Pocket

外国人を製造現場で業務に従事させるために呼び寄せるには、通常の就労ビザではなく、経済産業省の「製造業外国従業員受入事業」における製造特定活動計画を認定され、さらに特定活動ビザも認定されなければなりません。本記事では、「外国人を受け入れから帰国までの手続きの流れ」・「経済産業省による認定の要件」・「特定活動ビザの認定要件」について詳細に解説します。(【経済産業省告示】【2017年入管内部基準】に基づく)

経済産業省の「製造業外国従業員受入事業における特定外国従業員」の特定活動ビザ

製造業外国従業員受入事業を活用した製造外国人の受入れに関する概要

「経済産業省の所掌に係る製造事業者」の「外国にある子会社や関連会社」から「日本の事業所やその子会社」へ、「最大1年」の期間、外国職員を転勤・出向させて日本で技術を習得し、帰国後の外国の会社において習得技術を普及させることが、製造業外国従業員受入事業の概要です

そして当該受入事業の根底にある趣旨は、日本の製造業者の海外展開による国内製造業の空洞化が発生している状況の中、日本を研究開発拠点、海外を生産拠点と、役割分担をさせることにより空洞化を抑えることです。

そして、外国従業員受入事業計画や外国人自体がこの趣旨に合致したものでなければならず、新製品の製造や新技術の導入等に関して中心的な役割を果たすことが見込まれる職員を受け入れるものでなければなりません。

そのほかにも要件として、受け入れた外国人に対して適正な管理をすることが見込まれるなど、様々な要件が存在します。

これらの手続きの流れや要件について詳細に解説します。

手続きの流れ

製造業外国従業員受入事業を活用した製造外国人を受け入れるまでの申請から、来日、帰国までは、下記のステップを踏みます。

  • 製造特定活動計画を作成する
  • 製造特定活動計画について、経済産業大臣の認定を受ける
  • 認定後すみやかに、入国管理局へ認定を受けた旨を報告する
  • 在留資格認定証明書(ビザ)に関係する書類を準備する
  • 入国管理局へ在留資格認定証明書(ビザ)交付申請(ビザ)を申請する
  • 在留資格認定証明書(ビザ)が交付された後、当該認定書を外国人へ送付する
  • 認定書を持参して、本国において査証申請をする
  • 査証が交付されれば来日が可能となる
  • 外国人が日本の事業所へ転勤・出向し、業務に従事する(最大1年)
  • 外国人が来日後、すみやかにハローワークへの届出をする
  • 外国人の在留中、3月に1回のペースで経済産業省に報告する(事情によっては随時報告あり)
  • 外国人の帰国時にも経済産業省へ報告し、ハローワークへも届出をする
  • 外国人の帰国した1年後、経済産業省への報告をする

特に「経済産業大臣の認定」及び「ビザ申請」の審査要件を理解して着実に手続きを進めることが必要です。

なお、その他のステップも漏れなく遂行する必要があります。

製造特定活動計画とビザの要件に関する解説

要件の俯瞰

製造特定活動計画が経済産業大臣に認定されるための要件
特定外国従業員受入企業に対する要件
  •  1.経済産業省の所掌に係る製造事業者であること
  •  2.特定外国従業員受入企業の「同一法人」「子会社」「関連会社」である外国事業所から、「特定外国従業員受入企業」または「特定外国従業員受入企業の子会社」への転勤・出向であること
  •  3.製造業外国従業員受入事業の趣旨に合致した、受入事業計画であること
  •  4.製造業外国従業員受入事業の趣旨に合致した、技術移転の必要性と移転技術の内容であること
  •  5.複数人の受入れであっても同一プロジェクト単位であること
  •  6.労働安全衛生法等関係法令に基づき、労働災害防止のための最低基準措置をクリアしていること
  •  7.労働関係法令・社会保険関係法令に違反していないこと
  •  8.過去5年間、労働基準関係法令違反で、罰金以上の刑になっていないこと
  •  9.過去3年間、自己都合を除き、特定外国従業員の相当数を離職させていないこと
  • 10.過去5年間、この製造特定活動に関係する不正行為(経産省告示別表)を行っていないこと
  • 11.過去に製造特定活動計画認定が取消された場合、取消日から5年を経過していること
  • 12.過去5年間、製造特定活動計画に反する重大な事実が生じていないこと
  • 13.特定外国従業員の人数に対する、適切な人数の指導員を任命すること
  • 14.報酬を担保する財産的基盤を有すること
  • 15.特定外国従業員受入企業が特定外国従業員の帰国費用を負担すること
特定外国従業員に対する要件
  • 16.日本での就労予定期間が1年を超えないこと
  • 17.習得させる予定の技術内容を、外国従業員が既に有していないこと
  • 18.過去に当該特定外国従業員受入事業を活用した入国をしており、帰国して短期間しか経過していない者ではないこと
  • 19.異動前の外国事業所において、1年以上雇用しているものであること
  • 20.同じレベル・同じ地位の日本人と同等以上の報酬があること
  • 21.家族が帯同せず、単身の来日であること
  • 22.帰国後は、修得した特定の専門技術を要する業務に就くこと
  • 23.特段の事情がある場合を除き、帰国後1年以内の解雇は禁止
特定活動ビザが認定されるためのビザ申請の要件
  • 24.製造特定活動計画認定証の認定を受けていること
  • 25.製造特定活動計画が経済産業大臣に認定されるための各要件を満たしていること
  • 26.日本での就労予定期間が1年を超えないこと
  • 27.同じレベル・同じ地位の日本人と同等以上の報酬があること
  • 28.異動前の外国事業所において、1年以上雇用しているものであること
  • 29.過去5年間、この製造特定活動に関係する不正行為(経産省告示別表)を行っていないこと

これらの要件について詳細に解説します。

「1.経済産業省の所掌に係る製造事業者であること」について

経済産業省の所掌事業の製造事業者でなければならず、農林水産省や国土交通省、厚生労働省の所掌事業者では申請できません。

経済産業省の所掌事業とは下記のようなものを指します。

  • 金属・非金属・樹脂の製品・素材等
  • 化学製品・紙製品等
  • 繊維・織物・縫製品・皮革製品等
  • 建材等
  • インテリア用品・家具・家庭用品・トイレ等
  • 住宅設備機器・石油暖房機・ガス湯沸器等
  • スポーツ用品・文房具・楽器・喫煙具等
  • 眼鏡・宝石等
  • 産業機械・鋳造・金型等
  • 自動車・自動車部品等
  • 航空機・航空機部品等
  • 事務機器・半導体・電子回路・パネル・コンピュータ・家電製品、電池、照明機器、制御機器等
  • 医療機器・福祉用具等
  • 化粧品・香料等

「2.特定外国従業員受入企業の「同一法人」「子会社」「関連会社」である外国事業所から、「特定外国従業員受入企業」または「特定外国従業員受入企業の子会社」への転勤・出向であること」について

経済産業省に製造特定活動計画の認定申請をする日本の事業者が特定外国従業員受入企業となります。(A会社とします)

この特定外国従業員受入事業は外国の事業所の職員をA会社に転勤・出向させるものですが、A会社と外国の事業所の関係に制限があり、下記の場合のみ認められます。

  • ① 外国の事業所がA会社の子会社の場合
  • ② 外国の事業所とA会社が同一法人の場合
  • ③ 外国の事業所とA会社が関連会社の関係の場合
  • ④ 上記①②③の場合で、外国の事業所からA会社の子会社に転勤・出向する場合

なお、「子会社」や「関連会社」の定義は、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の第8条に定義されています。

会社αが会社βの50%の議決権を有していれば、会社βは会社αの子会社といえます。

会社αが会社βの20%の議決権を有していれば、会社βは会社αの関連会社といえます。

ただし、50%以下・20%以下でも、子会社・関連会社といえる場合がありますので、少し具体的に解説します。

子会社の定義

会社Aが会社Bの、「意思決定機関」を支配している場合に、会社Aを親会社、会社Bを子会社となります。

そして「意思決定機関」を支配しているか否かについて、会社Aが会社Bの意思決定機関を支配しているといえる為には下記①②③のいずれかに該当する必要があります。

  • ①50%を超える会社Bの議決権を、会社Aが所有している場合
  • ②40%~50%の会社Bの議決権を、会社Aが所有している場合で、下記(A)~(E)のいずれかに該当する場合
  • ③下記(A)に該当し、かつ、下記(B)~(E)のいずれかに該当する場合
  • (A)会社Aと、議決権・出資・人事・資金・技術・取引等の関係で緊密な関係のある会社Cや会社Dが、合同で会社Bの50%を超える議決権を有している場合
  • (B)現在、または、過去に、会社Aの役員・業務執行社員・使用人であった者が、会社Bの現在の取締役会(これに準ずる機関を含む)の構成員の過半数を占めていること
  • (C)会社Aと会社Bの間に、会社Aが会社Bの意思決定を支配する契約書が存在する場合
  • (D)会社Aが会社Bに融資を行っている場合で、その額が会社Bの貸借対照表の負債の部に計上されている総額の過半である場合(Aと
    同様に合同で過半を超える場合でも可)
  • (E)その他、会社Aが会社Bの意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること。
関連会社の定義

会社Aが、会社Bの「意思決定」に重要な影響を与えることができる場合に、会社Aと会社Bの関係は関連会社といえます。

「意思決定」に重要な影響を与えることができるとは、下記のいずれかに該当する必要があります。

  • ①20%以上の会社Bの議決権を、会社Aが所有している場合
  • ②15%~20%未満の会社Bの議決権を、会社Aが所有している場合で、下記(A)~(E)のいずれかに該当する場合
  • ③会社Aと、議決権・出資・人事・資金・技術・取引等の関係で緊密な関係のある会社Cや会社Dが、合同で会社Bの20%以上の議決権を有している場合で、下記(A)~(E)のいずれかに該当する場合

    ④会社Aと会社Bが共同で支配される契約が存在する場合(共同支配企業)

    (A)現在、または、過去に、会社Aの役員・業務執行社員・使用人であった者が、会社Bの現在の代表取締役・取締役(これらに準ずる役職を含む)に就任していること。

    (B)会社Aと会社Bが重要な融資関係にある場合

    (C)会社Aと会社Bが重要な技術を提供関係にある場合

    (D)会社Aと会社Bが重要な事業上の取引がある場合

    (E)その他、会社Aと会社Bが「意思決定」に重要な影響を与える関係であると推測される事実が存在する場合

「3.製造業外国従業員受入事業の趣旨に合致した、受入事業計画であること」について

前述したとおり、製造業外国従業員受入事業の根底にある趣旨は、日本の製造業者の海外展開による国内製造業の空洞化が発生している状況の中、日本を研究開発拠点、海外を生産拠点と、役割分担をさせることにより空洞化を抑えることです。

この趣旨に合致した受入事業計画でなければ認められません。

日本で外国人職員に技能を習得させる目的が下記の場合には、外国人受入事業の計画が趣旨に合致していると認められます。

  • これまでに日本からの輸出実績がない製品を現地生産する為に、技能指導者を育成する目的
  • 生産拠点の新設により日本から部品輸出の増加が見込まれ、その新設生産拠点の技能指導者を育成する目的(ラインの増設や既存ラインの改良も含む)
  • 現地で生産することが受注の条件として課せられており、その現地生産の技能指導者を育成する目的

なお、次項のとおり受入外国人が技能指導者となる資質を有し、また外国の製造事業所の規模に対する正当な受け入れ人数でなければなりません。

また、日本で元々生産していた拠点を縮小・撤退させるような計画では趣旨に合致していないと判断されます。

製造特定活動計画書に記載するポイントとしては下記のとおりです。

  • 現地生産拠点の位置付け・役割
  • 現地生産の理由
  • 製造する製品
  • 納入先

記載例

当社の製品○○は海外売上高比率が上昇し、今後の企業発展のためにはさらなる海外市場の開拓が必要。

現在、中国の生産工場△△△△で○○を生産しているが、○○の製造のための部品●●はベトナムで製造している。

しかし現状、特に中国において○○の売り上げが堅調に増加しており、物流コストのカットなどを含め価格競争力を向上するため、新たに部品●●の生産拠点を中国に設ける計画。そして、生産した部品●●は、中国国内の○○を生産している生産工場△△△△へ納入するものである。

なお、部品●●の生産拠点の設置は、部品●●を使用する製品○○の需要増加によるものであり、中期経営計画においても日本の◇◇◇◇工場をマザー工場とする計画もあり、国内の空洞化を助長するものではない。

そして、新設する生産拠点においては、●●を製造するラインの管理を行う上位の技能指導者が必要となる。この技能指導者に現地従業員を指導して生産ラインを維持する予定である。

新設する生産拠点の●●部品に係る従業員は500人規模を想定しており、その規模に対して10人の技能指導者が必要だと考えている。なお、現地従業員50人に対して技能指導者1人の割合は、当社の他の現地工場を参考にしたものである。

当該技能指導者は、中国の生産工場△△△△で勤務する上位の技能者10人を候補者として技術を習得させるものである。

「4.製造業外国従業員受入事業の趣旨に合致した、技術移転の必要性と移転技術の内容であること」について

受入外国人は、帰国後に海外生産拠点において中心的な役割を果たすことを想定しており、単に、一部の技術の修得のみを目的とするものではありません。

これらの趣旨に合致するものとして、受入外国人の習得する技能に関する要件が存在します。

具体的には下記のすべてに該当しなければなりません。

  • 日本で習得する技能について、受入外国人が未だ習得していない技能であること
  • 日本で習得する技能について、海外の生産拠点における技能指導者・現場マネージャーとなる為に必要な技能であること
  • 受入外国人が外国の事業所において、上位技能者や現場管理を行うものであったこと(係長レベルを想定)
  • 習得技能について、OJTによる習得が有効であること

また下記全てに該当しなければ許可されないわけではありませんが、日本の事業所において下記の能力を習得することも要件のうちに含まれます。

  • 一部の工程のみではなく、全体の工程の技術
  • 生産管理・労務管理などの管理業務に関する能力
  • 労働に関する安全・衛生、機械の取り扱いに関する安全・管理に関する能力
  • 人材育成に関する指導者としての知識

そして、製造特定活動計画書にはこれらの要件を意識して記載しなければなりません。

記載例

中国で新たに生産を行う部品●●の製造技術の移転を目的に、別の中国生産工場△△△△で3年間の勤務経験を持つ外国人職員10名を日本の ▲▲▲▲工場に受け入れる。受け入れる外国人職員らは各工程のラインにおいて現地のワーカーを指導していた者である。

外国人職員らは部品●●の製造にかかる一連の工程に従事させ、手順や各工程の役割、全体の流れをに関する知識・技能を習得し、部品●●の製造及び管理技術の移転を行うものである。これによって、中国にて生産する部品●●が、日本国内で生産するものと同一の品質が確保されることが期待される。なお、受け入れる外国人職員らは中国生産工場△△△△において未だ従事したことのない技能を日本で習得するものである。

部品●●の製造工程における技能指導者・現場マネージャーは、製品の品質確保のための特殊なノウハウと人員管理等のマネジメント能力を要するため、これらの専門技術の移転が必要となるが、現在、部品●●の製造工場は日本にしか存在していないため、日本の製造工場での習得が必要となる。

習得させる具体的な技能は…。習得方法は、国内製造現場においてOJTによるものであり、具体的には…。これらの習得状況は社内の技術検定等で適時確認することとしている。

また外国人職員らには、帰国後に部門のマネージャーとしての役割を担うことを期待するものであるので、生産管理業務や安全衛生に関する知識、機械の取り扱い上の安全に関する知識、人材育成に関する指導者としての知識等を習得させるカリキュラムを計画している。また、入国当初には日本における生活知識や日本語に係る講習も実施予定である。

そして、技能を習得し帰国した外国人職員らは、中国の生産拠点においてライン管理を行う技能指導者・現場マネージャーに従事するものです。日本で習得した技能を、現地のワーカーにOJTにより指導し、●●部品の品質を確保します。

【添付:育成計画・カリキュラム表等】

「5.複数人の受入れであっても同一プロジェクト単位であること」について

経済産業省における製造特定活動計画の認定は同一のプロジェクト(技能移転計画)単位で申請することができます。受け入れる特定外国従業員1名ごとに申請をする必要はありません。

プロジェクト(技能移転計画)が同一か否かについては、工場の新設・ラインの新設や改良といった理由の共通性で判断されます。

プロジェクトが同一であれば、受入れる特定外国従業員の来日時期や在留期間は同一である必要はありません。例えば、日本国内における受入事業所の設備環境の事情を鑑みて、10人の特定外国従業員の内、5人を最初に出向させ、残りの5人は2か月後に出向させる場合でも、同一の申請で構いません。

また、プロジェクトが同一であれば、習得させる技能も同一である必要はありません。例えば、10人の特定外国従業員の内、5人には部品●●の製造技術の習得、5人には部品●●の製造管理手法の習得をさせる場合でも、同一の申請で構いません。

「6.労働安全衛生法等関係法令に基づき、労働災害防止のための最低基準措置をクリアしていること」について

「労働災害防止のための最低基準措置をクリアしている」と判断されるためには下記のような事項を立証しなければなりません。

  • 労働安全衛生に係る第三者認証(OHSAS18000等)を取得している
  • 安全衛星に関する方針・目標・計画等を定めた労働安全衛生マネジメントに関する指針を作成しており、当該指針に基づき体制を整備している

「7.労働関係法令・社会保険関係法令に違反していないこと」について

労働関係法令に違反していないとは、具体的に下記のような事項について遵守する必要があります。

賃金台帳の調製・強制貯金の禁止・休業手当・賃金の支払・最低賃金・割増賃金・労働時間・休憩・休日の確保・年次有給休暇の付与・法令の周知・寄宿舎・安全衛生教育・就業制限業務に係る免許等・健康診断・その他の労働関係法令の規定の遵守

また労働基準法上、雇用契約の締結に際して書面を交付しなければなりませんが、厚生労働省告示に基づき、外国人にも理解できるように母国語によっても作成するなどして、雇用契約の内容が特定外国従業員に十分に理解できるようにしなければなりません。

社会保険関係法令に違反していないとは、労災保険関係成立手続を行い、また、社会保険に加入させることを意味します。

「8.過去5年間、労働基準関係法令違反で、罰金以上の刑になっていないこと」について

労働基準関係法令とは下記を指します。

  • 労働基準法
  • 労働安全衛生法
  • 最低賃金法
  • など

「9.過去3年間、自己都合を除き、特定外国従業員の相当数を離職させていないこと」について

相当数とは、「過去3年間」において、「1つの事業所」で「特定外国従業員と同一業務」の「30人以上の非自発的離職者」を「1ヶ月の間」に発生させた場合を意味します。

「10.過去5年間、この製造特定活動に関係する不正行為(経産省告示別表)を行っていないこと」について

不正行為の内容については「経済産業省告示47ページ」を参照ください。

「11.過去に製造特定活動計画認定が取消された場合、取消日から5年を経過していること」について

認定の取消理由については「経済産業省告示45ページ」を参照ください。

「12.過去5年間、製造特定活動計画に反する重大な事実が生じていないこと」について

認定を受けた計画に大きな変更があり、かつ、関係各所への報告義務を遵守していない場合を指します。

「13.特定外国従業員の人数に対する、適切な人数の指導員を任命すること」について

任命する指導員の種類は下記のとおりです。

  • 統括責任者:認定申請を行う会社のの人事担当責任者など、計画の全体の管理・監督を行う者
  • 技術指導責任者:各製造部門の長など、認定計画の進捗を管理・監督する者
  • 生活指導員:特定外国従業員に対して、日本における生活上の指導を行う者

なお、経済産業大臣による監査は、基本的には統括責任者が対応することになります。

また、複数任命すること、兼任することも可能ですが、適切な監理が確保される体制であることが必要です。

生活指導員については、日本の生活上の注意点について指導するだけではなく、生活状況の把握や随時外国人の相談に乗るなどして、トラブルの発生を未然に防ぐよう努めなければなりません。

「16.日本での就労予定期間が1年を超えないこと」について

当該特定外国従業員受入事業によって入国した外国人は1年以上日本に在留することはできません。

入国後、6ヶ月の特定活動ビザが付与され、6ヶ月が経過する前に更新し、合計最大1年間の在留が認められます。

なお、更新は在留期限の3ヶ月前から申請できます。

「17.習得させる予定の技術内容を、外国従業員が既に有していないこと」について

この特定外国従業員受入事業の趣旨は、外国では習得できない技能を日本で習得させることにあります。

従って、すでに外国の製造事業所において、習得予定の業務に従事していたことによって技能を有している場合には認められません。

「18.過去に当該特定外国従業員受入事業を活用した入国をしており、帰国して短期間しか経過していない者ではないこと」について

この特定外国従業員受入事業の趣旨は、日本で習得した技能を海外の生産拠点に生かすことにあります。

過去に特定外国従業員受入事業で入国した外国人は、帰国後に一定期間、海外生産拠点において習得技能を指導した事実があり、今回の入国が過去に習得した技能と異なるものである必要があります。

従って、過去に特定外国従業員受入事業で入国した外国人が帰国してすぐに、改めて特定外国従業員受入事業で入国することはできません。

「19.異動前の外国事業所において、1年以上雇用しているものであること」について

この特定外国従業員受入事業の趣旨は、日本で習得した技能を海外の生産拠点に生かす為に、海外の生産拠点で技能指導者や現場マネージャになる外国人を育成することにあります。

そして、新入社員がそのような資質を有するか否かは判断できかねるので、このような1年の要件が付されています。

なお、不正な入国を防ぐという観点でも当該要件が付されています。

この「1年間」に関しては、在籍証明書などで立証する必要があります。

企業買収が行われた場合は企業買収前からの勤務年数を含んでよいとされています。

「20.同じレベル・同じ地位の日本人と同等以上の報酬があること」について 

当該要件の趣旨は、外国人職員に対して差別的な待遇にしてはいけないということにあります。

たとえ同等の勤務年数や役職、能力の日本人より少し低い報酬であっても問題ありませんが、明らかに低い報酬額の場合には認められません。

認定審査において、一般的な報酬額より低い印象を受ける報酬額を設定する場合は、下記により立証するほうが安心です。

  • 他の日本人も一般的な報酬額より低い設定であること
  • 職務級表に基づいた合理的な報酬の設定であること

なお、当該「報酬額」には、下記を含みます。

  • 基本給
  • 日本人には支給されていない外国人特有の手当
  • 無償貸与している宿舎の家賃相当分

「23.特段の事情がある場合を除き、帰国後1年以内の解雇は禁止」について

「特段の事情」とは、特定外国従業員が就業規則などに違反して解雇するような場合を指します。

解雇した場合は、合理的な理由・正当性について報告しなければなりません。

「25.製造特定活動計画が経済産業大臣に認定されるための各要件を満たしていること」について

通報や監査等で要件が外れている事実を認識するなどの特段の事情がない限り、「24.製造特定活動計画認定証の認定を受けていること」があれば満たされると判断されます。

その他の特定活動ビザが認定されるためのビザ申請の要件について

ほとんどが経済産業省による製造特定活動計画の認定と重複しますが、ビザの審査の段階で改めて審査されます。

従って、当該要件を満たす申請書類を改めて準備しなければなりません。

参考:特定活動ビザの法文

四十二 本邦の公私の機関が策定し,経済産業大臣が認定した製造特定活動計画(製造業外国従業員受入事業に関する告示(平成二十八年経済産業省告示第四十一号)にいう製造特定活動計画をいう。)に基づき,当該機関の外国にある事業所の職員が,当該機関が当該国に設ける生産施設において中心的な役割を果たすための技術及び知識を身につけるため,当該機関の本邦における生産拠点において製造業務に従事する活動

Pocket