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外国人を適正にサポートし在留許可へ向けて実務をこなすビザ専門行政書士の私としては、入管側の内部基準も理解しておきたいものです。ここでは、2017年入管内部基準に記されている、在留資格以外の取消について詳しく記述します。
第1節 再入国の許可の取消し
第1 対象
既に再入国の許可を受けている者について、その有効期間中に、引き続きその許可を与えておくことが適当でなくなった場合で、その者が本邦にある場合に限り、再入国の許可を取り消す(入管法第26条第7項)。
引き続きその許可を与えておくことが適当でなくなった場合とは、出国中に我が国の外交上の利益その他の国益を害する行為を行ったことがあり、若しくは将来行うことが危惧され、又は現時点で再入国許可の申請を行ったとすれば再入国が許可されないであろうと認められるなど、再入国の許可を引き続き与えておくことが適当でないと認められる場合をいう。
なお、再入国許可を取得した後、在留資格該当性を喪失した外国人が上陸申請してきた場合は、入管法第7条第1項第1号及び第4号に適合しているかどうかを審査し、適合していると認定したときは上陸許可することとなる(第6編第2章第2節第4の6参照)。おって、再入国の許可を受けている外国人に対し、在留資格の変更を許可する場合において、引き続き再入国の許可を与えておくことが適当でないと認められるときは、第10編第4章第6節による。
第2 取消し手続
1 再入国の許可の取消しは、再入国の許可を与えた地方入国管理局長に限らず、その他の地方入国管理局長も行うことができる。
2 再入国の許可の取消しは、「再入国許可取消通知書」( 施行規則別記第44号様式)を交付するとともに、その者が所持する旅券に押された再入国許可の証印に失効( C A N C E L L E D )印を押印し、又はその者が所持する再入国許可書を返納させて行う。
この場合において、取消通知書を受領した者が出頭しないため許可証印の抹消又は再入国許可書の返納を実現することができないときは、出国の際など適宜の機会にこれを行う。
3 数次再入国許可の取消しと同時に新たな一次有効の再入国許可をするときは、処分取消通知書の交付と同時に新たな許可に係る再入国許可書の交付又は旅券等への証印を行う。
4 取消しを行ったときは、処理要領集に定めるところにより、「再入国許可取消しデータシート」を作成し、本省あて送付する。
5 再入国許可取消通知書を交付する際は、第10編第1章第4節第2の7の規定に準じ、取消対象者に対して取消訴訟の提起に関する事項の教示を行う。
第2節 数次入国査証の取消し
第1 在留資格の変更等に伴う取消し
地方局等又は出張所の長は、有効な数次入国査証を所持する外国人の在留資格を抹消したときは、当該外国人が所持する査証を取り消す。
第2 不許可処分に伴う取消し
1 本省への進達
地方局等の長は、有効な数次入国査証を所持する外国人からの在留審査関係諸申請について不許可の決定をした場合又は不許可意見を付す進達案件に関し、引き続き当該数次査証を所持させることが適当でないと判断する場合は、数次入国査証の取消しの可否について本省入国管理局長に進達する。
2 地方局等への進達
出張所の長は、専決により不許可処分とした案件又は不許可意見を付す進達案件に関し、引き続き当該査証を所持させることが適当でないと思料するときは、地方局等の長に数次入国査証の取消しの可否について進達する。
3 進達の方式
(1)専決案件
地方局等又は出張所の長は、専決することのできる案件に伴うものについては、進達に当たって次の事項を報告する。
- ア 国籍・地域、氏名、性別及び生年月日
- イ 入国・在留の目的
- ウ 処分の内容
- エ 取消しを必要とする理由
- オ 査証区分、番号及び入国目的
- カ 査証の有効期間
- キ 査証の発給公館名
- ク 査証の発給年月日
(2)進達案件
進達を要する案件に伴うものについては、当該案件に係る意見書の意見欄に「査証取消し進達」と付記するとともに、経緯記載欄に(1)のエからクに掲げる事項を記載する。
第3 取消手続
1 数次入国査証の取消しを行うときは、査証取消処分告知書を交付し、受領書を徴したうえ、旅券等の上の査証に失効(CANCELLED)印を押印するとともに、「外務大臣の依頼により上記に対する年月日(処分年月日)同大臣の取消処分告知書を交付した」旨記載するとともに、処分庁名印又は入国審査官認証印を押印する。
前記手続を了したときは、告知書番号、氏名、国籍・地域、生年月日、性別及び取消事由を記し、告知書(写し)、受領書(正本)及び取り消した査証頁(写し)を添えて本省入国在留課に報告する。同課は外務省あて当該告知書及び受領書等を転送する。
2 査証の抹消は、本人の出頭を求めて行う。