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この記事では、在留資格認定証明書や在留資格更新などの在留資格に関わる申請の審査で考慮する一般的な要件について解説します。

入国管理局の行う審査の考え方は申請の内容によって異なります。

 

上陸申請における一般要件

日本に上陸する流れについては、在留資格の手続きについて知るべき最も基本的な3つの事をご確認ください。

日本国に上陸しようとする外国人は、原則として、出入国港において入国審査官の上陸審査を受けなければなりません。但し、全て同様に審査されるわけではなく、通常に上陸する方・再入国許可をもって上陸する方というように審査する内容が異なります。

上陸者と審査内容

一般の上陸の場合は、①旅券の有効性、②査証の有無と有効性、③活動の真実性、在留資格外該当性・上陸許可基準適合性(告示該当性)、④在留期間の適合性、⑤上陸拒否事由該当の有無、を審査します。

再入国許可・みなし再入国許可・難民旅行証明書による上陸の場合は、①旅券の有効性、⑤上陸拒否事由該当の有無、を審査します。

さらに特別永住者が再入国許可・みなし再入国許可・難民旅行証明書による上陸をする場合は、①旅券の有効性、のみを審査します。

①旅券の有効性

ただ旅券を有している事が要件ではなく、「旅券が有効である」という事が要件とされていますので、どのような旅券が有効なのかを考えなければなりません。

旅券の有効要件

旅券が有効と認められる為には、次の全てに該当してなければなりません。

①旅券の種類に適合する事、②旅券名義人の氏名・性別・生年月日が記載されている事、③写真等により所持人と名義人の同一性を確認できる事、④有効期間内である事、⑤「旅券に代わる証明書」の場合は、渡航証明書を除き、旅券発行国・第三国への入国が保証されている事

有効な旅券の種類

有効な旅券の種類は下記のものが挙げられます。

  • 国民旅券(ナショナルパスポート)
  • 国際機関発行の旅券
  • その他旅券に代わる証明書

国民旅券とは、日本国政府が日本人に対して発行する旅券や、外国政府が自国民に対して発行する旅券を意味します。

国際機関発行の旅券とは、国籍を証明する能力を有しない者が条約上の国際機関から発行を受ける旅行文書を意味します。但し、全てが認められるわけではなく、日本が認める旅券は国際連合・その専門機関の職員に対し発給する国際連合通行証(レッセパッセ)等があげられます。

その他旅券に代わる証明書とは、主に「外国人旅券」と「日本国政府が発行する旅券に代わる証明書」の2つが挙げられます。

外国人旅券とは、日本国が承認した外国政府が自国民以外に発行する旅券を意味し、その国に居住する難民・無国籍者・その国以外の国籍を有するが本国旅券を所持しない者に対し発行されるものです。

日本国政府が発行する旅券に代わる証明書とは、日本人に発行する帰国のための渡航書や、外国人に発行する渡航証明書が挙げられます。また一定の場合には再入国許可証も旅券に代わる証明書になり得ます。

②査証の有無と有効性

日本に上陸する為には査証の有無と有効性が一つの要件とされています。つまりこれは、「一つの要件」を意味するものであって、有効な査証を有しているから必ず上陸できるわけではないことを意味します。

また再入国許可等による上陸ではなくとも、査証免除国の方が短期滞在を目的とする入国の場合は、査証は不要です。

但し査証免除国でも、査証取得勧奨措置国の方が査証を有さずに上陸申請する場合は、特別審理官に引き渡されれ厳格な審査がなされ、入国できないおそれがあります。

また、査証免除国でも特定の旅券に対してのみ査証免除の効果を持たせている場合もありますので詳しくは、下記サイトの注意書きまで詳しく確認してください。

外務省HP-ビザ免除国・地域(短期滞在)

 

③活動の真実性、在留資格外該当性・上陸許可基準適合性(告示該当性)

日本に上陸する外国人にとって、この「在留資格該当性」と「上陸許可基準適合性(告示該当性)」が最も問題なる項目だと思われます。

「活動の真実性」とは、申請に係る日本で行う活動が偽りのものでない事を条件として挙げています。

「在留資格該当性」とは、入管法の定める活動内容を意味します。日本に適法に在留する外国人は必ず一つの在留資格を有しており、その在留資格に定められた活動をしなければなりません。つまり、上陸審査において、当該外国人が「入管法に定められた活動を適正にする者かどうか」を審査されると考えてください。

「上陸許可基準適合性」とは、学歴要件・実務要件・素行要件・生計要件などを挙げており、簡単に言えば上記の在留資格に定められた活動をするにふさわしい外国人かどうかを確認するための基準です。例えば、これまでにコックとしての実務経験もないのにも関わらず、いきなり日本でコックになるために「技能」の在留資格を申請するという事は認められません。なおこの上陸許可基準は、一部の在留資格のみに定められているものなので、上陸許可基準が無い在留資格を申請したい方は、この要件に該当する必要はありません。

カッコ書きの告示該当性とは、上陸許可基準適合性と同様の考えの基準とお考えください。この告示該当性は「特定活動」「定住者」のみに定められた要件であり、これらの在留資格を認定される為には告示に該当する必要があります。但し、上陸許可基準は入管法に定められた法要件であることに対して、告示は法よりも下位のものなので、強制力としては若干弱まるものとも考えられています。

在留資格認定証明書を持たずに上陸審査をする場合は、必要な書類をこの段階で提出しなければなりません。明らかに許可案件なら書類が欠けていてもよい場合があります。

この在留資格認定証明書は、上陸事前審査という意味を有しますので、在留資格認定証明書がある場合は、事情変更が無ければこれらの「活動の真実性」・「在留資格該当性」・「上陸許可基準適合性(告示該当性)」に該当するものとして扱われます。

但し在留資格認定証明書交付時点において、適合していない事実が発覚したら、在留資格認定証明書の交付自体を取消され、在留資格認定証明書を持たないものと扱われます。

④在留期間の適合性

この要件については、あまり考えなくて構いません。この要件の意味は、例えば外国人入国記録に記載した滞在予定期間が在留資格の最長期を超えており、さらに指摘されても補正しないような場合が該当します。

⑤上陸拒否事由に該当する事の有無

過去に不法な滞在をした、犯罪を犯した等があった場合は、その外国人は上陸拒否事由に該当する場合があります。

上陸拒否事由に該当する外国人は、定める上陸拒否期間は基本的には日本に上陸できませんので、これに該当するかどうかを審査されます。

なお、上陸拒否事由に該当する場合でも、特別な事情が認められれば上陸を許可される上陸特別許可や上陸拒否の特例というものがあります。

 

在留資格認定証明書における一般要件

在留資格認定証明書は、日本の出入国で上陸申請する前に、事前に審査を受ける「上陸事前審査」という意味を有しています。

従って、上記の上陸申請における一般要件と同一の内容を審査されます。

在留期間更新申請における一般要件

在留期間満了前に、日本に在留する外国人は在留期間更新許可申請をしなければなりません。そして申請された在留期間更新に対して、入国管理局は下記の内容を審査します。

  • 在留資格該当性
  • 相当性

在留資格該当性については上記で解説した通りです。以下「相当性」について解説します。

相当性

相当性とは言い換えれば、その外国人が「在留期間を更新すべき相当の理由があるかどうか」という事を意味します。

この「相当性」という言葉は、少しあいまいだと感じる方も多いと思います。それはそのとおりであり、審査条件を厳格にせずに、判断の幅を持たせております。専門用語でいうと「行政裁量の幅の広い審査」ということになります。

この「相当性」の判断においては、様々な事が審査され、例えば下記のようなことが考慮されます。

  • 素行が不良でないこと
  • 納税義務を履行している事
  • 住居地の届出その他届出・申請に係る義務を履行している事
  • 独立して生計を維持する事が可能である事

これらの一つでも欠ければ「相当性」が無いとされるわけではなく、外国人の諸般の事情を鑑みて総合的に判断されます。

さらに加えて、上陸許可基準や告示該当性も考慮されます。この上陸許可基準や告示該当性に該当する事は、上陸するための条件であって、更新においては、法に定められた要件という位置づけではありません。しかし上陸許可基準や告示該当性は「外国人が在留資格に定められる活動にふさわしいかどうかの基準」を意味するものなので、結果的に「相当性」を判断する上で大きくかかわってきます。

但し、上陸許可基準に定められた年齢制限や収入制限などの可変的なものについては、上陸時点に要件を満たせば、その後の更新にあたっては適合しなくても良い場合もあります。

在留資格更新申請における一般要件

在留期間更新申請における一般要件と同一です。

 

 

 

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