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この記事では留学ビザを取得するための条件である「在留資格該当性」と「上陸許可基準適合性」について解説します。

「在留資格該当性」と「上陸許可基準」については、在留資格認定証明書や在留期間更新の一般要件をご確認ください。

外国人が取得したい在留資格が本当に取得できるのか否か、また要件に適合せずに取得できない場合は、日本での在留を諦めるのではなく他の在留資格の要件に適合するか否か、これらを考える上で実務上はまずこの「在留資格該当性」と「上陸許可基準適合性」を正確に把握して検討を進めなければなりません。

留学ビザについて法で定められた「在留資格該当性」と「上陸許可基準適合性」の解説に進めます。

留学ビザの「在留資格該当性」

まず入管法別表第1の4に定める法文は下記の通りです。

本邦の大学、高等専門学校、高等学校(中等教育学校の後期課程を含む。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校若しくは各種学校又は設備及び編制に関してこれらに準ずる機関において教育を受ける活動

解説

留学ビザの活動内容は、上記に規定された教育機関において教育を受ける事と規定されています。

具体的な教育機関の範囲については、次節の「留学ビザの上陸許可基準適合性」にて解説しますのでご確認ください。

なお、「教育を受ける活動」に該当するためには、教育機関に単に在籍するだけではなく、勉学の「能力」と「意思」を有していることが必要となります。

「能力」とは具体的には、「学歴」「語学力」であり、各教育機関に応じて、卒業証明書や成績証明書の提出や、日本語能力を有することを審査されます。詳細については後述します。

また「意思」については、日本語を学ぶ理由や本人の経歴等を記載した履歴書を提出し、真に勉学の意思を有することを審査されます。

出席不良や成績不良と認められた場合は、次の更新に悪影響を及ぼすのでご注意ください。

但し、欠席していても下記のような場合には「正当な理由」として認められます。

  • 在籍していた教育機関が閉校し、他の教育機関に入学手続き中の場合
  • 長期入院で教育機関を休学しているが、復学意思がある場合
  • 専修学校を卒業した留学生が日本の大学への入学が決定している場合
  • 在籍・在学していたまま再入国許可により出国していた場合

留意点

日本語能力と試験の基準について

申請人の日本語能力について、各教育機関の種類に応じて審査されることになりますが、これは明確な基準はないものの、審査要領により目安という形で公開されています。但し、外国語を使用言語として教育を受ける場合は除外されます。

大学・短期大学・高等専門学校において、日本語を使用言語として教育を受ける場合

目安として下記のいずれかの日本語能力を必要とされています。

  • 日本語能力試験N2(2級)相当以上の日本語能力を有していること。
  • 日本留学試験(日本語(読解、聴解及び聴読解の合計))を200点以上取得していること。
  • BJTビジネス日本語能力テスト・JLRT 聴読解テスト(筆記テスト)を400 点以上取得していること。
大学の日本語別科又は日本語教育機関に入学しようとする者

目安として下記のいずれかの日本語能力を必要とされています。

  • 日本語能力試験N5(4級)相当以上の日本語能力を有していること。
  • BJTビジネス日本語能力テスト・JLRT聴読解テスト(筆記テスト)を300点以上取得していること。
  • 株式会社実用日本語検定試験が実施するJ.TEST日本語検定のF級以上
    の認定を受け、又はEFレベル試験において250点以上取得していること。
  • 株式会社専門教育出版が実施する日本語NAT-TESTの5級(旧4 級)以上の認定を受けていること。
  • 社団法人応用日本語教育協会が実施する標準ビジネス日本語テストを350点以上取得していること。
  • 財団法人アジア国際交流奨学財団が実施するTOPJ実用日本語運用能力試
    験の初級A以上の認定を受けていること。
  • 財団法人亜細亜友之会及び特定非営利法人外国人日本語習熟度検定機構が実施するGNK生活・職能日本語検定試験の準中級以上の認定を受けていること。
専修学校・各種学校に入学しようとする者(専ら日本語教育を受ける場合を除く)

日本語能力として、留学ビザの上陸許可基準省令第5号イに適合することが要求されます。

日本語能力試験の基準について

日本語能力試験N2の基準は、やや高度の文法、1000字程度の漢字、6000語程度の語彙を習得し、一般的な事柄について会話・読み書きができる能力であって、日本語を600時間程度学習し、中級日本語コースを修了したレベルに相当します。

日本語能力試験N5の基準は、初歩的な文法、100字程度の漢字、800字程度の語彙を習得し、簡単な会話ができ、平易な文や短い文章の読み書きができる能力であって、日本語を150時間程度学習し、初級日本語コース前半を修了したレベルに相当します。

なお、平成22年度以前は「級」で示されていましたが、当該年以後はN1~N5で判定されることとされています。

対応表としては下記のとおりです。

  • N1=1級
  • N2=2級
  • N3=2級と3級の間に相当
  • N4=3級
  • N5=4級

 

他のビザとの境界

文化活動ビザと研修ビザと留学ビザ

一定の教育機関等で教育を受ける活動は、基本的に留学ビザが該当することになりますが、留学ビザが認められない教育機関の場合は文化活動ビザや研修ビザが該当する場合があります。

例えば、外国の政府機関や民間企業から派遣されて、入学許可を受けずに本邦の教育機関で専ら指導を受ける活動をする場合で、留学ビザに該当しないときは、文化活動ビザや研修ビザに該当する場合があることに留意する必要があります。

また、職業能力開発総合大学校や職業能力開発大学校は「大学に準ずる機関」として留学ビザが認められるが、それとは異なり、職業能力開発校の場合には、労働者が段階的かつ体系的に職業に必要な技能及びこれに関する知識を習得することを 目的とするものなので、教育機関には当たらず、当該機関に受け入れられて技術等を修得する活動は研修ビザに該当する場合があります。

また、告示により指定しているもの以外の外国大学日本分校へ入学する者が行おうとする活動は、当該機関の設置形態により学校教育法上の認可を得ている場合は留学ビザが該当しますが、認可を得ていない場合には文化活動ビザが該当する取り扱いがなされています。

また、下記の各省庁・地方自治体所管の教育・研究・研修機関において教育を受ける活動は留学ビザではなく研修ビザを含め他のビザが該当します。

  • 警察大学校、管区警察学校、消防大学校、自衛隊幹部候補生学校
  • 法務総合研究所、税務大学校
  • 国立保健医、療科学院
  • 農業大学校、国土交通大学校、自治大学校

留学ビザの「上陸許可基準適合性」

留学ビザの上陸許可基準について、まず各号全体の概観を解説し、続けて基準省令の1号~8号をそれぞれ分けて解説します。

各号全体の概観

まず、第1号・第2号は、留学ビザで上陸しようとするすべての外国人に適用される基準です。

1号:留学ビザが適用される教育機関を羅列しており、いずれかの教育機関に通学することを要件として要求しています。

2号:留学ビザを申請する者の日本における生活費に関して一定の要求を定めたものです。

次に、第3号~第8号までは外国人が教育を受ける機関に応じて適用される基準です。

3号:聴講生・研究生として留学ビザを申請する者に要求される事項です。

4号:高校生として留学ビザを申請する者に要求される事項です。

4の2号:中学生~小学生として留学ビザを申請する者に要求される事項です。

5号:専修学校や各種学校への留学として留学ビザを申請する者に要求される事項です。専修学校や各種学校についての詳細は後述します。

6号:日本語教育機関への留学生として留学ビザを申請する者に要求される事項です。

7号:外国で12年間の学校教育を修了した者が、日本の大学に入学するための、準備教育機関への留学生として留学ビザを申請する者に要求される事項です。

8号:その他各種学校に準ずる機関への留学として留学ビザを申請する者に要求される事項です。

基準省令1号

基準省令1号に定められている法文は下記の通りです。

一 申請人が次のいずれかに該当していること。
 イ 申請人が本邦の大学若しくはこれに準ずる機関、専修学校の専門課程、外国において十二年の学校教育を修了した者に対して本邦の大学に入学するための教育を行う機関又は高等専門学校に入学して教育を受けること(専ら夜間通学して又は通信により教育を受ける場合を除く。)。
 ロ 申請人が本邦の大学に入学して、当該大学の夜間において授業を行う大学院の研究科(当該大学が当該研究科において教育を受ける外国人の出席状況及び法第十九条第一項の規定の遵守状況を十分に管理する体制を整備している場合に限る。)において専ら夜間通学して教育を受けること。
 ハ 申請人が本邦の高等学校(定時制を除き、中等教育学校の後期課程を含む。以下この項において同じ。)若しくは特別支援学校の高等部、中学校(義務教育学校の後期課程及び中等教育学校の前期課程を含む。以下この項において同じ。)若しくは特別支援学校の中学部、小学校(義務教育学校の前期課程を含む。以下この項において同じ。)若しくは特別支援学校の小学部、専修学校の高等課程若しくは一般課程又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関に入学して教育を受けること(専ら夜間通学して又は通信により教育を受ける場合を除く。)。

法文の整理

基準省令1号は、申請人がイロハのいずれかに該当し、それぞれの教育機関において入学して教育を受けること等を要件として規定しています。

ここでは留学ビザが認められる、各教育機関の範囲について理解していただきたいと思います。以下の開設をご確認ください。

用語の定義・解説

1号イロハの「入学して」とは

入学を許可する文書を受けて入学することをいい、大学教授等の下、研究室において単に個人的に研究を行う場合等は該当しません。

1号イの法文の整理

夜間通学・通信制を除き、日本にある下記の機関に入学し教育を受ける事が要求されています。

  • 大学
  • 大学に準ずる機関
  • 専修学校の専門課程
  • 日本の大学に入学する為の準備教育を行う機関
  • 高等専門学校
1号イの「大学」とは 

学校教育法第9章に規定する機関であり、学部のほか、大学の専攻科及び別科、短期大学、大学院、大学附属の研究施設が含まれます。

1号イの「大学に準ずる機関」とは

主に3つに区分されています。

まず1つ目は、大学の専攻科・大学院の入学に関して大学卒業者と同等であるとして入学資格を付与される機関です。言い換えると、「大学に準ずる機関」を卒業すれば、大学専攻科・大学院の入学資格が認められる、そのような機関を指しています。

2つ目は、当該機関の教員が教育職俸給表(一)( 一般の職員の給与に関する法律別表第六) の適用を受ける機関が含まれます。つまり、大学に準ずる教育機関の職員に対する給料について法律が定められているところ、その法律が適用されるような機関であれば、入管法上も「大学に準ずる機関として」認められる事になります。

3つ目は、設備及びカリキュラム編制において大学と同等と認められる機関が含まれます。具体的には下記の教育機関が該当します。

  • 海技大学校(分校を除く。)、海上保安学校、海上保安大学校、国立海上技術短期大学校(専修科に限る。)、航海訓練所
  • 航空大学校、航空保安大学校
  • 防衛大学校、防衛医科大学校
  • 水産大学校、国立看護大学校、気象大学校
  • 職業能力開発総合大学校、職業能力開発大学校、職業能力開発短期大学校
  • 学校教育法施行規則第155条第1項第4号に基づき文部科学大臣が告示により指定する外国の教育機関及び国際連合大学

なお、「大学に準ずる機関」に訓練等の一環として一時的に入学するようなケースの場合は留学ビザは認められません。

1号イの「専修学校の専門課程」とは

専修学校は下記の3つの過程に分かれています。そして、1号イは専門課程のみを適用対象としています。

専門課程

高等学校又はこれに準ずる学校を卒業した者等に対して、高等学校における教育の基礎の上に教育を行う過程であって、いわゆる「専門学校」がこれにあたります。

高等課程

中学校又はこれに準ずる学校を卒業した者等に対して、中学校における教育の基礎の上に教育を行います。当該課程を置く専修学校は「高等専修学校」と呼ばれています。

文部科学省の指定を受けた高等専修学校でかつ、修業年限3年以上を修了した者の場合は、大学への進学が可能となります。

一般課程

高等課程又は専門課程の教育以外の教育を行う過程です。

1号イの「外国において十二年の学校教育を修了した者に対して本邦の大学に入学するための教育を行う機関」とは

これは「準備教育機関」と呼ばれ、日本の大学に入学するための準備教育を行う機関です。

具体的にどの機関が該当するかについては、留学告示(法務省HP―出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件)の別表第2・第3に定められています。

1号イの「高等専門学校」とは 

高等専門学校とは、実践的な技術者を養成することを目的とした高等教育機関であり、修業年限が5年・5年6ヵ月のものです。

入学資格については高等学校の入学資格と同様に中学卒業者に認められます。

1号イの「専ら夜間通学して」とは

通学の全てが夜間通学ではなくとも、必修その他主要科目のほとんどが夜間の科目を履修する事となる場合を意味します。

従って、昼夜間制等により昼間と夜間の両方の科目を履修することが可能な学生であっても、必修その他主要科目のほとんどが夜間科目の場合は夜間通学とみなされます。

1号ロの意義

留学生の受け入れ拡大を目的とするもので、平成18年から大学研究科への夜間通学に対しても留学ビザが認められるようになりました。

但し法文にもあるとおり、大学研究科への夜間通学のみに認められるものであって、一般的な大学夜間部に通学する場合は認められません。

その他の大学への通学形態について

近年、大学や大学院への通学形態は、様々な形で増えています。

日本に実在する通学形態としては、下記のようなものがあります。

  • 研究生・特別研究学生・専修生
  • 科目等履修生・聴講生
  • 夜間部
  • 通信制大学

それぞれについて留学ビザが認められるか否かについて解説します。

研究生・特別研究学生・研修生・専修生

研究生・特別研究学生・研修生・専修生は、特定の専門事項の研究等に従事することを許可された者で、主に大学院の入学試験等の準備期間として指導教員の指導のもと授業を受ける者です。一般的には「研究生」と呼ばれますが、各大学により、「特別研究学生」「研修生」「専修生」などの名称がついている場合もありますが同じ意味です。

この研究生等のうち、大学が行う入学選考に基づいて入学の許可を受けた者については留学ビザが認められ、この場合には上陸許可基準省令3号に該当しなければなりません。

入学許可を受けずに単に教授等の下で個別指導をうけるような、留学ビザに該当しない研究生で、学術上の活動に従事する場合は文化活動ビザに該当する場合があります。

科目等履修生・聴講生

聴講生と科目履修生は共に正規の入学ではないが、大学や大学院の正規の授業の一部を履修できる制度です。

聴講生と科目履修生の違いは、前者は履修単位が認定されないことが多く、校舎は基本的には聴講した科目の単位が認定されます。また、前者のほうが受講資格が緩やかな例も多くみられます。

聴講生と科目履修生はこのような違いがありますが、入管法上は区別していません。聴講生か科目履修生かに関わらず、入学選考に基づいて入学許可を受けた場合には、留学ビザが認められます。また、この場合には上陸許可基準省令3号に該当しなければなりません。

夜間部

前述したとおり、一般の大学夜間部への通学の場合は留学ビザは認められません。

大学院研究科の夜間授業への通学は留学ビザが認められます。

通信制大学

通信制の場合は留学ビザは認められません。

1号ハの法文の整理

夜間通学・通信制を除き、日本にある下記の機関に入学し教育を受ける事が要求されています。

  • 高等学校
  • 中等教育学校の後期課程
  • 特別支援学校の高等部
  • 中学校
  • 義務教育学校の後期課程
  • 中等教育学校の前期課程
  • 特別支援学校の中学部
  • 小学校
  • 義務教育学校の前期課程
  • 特別支援学校の小学部
  • 専修学校の高等課程
  • 専修学校の一般課程
  • 各種学校
  • 設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関

なお、中等教育学校とは中学校と高等学校を一つの学校として、一体的に中高一貫教育を行うものです。

特別支援学校とは、障害者等が教育を受ける、学校教育法に定められた機関です。学校によっては、盲学校・聾学校・養護学校などの名称になっている場合もありますが、これらも特別支援学校の内の一つです。

義務教育学校とは、小学校と中学校を一つの学校として、一体的に小中一貫教育を行うものです。

専修学校については、 -1号イの「専修学校の専門課程」とは- の項で前述していますのでご確認ください。

各種学校以下については後述します。

1号ハの「各種学校」とは

学校教育に類する教育を行うもので、その備えるべき要件については各種学校規程(昭和31年文部省令第31号)に定められています。

各種学校は、教養・料理・裁縫などの分野を教育する施設として設置されている例が多くあります。例えば、予備校や日本語学校、自動車教習所などがこの各種学校に含まれます。但し、各種学校への留学生として留学ビザが認められる為には基準省令5号に該当しなければならないので、自動車教習所ではほとんど認められないことになります。また、インターナショナルスクールや朝鮮学校などの外国人学校も大半は各種学校です。

学校の名称だけを見て各種学校に該当するかどうかはわかりませんが、参考に日本に実在する各種学校の校名例を下記に紹介します。

  • 予備校関係:○○予備学校、○○予備校、○○塾、○○ゼミナール、○○セミナー
  • 服飾・料理関係:○○ファッションスクール、○○服装学院、○○裁縫女学校、○○服飾アカデミー、○○料理学院
  • 看護系:○○看護学院、○○助産学校
  • 事務関係:○○経理学校、○○タイピスト養成所、○○簿記学校
  • 語学関係:○○日本語学院
  • インターナショナルスクール:○○インターナショナルスクール、中華学校、朝鮮学校
  • 宗教関係:○○神学校、○○神学院
1号ハの「設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関」とは

設備及び編制の観点から、おおむね各種学校規程に適合する教育機関をいいます。

具体的にどの教育機関が該当するかについては、留学告示(法務省HP―出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件)の別表第5に定められています。

日本語教育機関について

日本語教育機関の形態としては、専修学校、各種学校、設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関という形で存在しています。

具体的にどの教育機関が該当するかについては、留学告示(法務省HP―出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件)の別表第1に定められています。

基準省令第2号

基準省令第2号に定められている法文は下記の通りです。

二 申請人がその本邦に在留する期間中の生活に要する費用を支弁する十分な資産、奨学金その他の手段を有すること。ただし、申請人以外の者が申請人の生活費用を支弁する場合は、この限りでない。

法文の整理

この基準省令2号は、申請人又は第三者が、申請人の生活費を支弁する能力があることが要求されています。

用語の定義・解説

「本邦に在留する期間中の生活に要する費用」とは

申請人が日本に滞在中に必要な下記の費用が含まれます。

  • 学費
  • 教材費
  • 住居費
  • 交通費
  • 食費
  • 渡航費用
  • その他一切の生活費
「資産」とは

申請人本人が仕事によって、または相続等によって得た本人名義の預貯金を意味します。

「奨学金」とは

安定・継続して支給される事が必要です。

従って研究成果の対価的な性格を有している奨学金については、成果に依存することになるので安定的なものとは言えず認められません。

形態としては、国費奨学金か私費奨学金は問われず、名称が「研究助成金」「学習奨励金」「生活援助金」等であっても、安定的・継続的であれば奨学金とみなされます。

「その他の手段」とは

来日後に資格外活動許可を受けて、日本で得られる収入の見込額を生活費用に充当する事も認められます。ここでの「その他の手段」とは、主に日本での就労による収入ということになります。

なお、留学ビザは資格外活動許可を得なければ就労できないことには注意が必要です。

「申請人以外の者が申請人の生活費用を支弁する場合」について

申請人の経費は本人以外の第三者が支弁することも可能です。

経費支弁者となれる第三者は、海外に在住する者か日本に在住する者かは問われませんが、支弁するに至った経緯や本人との関係性を立証しなければなりません。

また経費支弁者の預金と収入についても条件があり、支弁者が全額負担する場合は、下記のどちらかを満たす必要がある取り扱いです。

  • 年収600万円以上
  • 留学予定年数×100万円を超える預金残高

なお、複数の支弁者を準備することも、本人と支弁者の双方で経費を負担する事も認められます。

基準省令第3号

基準省令第3号に定められている法文は下記の通りです。

三 申請人が専ら聴講による教育を受ける研究生又は聴講生として教育を受ける場合は、第一号イ又はロに該当し、当該教育を受ける教育機関が行う入学選考に基づいて入学の許可を受け、かつ、当該教育機関において一週間につき十時間以上聴講をすること。

法文の整理

この第3号は、「科目履修生」「聴講生」「研究生」が適用対象となっています。

上記の者は、入学許可を受け、週10時間以上聴講する事が要求されています。

用語の定義

「専ら聴講による教育を受ける研究生又は聴講生」とは

「科目履修生」「聴講生」「研究生」の意味については第1号を参照してください。

「教育機関が行う入学選考に基づいて入学の許可を受け」とは

入学選考に基づいて入学許可を受ける必要があり, 個々の教授が許可したのみでは本基準に適合しません。

「一週間につき十時間以上聴講をすること」とは

10時間の意味はコマ数ではなく600分を意味します。

1年間継続して週10時間以上であることを必要としますが、半期単位でしか履修登録できない場合は、前半期が週10時間以上であれば認められます。

本人の履修意思があっても、学則等の制限により週10時間以上の履修登録ができない場合は留学ビザが認められないので、その点は注意が必要です。

また複数の教育機関において講義を受講する事も認められますが、その複数の機関での受講数を合計するのではなく、どれか1つの教育機関において10時間以上の履修登録が必要となります。

基準省令第4号

基準省令第4号に定められている法文は下記の通りです。

四 申請人が高等学校において教育を受けようとする場合は、年齢が二十歳以下であり、かつ、教育機関において一年以上の日本語の教育又は日本語による教育を受けていること。ただし、我が国の国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人、国立大学法人、学校法人、公益社団法人又は公益財団法人の策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒として受け入れられて教育を受けようとする場合は、この限りでない。

法文の整理

基準省令第4号は、「高等学校」で教育を受ける場合が適用対象となっています。

高校生として留学ビザを得るためには、下記の条件を満たす必要があります。

  • 20歳以下であること
  • 教育機関で1年以上、日本語教育または日本語による教育を受けている事

但し学生交換留学の一環として受け入れられる留学生の場合には上記に該当する必要はありません。

用語の定義

「教育機関」とは 

ここでの「教育機関」は下記のものが含まれます。

  • 日本の学校教育法に定める教育機関
  • 留学告示をもって定める日本語教育機関
  • 外国の正規の教育機関として外国の国又は地方政府から認可・認定を受けている機関

留学告示については、法務省HP―出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件をご確認ください。

「学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画」とは

基本的には、日本の高等学校と外国の教育機関が相互に生徒を受け入れる事が必要です。一方的に生徒を受け入れるものではないことには注意しなければなりません。

但し、学業・スポーツに関して優れた者を特待生として受け入れる場合は、一方的な受け入れでも認められます。

また、双方受け入れか一方受け入れかに関わらず、選抜基準・選抜方法を定め、学費・生活費等を補助する事、教育内容や生活指導の内容等が具体的に定められている必要があります。

日本の民間交流団体の行う交流事業で、公益性が高いと認められる場合にもこれに含まれます。

基準省令第4の2号

基準省令第4の2号に定められている法文は下記の通りです。

四の二 申請人が中学校若しくは特別支援学校の中学部又は小学校若しくは特別支援学校の小学部において教育を受けようとする場合は、次のいずれにも該当していること。ただし、我が国の国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人、国立大学法人、学校法人、公益社団法人又は公益財団法人の策定した学生交換計画その他これに準ずる国際交流計画に基づき生徒又は児童として受け入れられて教育を受けようとする場合は、イ及びロに該当することを要しない。
 イ 申請人が中学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十七歳以下であること。
 ロ 申請人が小学校において教育を受けようとする場合は、年齢が十四歳以下であること。
 ハ 本邦において申請人を監護する者がいること。
 ニ 申請人が教育を受けようとする教育機関に外国人生徒又は児童の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること。
 ホ 常駐の職員が置かれている寄宿舎その他の申請人が日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていること。

法文の整理

基準省令第4号は、「中学校」~「小学校」で教育を受ける場合が適用対象となっています。

上記の留学生として留学ビザを得るためには、下記の条件を満たす必要があります。

  • 年齢制限として「中学校」の場合には17歳以下、「小学校」の場合には14歳以下であること
  • 日本に監護者がいる事
  • 留学する「中学校」~「小学校」に、常勤の外国人学生の生活指導担当職員がいる事
  • 申請人の宿泊施設が確保されていること

但し学生交換留学の一環として受け入れられる留学生の場合には年齢制限に該当する必要はありません。

用語の定義

「申請人を監護する者」とは

申請人の親の代わりとなる者であり、親族に限られません。

日本に在留している親族はもちろん、ホームステイ先の世帯主や、寄宿舎の寮母等が監護者として該当します。

「常駐の職員が置かれている寄宿舎その他の申請人が日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設」とは 

申請人の身の回りの世話が行われる環境が確保されていることが前提となります。

具体的には、申請人の通学先の寄宿舎、近隣の親族宅やホームステイ先が該当します。

ホテルや旅館といった一般的な宿泊施設は、申請人が単独生活をする施設には適さないので、認められません。

基準省令第5号

基準省令第5号に定められている法文は下記の通りです。

五 申請人が専修学校又は各種学校において教育を受けようとする場合(専ら日本語の教育を受けようとする場合を除く。)は、次のいずれにも該当していること。ただし、申請人が外国から相当数の外国人を入学させて初等教育又は中等教育を外国語により施すことを目的として設立された教育機関において教育を受ける活動に従事する場合は、イに該当することを要しない。
 イ 申請人が外国人に対する日本語教育を行う教育機関(以下「日本語教育機関」という。)で法務大臣が告示をもって定めるものにおいて六か月以上の日本語の教育を受けた者、専修学校若しくは各種学校において教育を受けるに足りる日本語能力を試験により証明された者又は学校教育法第一条 に規定する学校(幼稚園を除く。)において一年以上の教育を受けた者であること。
 ロ 申請人が教育を受けようとする教育機関に外国人学生の生活の指導を担当する常勤の職員が置かれていること。

法文の整理

基準省令第5号は、日本語教育以外の「専修学校」「各種学校」で教育を受ける場合が適用対象となっています。

上記の留学生として留学ビザを得るためには、下記全ての条件を満たす必要があります。

  • 次の日本語能力に関する事項のいずれかに該当すること
    • 特定の日本語教育機関で6ヵ月の教育を受けた者
    • 日本語能力を試験により証明された者
    • 日本の学校で1年以上教育を受けた者
  • 留学する教育機関に、外国人学生に対する生活指導担当の常勤職員が置かれていること

但し「インターナショナルスクール」で教育を受ける場合は日本語能力に関する要件に該当する必要はありません。

用語の定義

「外国から相当数の外国人を入学させて初等教育又は中等教育を外国語により施すことを目的として設立された教育機関」とは

日本に存在し、使用される言語が外国語である学校機関であり、いわゆる「インターナショナルスクール」のことをいいます。

中等教育は高等学校における教育レベルまでの事を意味します。

年齢が20歳を超える外国人から申請があったときは、その者の経歴、教育を受ける理由、卒業後の予定等を審査されます。これは、基準省令4号の高等学校への留学生については20歳以下という年齢制限があるところ、その趣旨を引き継いだものと考えられます。

「日本語教育機関で法務大臣が告示をもって定めるもの」とは

具体的にどの教育機関が該当するかについては、留学告示(法務省HP―出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件)の別表第1・第2・第4に定められている機関が該当します。

「六か月以上の日本語の教育を受けた」とは

6ヵ月以上のコースで、かつ、実際に日数として6ヵ月以上日本語教育を受けたことが必要です。

「日本語能力を試験により証明された者」 とは

下記の日本語試験における一定の成績が証明される必要があります。

  • 財団法人日本国際教育支援協会及び国際交流基金が実施する日本語能力試験のN1(1級)又はN2(2級)に合格
  • 独立行政法人日本学生支援機構が実施する日本留学試験(日本語(読解、聴解及び聴読解の合計))の200点以上を取得
  • 財団法人日本漢字能力検定協会が実施するBJTビジネス日本語能力テストJLRT聴読解テスト(筆記テスト)の400点以上を取得
「学校教育法第一条に規定する学校(幼稚園を除く。)」とは

学校教育法第一条

この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする。

大学には短期大学も含みます。

基準省令5号の法文にある通り、幼稚園を除く上記の機関で1年以上教育を受けることが必要です。

基準省令第6号・7号・8号

基準省令第6号・7号・8号に定められている法文は下記の通りです。

六 申請人が専修学校、各種学校又は設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関において専ら日本語の教育を受けようとする場合は、当該教育機関が法務大臣が告示をもって定める日本語教育機関であること。
七 申請人が外国において十二年の学校教育を修了した者に対して本邦の大学に入学するための教育を行う機関において教育を受けようとする場合は、当該機関が法務大臣が告示をもって定めるものであること。
八 申請人が設備及び編制に関して各種学校に準ずる教育機関において教育を受けようとする場合(専ら日本語の教育を受けようとする場合を除く。)は、当該教育機関が法務大臣が告示をもって定めるものであること。

法文の整理

基準省令第6号は、各種学校・各種学校に準ずる機関において専ら「日本語教育」受ける場合が適用対象となっており、留学告示別表第1の機関が該当します。

基準省令第7号は、大学に入学する事を目的とする「準備教育機関」において教育を受ける場合が適用対象となっており、留学告示別表第2・第3の機関が該当します。

基準省令第8号は、各種学校・各種学校に準ずる機関において、6号の日本語教育以外の教育を受ける場合が適用対象となっており、留学告示別表第5の機関が該当します。

参考:留学告示(法務省HP―出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令の留学の在留資格に係る基準の規定に基づき日本語教育機関等を定める件

 

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