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この記事では、大学等や専門学校を卒業してもなお就職活動をする場合、その後に内定した場合、卒業後に起業活動をする場合に必要なビザ申請について解説します。

留学生が大学や専門学校を卒業した後に就職活動をする「継続就職活動」の場合はビザを変更しなければなりません。また卒業後の就職活動の中で、希望する就職先からの内定により就職活動を終える「内定後の継続在留」の場合も、さらにビザを変更しなければなりません。

また上記と同様に卒業後に起業活動をする「継続起業活動」の場合にもビザを変更しなければなりません。

これら「継続就職活動」「内定後の継続在留」「継続起業活動」の3本立てについて、以下に解説します。

継続就職活動に係る特定活動ビザ

概要

留学生が就職先が決まらないまま大学や専門学校を卒業する場面も多々あります。この場合は留学ビザから特定活動ビザへ変更しなければなりません。

留学生が当該教育機関を卒業した場合は、どんな理由であれ、留学ビザは資格該当性を失うので維持できません。しかし、卒業しても継続的に就職活動をする留学生の多さから、特定活動ビザという形で法務大臣から継続在留を認められます。

この継続就職活動に係る特定活動ビザを申請する際のポイントは概ね下記のとおりです。

  • どのような留学生が対象になるのか?
  • 申請に際しての立証点は?
  • 申請のタイミングは?
  • 継続就職活動として在留できる日数は?

以下詳細について解説します。

継続就職活動の対象者

継続就職活動に係る特定活動ビザの対象は下記のとおりです。

  1. 留学ビザを有する者として、大学・短期大学・大学院を卒業した者
  2. 留学ビザを有する者として、専修学校専門課程(専門学校)を卒業した者

また、卒業前から就職活動を行っており、卒業後も継続して就職活動を行わなければなりません。

さらに、2.の専門学校卒業者については、技術・人文知識・国際業務ビザに該当するような専門課程でなければなりません。これ以外の専門課程とは、例えば技能ビザや芸術ビザなどに該当する専門課程であり、例えば調理専門学校や美術専門学校などがあり、これらの専門課程を卒業したとしても、継続就職活動は認められません。

但し、これらは正規に入学したものであって、聴講生や研究生として在学した者は適用対象外です。

継続就職活動に係る申請の立証ポイント

継続就職活動に係る特定活動ビザの申請における立証資料として、下記の書類が必要です。(5と6は専門学校卒業者のみ)

  1. 支弁能力を証する文書(第三者による支弁の場合は支弁するに至った経緯も必要)
  2. 卒業した教育機関の卒業証書又は卒業証明書
  3. 卒業した教育機関による継続就職活動についての推薦状
  4. 継続就職活動を行っていることを明らかにする資料
  5. 専門士の称号を有することの証明書
  6. 専門課程における修得内容の詳細を明らかにする資料

なお、4.の継続就職活動の実態に疑義が生じた場合は、訪問先企業名や訪問日などが追加資料として要求され、場合によっては実態調査がされます。

申請のタイミング

通常、在留資格変更許可の申請期間は「在留資格の変更の事由が生じたときから在留期間満了日以前」とされています。

申請期間の開始点については通常通り、「在留資格の変更の事由が生じたとき」つまり卒業した日からです。

申請期間の終了点については、「在留期間満了日」を超えても受理する取り扱いとなっています。入管審査要領によると、卒業から3月以上経過してからの在留資格変更許可申請については、在留資格取消に該当するのが通常だが、継続就職活動に係る特定活動ビザの申請においては、在留資格を取消さないとし、申請を受理するとしています。

継続就職活動に係る特定活動ビザの在留期間

特定活動ビザの申請が許可されれば、原則は最初に6ヵ月の在留期間が付与されます。

そして、卒業の日から起算して1年未満であれば、1回のみ在留期間を更新できます。そして更新によって得られる在留期間は4ヵ月~6ヵ月のいずれかです。

内定後の継続在留に係る特定活動ビザ

概要

前項までの継続就職活動に係る特定活動ビザの活動内容は、「就職活動及び当該活動に伴う日常的な活動」であるところ、希望する企業から内定を受けた場合は就職活動が終了する場合がほとんどと思われます。

そして一般的な企業は4月ですが、就職活動を終えてから採用までの間は、「継続就職活動に係る特定活動ビザ」の在留資格該当性が失われてしまいます。

この場合は、「継続就職活動に係る特定活動ビザ」から「内定後の継続在留に係る特定活動ビザ」へビザを変更しなければなりません。

内定後の継続在留活動の条件

内定後の継続在留活動に係る特定活動ビザの条件は下記のすべてを満たす必要があります。

  • 継続就職活動に係る特定活動ビザをもって就職活動をしていた者が内定により就職活動を終えた事
  • 採用日が、内定後1年以内、かつ、卒業後1年6ヵ月以内であること
  • 採用後に変更することになる就労ビザの基準に合致すること
  • 在留状況に問題がないこと

内定後の継続在留に係る申請の立証ポイント

内定後の継続在留に係る特定活動ビザの申請における立証資料として、下記の書類が必要です。

  • 支弁能力を証する文書(第三者による支弁の場合は支弁するに至った経緯も必要)
  • 採用後に変更することになる就労ビザへの在留資格変更許可申請に必要な資料
  • 内定した企業からの採用内定の事実と内定日を確認できる資料
  • 定期連絡義務・内定取消時の報告義務等の遵守が記載された内定した企業の誓約書
  • 採用までに行う研修等の内容を確認できる資料(ある場合のみ)

継続就職活動に係る特定活動ビザの在留期間

在留期間は採用までの日とされていますが、中長期在留者から除外されることがないように最低4ヵ月の在留期間が付与されます。

継続起業活動に係る特定活動ビザ

概要

留学生が大学や大学院を卒業した後に、起業活動を行う場合は留学ビザから特定活動ビザへ変更しなければなりません。

留学生が当該教育機関を卒業した場合は、どんな理由であれ、留学ビザは資格該当性を失うので維持できません。しかし、卒業しても継続的に起業活動をするような優れた起業・経営能力を有する留学生に対しては、特定活動ビザという形で法務大臣から継続在留を認められます。(以前までま短期滞在ビザでしたが、今は特定活動ビザです。)

継続起業活動の条件

継続起業活動に係る特定活動ビザの条件は下記のすべてを満たす必要があります。

  • 留学ビザを有する者として、大学・大学院を卒業・終了した者
  • 在留期間中の経費にかかる支弁能力があること(第三者による支弁も認められる)
  • 在学中の成績及び素行に問題がないこと
  • 在学中から起業活動を開始していること
  • 個人事業ではなく会社法人を設立する予定であること
  • 事業計画書・登記事項証明などにより開始しようとする事業内容が明らかであること
  • 事後に変更することになる経営・管理ビザの事業所要件と事業規模要件に合致していること
  • 大学により起業活動外国人に対し以下の支援措置のいずれかが行われていること
    • 起業家の教育・育成に係る措置(各種教育セミナーの開設、企業との交流会やシンポジウムの開催等)
    • 事業計画の策定支援
    • 資金調達又は物件調達に係る支援措置(助成金、ベンチャーキャピタルの紹介、インキュベーション施設への入居支援等)
  • 大学からの推薦があること
  • 起業できなかった場合に備え、帰国のための手段(航空券及び帰国費用)が確保されていること

なお経営・管理ビザの要件については、事務所を確保していることや、500万円以上の出資又はこれに準じる規模であること等が要求されています。詳しくは、経営・管理ビザを取得するための条件をご確認ください。

継続起業活動に係る申請の立証ポイント

継続起業活動に係る特定活動ビザの申請における立証資料として、下記の書類が必要です。

  1. 支弁能力を証する文書(第三者による支弁の場合は支弁するに至った経緯も必要)
  2. 卒業した教育機関の卒業証書又は卒業証明書
  3. 卒業した教育機関による継続企業活動についての推薦状
  4. 事業計画書
  5. 会社又は法人の登記事項証明書等、日本で開始しようとする事業内容を明らかにする書類(商業登記や法人登記の申請書の写しなどでも可)
  6. 事業規模を明らかにする文書
  7. 事業所の概要を明らかにする資料又は当該事業所が確保されることが確実であることを証明する文書
  8. 大学による起業支援の内容を明らかにする資料
  9. 帰国のための手段が確保されていることを明らかにする資料

申請のタイミング

通常、在留資格変更許可の申請期間は「在留資格の変更の事由が生じたときから在留期間満了日以前」とされています。

申請期間の開始点については通常通り、「在留資格の変更の事由が生じたとき」つまり卒業した日からです。

申請期間の終了点については、「在留期間満了日」を超えても受理する取り扱いとなっています。入管審査要領によると、卒業後相当期間経過後に在留資格変更許可申請があった場合には、卒業から6ヵ月未満であることを確認し、その残余期間に応じて在留期間を決定するとしています。

継続起業活動に係る特定活動ビザの在留期間

特定活動ビザの申請が許可されれば、原則は最初に6ヵ月の在留期間が付与されます。

卒業後、一定期間が過ぎてからの申請の場合は、卒業から6ヵ月後を上限として、その残余期間が在留期間として付与されます。

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