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2017年入管内部基準に記載されている、「預貯金の多い外国人向け、長期観光ができる特定活動ビザ(短期滞在の長期版)」の認められる要件について記載します。

特定活動ビザの全般的な概要と、特定活動ビザのその他の種類については、下記を参照してください。

【2017年入管内部基準】特定活動ビザの審査について(ビザ)

配偶者を同行する場合の、「預貯金の多い外国人向け、長期観光用特定活動ビザ所有者の同行配偶者」の要件については下記を参照してください。

預貯金の多い外国人向け、長期観光用特定活動ビザ所有者の同行配偶者【2017年入管内部基準】

預貯金の多い外国人向け、長期観光ができる特定活動ビザ(短期滞在の長期版)

他のビザに該当しない外国人の場合、日本に入国するためには短期滞在ビザを取得して、3ヶ月程度の在留しかできません。しかし、観光等の目的であっても預貯金残高が3,000万円程度有する外国人の場合、特定活動ビザが付与されて最大1年間の在留が認められます。

この特別に認められる特定活動ビザの法文は下記のとおりです。

四十 次のいずれにも該当する十八歳以上の者が,本邦において一年を超えない期間滞在して行う観光,保養その他これらに類似する活動

イ 我が国が,法令,国際約束又は日本国政府が外国政府に対して行った通告により,旅行形態を限定することなく,その国又は地域(法第二条第五号ロの地域及び国から旅券を発行する権限を付与されている行政区画をいう。以下同じ。)の国籍者等(国にあってはその国の国籍を有する者をいい,地域にあっては当該地域の居住者にのみ発行される旅券を所持する者をいう。以下同じ。)であって,その国又は地域が発行する一般旅券(旅券法(昭和二十六年法律第二百六十七号)第二条第二号に規定する一般旅券に相当するものをいう。以下同じ。)を所持し,観光その他の目的で本邦に短期間滞在しようとするものについて,日本国領事官等の査証を必要としないこととしている国又は地域(その国又は地域の一般旅券を所持する者の全てについて査証の取得を勧奨する措置をとっている場合を除く。)のうち,別表第九に掲げるものの国籍者等であること。

ロ 申請の時点において,申請人及びその配偶者の預貯金の額の合計額が日本円に換算して三千万円以上(当該配偶者がこの号に掲げる活動を指定されて在留し又は在留しようとしている場合にあっては,六千万円以上)であること。

ハ 本邦における滞在中に死亡し,負傷し,又は疾病に罹患した場合における保険に加入していること。

※別表第九
アイスランド共和国,アイルランド,アメリカ合衆国,アルゼンチン共和国,アンドラ公国,イスラエル国,イタリア共和国,インドネシア共和国,ウルグアイ東方共和国,エストニア共和国,エルサルバドル共和国,オーストラリア連邦,オーストリア共和国,オランダ王国,カナダ,キプロス共和国,ギリシャ共和国,グアテマラ共和国,グレートブリテン及び北アイルランド連合王国,クロアチア共和国,コスタリカ共和国,サンマリノ共和国,シンガポール共和国,スイス連邦,スウェーデン王国,スペイン,スリナム共和国,スロバキア共和国,スロベニア共和国,セルビア共和国,タイ王国,大韓民国,チェコ共和国,チュニジア共和国,チリ共和国,デンマーク王国,ドイツ連邦共和国,ドミニカ共和国,トルコ共和国,ニュージーランド,ノルウェー王国,バハマ国,バルバドス,ハンガリー,フィンランド共和国,フランス共和国,ブルガリア共和国,ブルネイ・ダルサラーム国,ベルギー王国,ポーランド共和国,ポルトガル共和国,ホンジュラス共和国,マケドニア旧ユーゴスラビア共和国,マルタ共和国,マレーシア,メキシコ合衆国,モーリシャス共和国,モナコ公国,ラトビア共和国,リトアニア共和国,リヒテンシュタイン公国,ルーマニア,ルクセンブルク大公国,レソト王国,台湾,香港,マカオ

特定活動ビザが認められる要件の解説

この高い預貯金を有する外国人の特定活動ビザの要件は下記のとおりです。

  • 18歳以上であること
  • 目的が、観光・保養・その他類似活動であること
  • 別表第九の国籍者であること
  • 申請の時点において、申請人・配偶者の合計預貯金額が日本円換算で3,000万円以上あること
  • 日本に滞在中の死亡・怪我・病気等に関する保険に加入していること

これらの要件について詳しく解説していきます。

「観光・保養・その他類似活動」とは

観光・保養の他に「その他類似活動」とありますが、具体的には下記のとおりです。

  • スポーツ
  • 知人・親族の訪問
  • 娯楽
  • 参詣
  • 競技会やコンテスト等へのアマチュアとしての参加
  • 教育機関等の行う講習への参加

一方、下記の場合は要件から外れます。

  • 商用のための業務連絡
  • その他収入を伴う事業運営
  • 収入を受ける活動

「別表第九の国籍者であること」について

別表第九のとおりですが、整理して記載します。

アジア

インドネシア・シンガポール・タイ・ブルネイ・マレーシア・韓国・台湾・香港・マカオ

北米

アメリカ・カナダ・バハマ・バルバドス・ホンジュラス・メキシコ

中南米

アルゼンチン・ウルグアイ・エルサルバドル・グアテマラ・コスタリカ・スリナム・チリ・ドミニカ

大洋州

オーストラリア・ニュージーランド

中東

イスラエル・トルコ

アフリカ

チュニジア・モーリシャス・レソト

ヨーロッパ

アイスランド・アイルランド・アンドラ・イギリス・イタリア・エストニア・オーストリア・オランダ・キプロス・ギリシャ・クロアチア・サンマリノ・スイス・スウェーデン・スペイン・スロバキア・スロベニア・セルビア・チェコ・デンマーク・ドイツ・ノルウェー・ハンガリー・フィンランド・フランス・ブルガリア・ベルギー・ポーランド・ポルトガル・マケドニア旧ユーゴスラビア・マルタ・モナコ・ラトビア・リトアニア・リヒテンシュタイン・ルーマニア・ルクセンブルク

「申請の時点」とは

この「申請の時点」は、上陸申請の時点を指します。

従って、ビザの更新時には預貯金残高3,000万円以上という要件はありません。

「申請人・配偶者の合計預貯金額」とは

この「配偶者」には内縁や、外国で成立した同性婚は含みません。

そして、申請人と配偶者の預貯金を合計して3,000万円以上あればよいとされています。

つまり申請の際に申請人の通帳の写しに加えて、配偶者名義の預貯金の通帳を提出しましょう。

「3,000万円以上あること」について

前述のとおり申請人と配偶者の預貯金残高を合算してもいいですが、この特定活動ビザ(40号)はあくまでも申請人のみが入国するためのビザです。

配偶者が同行する場合は、当該配偶者には特定活動ビザ(41号)が付与されます。

そして、申請人のみの入国であれば預貯金要件は3,000万円以上ですが、配偶者を同行させるとなると2倍の6,000万円以上が必要となります。

夫婦どちらかの預貯金がゼロでも構いません。夫婦合算して要件を満たすことが必要です。

また、この預貯金要件に関する審査では、下記を防止するため、6ヶ月前から最終取引までの入出金履歴を調査されます。

  • 当該特定活動ビザを満たす目的で借金をする
  • 当該特定活動ビザを満たす目的で配偶者以外の親族から資産を移動させる

特に50歳未満の労働年齢の方の場合には、不法に就労する恐れがあるので、不審な入出金履歴がないか慎重に調査されます。

「日本に滞在中の死亡・怪我・病気等に関する保険に加入していること」について

当該要件に該当することを立証するために、民間の医療保険の加入証明書等を提出します。

この証明書に記載されている補償期間が滞在予定期間の全日をカバーするものでなければなりません。

なお、補償の対象は「死亡」「負傷」「疾病」を含むものである必要があります。

認められる在留期間について

特定活動ビザが認められれば、最初に付与される在留期間は6ヶ月となります。

そして、1回に限り更新でき、最大1年間の在留ができるようになります。

なお、ビザの更新は在留期限の3ヶ月前から可能です。

就労の可否について

就労はできません。

また資格外活動許可を得て就労することもできません。

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