この記事では報道ビザを取得するための条件である「在留資格該当性」と「その他実務上の要件」について解説します。
「在留資格該当性」については、在留資格認定証明書や在留期間更新の一般要件をご確認ください。
外国人が取得したい在留資格が本当に取得できるのか否か、また要件に適合せずに取得できない場合は、日本での在留を諦めるのではなく他のビザの要件に適合するか否か、これらを考える上で実務上はまずこの「在留資格該当性」を正確に把握して検討を進めなければなりません。
そして「在留資格該当性」だけではなく、在留審査の中で行われている「その他実務上の要件」というものも非常に重要となります。
教授ビザについて法で定められた「在留資格該当性」と法にはない「その他実務上の要件」の解説に進めます。
報道ビザの「在留資格該当性」
まず入管法別表第1の2に定める法文は下記の通りです。
外国の報道機関との契約に基づいて行う取材その他の報道上の活動
用語の定義・解説
「外国の報道機関」とは
本社が海外にある下記の報道を目的とするような機関を意味します。
- 新聞社
- 通信社
- 放送局
- ドキュメンタリー映画会社
- 等
なお、民営の報道機関か、国営・公営の報道機関かは問われません。
日本に本社のある報道機関と契約して行う報道活動は、報道ビザに該当しません。(この場合は技術・人文知識・国際業務ビザが該当)
「契約」とは
「契約」には、雇用のほか、委任、委託、嘱託等が含まれます。また派遣契約や請負契約も含まれます。
従って、下記のジャーナリストが報道ビザ認められることとなります。
- 外国の報道機関に雇用されている者が、所属する報道機関からの指示により、報道活動を行うために日本に派遣された場合
- 特定の報道機関に所属せずに、フリーのジャーナリスト等として活動する者であって、外国の報道機関と契約を締結して、契約した報道機関の為に報道活動を行う場合
「取材その他の報道上の活動」とは
「取材」はあくまでも例示です。
具体的な対象者の立場としては下記のような方が該当します。
- 新聞記者、雑誌記者、ルポライター
- TVアナウンサー、ラジオのアナウンサー
- 報道カメラマン、報道カメラマン助手
- 編集長、編集者
考え方としては、社会事象を公に公開するために行う報道や取材、またそれらに必要な撮影・編集、放送に係る活動が含まれます。但し、あくまでも「報道」である必要があるので、テレビの芸能番組に関係するものは含みません。(この場合は興行ビザに該当)
他のビザとの境界
「短期滞在」と「報道」と「興行」
スポーツ選手など他のビザの方に同行し、短期間の取材を行う場合、短期滞在ビザに該当します。それが長期間に渡って行われる場合には、報道ビザもしくは興行ビザが該当します。
テレビの番組制作等に係る活動についても、期間により短期滞在ビザか興行ビザが該当します。
報道ビザか、興行ビザかの判断は取材内容が報道か芸能なのかに注意してください。報道なら報道ビザ、芸能なら興行ビザです。
「技術・人文知識・国際業務」と「報道」
外国に本社を置く報道機関との契約によって、日本国内で報道をする場合は報道ビザが該当します。
一方、日本に本社を置く報道機関との契約によって、日本国内で報道をする場合は技術・人文知識・国際業務ビザが該当します。
報道ビザの「その他実務上の要件」
報道ビザにも法に定められた在留資格該当性以外にも、実務上考慮される要件というものが存在します。
報酬要件
報道ビザをもって報道活動を行う場合は一定の報酬を得ることが必要です。どの程度必要かについては、報道活動が安定的・継続的に行え、かつ、日本での生活も安定的・継続的に行える程度の収入が必要です。