2017年入管内部基準に記載されている、「高度専門職ビザを有する外国人の家事使用人の特定活動ビザ」の認められる要件について記載します。
特定活動ビザの全般的な概要と、特定活動ビザのその他の種類については、下記を参照してください。
【2017年入管内部基準】特定活動ビザの審査について(ビザ)
経営管理ビザ・法律会計業務ビザの家事使用人は、経営管理ビザ・法律会計業務ビザを有する外国人の家事使用人の特定活動ビザ【2017年入管内部基準】を参照ください。
永住ビザ・その他のビザの家事使用人は、永住ビザ・その他のビザを有する外国人の家事使用人の特定活動ビザ【2017年入管内部基準】を参照ください。
高度専門職ビザを有する外国人の家事使用人の特定活動ビザ
高度専門職ビザを有する外国人の場合、要件に該当すれば家事使用人を外国から呼び寄せることができます。
この家事使用人に付与される特定活動ビザの法文は下記のとおりです。
二 別表第二に掲げる外国人に当該外国人が使用する言語により日常会話を行うことができる個人的使用人として雇用された十八歳以上の者が,月額二十万円以上の報酬を受けて,当該雇用した外国人の家事に従事する活動
※ 別表第二
一 申請人以外に家事使用人を雇用していない高度専門職外国人で,申請の時点において,十三歳未満の子又は病気等により日常の家事に従事することができない配偶者を有し,かつ,世帯年収が千万円以上であるもの
二の二 申請人以外に家事使用人を雇用していない法別表第一の二の表の高度専門職の在留資格をもって在留する外国人(以下「高度専門職外国人」という。)(申請の時点において,当該高度専門職外国人が受ける報酬の年額と,当該高度専門職外国人の配偶者が受ける報酬の年額とを合算した額(以下「世帯年収」という。)が千万円以上であるものに限る。)に当該高度専門職外国人が使用する言語により日常会話を行うことができる個人的使用人として雇用された十八歳以上の者(継続して一年以上当該高度専門職外国人に個人的使用人として雇用されている者であって,当該高度専門職外国人と共に本邦に転居し,かつ,その者の負担においてその者と共に本邦から出国(法第二十六条の規定により再入国許可を受けて出国する場合を除く。)することが予定されているものに限る。)が,月額二十万円以上の報酬を受けて,当該高度専門職外国人の家事に従事する活動
上記のとおり、高度専門職ビザを有する外国人の家事使用人に認められる特定活動ビザは2パターンあります。それぞれについて解説します。
特定活動ビザが認められる要件などの解説
高度専門職ビザを有する外国人の家事使用人に認められる特定活動ビザの要件は下記のとおりです。特にパターン2については高度専門職ビザの外国人にのみ認められたビザであり、優遇されたものです。
パターン1:家庭事情型
- ① 高度専門職ビザを有する外国人が家事使用人を呼び寄せること
- ② 高度専門職ビザを有する外国人が他に家事使用人を雇用していないこと
- ③ 家事使用人が、高度専門職ビザを有する外国人と意思疎通を図れる言語能力があること
- ④ 家事使用人が18歳以上であること
- ⑤ 家事使用人が月20万円以上の報酬を受けること
- ⑥ 家事使用人は家事を目的とするものであること
- ⑦ 申請の時点において、高度専門職ビザを有する外国人の世帯年収が1000万円以上であること
- ⑧ 申請の時点において、13歳未満の子がいる、または、病気や仕事等で家事ができない配偶者がいること
パターン2:入国帯同型
- ① 高度専門職ビザを取得する外国人が家事使用人を帯同すること
- ② 高度専門職ビザを取得する外国人が他に家事使用人を雇用していないこと
- ③ 家事使用人が、高度専門職ビザを取得する外国人と意思疎通を図れる言語能力があること
- ④ 家事使用人が18歳以上であること
- ⑤ 家事使用人が月20万円以上の報酬を受けること
- ⑥ 家事使用人は家事を目的とするものであること
- ⑦ 申請の時点において高度専門職ビザを取得する外国人の世帯年収が1000万円以上であること
- ⑧ 高度専門職ビザを取得する外国人と共に日本に転居すること
- ⑨ 来日前に、高度専門職ビザを取得する外国人が家事使用人を1年以上継続して雇用していたこと
- ⑩ 高度専門職ビザを取得する外国人と共に日本から出国することが予定されていること
- ⑪ ⑩の渡航費は高度専門職ビザを取得する外国人が負担すること
パターン1とパターン2の違いは、パータン1の場合は要件⑧のとおり家庭事情要件があるのに対して、パターン2の場合は要件⑧~⑪の入国帯同要件があります。また、世帯収入要件の1000万円についても若干の違いがあります。
それらの留意点について解説します。
「他に家事使用人を雇用していないこと」について
他に家事使用人を雇っている場合は、新たに外国の家事使用人を呼び寄せることはできません。
これは、常勤・非常勤、また、日本人・外国人、いずれも認められません。
「意思疎通を図れる言語能力があること」について
母国語である必要はありません。
ただし母国語ではない場合、どのようにしてその言語を習得したかを立証する必要があります。
「月20万円以上の報酬」について
報酬に含まれるものと含まれないものがあります。
報酬には、役務の対価としての給与・賞与のみを含み、通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するものは含みません。課税対象となるかどうかが報酬に含まれるかどうかの見極めとなります。
もちろん、不法に働いたことによる報酬は含みません
。
「家事を目的とするものであること」について
秘書業務のような仕事のサポート等は認められません。
「申請の時点において」について
この「申請の時点において」についてはパターン1とパターン2で異なります。
パターン1の場合は、この「申請の時点において」というのは上陸申請(在留資格認定証明書交付申請含む)のみを意味します。
つまり、家事使用人を入国させるために、特定活動ビザに関しての初めて申請した時点が、この「申請の時点」となります。
従って、11歳の子供や病気の配偶者がいた場合に家事使用人を呼んだ後、子供が13歳以上になったり配偶者の病気が治っていても、家事使用人は特定活動ビザからは外れません。
また、1000万円の世帯収入要件についても、上陸申請の時点のみを判断されるもので、更新時には1000万円を下回っていても不許可とはなりません。
ただし、この家事使用人が別の雇用主の元で雇用される場合、その雇用主の元で働き始めてから初めての更新の時点で、家庭事情要件と世帯収入要件を改めて審査されます。
一方、パターン2の場合は、この「申請の時点において」というのはすべての特定活動ビザに関係する申請を意味します。
従って、パターン1とは異なり、新規上陸時、および、更新時においても、世帯収入要件が1000万円以上である必要があります。
「共に日本に転居すること」について
高度専門職ビザを取得する外国人と家事使用人が共に日本に転居することが要件としてあります。
つまり、下記のような場合は認められません。
- すでに日本で生活している高度専門職ビザを有する外国人が家事使用人を呼び寄せる
- 新たに在留資格変更により高度専門職ビザを取得するが、すでに日本で継続して生活していた外国人が、家事使用人を呼び寄せる。
- 新たに高度専門職ビザを取得し、初めて日本に入国するが、雇う予定の家事使用人は日本で生活している場合
なお、共に転居するというのは同一便で来なければならないというほどの厳密なものではなく、同時期に申請し、同時期に入国するものであれば構いません。
「共に日本から出国することが予定されていること」について
これは、家事使用人、または、高度専門職ビザを有する外国人が、再入国許可を得て、一時的に出国するような場合は含みません。
高度専門職ビザを有する外国人が完全に帰国するような場合に、家事使用人も共に帰国しなければならないということを意味します。
特定活動ビザに認められる在留期間について
通常、1年ビザが与えられます。
申請書類の滞在予定期間の欄に1年未満の期間が記載されていたら、6ヶ月または3ヶ月が付与されます。