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この記事では定住者ビザを取得するための条件である「在留資格該当性」と「告示該当性」について解説します。
定住者ビザの場合は、「在留資格該当性」はシンプルなものであまり解説するところはありませんが、「告示該当性」については深く理解する必要があります。
「在留資格該当性」と「告示該当性」については、在留資格認定証明書や在留期間更新の一般要件をご確認ください。
外国人が取得したい在留資格が本当に取得できるのか否か、また要件に適合せずに取得できない場合は、日本での在留を諦めるのではなく他の在留資格の要件に適合するか否か、これらを考える上で実務上はまずこの「在留資格該当性」や「上陸許可基準」、「告示該当性」を正確に把握して検討を進めなければなりません。
定住者ビザについて法で定められた「在留資格該当性」と「告示該当性」の解説に進めます。
なお、定住者については告示に該当しない者であっても特別に在留を認める「告示外定住」というものが存在し、典型的には離婚定住や死別定住などがあります。これらについては個別記事において解説します。
定住者ビザの「在留資格該当性」
まず入管法別表第2に定める法文は下記の通りです。
法務大臣が特別な理由を考慮し一定の在留期間を指定して居住を認める者
法文の意義
定住者ビザは、他のビザに該当しないものの、特別な理由を考慮して居住を認めるのが相当である外国人を受け入れるために設けられたものです。
「法務大臣が~認める」とは、法務省による定住者告示によってあらかじめ定められています。
しかし、定住者ビザを得ることができるのは、告示に該当する者だけではありません。定住者告示をもって定める地位を有する者にはあたらないが定住者ビザを得るにふさわしい者とにも認められれば、「告示外定住」として認められます。
したがって、この記事では、告示定住者としてそれぞれの告示の内容についてと、これまでの告示外定住として認められた「告示外類型」について解説します。
定住者ビザの「告示適合性」
定住者ビザの告示内容について、基準省令の本文と1号~8号について、それぞれに分けて解説します。
告示1号・2号-第三国定住難民
告示1号・2号に定められている法文は下記の通りです。
一 タイ国内において一時的に庇(ひ)護されているミャンマー難民であって、国際連合難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要な者と認め、我が国に対してその保護を推薦するもののうち、次のいずれかに該当するものに係るもの
イ 日本社会への適応能力がある者であって、生活を営むに足りる職に就くことが見込まれるもの及びその配偶者又は子
ロ この号(イに係るものに限る。)に掲げる地位を有する者として上陸の許可を受けて上陸しその後引き続き本邦に在留する者の親族であって、親族間での相互扶助が可能であるもの
二 マレーシア国内に一時滞在しているミャンマー難民であって、国際連合難民高等弁務官事務所が国際的な保護の必要な者と認め、我が国に対してその保護を推薦するもののうち、前号イに該当するものに係るもの
この告示1号・2号は、ミャンマーからの難民で、タイやマレーシアに一時的に庇護されている者を、日本が「第三国定住」として受け入れる場合について定めたものです。
特殊な場面ですので解説は割愛します。
告示3号-日系二世
告示3号に定められている法文は下記の通りです。
三 日本人の子として出生した者の実子(前二号又は第八号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるものに係るもの
解説
「日本人の子として出生した者の実子」と規定されていますが、これは「日本人の実子の実子(日本人の孫)」というわけではありません。「日本人の配偶者等ビザ保有者の実子」を意味するものでもありません。
まず「日本人の子として出生した者」とは、出生時点で親が日本国籍を有していなければなりません。つまり、出生後に日本国籍を取得した場合の子は「日本人の子として出生した者」には当てはまりません。
次に「実子」とは、単なる血のつながりのある子であって、「日本人の子として出生した者」のように出生時点での親の国籍を考える必要はありません。
3世代に渡る規定なので、わかりやすく、祖父母-父母-子という形で解説しますと、従って、父母が生まれた時点では、祖父母が日本国籍である必要があり、子が生まれた時点では父母の国籍は問われません。
つまり、整理すると下記となります。
- 外国籍の祖父母が父母を生んだ後に帰化して日本国籍を有した場合、その父母の子 → 告示3号に該当しません。
- 日本国籍の祖父母が日本国籍を離脱した後に父母を生み、その父母の子 → 告示3号に該当しません。
- 日本国籍の祖父母が父母を生み、その父母が日本国籍を離脱した場合、その外国人となった父母の子 → 告示3号に該当します。
- 日本国籍の祖父母が父母を生み、その父母が日本国籍のままの場合、その父母の子 → 「日本人の配偶者等」に該当するので、あえて定住者ビザを選択する必要はありません。
よく日系1世・2世・3世で理解されている方もいますが、個人的にはこの考え方の方がわかりやすく感じております。
なお、告示1号・2号・8号に該当する方は、当該告示が優先されるので、3号には該当しません。
「素行が善良であるもの」についての詳細は後述します。
告示4号-日系三世
告示4号に定められている法文は下記の通りです。
四 日本人の子として出生した者でかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子(前三号又は第八号に該当する者を除く。)であって素行が善良であるものに係るもの
解説
「日本人の子として出生したでかつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるもの」とは、要するに「日本人が国籍離脱した場合」を意味します。
従って、元日本人で国籍を離脱した者の、実子の実子が告示4号に該当します。
告示4号の意義は、告示3号には該当しない「元々日本国籍を有する祖父母が国籍離脱をした後に、父母を生み、その父母が子を産んだ場合(告示3号の2.)」を捕獲するところにあります。
なお、告示1号・2号・3号・8号に該当する方は、当該告示が優先されるので、4号には該当しません。
告示5号-配偶者定住
告示5号に定められている法文は下記の通りです。
五 次のいずれかに該当する者(第一号から前号まで又は第八号に該当する者を除く。)に係るもの
イ 日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生したものの配偶者
ロ 一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者(第三号又は前号に掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者及びこの号に該当する者として上陸の許可を受けた者で当該在留期間中に離婚をしたものを除く。)の配偶者
ハ 第三号又は前号に掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者で一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留するもの(この号に該当する者として上陸の許可を受けた者で当該在留期間中に離婚をしたものを除く。)の配偶者であって素行が善良であるもの
解説
イ-日本人の子として出生した外国人の配偶者
まず、イの「日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生したもの」とは具体的にどのようなものかについて解説します。
通常、「日本人の子として出生した者」、つまり父または母が日本国籍を有する場合に生まれた子は、日本国籍を取得します。それにもかかわらず「日本人の配偶者等の在留資格をもって在留する者で日本人の子として出生したもの」に該当する場合というのは下記の2通りがあり得ます。
- 父または母が日本人でも、外国で子を出生した場合は、その国の法律によって二重国籍となり、さらに日本国籍を選択しなければ、子供は外国国籍となります。このように「日本人の子として出生」し、「外国籍」を持つ者が、日本で在留するために「日本人の配偶者等」ビザを取得した者ということになります。
- 日本人の子として出生した者が通常通り日本国籍を取得したが、その後自ら日本国籍を離脱し、外国籍となった後に、日本に在留するために「日本人の配偶者等」ビザを取得した者
そして上記2点の配偶者が告示5号イに該当することになります。
ハ-日系人の配偶者
次に先にハを解説しますと、ハは、1年以上の在留期間が指定されている告示3号定住者ビザ・告示4号定住者ビザを有する者の配偶者であって、素行善良要件を満たすものが該当します。
素行善良要件については後述します。
ロ-定住者の配偶者
最後にロは、ハを除く、1年以上の定住者ビザを有する者の配偶者が該当することになります。
告示6号-連れ子定住
告示6号に定められている法文は下記の通りです。
六 次のいずれかに該当する者(第一号から第四号まで又は第八号に該当する者を除く。)に係るもの
イ 日本人、永住者の在留資格をもって在留する者又は日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(平成三年法律第七十一号)に定める特別永住者(以下「特別永住者」という。)の扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
ロ 一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者(第三号、第四号又は前号ハに掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者を除く。)の扶養を受けて生活する当該者の未成年で未婚の実子
ハ 第三号、第四号又は前号ハに掲げる地位を有する者として上陸の許可、在留資格の変更の許可又は在留資格の取得の許可を受けた者で一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子であって素行が善良であるもの
ニ 日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
解説
イ-日本人・永住者の連れ子
イは、主に「日本人」「永住者」「特別永住者」の実子で、扶養を受ける未成年・未婚の者とされています。
未成年の定義については後述します。
「日本人」の実子
「日本人」の実子は通常、日本国籍を有する「日本人」または「日本人の配偶者等」ビザを有することになりますが、告示6号イの「日本人」は、外国人が帰化することにより日本国籍を取得した者を意味します。
つまり子が生まれた時点ではその者は外国人なので、子は日本国籍を有さないし、「日本人の配偶者等」ビザを取得し得ません。このような子を生んだ後に「日本人」となった者の、当該子が告示6号イに該当することになります。
「永住者」・「特別永住者」の実子
「永住者」や「特別永住者」の実子は通常、「永住者の配偶者等」ビザを有することになりますが、告示6号イは、「永住者」や「特別永住者」が外国で子を産んだ場合が該当します。
「永住者」等が再入国許可等により一時出国中に子を生んだ場合は、その子は「永住者の配偶者等」ビザを取得できないこととされており、その救済として告示6号定住者が認められます。
ロハ-定住者の連れ子
ロとハは共に、1年以上の在留期間が指定された定住者ビザを有する者の実子で、扶養を受ける未成年・未婚の者が該当します。
但し、告示3号定住者・告示4号定住者・告示5号ハ定住者の実子の場合は、素行善良要件を満たさなければなりません。
素行善良要件については後述します。
ニ-配偶者の連れ子
ニは文脈の区切りがわかりにくいので整理して説明します。
ニに該当する者は、下記のとおりです。
- 従属配偶者となる者が「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」のビザを有すること
- 本体配偶者が「日本人」「永住者」「特別永住者」「1年以上の定住者」であること
- 子が従属配偶者のみの子である事
- 3.が、1.又は2.の者の扶養を受ける、未成年・未婚の者である事
要するに、配偶者となる者が既に子を有していた場合に、その子が来日するためのビザということです。
留意点
「未成年」と「扶養」について
年齢は年々と積み重なっていきますが、来日時点で未成年であれば、その後の更新時に成年に達していても、そのことのみをもって不許可とはされません。来日後に結婚や就労することになっても同様です。
また国によっては18歳で成年に達する国があるように、各国の本国法によって青年到達年齢は異なりますが、本告示における「成年」は日本の法律に基づくものであって20歳未満の者が「未成年」となります。
但し「扶養される事」を条件としている事から、一般的に18歳を超えた者については、自活能力が備わっていると判断される傾向にあるところ、特に本国法において18歳でも成年に達した者の場合は特にその傾向が強くなります。
これまでに扶養していなかったのにも関わらず、ある程度の年齢になった子を、家計を助けるために来日させるような事は認められません。
申請のポイントとしては、これまでの実子の養育に係る経緯説明や、これからの日本での養育の必要性(高水準の教育を受けさせたい等)、また今後の養育計画等を申請理由書で説得的に主張すべきです。
また扶養されていなければならないので、合理的な理由なく同居していない場合には許可されません。
告示7号
告示7号に定められている法文は下記の通りです。
次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活するこれらの者の六歳未満の養子(第一号から第四号まで、前号又は次号に該当する者を除く。)に係るもの
イ 日本人
ロ 永住者の在留資格をもって在留する者
ハ 一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者
ニ 特別永住者
解説
「日本人」「永住者」「特別永住者」「1年以上の定住者」の6歳未満の養子が告示7号定住に該当します。
この養子には、特別養子も普通養子も含みます。
なお、「日本人の配偶者等」では普通養子は認められず、特別養子のみしか認められないこと、また「家族滞在」では年齢制限なく普通養子が認められるので、区別が必要です。
告示8号
告示8号に定められている法文は下記の通りです。
八 次のいずれかに該当する者に係るもの
イ 中国の地域における昭和二十年八月九日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年九月二日以前から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの
ロ 前記イを両親として昭和二十年九月三日以後中国の地域で出生し、引き続き中国の地域に居住している者
ハ 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律施行規則(平成六年厚生省令第六十三号)第一条第一号若しくは第二号又は第二条第一号若しくは第二号に該当する者
ニ 中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律(平成六年法律第三十号)第二条第一項に規定する中国残留邦人等であって同条第四項に規定する永住帰国により本邦に在留する者(以下「永住帰国中国残留邦人等」という。)と本邦で生活を共にするために本邦に入国する当該永住帰国中国残留邦人等の親族であって次のいずれかに該当するもの
(ⅰ) 配偶者
(ⅱ) 二十歳未満の実子(配偶者のないものに限る。)
(ⅲ) 日常生活又は社会生活に相当程度の障害がある実子(配偶者のないものに限る。)であって当該永住帰国中国残留邦人等又はその配偶者の扶養を受けているもの
(ⅳ) 実子であって当該永住帰国中国残留邦人等(五十五歳以上であるもの又は日常生活若しくは社会生活に相当程度の障害があるものに限る。)の永住帰国後の早期の自立の促進及び生活の安定のために必要な扶養を行うため本邦で生活を共にすることが最も適当である者として当該永住帰国中国残留邦人等から申出のあったもの
(ⅴ) 前記(ⅳ)に規定する者の配偶者
ホ 六歳に達する前から引き続き前記イからハまでのいずれかに該当する者と同居し(通学その他の理由により一時的にこれらの者と別居する場合を含む。以下同じ。)、かつ、これらの者の扶養を受けている、又は六歳に達する前から婚姻若しくは就職するまでの間引き続きこれらの者と同居し、かつ、これらの者の扶養を受けていたこれらの者の養子又は配偶者の婚姻前の子
解説
イ-狭義の中国残留邦人
イは狭義中国残留邦人に対して、定住者ビザを認める規定となります。
狭義の中国残留邦人に該当するためには下記のすべての要件を満たす必要があります。
- 昭和20年8月9日以後の混乱状況の下で中国から日本に帰国しなかった者
- 昭和20年9月2日以前から引き続き中国に居住している者
- 同日において日本国籍を有していたこと
ロ-狭義の中国残留邦人を両親とする者
ロは狭義中国残留邦人を両親とする者に対して、定住者ビザを認める規定となります。
協議の中国残留邦人を両親とする者に該当するためには下記のすべての要件を満たす必要があります。
- 昭和20年9月3日以後に中国で出生したこと
- 引き続き中国の地域に居住している者
ハ-施行規則に該当する中国残留邦人等
ハは施行規則に該当する中国残留邦人等に対して、定住者ビザを認める規定となります。
施行規則に該当する中国残留邦人等は第1条第1号・第1条第2号・第2条第1号・第2条第2号の4種類に区別されます。
第1条第1号に該当する者
第1条第1号に該当する者としてには下記のすべての要件を満たす必要があります。
- 昭和20年8月9日以後の混乱状況の下で日本に帰国しなかった者
- 昭和20年9月2日以前から引き続き中国に居住している者
- 出生の届出をすることができなかったために同日において日本国籍を有していなかった者
- 出生の日において日本国民として本邦に本籍を有していた者を両親とする者
第1条第2号に該当する者
第1条第2号に該当する者としてには下記のすべての要件を満たす必要があります。
- イに規定する狭義の中国残留邦人の母親を有する者
- 同日において日本国籍を有していた父親を有する者
- 父親に関しては同日以前から中国に居住していないこと
- 昭和20年9月3日以後に中国で出生したこと
- 引き続き中国の地域に居住している者
第2条第1号に該当する者
第2条第1号に該当する者としてには下記のすべての要件を満たす必要があります。
- 昭和20年8月9日以後の混乱状況の下で樺太地域から日本に帰国しなかった者
- 昭和20年9月2日以前から引き続き樺太地域に居住している者
- 同日において日本国籍または樺太国籍を有していたこと
第2条第2号に該当する者
第2条第2号に該当する者としてには下記のすべての要件を満たす必要があります。
- 第2条第1号に該当する者を両親とする者
- 昭和20年9月3日以後に樺太地域で出生したこと
- 引き続き樺太地域の地域に居住している者
ニ-法律に該当する中国残留邦人等と共に永住帰国する親族
ニは法律に該当する中国残留邦人等である本体人と共に、日本に永住するために帰国する親族に対して、定住者ビザを認める規定となります。
まず本体人Aとなる為には、イに規定する狭義の中国残留邦人、ロに規定する狭義の中国残留邦人を両親とする者である必要があります。
そして、その従属する親族が、本体人と共に日本に永住する目的をもって帰国し、かつ、本体人と生活を共にする場合に定住者ビザが認められます。
そしてその親族の範囲は下記の者が該当します。
- 本体人の配偶者
- 本体人の20歳未満の実子であって配偶者の居ない者
- 本体人またはその配偶者から扶養を受ける、本体人の相当程度の障害を有する実子でって、配偶者が居ない者
- 日常生活・社会生活に相当程度の障害があること
- 中国残留邦人から申出のあった55歳以上又は相当程度の障害がある実子で、扶養されることが適当と認められた者(下記すべてに該当する事)
- 5.に規定する者の配偶者
ホ-中国残留邦人等の養子または配偶者の連れ子
ホは中国残留邦人等の養子または配偶者の連れ子に対して、定住者ビザを認める規定となります。
中国残留邦人等の養子または配偶者の連れ子に該当するためには2類型の要件に該当する必要があります。
六歳に達する前から引き続き前記イからハまでのいずれかに該当する者と同居し(通学その他の理由により一時的にこれらの者と別居する場合を含む。以下同じ。)、かつ、これらの者の扶養を受けている、又は六歳に達する前から婚姻若しくは就職するまでの間引き続きこれらの者と同居し、かつ、これらの者の扶養を受けていたこれらの者の養子又は配偶者の婚姻前の子
類型①
下記のすべてに該当する中国残留邦人等の養子または配偶者の連れ子は定住者ビザが認められます。
- 6歳に達する前からイロハの中国残留邦人等と同居していること(通学その他の理由により一時的にこれらの者と別居する場合は認められる)
- イロハの中国残留邦人等から扶養を受けていること
類型②
下記のすべてに該当する中国残留邦人等の養子または配偶者の連れ子は定住者ビザが認められます。
- 6歳に達する前から婚姻・就職するまでの間引き続き、イロハの中国残留邦人等と同居していること
- イロハの中国残留邦人等から扶養を受けていたこと
素行善良要件について
一部の定住者告示においては、素行が善良である者のみについて定住者ビザを認める取り扱いになっております。
入国管理局の審査要領
この素行善良要件については、入国管理局の審査要領によると下記に該当しない者とされております。
- 日本国又は日本国以外の国の法令に違反して、懲役、禁錮若しくは罰金又はこれらに相当する刑(道路交通法違反による罰金又はこれに相当する刑を除く。以下閉じ)に処せられたことがある者。但し、懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑については、そのすべての刑の執行を終わり若しくは執行の免除を得た日から10年を経過し、又は、刑の執行猶予の言渡し若しくはこれに相当する措置を受けた場合で当該執行猶予の期間若しくはこれに相当する期間を経過したとき、また、罰金刑又はこれに相当する刑については、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から5年を経過したときは該当しないものとして扱う。
- 少年法による保護処分(少年法24条1項l号及び3号)が継続中の者
- 日常生活又は社会生活において、違法行為又は風紀を乱す行為を繰り返し行う等素行善良と認められない特段の事情がある者
- 他人に入管法に定める証明書の交付又は許可を受けさせる目的で不正な
行為を行った者又は不法就労のあっせんを行った者
審査要領の整理
1の文言についてはわかりにくいので少し整理したいと思います。
まず、日本国・外国の法令違反により、懲役・禁錮・罰金・これらの相当刑に処せられたことがある者が素行が善良でないとみなされます。
そして上記には下記の者が除外されます。
- 道路交通法違反による罰金・相当刑の場合
- 懲役・禁錮相当の刑の場合で、刑の執行が終わった日または刑の執行の免除を得た日から10年経過した場合
- 懲役・禁錮相当の刑の場合で、刑の執行猶予の言渡し(これに相当する措置を受けた場合も含む)を受けた者が、その執行猶予の期間(これに相当する期間)を経過した場合
- 罰金相当の刑の場合で、刑の執行が終わった日または刑の執行の免除を得た日から5年経過した場合
具体的事例と補足
例えば、交通事故による業務上過失致傷罪や廃棄物処理法違反罪による罰金刑をもって素行善良要件を満たさないとして不許可となる事例が多くあります。
日本に初めて来る外国人は母国の文化で生まれ育っていますので、日本での「正しい物の捨て方」というものを知らない方も多いと思われます。不法投棄は日本では廃棄物処理法違反罪に問われます。しかし外国人にとって、その行為は自国の文化では当たり前にしている事であって、不法という意識がない場合もあります。
しかしそのような事情は考慮されず、不許可となってしまう場合も多いです。従って、外国人を受け入れる方々や親族の方々が、日本の法律が如何なるものか適切に指導すべきだと私は考えます。
また、外国人の母国における犯罪歴については、犯罪経歴証明書や無犯罪証明書などの、その国の権限を有する機関が発行した犯罪歴あるいは犯罪歴がないことを証明する文書の提出を求めて行われます。
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