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外国人を適正にサポートし在留許可へ向けて実務をこなすビザ専門行政書士の私としては、入管側の内部基準も理解しておきたいものです。ここでは、2017年入管内部基準に記されている、在留審査(構造改革特別区域法・地域再生法に基づく特例措置)について詳しく記述します。

第1節 構造改革特別区域法関連

構造改革特別区域法(平成14年法律第189号。以下「特区法」という。)第3条第1項に基づき閣議決定された構造改革特別区域基本方針(平成15年1月24日決定)において、当局が特例措置を講ずるものとして、現在、「特定事業等に係る外国人の入国・在留諸申請優先処理事業」、「特定事業等に係る外国人の永住許可弾力化事業」、「外国人技能実習生受入れによる人材育成促進事業」及び「地方公共団体の助成等による外国企業支店等開設促進事業」が定められている。

特区法に基づき、前記事業に係る特区計画が認定された場合の入国・在留審査事務の取扱いは、以下のとおりとする。

なお、当該事業を含む特区計画が認定された場合には、当該特区計画を本省から地方入国管理局長・支局長宛てに通知し、また、当該認定を受けた地方公共団体名等を記載したリスト(特区計画・再生計画認定一覧表)を、入管WANに掲載する。

第1 特定事業等に係る外国人の入国・在留諸申請優先処理事業

1 特区内における当該特区の特定事業等に係る外国人の入国・在留諸申請を優先処理する特例措置を講ずる。

なお、特例措置が認められる要件は、以下のとおりである。

(1)本事業が単独で行われるものではなく、他の特定事業と併せて実施されるものであること。

(2)本事業と併せて実施される他の特定事業又はその関連事業が、これらの事業の遂行に必要な業務に外国人が従事する又は従事することが予定されているものであること。

(3)本事業の対象となる特定事業又はその関連事業の名称、実施主体及び開始時期並びに外国人が実際に活動する公私の機関及びその施設の名称、所在地及び当該活動内容が、特区計画において明示されていること。

(注)特定事業とは、地方公共団体が実施し又はその実施を促進する事業である。

2 関連事業とは、特定事業に関連する事業として、特区計画に記載された事業をいう。

3 本特例措置の対象者及び措置の内容については次のとおりとする。

(1)対象者

ア 「特定事業等に係る外国人の入国・在留諸申請優先処理事業」を実施する特区として内閣総理大臣が認定した特区内において、当該特区の特定事業又はその関連事業の遂行に必要な業務に従事する外国人

イ アの扶養を受ける家族である外国人

(2)措置の内容

ア 地方入国管理局、同支局及びこれらの出張所(空・海港のみを分担する支局及び出張所を除く。)においては、前記(1)の者に係る専用の申請窓口を設ける。特区専用の窓口を設けることが困難な場合には、既存の申請窓口を併用することとして差し支えないが、特区に係る外国人のための申請窓口であることが明確になるよう、表示板等を設置する。

(例)構造改革特別区域関係申請窓口

イ 前記(1)の者に係る入国・在留諸申請(在留資格認定証明書交付申請、資格外活動許可申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請及び在留資格取得許可申請)があった場合は、前記アの申請窓口において、速やかにこれを受け付ける。

ウ イで受け付けた案件については、特に迅速な審査が行われるように、他の案件と区別して優先的に処理する。

第2 特定事業等に係る外国人の永住許可弾力化事業

1 特区内において当該特区の特定事業等に係る外国人であって、これらの事業において我が国への貢献があると認められる者について、永住許可の要件のうち、必要な在留実績を短縮する特例措置を講ずる。なお、本特例措置が認められる要件は、以下のとおりである。

(1)本事業が単独で行われるものではなく、他の特定事業と併せて実施されるものであること。

(2)本事業と併せて実施される他の特定事業又はその関連事業が、これらの事業の遂行に必要な業務に外国人が従事する又は従事することが予定されているものであること。

(3)本事業の対象となる特定事業又はその関連事業の名称、実施主体及び開始時期並びに外国人が実際に活動する公私の機関及びその施設の名称、所在地及び当該活動内容が、特区計画において明示されていること。

(注)特定事業又はその関連事業については、前記第1の1の(注)1及び2を参照のこと。

2 本特例措置の対象者及び措置の内容は次のとおりとする。

(1)対象者

特区内において、当該特区の特定事業又はその関連事業において我が国への貢献があると認められる外国人

(2)措置の内容

ア 前記(1)の者については、第12編第2章第27節第1の4(7)に当たるものとし、必要な在留実績については、引き続き3年以上本邦に在留していることで足りるものとする。

イ 前記(1)の者に係る永住許可申請に際しては、第12編第2章第27節第1の10に定める資料の提出を要するところ、同章第31節別表1の1の12については、当該申請人に係る当該特定事業又はその関連事業における業績及び我が国への貢献度が明らかになる資料を提出させる。

ウ 本省への進達は、申請書、意見書及びその他関係書類を添えて個別に進達する。

第3 外国人技能実習生受入れによる人材育成促進事業

1 本邦に上陸しようとする外国人から、後記2により特定された本邦の公私の機関(外国人に対する技能実習が3年以上引き続き行われており、かつ、過去3年間適正に実施していると認められるものに限る。)において「技能実習」の在留資格に係る活動を行うものとして、在留資格認定証明書交付の申請があった場合には、当該外国人に係る技能実習1号ロの上陸基準第25号の50人以下の項の下欄の規定(以下「人数枠」という。)の適用については、同下欄中「3人」とあるのは「6人」とする特例を認める。

なお、本特例措置が認められる要件は、以下のとおりである。

(1)当該特区内に、技能実習生を受け入れようとする業種に属する事業を行う事業所が相当程度集積しており、かつ、当該業種が当該地域の主たる産業であること。

(2)前記(1)の業種に属する事業について当該特区が次のいずれかに該当することにより、技能実習生派遣国との間に密接な経済的交流があると認められること。

ア 当該業種に属する事業を行う特区内の事業所全部の技能実習生派遣国との当該事業に係る取引額の合計が過去1年間に10億円以上であること。

イ 当該業種に属する事業を行う特区内の事業所の半数以上が技能実習生派遣国において直接投資を行っていること。

(3)当該特区内において研修又は技能実習に従事し過去1年間に帰国した者の大半が、帰国後本邦において修得した技術、技能又は知識を要する業務に従事していることが確認されていること。

(4)当該特区に係る有効求人倍率が、全国又は当該特区が属する都道府県の有効求人倍率を上回っていること。

2 前記1の認定を申請する地方公共団体は、その設定する特区内において、人数枠の特例を受けて外国人技能実習生を受け入れようとする機関を特定していること。

3 本特例措置に係る審査方法等は、第12編第24節の2を参照のこと。

第4 地方公共団体の助成等による外国企業支店等開設促進事業

1 本邦に上陸しようとする外国人から、当該外国人が稼働する外国企業に対して地方公共団体が助成の対象として指定し又は地方公共団体等(地方公共団体及び第三セクター(地方公共団体の出資の比率が2分の1以上の商法・民法法人に限る。)をいう。以下同じ。)が転貸する施設(地方公共団体等が賃借している施設を更に外国企業へ賃貸する場合をいう。以下同じ。)を事業所として使用し、外国企業の支店等開設準備に係る活動であって「企業内転勤」の在留資格に係る活動を行うものとして、在留資格認定証明書交付の申請があり、かつ、それが当該在留資格に係る上陸許可基準に適合している場合には、当該活動の拠点となる事業所の確保が確実で当該活動が安定的かつ継続的に行われる見込みがあるものとして、当該認定証明書を交付することができる。

なお、本特例措置が認められる要件は、以下のとおりである。

(1)外国企業(地方公共団体において、事業の実施が確実で当該事業の実施が特区内の産業発展等に資すると認める外国企業に限る。)が本邦において事業を行う拠点となる当該特区内の事業所の確保を支援するため、当該外国企業に対して当該特区内においてその事業の用に供する施設を地方公共団体が助成の対象として指定し又は地方公共団体等が転貸するための必要な措置が講じられていること。

(2)当該特区において、投資活動を行う外国企業が相当程度集積するものと見込まれること。

(3)当該特区において外国企業が集積することにより、当該外国企業が実施する事業が属する分野の産業の発展が相当程度見込まれること。

2 前記1の申請をする地方公共団体は、前記1(1)の施設を転貸する機関が当該地方公共団体以外の機関である場合には、当該機関を特定していること。

3 前記1(1)の規定により、地方公共団体において施設の指定を行った上で、次に掲げるアからオの要件を満たさなければならない。さらに、地方公共団体等が賃借している施設につき、さらに外国企業に転貸する場合においては、アからオに加えてカの要件も満たしていること。

ア 賃貸借が可能である施設が存在していること(ただし、居住することを前提とした施設等、事業所として継続的に事業を行っていくことが不適切であるものは除く。)。

イ 地方公共団体が当該施設を事業拠点として指定する場合には、あらかじめ、当該施設の所有者及び外国法人から、当該施設につき賃貸借契約を行う意思を記した誓約書等を地方公共団体に提出していること。

ウ 本邦に入国後、当該賃貸借契約を行った場合には、当該外国企業は、速やかに地方公共団体を通じて契約書の写しを地方入国管理局へ提出すること。また、指定された施設を使用しない場合、若しくは使用することができなくなった場合においては、地方公共団体において代替となる施設を斡旋する等、事業所の創設を確実に担保することが可能となるような措置を講ずること。

エ 本邦に入国後、3か月以内に事業所を設けて事業を開始することとし、地方公共団体は、当該事業の開始後1週間以内に地方入国管理局に報告を行うこと。

オ 当該期間内に事業を開始しない場合は、地方公共団体は、当該外国人の所在を確認の上、速やかに地方入国管理局に報告するとともに、当該外国人に対して帰国を求め、さらに、当該地方入国管理局の措置等により当該外国人が帰国することとなった場合においては、帰国旅費を調達するに必要な協力等、帰国するための協力を行うこと。

カ 施設の所有者と地方公共団体等における、当該施設に係る転貸借の契約書等の写しを地方入国管理局に提出すること。

4 本特例措置により受け入れられる外国人に係る在留資格認定証明書交付申請の際に求める立証資料等は、第12編第31節を参照のこと。

5 地方公共団体からの報告等

(1)前記3のウからカまでに規定する報告等は、地方公共団体の所在地を管轄する地方入国管理局(当該所在地が横浜支局、神戸支局及び那覇支局の管轄区域である場合を除く。)又は支局(成田空港支局、羽田空港支局、中部空港支局及び関西空港支局を除く。)が受けることとする。

(2)前記(1)の報告等を受けることとなる地方入国管理局長又は支局長は、参考書式2により、特区の名称及び対象となる施設、当該特区において報告を受ける地方入国管理局又は支局の名称、担当部門、所在地及び連絡先並びに報告の時期及び方法を当該特区の認定を受けた地方公共団体の長に通知しなければならない。この場合において、一の特区が地方入国管理局の複数の管轄区域にまたがる場合には、あらかじめ本省入国在留課から指示するものとする。

6 その他

(1)特区認定後であっても、前記3の要件が満たされなくなる事案が発生した場合には、当該事案の発生した地方公共団体に対し、是正を求めること。また、当該特例を受けた者が失踪する事案(事業所を指定場所以外に移転し、事業を開始する前に地方公共団体が当該外国人の活動を把握できないこととなった場合を含む。)が生じた場合、本邦に入国後3月以内に事業を開始せず若しくは当該事業を開始しないこととなった者の帰国に支障が生じている場合等、当該特例措置の適用に問題があること又は当該是正の要求に地方公共団体が応じない場合には、特区法第8条に規定する措置の要求又は同法第9条第2項に規定する認定の取消しを行う必要も想定されるため、本省入国管理局総務課(企画官室)宛てに、特区の名称、要件不適合の詳細について報告すること。

(2)本邦に入国後、3月以内に事業を開始しなかったとして前記3のオの報告を受けた場合又は本邦に入国後、100日を経過しても前記3のエの事業を開始した旨の報告を受けなかった場合には、当該地方入国管理局又は支局において、在留資格取消しの手続を開始すること。

第2節 地域再生法関連

地域再生法(平成17年法律第24号。以下「再生法」という。)第4条第1項に基づき、政府における施策の推進を図るための基本的な方針として閣議決定された地域再生基本方針(平成17年4月22日決定、平成19年4月27日一部改訂)において、当局が特例措置を講じるものとして、「外国人研究者等に対する永住許可弾力化事業」及び「外国人研究者等に対する入国申請手続に係る優先処理事業」が地域再生計画と連動する施策として定められている。

これは、特区法に基づき構造改革特区において講じられていた「外国人研究者受入れ促進事業」及び「外国人情報処理技術者受入れ促進事業」が、平成18年5月の出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)の一部改正により全国展開され、構造改革特区における「特定事業等に係る外国人の永住許可弾力化事業」及び「特定事業等に係る外国人の入国・在留諸申請優先処理事業」の対象とならなくなったことから、新たに再生法に基づく当該事業に係る地域再生計画が認定された場合には、従前の構造改革特区と同様の取扱いを行うこととしたものである。

再生法に基づく前記事業に係る地域再生計画が認定された場合の入国・在留審査事務の取扱いは、以下のとおりとする。

なお、当該事業に係る再生計画が認定された場合には、当該再生計画を本省から地方入国管理局長・支局長宛てに通知し、また、当該認定を受けた地方公共団体名等を記載したリスト(特区計画・再生計画認定一覧表)を入管WANに掲載する。

第1 外国人研究者等に対する入国申請手続に係る優先処理事業

1 地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、特定活動告示36号又は37号に該当する活動を行う外国人及び当該外国人の扶養を受ける者(特定活動告示38号に該当するものに限る。)について、入国・在留諸申請を優先処理する特例措置を講ずる。

なお、本特例措置が認められる要件は、以下のとおりである。

(1)本支援措置の対象となる公私の機関が、地域再生計画の区域内に所在すること。

(2)前記(1)の公私の機関が、①「高度な専門的知識を必要とする特定の分野に関する研究の効率的推進又はこれに関連する産業の発展に資するものとして特定活動告示別表第六に定める要件に該当する事業活動を行う機関」若しくは②「情報処理(情報処理の促進に関する法律(昭和45年法律第90号)第二条第一項に規定する情報処理をいう。)に関する産業の発展に資するものとして特定活動告示別表第八に定める要件に該当する事業活動を行う機関」であること。

(3)本支援措置の適用を受けようとする外国人が、前記(1)で特定された公私の機関において、特定活動告示36号及び37号に該当する活動に従事するもの、又は特定活動告示38号に該当する活動に従事するものであること。

2 本支援措置の内容については、次のとおりとする。

(1)地方入国管理局、同支局及びこれらの出張所(空・海港のみを分担する支局及び出張所を除く。)においては、前記1の下線部分に該当する者に係る専用の申請窓口を設ける。

専用の窓口を設けることが困難な場合には、既存の申請窓口を併用することとして差し支えないが、再生法に係る外国人のための申請窓口であることが明確になるよう、表示板等を設置する。

また、専用窓口を設ける場合は、特区に係る外国人のための専用窓口と兼用して差し支えない。

(例)表示は、構造改革特別区域法・地域再生法関係申請窓口などとする。

(2)前記1の下線部分に該当する者に係る入国・在留諸申請(在留資格認定証明書交付申請、資格外活動許可申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請及び在留資格取得許可申請)があった場合は、前記(1)の申請窓口において、速やかにこれを受け付ける。

(3)(2)で受け付けた案件については、特に迅速な審査が行われるように、他の案件と区別して優先的に処理する。

第2 外国人研究者等に対する永住許可弾力化事業

1 地域再生計画において明示された同計画の区域内に所在する公私の機関において、特定活動告示36号又は37号のいずれかに該当する活動を行う外国人であって、当該事業において我が国への貢献があると認められる者について、永住許可の要件のうち、必要な在留実績を3年以上に短縮する措置を講ずることとする。

なお、本特例措置が認められる要件は、以下のとおりである。

(1)本支援措置の対象となる公私の機関が、地域再生計画の区域内に所在すること。

(2)前記(1)の公私の機関が、①「高度な専門的知識を必要とする特定の分野に関する研究の効率的推進又はこれに関連する産業の発展に資するものとして特定活動告示別表第六の各号に定める要件に該当する事業活動を行う機関」若しくは②「情報処理(情報処理の促進に関する法律(昭和45年法律第90号)第2条第1項に規定する情報処理をいう。)に関する産業の発展に資するものとして特定活動告示別表第八に定める要件に該当する事業活動を行う機関」であること。

(3)本支援措置の適用を受けようとする外国人が、前記(1)で特定された公私の機関において、特定活動告示36号又は37号のいずれかに該当する活動に従事するものであること。

2 本支援措置の内容については、次のとおりとする。

(1)前記1の下線部分に該当する者については、第12編第2章第27節第1の2(6)に当たるものとし、必要な在留実績については、引き続き3年以上本邦に在留していることで足りるものとする。

(2)前記1の下線部分に該当する者に係る永住許可申請に際しては、第12編第2章第27節第2に定める資料の提出を要するところ、同第2の3については、当該申請人に係る当該事業における業績及び我が国への貢献度が明らかになる資料を提出させる。

(3)本省への進達は、申請書、意見書及びその他関係書類を添えて個別に進達する。

第3節 定期報告

構造改革特別区域法及び地域再生法に基づく特例措置に係る定期報告は、地方入国管理局及び同支局において、1か月分の件数を管下出張所分についても取りまとめた上で、翌月の10日までに、別記第23号様式を使用し、入管WANにて本省入国在留課審査総括係宛てに報告する。

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