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「在留資格更新をせずに放置してしまい、不法滞在となってしまった・・」

そのような事にならないように、在留資格更新・在留期間更新許可申請書について少し知っていきましょう。

この記事では、在留資格更新に向けて理解するべき4つの内容について解説します。その4つの内容は下記のとおりとなっていますので、興味のある方はこのまま読み進めてください。

  • 在留資格更新とは
  • 在留資格更新が認められる条件は何か
  • 在留資格更新許可申請の方法
  • 在留資格更新が不許可となった場合の対処

また、下記キーワードについても気になった方はこのまま読み進めてください。

  • ビザ(在留資格)とは
  • ビザと在留資格の違い
  • 在留期間更新許可申請の流れ
  • 特別受理と在留特別許可

在留資格更新とは

すべてビザ(在留資格)には在留期間が決められています(「永住者」ビザを除く)。そのビザ(在留資格)に認められた在留期間を超えて引き続き日本に在留(滞在)したいという場合には、在留資格更新を申請する必要があります。

在留資格更新を申請するとは、正確には在留期間更新許可申請書を入国管理局に提出するということです。英語では「Permission to Extend Period of Stay」と表記され、またビザ更新と呼ばれることもあります。

「ビザと在留資格の違い」について知りたい方は、在留資格の手続きについて知るべき最も基本的な3つの事ービザ(査証)と在留資格の違いにアクセスしてください。また「ビザ(在留資格)とは何か」について知りたい方は、ビザ(在留資格)の手続きについて知るべき最も基本的な3つの事ー在留資格とはにアクセスしてください。

在留資格更新をする必要性が発生する場面は、下記のようなものが想定されます。

  • 在留期限が近づいているが、引き続き日本に在留したい。
  • 雇用している外国人の在留期限が近づいているが、引き続き雇用したい。

在留期間とは

27種類あるビザ(在留資格)にはそれぞれに複数の在留期間が規定されており、外国人の状況に合わせて法務大臣がひとつの在留期間を指定します。

例えば「技術」ビザなら、5年・3年・1年・3ヵ月という在留期間が規定されており、在留資格を初めて付与したときや在留資格更新をした時に、法務大臣がその外国人の在留歴や私生活での行動等を考慮して、いずれかの在留期間を指定します。

初めてビザ(在留資格)を付与される場合は短い期間となることが多いですが、何度も更新していくにつれて長い期間が付与されます。しかしその外国人の素行に問題があれば、短い在留期間が指定されたり更新が不許可となる場合もあります。

素行が悪いとは例えば下記のような場合です。

  • 留学生として日本に在留しているのに、授業の成績・出席率が悪い
  • 日本人の配偶者として日本に滞在しているのに、同居していない
  • 就労をするために日本に滞在しているのに、仕事を辞めている。または、転職が頻繁である。
  • 与えられた在留資格に認められている活動以外の資格外活動を黙って行っている
  • 納税義務を果たしていなかったり、犯罪をした場合

在留資格更新が不許可になるということは、外国人の方が日本に在留することが出来ないということなりますので、私生活から注意することを心がけるようにしましょう。

ビザ(在留資格)の種類と詳細について詳しく知りたい方は、日本の在留資格・ビザについての全27種類とその内容までアクセスしてください。

また、転職したことによって次の在留資格更新が認められるかどうかが不安な方は、就労資格証明書について知っておきたい3つの事-転職後の在留期間更新不許可を未然に防ぐ方法を一度ご確認ください。事前審査をしてもらえる方法です。

在留期間更新とは

在留資格更新が認められる条件は何か

在留資格更新が許可されるかどうかについて明確な基準はありません。

その外国人の状況を考慮して法務大臣がOKと言えば在留期間が更新できるし、ダメと言えば期間を更新できません。要するに法務大臣の自由裁量です。

しかし、法務大臣もこの外国人は苦手だから不許可、好感を持てるから許可などというような非人道的なことはしません。法務大臣がその外国人の活動内容・在留の状況・在留の必要性などを総合的にかつ公平に考慮して判断します。

法務省HP-在留資格の変更,在留期間の更新許可のガイドライン-にどのような内容を考慮するかについてのガイドラインが公表されています。

簡単に説明すると法務大臣は外国人について下記の内容を考慮します。

  • 更新後に行う活動が、その在留資格の活動と合致しているか。(必須)
  • 上陸許可基準に適合しているか(必須)
  • 素行に問題がないこと
  • 金銭的に余裕のある生活ができるか(世帯単位での収入)
  • 仕事は適切にしているか(労働関係法規に適合していることも含めて)
  • 納税義務を果たしているか
  • 入管に関わる届出義務を果たしているか

上記の全てを満たしても、特別な事情があれば不許可になる場合もあります。また一部を満たさなくても許可になる場合もあります(必須項目は必要)。

ビザ(在留資格)の種類によって認められた活動内容について詳しく知りたい方は、日本の在留資格・ビザについての全27種類とその内容にアクセスしてください。また各在留資格の上陸許可基準(在留資格の付与条件)について詳しく知りたい方は、日本の在留資格・ビザについての全27種類とその内容-在留資格が認定される条件-上陸許可基準にアクセスしてください。

在留資格更新許可申請の方法

在留期間更新許可申請の方法について基本的な事項を解説します。

在留期間更新許可申請の手続きの流れ・申請者・許可までの期間・申請先・手数料・必要書類・申請時期について知りたい方は読み進めてください。

在留資格更新に関する申請手続きの流れ

在留期間更新許可申請を入国管理局にする(申請受理票が交付されます)
在留期間更新許可通知のはがきが送付される(送付まで約1週間程度)
はがきと旅券(パスポート)を入国管理局に持参(旅券に証印を押してくれます)

不許可の場合は、在留資格更新が不許可となった場合の対処をご確認ください。

在留資格更新の申請者

1.外国人本人
2.代理人
  • 申請人本人の法定代理人です。
  • 法定代理人とは、外国人本人が未成年なら、その親。被補助人なら補助人です。
3.申請取次者(本人や代理人が日本に滞在している場合に限られる)
  • 本人から依頼を受け、本人や代理人の代わりに申請を提出できる者です。
  • 申請取次者は、弁護士・行政書士・特定機関の団体や職員、親族や同居者やそれに準ずる者です。
  • 弁護士と行政書士は申請を取り次ぐ事が出来る資格を有する者のみです。
  • 特定機関の団体や職員とは、外国人本人が働いている機関の職員、外国人本人が研修を受けているその研修機関の職員と団体、外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員で、地方入国管理局長から申請取次の承認を受けている者
  • 親族や同居者やそれに準ずる者が出来るのは、外国人本人が16歳未満か、疾病により自らが出頭できない場合のみです。

在留資格更新許可が下りるまでの期間

標準処理期間は2週間~1か月です。

在留資格更新に関する申請書の提出先

外国人が住む場所を管轄する地方入国管理局。

入国管理局のHP-組織・機構-にて地図から検索できますので、そちらで「管轄又は分担区域」をご確認ください。

在留資格更新に係る手数料

許可時に4,000円が必要。

収入印紙にて支払います。

在留資格更新時の必要書類

  • 在留期間更新許可申請書
  • 写真(写真の規格については、法務省HP-在留資格取得許可申請-をご確認ください)
  • 在留カードもしくは外国人登録証明書(交付を受けている者のみ)
  • 在留カードの写しもしくは外国人登録証明書の写し(外国人本人が申請する場合以外のみ)
  • 資格外活動許可書(許可書を取得している方のみ)
  • パスポートまたは在留資格証明書(提示できないときはその理由書
  • 身分を証する書類(申請取次者が申請する場合のみ)
  • 日本での活動内容に応じた資料

日本での活動内容に応じた資料は、在留資格の種類によって場合分けされています。詳しくは、法務省HP-日本での活動内容に応じた資料【在留期間更新許可申請】-から、各在留資格に従ってご確認ください。

また、法務省HP-在留期間更新許可申請-から、申請書様式のダウンロードができます。

在留資格更新の申請時期について

原則

在留資格更新許可の申請は、在留期間が満了する3か月前から受け付けています。

遅くとも在留期限当日までは申請を受け付けてもらえますが、更新申請は即日許可とはなりませんので、在留期限ギリギリの申請はどうしても在留期限を過ぎてしまいます。

しかし「在留期間の特例」という制度があり、申請さえ受け付けてもらえれば在留期間の満了日から2か月を経過する日までは適法に在留することができます(ただし有している在留資格に認められた在留期間が30日の方は特例が認められません。)。そしてこの期間内に入国管理局側で許可か不許可の審査をすることになります。

特別受理-やむを得ず申請ができなかった場合

やむを得ず申請期間が過ぎてしまった場合は、本人にやむを得ない理由があり、かつ在留資格更新許可がある程度の確実性が見込まれる場合は特別に受理してくれます。

やむを得ない理由とは病気や災害等の事であり、忘れていたなどの事情は認められませんのでご注意ください。

在留特別許可

忘れていたなどの理由で申請すべき期間が過ぎてしまったような、本人に問題がある場合は特別受理が認められることは困難です。

その場合に在留特別許可を申請します。

在留中の生活が良好であることや、過ぎてしまった在留期間の日数が短い等の事情があれば認められることもあります。

在留特別許可について詳しく知りたい方は、在留特別許可について理解するべき4つの基本にアクセスしてください。

在留特別許可が認められない場合は次にご紹介する「在留資格更新が不許可となった場合の対処」をご確認ください。

在留資格更新の方法

在留資格更新が不許可となった場合の対処

在留資格更新が不許可となってしまった場合の流れと、不許可の場合の残された手段について説明します。

まず、在留資格更新の申請が不許可となった場合、下記の流れで手続きが進みます。

在留資格更新不許可の決定
申請人に出頭を求める
在留資格更新不許可の通知書を手渡されて、出国の意思確認をされる
申請者が申請内容変更申出書を提出(※1)
在留資格「特定活動」が付与され、在留期間は1ヵ月であり、就労できない事を条件として、日本に在留することを継続出来ます。

※1 申請内容変更申出書とは、元々していた在留期間更新許可申請を在留資格変更許可申請に変更する旨を申し出る書類です。在留資格変更の内容は、出国準備を目的とする「特定活動」の在留資格へ変更するという事です。

なお出国の意思確認をOKしない場合や、申請内容変更申出書を提出しなかった場合は、強制送還(退去強制)という最悪の事態に進んでしまいます。(強制送還により出国した場合、以後5年間は日本へ来ることが出来ません。)出国意思はなくとも、この時点ではOKしておきましょう。

そして特定活動者として日本に在留することになってからの行動のとり方が下記となります。

  • 「特定活動」から他の在留資格へ在留資格変更許可申請をする
  • 在留資格更新についてもう一度再申請をする
  • 一度帰国して、もう一度日本に入国する
  • 在留特別許可を申請する
  • 処分を不服として、裁判所に訴える

ただし一度不許可となった案件を覆すことは簡単ではなく、困難な状況の中で残された対処法としてこれらの方法が残されているという事をご理解ください。

それぞれについて詳しく説明します。

「特定活動」から他の在留資格へ、在留資格変更許可申請をする

更新が許可されなかった元々有していたビザ(在留資格)とは異なる、他のビザ(在留資格)が認められる場合もあります。

例えば技術者として働いている「技術」ビザを持つ外国人が日本人と結婚している場合なら、「日本人の配偶者等」ビザに変更する申請をすべきでしょう。

また「家族滞在」というビザ(在留資格)も、特定の場合には変更できます。

このように、他のビザ(在留資格)の付与条件を確認して他のビザ(在留資格)に変更することができる場合は、在留資格変更許可申請をすることが最良の方法でしょう。

在留資格更新についてもう一度再申請をする

入国管理局が一度不許可を出したにもかかわらず、再申請を受けて許可を出すということは滅多にありません。更新が不許可となった理由を確認し、「こういう事情があるんだ」と強くアピールする必要があります。

可能性の高くない方法ですが、許可を得る可能性として0ではありませんので、一度検討すべきだと私は思います。

一度帰国して、もう一度日本に入国する

一度帰国してもう一度日本に入国するということは具体的に言うと、帰国後にビザを取り直して、入国審査で上陸許可され、新たに在留資格を付与されるという事です。

在留資格認定と在留資格変更・更新では、許可条件が異なりますので、再申請か一旦出国するかのどちらが良いかは、案件によって異なります。

在留特別許可を申請する

在留特別許可とは、強制送還が人道上問題があるような場合に、在留を認められる特別な許可です。

詳しくは、在留特別許可について理解するべき4つの基本をご確認下さい。

処分を不服として、裁判所に訴える

法務大臣である行政の処分に不服がある場合、行政事件訴訟法上は取消訴訟ができます。取消訴訟とは行政が下した処分を取り消すことを裁判所に訴える事です。

この方法は可能性も低く、さらにリスクもある方法です。

法律上は在留に関する不許可処分は法務大臣の自由裁量による事とされています。法律で決まっている以上裁判所は口を出せないのが実情です。

勝訴の可能性は、法務大臣が明らかに勘違・事実誤認をしているなどの事情がある場合に限られるかと思われます。

さらに裁判に訴えた場合は相当期間の日数が必要なので、裁判の判決が出る頃には「特定活動」の在留期間は過ぎていることでしょう。もし敗訴すれば訴えた時点に遡って更新不許可となり、その時には「特定活動」の在留期間も過ぎているので強制送還となってしまいます。

従って、裁判所に訴える場合は慎重に判断すべきだと考えます。

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