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在留資格認定証明書制度とは

在留資格認定証明書制度は、入管法第7条の2に定められています。

短期滞在ビザ・永住者ビザを除くビザ(在留資格)について、新たに日本に上陸しようとする外国人・代理人からあらかじめ申請があった場合に、その申請内容を審査され、許可と判断された場合には在留資格認定証明書が交付されることになります。

許可される条件として、①外国人が日本で行おうとする活動が虚偽ではないこと、②入管法に定める活動・身分を有すること、③法務省令で定める上陸許可基準適合性に適合すること、の3点が要求されています。

その在留資格認定証明書を取得することによって、①外国人の本国における査証審査と、②空港等における上陸審査がスムーズに進むようになります。

通常、本国の在外公館で査証を取得した外国人は、出入国港にて上陸許可を受けなければ本邦に上陸することはできません。つまり、①本国における査証審査と②日本出入国港における上陸審査の、ダブルの審査を受けなければならず、その結果、査証審査をクリアしているにもかかわらず上陸審査で不許可となる可能性もあります。

このような、査証審査と上陸審査の両者の調整を図るために、事前に在留資格認定証明書を取得していれば、①の査証発給の可否について、在外公館を管轄する外務省と日本の入国管理局が事前協議を行うことで、本国における査証審査が迅速化されます。

さらに①の査証を取得すれば、日本の出入国港で上陸審査を受けることになりますが、既に日本で事前の在留資格認定証明書の申請時に審査を受けていますし、本国でも査証審査を受けているので、上陸審査でもスムーズな手続きが期待できます。

外国人が新たに日本に入国する場合は、観光・知人訪問・短期商用等の短期滞在ビザを除き、在留資格認定証明書を取得する流れをほとんどの場合です。

申請について

申請できる方

下記の方が申請できます。

  • 申請本人
  • 代理人文は申請本人の法定代理人
  • 申請取次者

提示書類及び提出書類

提示書類

申請本人が申請する場合

旅券・在留カードが必要です。

代理人文は法定代理人が申請する場合

代理人又は法定代理人となる要件に適合する者であることを証する書類が必要です。

例えば、身分証明書、健康保険証、戸籍謄本等をいいます。

「経営・管理」ビザの場合は、「事業所の設置を委託した者」が代理人となれるという規定があり、代理人であることを証明する書類として、委託契約書が必要です。

申請取次ぎの場合

申請取次者証明書、または、届出済証明書が必要です。

提出書類

申請書

申請書は、申請本人1人につき1通提出します。ビザの種類によって、申請人等作成用・所属機関等作成用・扶養者等作成用が合計3枚から6枚の一組となっています。各申請書様式の裏面に「記載上の注意」が書かれていますので注意しましょう。

写真

提出日前6か月以内に撮影されたものを提出するようにしましょう。サイズは縦4センチメートル,横3センチメートルです。また、無帽で正面を向いたものである必要がありますが、宗教上文は医療上の理由によって着用物がある場合は、その着用の理由を書いた陳述書を提出します。要件に適合しない写真を提出した場合は、後日新たに提出が求められます。

立証資料

立証資料は、ビザに応じて施行規則別表第3に規定されているものを提出します。

扶養者と被扶養者の同時申請のような場合は、立証資料の内容が共通するものである場合は連名で差し支えありません。

また、過去の申請において提出した立証資料を転用する場合は、どの申請のどの書類かを特定したうえで願出書を提出することで認められます。但し、過去の立証資料の有効期限が切れているような場合は認められません。

立証資料が外国語で記載されている場合は、日本語訳文の添付が求められます。但し、英語で記載されている場合は日本語訳なしで認められる場合もあります。入管の取り扱い上は英文であって下記の場合は日本語訳は不要としています。

  • 過去に訳文添付の上提出された資料と同一の資料
  • パンフレット等一般に英語で作成の上配布されている資料
  • 在職証明書、卒業証明書、法人登記簿謄本、雇用契約書など定型的な文書であって、専門的知識を必要とする用語や内容を含まない資料

また、立証資料は同一のビザであっても申請者や所属機関によってカテゴリー分けされており、そのカテゴリーによって立証資料が異なります。例えば、技術・人文知識・国際業務ビザの場合は、申請者が所属する予定の機関の規模(職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表)によって、4つのカテゴリー分類がされています。

また立証資料に卒業証明書と記載されている場合で、本年度に卒業予定の場合は、卒業証明書は提出できないので卒業見込み証明書で受付される取り扱いです。但し、①卒業見込み年月日と②履修・専攻科目が明示されている必要があります。

海外の大学における卒業見込証明書自体の発給要件が明らかではないので、①②の明示が求められます。

その他

法務省HP等で提出書類の一覧表が載っていますが、「~証する文書」と「~明らかにする資料」という文言があります。

「~証する文書」とは、第三者が客観的な立場で作成するような公正な書類と認められるものです。必ずしも公的な機関からの証明に限るものではありません。

一方、「~明らかにする資料」とは、申請者自身が作成した履歴書等のことをいい、その点で「~証する文書」とは異なります。

審査について

審査は申請内容の真実性、在留資格該当性、基準省令に規定する上陸許可基準適合性、上陸拒否事由の有無を見て判断されます。

申請された書類のみでは判断がつかない場合は、期限を定めて追加書類が求められます。もし追加書類に応じない場合は、既に提出された書類のみで判断されます。

さらに書類の審査の後、実態を把握する必要があると判断された場合は、実態調査が行われます。

実態調査の手法としては、電話や面談、実地調査などがあります。

処分について

交付(許可)と判断された場合、申請人もしくは申請取次者の出頭を求めて交付する場合と、申請人もしくは申請取次者に対して郵送する場合があります。

不交付(不許可)と判断された場合は、申請人もしくは申請取次者に対して、在留資格認定証明書不交付通知書を郵送又は直接交付をする場合があります。

不交付の場合の理由提示については、該当すべきであった法要件と不交付の根拠となる事実について記載されます。特に不交付の根拠となる事実については、申請人が内容を確認し、環境・事情を改めて再申請する場合には理解しておかなければならないので重要な事項です。

実際に入国管理局の在留審査要領に記載されている不交付根拠の記載例を紹介します。

全般
  • 本邦に上陸しようとする外国人の過去の入国・在留状況から申請内容に信ぴょう性があるとは認められません。
  • 提出資料の記載内容「〇〇」に矛盾が認められ,申請内容に信ぴょう性があるとは認められません。
宗教
  • 派遣機関が外国の宗教団体とは認められません。
報道
  • 申請に係る活動は,報道上の活動とは認められません。
経営・管理
  • 行おうとする事業を行うために必要な設備が整っているとは認められません。
  • 事業所として使用する施設は個人の住居用のものであり,設備,使用状況から見ても本邦に事業所が確保されているとは認められません。
  • 在職中の職員のうち〇名は非常勤であり、常勤職員2名以上が従事して営まれている規模のものとは認められません。また,資本金の額又は出資の総額が500万円以上であるとも認められません。
  • 申請に係る本邦において行おうとする活動は事業の管理に従事するものと認められるところ,事業の経営又は管理について3年以上の経験があるとは認められません。
医療
  • 活動を行おうとする機関は,医療機関(又は薬局)とは認められません。
技術・人文知識・国際業務
  • 従事しようとする業務が自然科学の分野若しくは人文科学の分野に属する知識を必要とする業務,外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務のいずれにも該当するとは認められません。
  • 従事しようとする業務は, 他の在留資格(教育)に該当する活動であると認められ,かつ同在留資格に係る,出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める省令の法別表第一のこの表の教育の項の下欄に掲げる活動の項の下欄第1号イに適合しません。
  • 報酬は「〇〇」であり, 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上とは認められません。
  • 従事しようとする業務について,これに必要な技術若しくは知識に係る科目を専攻して大学を卒業し若しくはこれと同等以上の教育を受けているとは認められません。
  • 従事しようとする業務について, 10年以上の実務経験を有しているとは認められません。
企業内転勤
  • 本邦に事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員とは認められません。
  • 転勤先が「本邦にある事業所」であるとは認められません。
  • 「期間を定めて」転勤するとは認められません。
  • 本邦にある事業所に転勤するとは認められません。
  • 報酬は「〇〇」であり, 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上とは認められません。
  • 従事しようとする業務について,これに必要な技術若しくは知識に係る科目を専攻して大学を卒業し若しくはこれと同等以上の教育を受けているとは認められません。
  • 従事しようとする業務について, 10年以上の実務経験を有しているとは認められません。
興行
  • 申請に係る活動は興行に係る活動又はその他の芸能活動のいずれにも該当するとは認められません。
  • 出演先は、「興行」に係る活動を行うことができる設備を有しているとは認められません。
  • 招へい機関の過去の活動状況から見て本邦において行おうとする活動が興行に係る活動文はその他の芸能活動とは認められません。
  • 出演先の過去の活動状況から見て本邦において行おうとする活動を行うことが主たる活動であるとは認められません。
  • 2年以上の外国における経験を有するものとは認められません。
  • 出演する施設は,風営法に規定する営業を営む施設であるところ,専ら客の接待に従事する従業員が5名以上いるとは認められません。
技能
  • 従事しようとする業務は,熟練した技能を要する業務とは認められません。
  • 料理の調理又は食品の製造に係る技能で外国において考案され我が国において特殊なものについての実務経験を有しているとは認められません。
  • 実務経験を10年以上有するとは認められません。
文化活動
  • 申請に係る活動は,学術上の活動,芸術上の活動,我が国特有の文化若しくは技芸について専門的な研究を行い文は専門家の指導を受けてこれを修得する活動のいずれにも該当するとは認められません。
留学
  • 過去の出入国歴・経歴(学歴を含む。)から見て,大学等の教育機関において教育を受けることが主たる活動とは認められません。
  • 生活費用を支弁するための十分な資産,奨学金その他の手段を有しているとは認められません。
  • 経費を支弁しようとする者の所得からみて,確実な経費の支弁手段を有するとは認められません。
研修
  • 受入れ機関の過去の研修生受入状況から見て,提出された研修計画に従って研修が実施されるとは認められません。
  • 過去の出入国歴から,本邦において研修を受けることが主たる目的とは認められません。
  • 修得しようとする技術,技能文は知識が同一の作業の反復のみによっては修得できないものとは認められません。
  • 帰国後本邦において修得した技術,技能文は知識を要する業務に従事することが予定されているとは認められません。
  • 修得しようとする技術,技能又は知識が,住所を有する地域において修得することが不可能又は困難なものであるものとは認められません。
家族滞在
  • 「〇〇」の在留資格をもって在留する者の扶養を受けて生活するとは認められません。

再交付について

交付を受けた在留資格認定証明書が、①き損・汚損、②紛失・滅失があった場合は、在留資格認定証明書を再交付してもらえます。

①のき損・汚損の場合は、不具合のある在留資格認定証明書が残っているので、それと交換という形で新しい在留資格認定証を交付してもらいます。

一方②の紛失・滅失の場合は、在留資格認定証明書が消えてなくなっているので、交換という方法は採ることができず、新たな申請を行わなければなりません。但し、立証資料については以前提出した書類を転用できるので手続きの負担はそれほど大きくありません。

取り消しについて

在留資格認定証明書を交付した後に、申請時において申請人が在留資格認定証明書を受ける要件に適合していないということが判明した場合に、在留資格認定証明書交付の取り消しが行われます。

在留資格認定証明書取消通知書により通知を受け、出頭もしくは郵送により当該在留資格認定証明書を返納させられます。

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