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2017年入管内部基準に記載されている、ビザ審査における「本邦の公私の機関との契約とは」「外国の公的機関とは」「外国の教育機関とは」について記載します。

本邦の公私の機関との契約について

高度専門職ビザ、研究ビザ、技術・人文知識・国際業務ビザ、技能ビザについては、”外国人本人と本邦の公私の機関との契約に基づいて”行われる活動であることが要件として求められます。

機関には何が含まれるのか、契約とは何を指すのか、などについて入管の内部基準には定められております。

本邦の公私の機関について

「本邦の公私の機関」は下記を含みます。

  • 地方公共団体
  • 独立行政法人
  • 会社や公益法人等の法人
  • 権利能力のない任意団体
  • 日本に事務所を有する外国の国
  • 日本に事務所を有する外国の地方公共団体
  • 外国の法人等
  • 個人事業であって日本に事業所等を有する場合

契約について

契約の種類について

「契約」には下記を含みます。

  • 雇用契約
  • 委任契約
  • 委託契約
  • 嘱託契約
  • 等々

しかし特定機関との継続的なものでなければなりませ。ただし特定機関というのは複数であっても差し支えありません。

この特定機関との継続的契約によらない場合、経営管理ビザに該当する場合は考えられます。

例えば、委任契約等である特定機関と契約しているがごく短期の契約を何度も更新するような場合、また不特定の機関とごく短期の契約を結んで事業を行っているような場合は、個人事業主として経営管理ビザに該当する可能性があります。

契約の当事者について

契約の当事者、つまり契約の署名者となるものについてですが、原則は法人であれば法人名義の契約、個人事業であれば経営者名義の契約となります。

例外として、形式的に支店長等が当該法人を代理している場合には支店長の署名でも契約は法人名義となります。また、外形上は機関同士の契約であっても本質は機関と外国人個人の契約の場合でも認められる場合もあります。

契約の内容について

そして契約事項について、日本の法律に反する内容では認められません。

労働基準法第15条第1項には、労働契約の場合、使用者は労働者に対して、賃金・労働時間・その他労働条件を書面で明示しなければならないとしています。

つまり、ビザ審査上は何かしらの労働契約書面がないと労働契約は成り立ちません。

なお、この労働契約とは、雇用契約も委任契約も含みます。

契約書の内容についての要件は下記を審査します。
ただし、疑義がある場合は、本省入国在留課就労審査係に照会して判断されます。

  • 我が国に入国する者として当該外国人が特定されていること。
  • 当該外国人の使用者たる本邦の公私の機関が特定されていること。
  • 本邦の公私の機関が当該外国人と「労働契約を締結する」旨明示されていること。
  • 当該外国人の労働条件として、労働基準法施行規則第5条第1項第1号から4号に定める事項が明示されていること。
  • 本邦の公私の機関が我が国の労働基準法を遵守する旨明示されていること。
  • 本邦の公私の機関が当該外国人に対し賃金を直接支払う旨明示されていること。

労働基準法について簡単に説明します。

<労働基準法施行規則第5条>

使用者が労働者に明示しなければならない労働条件は下記のとおりです。

  • 労働契約期間に関する事項
  • 労働契約を更新する場合の基準に関する事項
  • 就業の場所に関する事項
  • 従事すべき業務に関する事項
  • 始業及び終業の時刻に関する事項
  • 所定労働時間を超える労働の有無に関する事項
  • 休憩時間・休日・休暇に関する事項
  • 労働者を2組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
  • 賃金の計算・支払の方法・賃金の締切り・支払の時期に関する事項
  • 昇給に関する事項
  • 退職(解雇)に関する事項
  • 等々

外国の公的機関や教育機関について

”外国の公的機関”や”外国の教育機関”は、「技能実習1号イ」、「技能実習1号ロ」、「興行」、「技能」などのビザの要件となっています。

特に、「技能実習1号イ」の「技能実習1号ロ」のビザでは、外国の公的機関や教育機関で一定時間の外部講習を実施した場合に、日本での講習時間が緩和される優遇措置を受けることができるため、重要な視点です。

「外国の公的機関」について

下記の2点が該当します。

  • 外国の国の機関
  • 外国の地方公共団体の機関

独立行政法人や公益法人の性質を有する機関の場合は認められません。

中国の場合で、国家事業単位登記管理局発行の「事業単位法人証書」により立証される事業単位法人は、国や地方公共団体の性質ではなく、独立行政法人や公益法人の性質が強いものなので認められません。

ただしこの場合でも、事業単位法人が主管官庁(挙弁単位)である国や地方公共団体の機関から委託されて講習をする場合は認められます。その際には、委託していることを証明する書類が必要となります。

「外国の教育機関」について

その国の学校教育制度上の正規の教育機関であり、かつ、義務教育終了後に入学するもの(原則)を指します。

なお、正規の課程ではない短期間教育プログラムを正規の教育機関が実施した場合でも、教育機関による外部講習として取り扱われます。

中国の場合には、「民弁学校弁学許可証」を有しているだけでは「外国の教育機関」と認定されません。「民弁学校弁学許可証」は市の教育局等から私立学校の許可証として発行されますが、単なる私塾や訓練施設のような機関も含まれることが理由です。

従って「民弁学校弁学許可証」を有しているだけでなく、学校類型の項目で下記いずれかに該当していなければなりません。

  • 大学院
  • 大学
  • 専科学校
  • 短期職業大学
  • 高級中学
  • 農業中学・職業中学
  • 中等専門学校
  • 技術労働者学校

また、国公立の場合には国家事業単位登記管理局が発行する「事業単位法人証書」の「宗旨和」(目的)の項目で確認されます。

なお、「留学」ビザの場合の「外国の教育機関」については、市の教育局等から発行される「民弁学校弁学許可証」により1年以上の日本語教育を受けていることが確認される場合は、同要件に適合していることとされています。

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