を短縮した場合は、意見聴取通知書の写しに期間の短縮を希望する旨の記載及び署名をさせるものとする。

イ 在留資格取消しの原因となる事実については、その原因となる事実を相手方に事前に認識させ、意見聴取期日における反論等の準備をさせるため、可能な限りその原因となる事実を詳細に記載し、法令の条項を記載する場合は、該当する条文を記載し、又は添付する。

例1:「あなたの○○○○年○○月○○日付け上陸許可は、出入国管理及び難民認定法第7条第1項第4号に適合していない疑いがあります。」

例2:「あなたの○○○○年○○月○○日付け在留資格認定証明書交付申請の際に提出された卒業証明書に疑義があります。」

例3:「あなたは○○会社を解雇されており、在留資格「○○」に係る活動を行っておらず、かつ、他の活動を行っている疑いがあります。」

例4:「あなたは○○大学を退学しており、正当な理由がなく在留資格「○○」に係る活動を継続して3月以上行わないで在留している疑いがあります。」

例5:「あなたが○○○○年○○月○○日に法務大臣に対して届け出た住居地が虚偽のものである疑いがあります。」

(2)意見聴取通知書の送達

意見聴取担当入国審査官は、意見聴取期日を決定の上、意見聴取通知書の送達を行う。送達に関する具体的な手続については第4節の2を参照。

また、意見聴取通知書を送達する際、同通知書と併せて、別記第22号様式による取消手続の流れを示したフローチャート図並びに代理人又は利害関係人の参加及び資料の閲覧等の被聴取者の権利等の留意事項を記した文書を送付する。

意見聴取通知書の送達(後記(3)に定める通知を含む)が完了した場合、みなし再入国許可の除外事由に該当することになる(施行規則第29条の4)。

(注)意見聴取通知書の送達の完了をFEISに入力すると、みなし再入国許可による出国確認時に警告画面が表示される。

(3)意見聴取通知書の送達に代わって口頭で通知する場合の措置

ア 入国審査官又は入国警備官は、意見聴取通知書の作成後、送達の手続が完了していない者を発見した場合であって、急速を要するときは、意見聴取通知書の送達に代えて、後記ウに従い、意見聴取通知書に記載すべき事項(意見の聴取の期日及び場所並びに取消しの原因となる事実。以下同じ。)を口頭で通知する。この場合において、意見聴取通知書の注意欄に記載された事項について併せて口頭で伝える。

イ 「急速を要するとき」とは、例えば次の場合が該当する。

(ア)上陸許可の証印又は許可を受けた後、在留資格取消対象者が関税法第67条に規定する貨物の輸入に係る検査(当該上陸許可の証印又は許可を受けた後に引き続き行われるものに限る。)を受けるための場所にとどまる間に、当該外国人について入管法第22条の4第1項第1号に該当するに足りる具体的な事実が判明した場合

なお、この場合においては意見聴取期日までに相当な期間をおく必要はない(施行規則第25条の3第2項ただし書)。

(イ)所在不明となった在留資格取消対象者(意見聴取通知書の送達未了者に限り、単純出国しようとする者を除く。)を出入国港、実地調査先又は摘発先等で発見した場合

ウ 前記イ(イ)の場合における通知は、次の手順により行う。

(ア)意見聴取通知書の作成後、送達の手続が完了していない者を発見した入国審査官又は入国警備官は、取消手続を取り扱う地方局等及び出張所、意見聴取担当入国審査官及び取消しの原因となる事実等を確認(取消台帳の照会、FEIS上の個人記録の確認又は担当部門等への電話連絡等により行う。)の上、在留資格取消対象者から住居地及び連絡先等を聴取し、原則として通知の2週間後の期日(同日が休日の場合はその翌日)にその住居地等を管轄する地方局等を指定して、口頭により意見聴取通知書に記載すべき事項等の通知を行う。

なお、その際には、通知を受けた旨を記載した任意の書面へ被聴取者に署名等をさせるものとする。

(注)被聴取者から希望があるときは、代理人又は利害関係人の参加及び資料等の閲覧等、被聴取者の防御の機会を十分に確保し、関係機関と調整を行った上で、前記の期間を短縮することができる。

この場合において、通知を受けた旨を記載した任意の書面に期間の短縮を希望する旨の記載及び署名を併せてさせるものとする。

(イ)口頭により意見聴取通知書に記載すべき事項の通知を行った入国審査官又は入国警備官は、「意見聴取通知報告書」(別記第5号様式)により、所属する地方局等又は出張所の首席審査官等へ報告する。

(ウ)報告を受けた首席審査官等は、報告に係る事案を自局で取り扱っている場合は、自局の当該事案を担当する意見聴取担当入国審査官に対し、前記(イ)の意見聴取通知報告書により通知し、また、当該事案を他局が取り扱っている場合は、当該事案を取り扱う部門の首席審査官に通知する。

なお、通知を受けた意見聴取担当入国審査官は、在留資格取消対象者が他局の管轄内に居住していることが判明した場合は、当該住居地等を管轄する地方局等と調整の上、第1節第7の2により移管の手続を執ることができる。

3 意見聴取手続の併合

(1)併合することができる事案

施行規則第25条の7の規定により意見聴取手続を併合して行うことができる事案は次のとおりとする。

  • ア 在留資格取消対象者の配偶者、子、父母その他家族に係る事案
  • イ 取消しの原因が同一であり、かつ、同一の招へい機関、受入れ機関等に係る事案
  • ウ その他、意見聴取担当入国審査官において手続の併合を適当と認める事案
(2)手続の併合を行わない事案

意見聴取担当入国審査官が手続の併合を適当と認めた事案について、当該外国人又はその代理人が手続の併合に応じない旨申し出た場合は、併合することなく手続を進めることができる。

(3)手続の併合の通知
ア 通知の方法

意見聴取担当入国審査官は、施行規則第25条の7の規定に基づき、意見聴取手続併合の通知を行う場合は、「意見聴取手続併合通知書」(施行規則別記第37号の10様式)により通知する。

通知に際しては、手続の併合を行う対象者が同一の代理人を選任している場合は、同代理人に対し、代理人を選任していない場合は、被聴取者全員に対し、意見聴取手続併合通知書を郵送し、又は直接交付する。

ただし、急速を要するとき(前記2(3)イ(イ)に準ずる。)は、意見聴取手続併合通知書の郵送又は直接の交付に代わり、当該通知書に記載すべき事項を入国審査官又は入国警備官に口頭で通知させてこれを行うことができる(施行規則第25条の7第2項ただし書)。

口頭により通知した場合は、併合通知を行った事実を記録するとともに、速やかに意見聴取手続併合通知書による通知を行う。

イ 意見聴取手続併合通知書の記載

意見聴取手続併合通知書の「1 在留資格取消対象者」欄には、在留資格取消対象者に係る身分事項を記載し、「3 関連のある内容の事案」欄に、併合しようとする対象者の国籍・地域、氏名、性別、生年月日、在留資格、通知番号、意見聴取手続併合通知書記載の対象者との関係及び事案内容を簡潔に記載する。

なお、併合する在留資格取消対象者が多数いるため、意見聴取手続併合通知書上に記載が不可能な場合は、適宜別紙としてリスト等を作成の上、添付する。

(注)併合する事案に係るその他の通知書等対象者の身分事項等の記載は、意見聴取手続併合通知書においてリスト等を作成する取扱いと同様とする。

(4)併合事案の処理

併合の上、手続を行った事案は、在留資格の取消しの可否に係る判断を、可能な限り同時に行うように努める。

4 代理人の出席

(1)代理人の選解任の手続

ア 意見聴取担当入国審査官は、被聴取者又は参加人が意見聴取に代理人を出頭させようとするときは、「代理人資格証明書」(施行規則別記第37号の4様式)の提出を求める。

イ 代理人がその資格を失ったときは、被聴取者又は参加人に対し、「代理人資格喪失届出書」(施行規則別記第37号の5様式)の提出を求める。

(2)被聴取者の代理人の出頭手続

ア 意見聴取担当入国審査官は、被聴取者の代理人が被聴取者に代わり、意見聴取に出頭しようとするときは、原則として、意見聴取期日の2日前までに「代理出頭申出書」(施行規則別記第37号の11様式)の提出を求め、代理出頭の可否について意見を付して速やかに所属する地方局の長にその可否について判断を仰ぐものとする。

イ 地方局の長は、当該申出に相当の理由があると認めるときは、これを許可する。

(注1)弁護士以外の者が、業として意見聴取期日に出頭し、意見聴取に参加することは、弁護士法第72条に抵触するおそれが高いので認めることは適当ではない(後記6について同じ。)。

ウ 意見聴取担当入国審査官は、地方局の長から、代理出頭を許可する旨の決定を受けたときは、「代理出頭許可通知書」(施行規則別記第37号の12様式)により代理人にその旨を通知し、また不許可とする場合には、「不許可通知書」(別記第6号様式)により代理人に通知しなければならない。ただし、急を要する場合は、電話又は口頭により行い、電話記録書等により通知を行った事実を記録し、併せて速やかに同通知書の交付を行う。

エ 意見聴取担当入国審査官は、代理出頭による意見聴取の後、代理人からの意見聴取のみでは十分な意見聴取が実施できないと判断した場合は、「意見聴取続行通知書」(施行規則別記第37号の13様式)により、改めて被聴取者に対し意見聴取手続への出頭を求めることができる。

5 利害関係人の参加

(1)職権による場合

意見聴取担当入国審査官は、意見聴取手続に当たり、利害関係人の参加を求めることが適当と考えられる場合は、意見を付して速やかに所属する地方局の長にその可否について判断を仰ぐものとする。

(2)申出による場合
意見聴取担当入国審査官は、利害関係人から意見聴取に関する手続への参加の意思表示があった場合は、原則として、意見聴取期日の2日前までに利害関係人に対し、「利害関係人参加申出書」(施行規則別記第37号の6様式)の提出を求め、利害関係人の意見聴取に関する手続への参加の可否について、意見を付して速やかに所属する地方局の長にその可否について判断を仰ぐものとする。

なお、代理人が同申出をする場合には、任意の書式による委任状を添えて提出させなければならない。

(注)施行規則第25条の5第2項に規定する利害関係人の意見聴取への参加の申出を利害関係人の代理人が行う場合、当該代理人は同条第4項で準用する同第25条の4第1項に規定する代理人(「参加人」の代理人)とは異なるので、任意の委任状を提出させるものである。

また、当該申出に基づき、同条第1項の規定により利害関係人に対し意見聴取に関する手続に参加することを許可した後に、当該許可を受けた利害関係人が、意見聴取に代理人を出頭させようとする場合は、同条第4項で準用する施行規則第25条の4に規定する代理人の選解任手続(前記4(1)を参照。)を行うことになる。

(3)決定

地方局の長は、前記(1)又は(2)により、利害関係人の参加の適否について、速やかに決定する。

(4)通知

意見聴取担当入国審査官は、地方局の長から、職権により利害関係人の参加を求めることが適当とする決定を受けたときは、利害関係人に対し「利害関係人呼出状」(別記第21号様式)により通知する。

通知を受けた利害関係人から、出頭を拒否する旨の申し出があった場合は、電話記録書等によりその記録を留めておくものとする。

(5)交付

意見聴取担当入国審査官は、地方局の長から、前記(2)の申出を行った利害関係人の参加を許可する旨の決定を受けた時は、利害関係人に対し「利害関係人参加許可通知書」(施行規則別記第37号の7様式)により通知し、また不許可とする場合には、不許可通知書(別記第6号様式)により通知する。ただし、急を要する場合は、電話又は口頭により行い、電話記録書等により通知を行った事実を記録し、併せて速やかに同通知書の交付を行う。

6 通訳人の手配

意見聴取担当入国審査官は、意見聴取を実施するに当たり、当該外国人の日本語理解能力が十分でない等、通訳人を必要と認める場合は、通訳人を手配する。

7 文書等の閲覧

(1)被聴取者又はその代理人及び参加人又はその代理人(以下「被聴取者等」という。)は、意見聴取通知書の送達又は通知があった時から最後の意見聴取期日の終了の時までの間、在留資格の取消事案について調査した結果に係る調書その他の当該在留資格の取消しの原因となる事実を証する資料の閲覧を求めることができる(施行規則第25条の12第1項)。

(注)

① 「在留資格の取消しの原因となる事実を証する資料」とは、意見聴取において援用しようとする資料を含め、在留資格の取消しを根拠づける資料をいう。

② 被聴取者等でない者(例えば、参加人でない者が利害関係人であるとする場合や代理人資格証明書が提出されていない者等)が資料の閲覧を求めようとする場合は、申請に係る要件を満たしていないため不許可とし、速やかに不許可通知書(別記第6号様式)により通知する。

(2)意見聴取担当入国審査官は、意見聴取の期日前に、被聴取者等から「資料閲覧許可申請書」(施行規則別記第37号の14様式)により、閲覧の求めがあった場合は、第三者の利益を害するおそれの有無その他閲覧の可否について意見を付して、速やかに所属する地方局の長に報告しなければならない。

(3)地方局の長は、文書等の閲覧の可否について、速やかに決定する。

(4)意見聴取担当入国審査官は、地方局の長から、文書等の閲覧を許可する旨の決定を受けた時は、「資料閲覧許可通知書」(施行規則別記第37号の15様式)により被聴取者等にその旨を通知し、また不許可とする場合には、不許可通知書(別記第6号様式)により被聴取者等に不許可の事実及びその理由を通知しなければならない。ただし、急を要する場合は、電話又は口頭により行い、電話記録書等により通知を行った事実を記録し、併せて速やかに同通知書の交付を行う。

(5)複数の被聴取者又はそれらの代理人及び参加人又はそれらの代理人等から文書等の閲覧の申出があった場合は、当該申出人ごとに資料閲覧許可申請書を提出させる。複数の申出人が資料の閲覧を同時(同席)に希望し、特段の支障がないと認められる場合には、同時に文書等の閲覧を許可することができる。

(6)資料閲覧許可通知書の作成

複数の者に対し同時に資料の閲覧を許可する場合は、資料閲覧許可通知書の「1 閲覧者」氏名欄に「○○○他×名(別添のとおり)」と記載し、閲覧を許可した全対象者について、国籍・地域、氏名、性別、生年月日、在留資格、通知番号及び在留資格取消対象者との関係について記載したリスト等を作成の上添付し、また意見聴取手続を併合した場合は、「3 在留資格取消対象者」の氏名欄に「○○○他×名(別添のとおり)」と記載し、同様のリスト等を作成の上添付する。

(7)被聴取者等に資料を閲覧させる場合には、プライバシーに十分配慮し、可能な限り個室において行う。適当な個室がない場合においても、一般の申請者等の第三者が立ち入ることができない場所を確保するように配慮する。また、資料の紛失等を防止するため、入国審査官等の立会いの下、写しを閲覧させるものとする。

なお、被聴取者等に対する資料の写しの交付は認めない。

(注)閲覧の拒否は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒否することはできない(施行規則第25条の12第1項後段)。「第三者の利益」には、閲覧を請求する者以外の者のプライバシーや法人の営業の秘密等が含まれ、閲覧請求者との関係では、被聴取者や利害関係人も第三者となり得ることとなる。

第三者の利益に係る文書等であっても、当該文書等が在留資格の取消しに係る重大な根拠となるものである場合は、事前に当該第三者の承認を受けることにより閲覧を許可することができる。

「その他正当な理由」には、公益上の観点から生じる場合や閲覧請求が権利の濫用に当たる場合が考えられる。

なお、閲覧請求の対象文書の中に閲覧拒否事由に該当する部分があるときでも、その部分を隠すなどして部分開示することが可能な場合は、可能な限りそのような方法で閲覧請求に応えるものとする。

(8)意見聴取期日における文書等の閲覧

意見聴取担当入国審査官は、被聴取者等から、意見聴取期日の進行に応じて新たな閲覧請求があった場合、その場で閲覧を許可することができるほか、当該意見聴取において閲覧させることができないと判断するときは、閲覧の日時及び場所を指定することができる(施行規則第25条の12第5項)。

ア 意見聴取担当入国審査官は、意見聴取期日における資料閲覧許可申請に備え、閲覧の可否及び閲覧を拒否する資料の拒否理由について、あらかじめ地方局の長の決定を受けておくものとする。ただし、閲覧の可否に係る地方局の長の決定を受けていない資料に関し、口頭による閲覧の申出があったときは、急を要する場合で、閲覧を認めることが明らかに相当と判断する資料であるときは、自らの判断で閲覧を許可することができる。

イ 意見聴取担当入国審査官は、当該意見聴取の場において閲覧を認めることができないと判断するときは、不許可通知書(別記第6号様式)により通知しなければならない。

8 意見聴取の期日又は場所の変更

(1)意見聴取担当入国審査官は、被聴取者又はその代理人から、「意見聴取期日等変更申出書」(施行規則別記第37号の8様式)の提出があった場合は、意見を付して速やかに所属する地方局の長に報告するものとする。
なお、代理人が同申出をする場合には、代理人資格証明書を添えて提出させなければならない。

(2)意見聴取担当入国審査官は、職権により意見聴取の期日又は場所の変更が適当であると思われる場合は、意見を付して速やかに所属する地方局の長に報告するものとする。

(3)地方局の長は、前記(1)又は(2)により、意見聴取の期日又は場所の変更が適当であると判断した場合は、意見聴取担当入国審査官又は他の入国審査官をして「意見聴取期日等変更通知書」(施行規則別記第37号の9様式)の送達により、被聴取者又は代理人(意見聴取期日等変更申出書の提出があったときは同申出人)に通知しなければならない。

なお、参加人又はその代理人がいる場合は、それらの者についても同様に通知しなければならない。

(4)急速を要するとき(前記2(3)イ(イ)に準ずる。)は、意見聴取期日等変更通知書の郵送又は直接の交付に代わり、当該通知書に記載すべき事項を入国審査官又は入国警備官に口頭で通知させてこれを行うことができる(施行規則第25条の6第4項ただし書)。

口頭により通知した場合は、期日等変更通知を行った事実を電話記録書等により記録するとともに、速やかに意見聴取期日等変更通知書による通知を行う。

(5)意見聴取期日等の変更を不許可とした場合には、不許可通知書(別記第6号様式)により申出人に対し、通知しなければならない。

第2 意見聴取

1 意見聴取時における留意事項

(1)出席者等の確認

意見聴取手続に当たり、出席者について次の事項を確認する。

ア 被聴取者が在留資格の取消手続を受ける本人であること。ただし、代理出頭が許可されてその者が出席する場合を除く。

イ 被聴取者が未成年者である場合は、その法定代理人、任意代理人その他被聴取者の権利を保護するのに適当な者が出席していること。

(注)「その他被聴取者の権利を保護するのに適当な者」とは、親族、同居人のほか、参加人以外の利害関係人をいう。

ウ 被聴取者の代理人が出席する場合は、代理人資格証明書に記載されている代理権を有する者であり、代理人出頭許可通知書により代理出頭が許可されていること。

エ 利害関係人が出席する場合は、利害関係人参加許可通知書又は利害関係人呼出状に記載されている者であること。

オ 被聴取者の日本語の能力が十分でないと判断した場合は、通訳人又は意見聴取担当入国審査官の通訳する外国語により意見聴取が可能であること。

(2)録音、録画等の禁止

意見聴取担当入国審査官は、意見聴取において、被聴取者等による録音、録画及び写真撮影等は一切認めないこと。

(3)意見聴取に出席しない者がいる場合

被聴取者等の一部が出席していないときであっても、意見聴取を行うことができる。

(4)取消原因等の説明

意見聴取担当入国審査官は、最初の意見聴取期日の冒頭において、在留資格の取消しの原因となる事実及び根拠となる法令の条項を意見聴取の期日に出頭した者に対して説明しなければならない。

(5)円滑な意見聴取手続の遂行

ア 意見聴取担当入国審査官は、被聴取者等に十分な発言、証拠の提出、質問の機会を与えるとともに、効率的かつ円滑に意見聴取手続が行われるよう協力を求める。

イ被聴取者等は、意見聴取手続において、手続を併合した対象者が複数出席する場合や複数の被聴取者等が参加する場合は、それぞれ意見を述べ、証拠を提出し、及び意見聴取担当入国審査官に対し質問を発することができる。

(注)意見や質問は、在留資格の取消しの原因となる事実のみでなく、法の解釈・適用についても意見を述べ質問をすることができる。

ウ 意見聴取担当入国審査官は、被聴取者等が当該事案の範囲を超えて陳述するとき、その他意見聴取を整理するためにやむを得ないと認めるときは、その陳述を制限することができる。

エ 意見聴取担当入国審査官は、被聴取者等が意見聴取手続を妨害し、意見聴取に支障が生じるおそれがあると認めた場合は、妨害をする被聴取者等に対し、退場を命じることがある旨の警告を与える。

被聴取者等がこのような警告を無視して再度妨害を行うときは、被聴取者等に対し、退場を命じることができる。

オ 意見聴取担当入国審査官は、被聴取者自身が意見聴取手続を妨害するなど、意見聴取手続を続行することが困難となった場合は、意見聴取を中断し、当日の意見聴取を再開しないときには、改めて意見聴取手続を続行するか、意見聴取手続を終結するかを検討の上、決定するものとする。

2 意見聴取調書の作成

(1)意見聴取調書記載事項

意見聴取担当入国審査官は、意見の聴取を行ったときは、施行規則第25条の11第1項各号に規定する事項を記載した「意見聴取調書」(別記第7号様式)を作成しなければならない。

(注1)意見聴取調書記載事項
  • ① 意見の聴取の件名
  • ② 意見の聴取の期日及び場所
  • ③ 意見聴取担当入国審査官の氏名
  • ④ 意見聴取の期日に出頭した被聴取者等の国籍・地域、氏名、性別、年齢及び職業
  • ⑤ 被聴取者等の陳述の要旨
  • ⑥ 証拠書類又は証拠物が提出されたときは、その標目
  • ⑦ その他参考となるべき事項

(注2)調書作成時の注意事項については、第11編第7章を参照。

(2)意見聴取調書記載要領
ア 手続を併合した場合

施行規則第25条の7の規定に基づき、併合した上で意見聴取手続を行う場合には、意見聴取調書頭書の身分事項欄には、在留資格取消対象者のうち、一人の身分事項を記載するとともに、氏名欄には「○○○他×名(別添リストのとおり)」と記載し、被聴取者全員のリストを作成の上、調書末尾に添付する。

また、調書を作成するに当たっては、誰の供述であるかが分かるように明確に記載する。

イ 証拠提出時の取扱い

(ア)意見聴取調書への記載

被聴取者等から証拠書類等が提出されたときは、その内容、標目、数量等を提出者の面前において確実に確認し、その証拠書類等の内容に係る説明等について記載する。

なお、証拠書類等について、提出者が所有権を放棄し、次項記載の領置手続を執らない場合には、その事実についても記載する。

(イ)証拠書類等の領置手続

意見聴取担当入国審査官は、被聴取者等から任意に提出された証拠書類等を領置することができる。その場合、意見聴取担当入国審査官は「領置調書・目録書」(別記第8号様式)を2通作成し、契印の上、その1通を提出者に対し交付しなければならない。

意見聴取担当入国審査官は領置中の証拠書類等の保管が必要でないと認めるときは、「領置物件還付請書」(別記第9号様式)を徴収した上で、提出者に還付しなければならない。

また、提出者から領置中の証拠書類等について、所有権放棄の申出があった場合には、「所有権放棄書」(別記第10号様式)の提出を求める。

ウ 被聴取者等の供述

被聴取者以外の者の供述については、アの手続に準じ、それぞれ誰の供述であるかを明確に調書に記載する。

エ 被聴取者等の署名

意見聴取担当入国審査官は、意見聴取に参加した被聴取者等全てに対し、調書を読み聞かせ、その内容に誤りがないことを確認した上で、全員から調書の末尾に署名させなければならない。

オ 通訳人の署名等

通訳人を介し意見聴取を実施した場合は、意見聴取調書に通訳人にも署名、捺印を求める。

(注)通訳人の国籍(特に被聴取者と同一国籍の場合)等を考慮し、被聴取者等の面前での署名及び捺印を求めることを控えるなど、そのプライバシーに十分配慮する。

(3)意見聴取調書の記載例

意見聴取調書は、前記(1)及び(2)を踏まえ、原則、次のアからカまでを記載するものとする。

ア 意見聴取の実施に係る記載

「上記の者に対する在留資格取消対象事案につき、平成○○年○○月○○日、○○において、意見聴取担当入国審査官○○は、通訳人を介して○○語により次のとおり意見の聴取を行った。」

イ 被聴取者の国籍・地域等の供述に係る記載

「意見聴取担当入国審査官は、被聴取者に対し、国籍・地域、本籍地、出生地、居住地、職業、氏名及び生年月日を尋ねたところ、被聴取者は、任意次のとおり供述した。

  • 国籍・地域及び本籍地は、○○
  • 出生地は、○○
  • 住居地は、○○
  • 職業は、○○
  • 氏名は、○○
  • 生年月日は、○○年○○月○○日です。
ウ 取消原因等の説明及び被聴取者からの聴取内容の記載

「意見聴取担当入国審査官は、被聴取者及びその他の参加人に対し、出入国管理及び難民認定法施行規則第25条の9第2項の規定により、被聴取者、利害関係人又はそれらの代理人は意見の聴取に当たって意見を述べ、及び証拠を提出し、並びに質問をすることができることなど意見聴取の手続を説明し、在留資格の取消しの原因となる事実について説明し、その事実に対する意見を尋ねたところ、被聴取者等は次のとおり供述した。

エ 証拠調べに係る聴取内容の記載

「意見聴取担当入国審査官は、証拠資料を閲覧させ、在留資格取消し事実に係る記載を読み聞かせ(又は「その要旨を告げ」)、証拠物はこれを被聴取者等に示すとともに、当該証拠物の記載内容については、その要旨を説明した上、被聴取者等に意見及び弁解の有無を尋ねたところ、被聴取者等は次のとおり供述した。
(取り調べた証拠資料の標目、記載部分及び証拠物は別紙目録のとおり)

オ 被聴取者からの聴取内容の記載

「意見聴取担当入国審査官は、在留資格取消し事実又は情状に関し、なお取り調べるべきものがないかどうかを被聴取者等に確かめた上、申し述べることがあるかどうかを被聴取者等に尋ねたところ、被聴取者等は次のとおり供述した。)」

Pocket