2017年入管内部基準に記載されている、ビザ審査における「定住者ビザの種類」について記載します。
定住者ビザとは
定住者ビザは、入管法に「法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者」として認められるビザです。
定住者ビザの種類については次節で説明します。
また、特に申請人としては気にする必要はありませんが、定住者ビザには「告示内定住者」と「告示外定住者」があります。
「告示内定住者」とは、法務大臣が告示において定めたものであり、告示内容に合致した外国人から申請があればビザを認める運用をしています。
「告示外定住者」とは、告示に定めるまではいかないが、人道上その他の特別の事情があるとして特別に定住を認めた先例があり、かつ、今後も認めることが適当だとして取り扱っているものです。
定住者ビザの種類
「告示内定住者」「告示外定住者」含め、定住者ビザの種類は下記のとおりです。
- 国籍離脱をした元日本人の子・配偶者・孫(日系人)【図2】
- 定住者ビザの子・配偶者【図2】
- 帰化日本人の帰化前の子【図3】
- 永住者の子で、海外で生まれた者・日本で生まれたがすぐに国外転出した者【図4】
- 日本人・永住者・定住者ビザの6歳未満の養子【図5】
- 帰化日本人・永住者・定住者ビザ・日本人の配偶者等ビザ・永住者の配偶者等ビザの連れ子【図6・図7・図8・図9】
- 日本人・永住者の配偶者で離婚・死別・婚姻破綻した場合【図10・図11・図12】
- 日本人の子として生まれた者を監護・養育する者【図13】
- 離縁された特別養子縁組の養子【図14】
- 難民認定不許可の後、特定活動ビザを経た者【図15】
- タイ・マレーシアに一時滞在するミャンマー難民
- 中国やの残留邦人とその配偶者・子・親族、その配偶者・子・その親族
どの定住者ビザに該当するかよくわからない方はこのまま読み進めてください。図解で解説します。
後述する図解の中に記されている、「定住者○号△」、または「定住者ビザ(告示外)」の文字を確認し、下記のリンクから詳細の要件や留意点についてご確認ください。
定住者ビザの種類についての図解
定住者ビザの告示に関する法文は非常に読みづらいです。「日本人」、「日本人の子として出生した者」、「実子」などと記載があり、それらの区別も含めて一般の方にはなかなかご理解できないものかと思います。たまに専門の方でも勘違いされていることもあります。
図解で解説していきます。(青とオレンジで父と母のように分けておりますが、男女の差はありません)
定住者ビザを考える上で、まず下記の3パターンを頭に入れてください。これらの者から派生していく配偶者や子に定住者ビザが付与されます。
- ① 日本人:日本人の子として出生した日本国籍者
- ② 元日本人:日本人の子として出生した外国国籍者(①が国籍離脱したパターン)
- ③ 帰化日本人:日本人の子として出生していない、帰化により日本国籍を取得した者
日本人の子について
まず図1のとおり、父母のいずれかが日本国籍を有する場合は、子は日本国籍を原則取得します。ここでは定住者ビザは関係しませんが、前提知識として押さえておいてください。
図1:日本人の子のビザ・国籍
元日本人の子や孫、それらの配偶者について
次に、日本国籍は生まれてすぐでも、年数が経った後でも国籍離脱をすることができます。この元日本人(日本人の子として出生したが、国籍離脱をした者)が再び日本に在留を希望する場合は、正規のビザを取得しなければなりません。
それが図2の頂点に示すとおり、元日本人には日本人の配偶者等ビザが該当します。
そして元日本人が結婚した配偶者には定住者ビザ(5号イ)、元日本人が生んだ子は定住者ビザ(3号)が該当します。
さらに定住者ビザを持つ者と結婚した配偶者には定住者ビザ(5号ハ・5号ロ)、元日本人が生んだ子は定住者ビザ(6号ハ・6号ロ)が該当します。
図中の定住者ビザ(4号)は、「定住者が生んだ子」ではなく、「日本人の子として出生した者の孫」として該当しています。
図2:元日本人の子・配偶者・孫/定住者ビザの子・配偶者
帰化日本人の子について
次に、帰化日本人の子に関してです。
帰化日本人は、帰化前に関しては外国人として何かしらの永住ビザや就労ビザを有しており、帰化によって日本国籍を取得します。
配偶者に関しては帰化前に結婚したのか、帰化後に結婚したのかは関係ありません。例えば、夫の帰化前に妻が家族滞在ビザを有した場合、帰化後は日本人の配偶者等ビザへ変更することになります。
しかし、子に関しては図3のとおり、帰化前に出生した子なのか、帰化後に出生した子なのかでビザの種類が異なります。
帰化前に生まれた子は定住者ビザ(6号イ)が該当し、帰化後に生まれた子は日本国籍となります。
そしてこの定住者ビザ(6号イ)の者が結婚した配偶者には、定住者ビザ(5号ロ)、生んだ子には定住者ビザ(6号ロ)が該当します。
図3:帰化日本人の帰化前の子
ここまでが日系人・帰化日本人・定住者親族等のややこしい部分ですが、ここからは割とシンプルです。
永住者の子について
図4のとおり、永住ビザを有する者が子を生んだ場合で、下記の場合には定住者ビザ(6号イ)が該当します。
- その子が海外で生まれた場合
- その子が日本で生まれたが、永住ビザの配偶者等ビザを取得せずにすぐに国外転出をした場合
(なお、永住ビザを有する者が結婚した配偶者には永住者の配偶者等ビザが該当します。)
図4:永住ビザの海外出産の子等
養子の定住者ビザ
次に、図5は養子に付与される定住者ビザのお話です。
日本国籍・永住ビザ・特別永住者・定住者ビザを有する者が迎えた、6歳未満の養子には定住者ビザ(7号)が該当します。
なお、この6歳未満というのは厳密なものではなく、6歳程度以下とお考え下さい。
図5:日本人・永住者・定住者ビザの養子
また、養子の場合、下記のように他のビザが該当する場合もあります。
- 日本人の配偶者等ビザ:日本国籍を有する者に特別養子縁組により迎えられた養子
- 家族滞在ビザ:就労ビザを有する者に扶養される養子(普通養子・特別養子・年齢は問わない)
連れ子の定住者ビザ
次に、連れ子に関する定住者ビザのお話です。連れ子定住者ビザも告示の法文や読みづらいかもしれません。
まず図6~図8について、下記のとおりです。これらは新たな配偶者の存在の有無やビザの種類は要件ではありません。
- 帰化日本人・永住ビザ・特別永住者の連れ子の場合は、定住者ビザ(6号イ)
- 定住者ビザ(3号)・定住者ビザ(4号)以外の者の連れ子の場合は、定住者ビザ(6号ロ)
- 定住者ビザ(3号)・定住者ビザ(4号)の者の連れ子の場合は、定住者ビザ(6号ハ)
図6:帰化日本人・永住者の連れ子
図7:定住ビザの連れ子①
図8:定住ビザの連れ子②
次に図9では、日本人の配偶者等ビザや永住者の配偶者等ビザを有する者の連れ子の場合ですが、新しい配偶者の要件が存在します。
新しい配偶者の有する国籍・ビザは下記のとおりでなければなりません。
- 日本国籍
- 永住ビザ
- 特別永住者
- 定住者ビザ
図7:日本人の配偶者等ビザ・永住者の配偶者等ビザの連れ子
離婚・死別・婚姻破綻の場合のの定住者ビザ
次の図10~図12は、離婚定住者ビザや、死別定住者ビザなどの離婚・死別した場合の定住者ビザです。
相手方が日本国籍・永住ビザ・特別永住者の場合、その配偶者は日本人の配偶者等ビザ、または、永住者の配偶者等ビザが該当します。
そして相手方と離婚した場合には、定住者ビザ(告示外)が該当します。
離婚以外にも下記の場合にはこの定住者ビザ(告示外)が該当します。
- 離婚
- 死別
- 離婚まではしていないが、婚姻破綻状態にある場合
図10:離婚定住者ビザ
図11:死別定住者ビザ
図12:婚姻破綻定住者ビザ
日本人の実子の監護者に関する定住者ビザ
次に、日本人の子として出生した者を、監護・養育する場合には、その監護者には定住者ビザ(告示外)が該当します。
図13のとおりです。
図13:監護・養育定住者ビザ
離縁された特別養子の定住者ビザ
次に、離縁された特別養子の養子は定住者ビザ(告示外)が該当します。
日本人に迎えられた特別養子縁組による養子は、日本人の配偶者等ビザが該当します。しかし、離縁されると日本人の配偶者等ビザの該当性を失います。
そこで、このような離縁された者に定住者ビザ(告示外)を認める取り扱いをしております。
図14のとおりです。
図14:離縁された特別養子の定住者ビザ
難民認定不許可後の定住者ビザ
最後に、難民認定が不許可となり、その後特定活動ビザに変更し、一定年数が経過すれば、定住者ビザ(告示外)に該当するようになります。
特定活動に該当するためには、特別な事情が必要ですし、そこからさらに定住者ビザ(告示外)へ変更するためにも要件が必要であり、条件の厳しいビザとなっております。
図15のとおりです。
図15:難民認定不許可後の定住者ビザ