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「日本の永住権を取得したい」
「在留期間の更新から解放されたい」
このような要望を解決するために、日本の永住権・永住許可申請書について少し知っていきましょう。
この記事では、日本の永住権を取得するために理解すべき3つの基本について解説します。その3つの内容は下記のとおりとなっていますので、興味のある方はこのまま読み進めてください。
- 日本の永住権を取得するとは
- 永住権の取得条件
- 永住許可申請の方法
また、下記キーワードについても気になった方はこのまま読み進めてください。
- 在留資格とは
- 在留資格変更・在留資格更新について
- 永住と帰化の違い
- 身元保証人について
日本の永住権を取得するとは
日本に住んでいる外国人の方が、在留資格の更新をすることなく長く日本で暮らしたいと思う場合には、永住権を取得することをお薦めします。
永住権を取得するとは、永住許可申請が認められることによって現在有しているビザ(在留資格)を「永住者」へ変更する事です。厳密には在留資格変更の一種ですが、「永住者」ビザ(在留資格)は特別な資格なので、永住許可申請は在留資格変更許可申請と区別されて設けられております。
永住権は英語では「Permanent residency」と表記され、また永住ビザと呼ぶ方も多くいらっしゃいます。
「ビザ(在留資格)とは何か」について知りたい方は、ビザ(在留資格)の手続きについて知るべき最も基本的な3つの事ービザ(在留資格)とはをご確認ください。
在留資格変更について詳しく知りたい方は、在留資格変更の前に理解するべき4つの事をご確認ください。
在留資格更新について詳しく知りたい方は、在留資格更新に向けて理解するべき4つの事をご確認ください。
永住権を取得して在留資格「永住者」を有するメリットは下記のようなものがあります。
- 在留期間の制限が無くなります。
- 在留活動に制限が無くなります。
- 在留期間更新時の不許可に対する心配から解放されます。
- 社会的な信用を得ることができ、ローン等の取引がしやすくなります。
- 退去強制事由に該当した場合でも、永住者については在留を特別に許可される場合があり、有利に扱われます。
しかし、永住権申請は上記のような大きなメリットがある反面、審査はとても厳しいもので、申請書類も膨大です。
「永住」と「帰化」の違い
ご存知の方も多い事とは思いますが、「永住」と「帰化」の違いについて改めて解説します。
日本の永住権を取得した場合は、その外国人は在留期間の更新をせずに長く日本に在留し続けることができますが、国籍は外国籍のままです。
「永住者」ビザ(在留資格)を持つことで在留期間の更新が要らなくなりますが、問題を起こせば強制送還の対象となり、旅行や一時帰国などで出国する場合も再入国手続が必要となります。また選挙権や社会保険などに制限があります。
一方、日本に帰化した外国人は日本国籍を取得することとなり、日本国籍を離脱しない限り日本人として生きることになります。
日本人になるということは、当然に在留期間の更新の概念はなくなります。さらに強制送還の対象にもならないし、出国する場合も再入国の手続も不要であり、参政権を得ることもできます。
永住権の取得条件
永住権取得について許可の諾否は、法務大臣の自由裁量で決める事とされており、明確な基準とまでいえるものは存在しません。
基本的にはその外国人の活動状況・在留状況・在留の必要性等を総合的にかつ公平に考慮して判断されます。
法務省HP-永住許可に関するガイドライン-にて、許可条件等についてガイドラインが公開されています。また許可・不許可の事例についても公開しているのでご確認ください。
簡潔に整理すると、永住権が認められる条件は下記のとおりとなります。
- 1.素行が善良であること
-
- 法令違反もなく、納税義務を果たしていることが必要であり、その他社会的非難されないような生活をしていることが必要です。
- 2.独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
-
- 安定した生活が見込まれることが必要であり、世帯単位での資産で判断されます。
- 3.法務大臣がその永住が日本国にとって利益があると認めたとき
-
- この判断はあらゆる事情が考慮されます。(下記参照)
3.の日本国に利益のある者とは下記のような者をいいます。
- 10年以上日本に在留し、かつ、就労資格・居住資格をもって5年以上在留していること(※1,※2,※3)
- 現在有している在留資格に規定されている最長期の在留期間で在留していること(※4)
※1:途中で出国した場合は、再入国許可を受けていればリセットされませんが、再入国許可を受けていない・受けていてもあまりに出国期間が長い(1~2年)場合は、その期間はリセットされます。
※2:就労資格でも居住資格でもない在留資格とは、「留学」「文化活動」「研修」「短期滞在」「家族滞在」ビザ(在留資格)のことであり、例えば在留資格「留学」を6年間有した後に、就職して4年間の就労資格を有した場合は、「10年以上日本に在留」という条件は満たすが、「就労資格・居住資格をもって5年以上在留」という条件は満たさないことになります。
※3:在留期間については、特定の者の場合は下記の緩和要件が定められております。
- 日本人・永住者の配偶者の場合は、婚姻生活を3年間継続、かつ、1年間以上日本に在留すればよい。
- 日本人・永住者の実子・特別養子は1年以上日本に在留すればよい。
- 「定住者」の在留資格保有者は、5年以上日本に在留すればよい。
- 難民認定者は認定後5年以上日本に在留すればよい。
- 日本に貢献があると認められる者は5年以上日本に在留すればよい。
日本に貢献があると認められる者(5.)とは、簡潔にいうと技術・スポーツ・研究など特定分野で特別な賞をとった者の事です。詳しくは、法務省HP-我が国への貢献があると認められる者への永住許可のガイドライン-にて、判断基準のガイドラインが公開されていますのでご確認ください。
※4:最長期の在留期間とは、例えば「研究」ビザ(在留資格)の在留期間は5年・3年・1年・3ヵ月と規定されておりますが、永住許可を受けるためには5年の在留期間が認められた「研究」の在留資格を有していることが必要です。但し、当面、在留期間「3年」を有する場合は、「最長の在留期間をもって在留しているもの」として取り扱うこととされています。
永住許可申請の方法
永住許可申請の方法について基本的な事項を解説します。
永住許可申請の申請者・許可までの期間・申請先・手数料・必要書類・身元保証人について知りたい方は読み進めてください。
永住許可申請の申請者
- 1.外国人本人
- 2.代理人
-
- 申請人本人の法定代理人です。
- 法定代理人とは、外国人本人が未成年なら、その親。被補助人なら補助人です。
- 3.申請取次者(本人や代理人が日本に滞在している場合に限られる)
-
- 本人から依頼を受け、本人や代理人の代わりに申請を提出できる者です。
- 申請取次者は、弁護士・行政書士・特定機関の団体や職員、親族や同居者やそれに準ずる者です。
- 弁護士と行政書士は申請を取り次ぐ事が出来る資格を有するもののみです。
- 特定機関の団体や職員とは、外国人本人が働いている機関の職員、外国人本人が受けている研修機関の職員と団体、外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員で、地方入国管理局長から申請取次の承認を受けている者
- 親族や同居者やそれに準ずる者が出来るのは、外国人本人が16歳未満か、疾病により自らが出頭できない場合のみです。
永住許可申請の許可までの期間
標準処理期間は4ヵ月です。
永住許可申請の申請先
外国人が住む場所を管轄する地方入国管理局。
入国管理局のHP-組織・機構-にて地図から検索できますので、そちらで「管轄又は分担区域」をご確認ください。
永住許可申請に係る手数料
許可されるときは8,000円が必要で、収入印紙にて支払います。
取得の場合は不要です。
この「取得」というのは、特別永住者の子供は永住許可申請をする事なく永住権を取得する事ができるので、そのような場合という意味です。また特別永住者とは、戦後の一時期の平和条約国籍離脱者とその子の事です。
永永住許可申請の必要書類
- 永住許可申請書
- 写真(写真の規格については、法務省HP-永住許可申請-をご確認ください)
- 在留カード
- パスポート
- 資格外活動許可書(許可書を取得している方のみ)
- その他立証資料
その他立証資料は、申請者の従来の在留資格の種類によって下記のように場合分けされています。
- 申請者の在留資格が「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の場合は、法務省HP-永住許可申請1-をご確認ください
- 申請者の在留資格が「定住者」の場合は、法務省HP-永住許可申請2-をご確認ください
- 申請者の在留資格が「技術」「人文知識」などの就労資格や「家族滞在」の場合は、法務省HP-永住許可申請3-をご確認ください
また、法務省HP-永住許可申請-から、申請書様式のダウンロードができます。
永住許可申請時の身元保証人について
永住許可申請の際には身元保証人が必要となります。
この身元保証人は日本人または永住者であることが必要です。
なお、「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「家族滞在」の在留資格をお持ちの方が永住許可申請をされる場合は、その方の配偶者の方でかまいません。
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