2017年入管内部基準に記載されている、「生まれた子供の永住ビザの審査」について記載します。
本記事の対象者
本記事の対象者は下記のとおりです。
- 日本で生まれた永住者の子
- 日本で生まれた特別永住者の子
なお、海外で出産をした場合は永住ビザには該当せず、定住者ビザとなります。
生まれた子供の永住ビザの審査要件
法務大臣が日本国の利益に合すると認めることが法的な要件(国益要件)です。
具体的には次のすべてに該当することが求められます。
- ①法令遵守要件:納税義務や公的年金、社会保険などの公的義務を履行していることを含め、法令を遵守していること(注1)
- ②公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと(注2)
- ③著しく公益を害する行為をするおそれがないと認められること(注3)
- ④公共の負担となっていないこと
これらは扶養者も含めて審査されます。
(注1)
納税申告だけではなく、遅滞なく納税義務を完納していることが求められます。ただし、会社員などの場合は事業者が代わりに納付しますが、事業者都合で納税義務を果たしていない場合は、そのことをもって不許可となるわけではありません。
(注2)
特定の感染症疾患者や慢性中毒者などが公衆衛生上有害となるおそれがあるとして取り扱われます。
(注3)
過去と現在の状況を総合に判断して将来的に公益を害する行為をしないだろう推察されることが必要です。具体的には下記の要件に該当しないことが必要です。
- ①日本の法令違反で懲役・禁錮・罰金に処せられたことがある者。(※1)
- ②少年法による保護処分(1号・3号)が継続中の者。(※2)
- ③違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行うなど、素行善良と認められない事情がある者。(※3)
(※1)
「刑の消滅の規定の適用を受ける者」又は「執行猶予の言渡しを受けた場合で当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過し、その後更に5年を経過した者」は、これに該当しないものとして扱われます。
刑の消滅の規定とは下記のとおりです。(刑法第34条の2)
- (1)禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときは、刑の言渡しは効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したときも、同様とする。
- (2)刑の免除の言渡しを受けた者がその言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで2年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。
(※2)
保護処分の1号とは保護観察所の保護観察に付することであり、3号とは少年院に送致することです。
(※3)
「①日本の法令違反で懲役・禁錮・罰金に処せられたことがある者」に該当しないような軽微な法令違反であっても同様の行為を繰り返し行うような場合や、地域社会に多大な迷惑を及ぼす活動を繰り返し行う者が該当します。
例えば、交通違反の反則金は罰金ではありませんが、何度も繰り返すような場合にはこれに該当します。また反則金や罰金がなくとも街宣活動などで何度も指摘を受けているような場合にもこれに該当します。
生まれた子供の永住ビザの審査申請期間
子供が生まれた日「出生日」から30日以内に申請しなければなりません。そして結果は出生日から60日以内に決定します。