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外国人の方も日本で生活するのであれば、日本に税金を支払わなければなりません。

しかし外国人の方の中には、税金を減らすことができるにも関わらず、それを知らずに余分に払っている方もいます。

そうならない為に、外国人にかかる日本の税金について少し知っていきましょう。

この記事では、外国人が知っておくべき3つの税金について解説します。下記のとおり5つの主題となっていますので、興味のある方はこのまま読み進めてください。

  • 日本の税金制度
  • 外国人の所得税
  • 外国人の所得税控除
  • 外国人の住民税
  • 外国人の相続税

また、下記キーワードについても気になった方はこのまま読み進めてください。

  • 間接税と直接税
  • 居住者と非居住者
  • 外国人の扶養控除
  • 租税条約と外国税額控除

 

日本の税金制度

日本の税金の基本的な考え方は、世界各国とあまり変わりません。

簡単に言えば、お金や金銭的な価値のある物が動く時にその金額の数%を国に支払うという事です。

そして税金の種類はいくつもあり、また税金の控除(免除だとか減額という意味)も数多くあります。

2015時点で国税と地方税を合わせて約50種類ほどあるそうです。

主要なものを羅列しますと下記のようなものがあります。

直接税 間接税
国税 所得税、復興特別所得税、法人税、地方法人税、地方法人特別税、復興特別法人税、相続税、贈与税、地価税 消費税、酒税、揮発油税、航空機燃料税、たばこ税、自動車重量税、登録免許税、関税
地方税 住民税、事業税、不動産取得税、固定資産税、自動車税 地方消費税、地方たばこ税、ゴルフ場利用税

間接税とは消費者が直接納税しないものであり、例えば消費税なんかはコンビニで8%支払いますが、コンビニに対して支払っているだけで直接国へ納税してるわけではありませんね。

直接税とはその逆で、消費者が直接納税するものです。例えば所得税は自分で確定申告していますね。(会社員の場合は会社が代わりに給料天引きで支払いをしてくれますが、自分の給料から国へ納税しております。)

その中でも日本に在留する外国人がまず理解すべき税金は、所得税・相続税・法人税関係(事業者のみ)・住民税・事業税です。

消費税などの間接税は有無も言わさず払わされるのであまり考えても仕方がありませんのでこの記事では解説は省きます。また贈与税や自動車税も、贈与すれば税金がかかる、自動車を持てば税金がかかるという事が明確なので解説は省きます。

この記事では日本に在留する外国人が支払うべき所得税・住民税・相続税について解説したいと思います。(法人関係はおそらく税理士さんと密に接していると思いますので省かせていただきます。)

 

外国人の所得税

外国人が納めるべき所得税について解説します。

外国人にかかる所得税の範囲

所得税とはその者がお金を得たときに納める税金の事ですが、日本に在留する外国人がお金を得る状況は下記のような場面が考えられます。

  • 日本で働いて給料をもらう(国内所得)
  • 海外で給料が支払われている(海外所得)
  • 海外から日本に送金してもらう(国内への送金)

この3つの内、日本に在留する外国人がどこまで税金を納めなければならないかは、その外国人の日本に住所を持っているか、またはどれくらいの居住年数なのかなどによって決まります。

そしてその区分は下記の通りとなります。

外国人 居住者 永住者 日本国籍を有している、または、過去10年間に日本に住所・居所を有していた期間の合計が5年以上ある人
非永住者 日本国籍を有さない、かつ、過去10年間に日本に住所・居所を有していた期間の合計が5年以下である人、かつ、非居住者ではない人
非居住者 日本に住所を有さない個人、かつ、日本に1年以上の居所を有さない人

住所と居所の違いはイメージが沸きにくいところですが、住民票を持っているかどうかは関係ありません。日本に住所を有さないが居所を有する者とは、日本に生活の本拠地ではないものの一定期間生活する場所を有しており、さらに、海外に生活の本拠地を有しておりいずれ海外に戻る事が明確な場合です。要するに、日本を本拠地に生活する方はその時点から、さらに、本拠地としなくても1年以上日本に居る方は非居住者と認められなくなります。

例えば、仕事の転勤命令で海外から日本に転勤してきた方は、その転勤辞令に書かれた転勤期間が1年以上ある場合や、当初予定していた転勤期間が1年未満であっても、予定変更により1年以上日本に滞在した場合ならその時点から居住者となります。

そして上記の永住者・非永住者・非居住者が納めるべき所得税の範囲は下記のように異なります。

永住者
  • 日本国内と海外で生じたすべての所得
非永住者
  • 日本国内で生じた所得
  • 海外で生じた所得で、日本国内で支払われたものや海外から日本へ送金されたもの(つまり海外所得が海外の口座に振り込まれたもの以外のことです。)
非居住者
  • 日本国内で生じた所得のみ

要するに日本との関わりが深い永住者ほどたくさん税金を払わなければならず、逆に非居住者はある程度範囲が限定されているという事です。

ここで注意していただきたいことが、海外所得に所得税がかかる方は、海外にも日本にも税金を納めなければならないかという事です。

これについては、二重納税を防ぐために国同士が租税条約を結んでおり、また外国税額控除を受けることが出来ます。

他にも所得税を少しでも減らすための控除がたくさんありますので、次項の「外国人の所得税控除」をご確認ください。

 

外国人の所得税控除

ここでは外国人の方が受けることが出来る所得税の控除について紹介します。

外国人が受けることが出来る所得税控除を理解するためには、まず日本の所得税控除制度を理解しなければなりません。

 

日本の所得税控除制度

日本には様々な所得税控除の種類がありますが大きく分けて所得控除と税額控除の2種類あります。控除というのは、免除という意味であったり減額という意味であったりします。所得控除と税額控除の違いは、控除の計算の仕方が異なりますので、まずはここから説明します。

基本的な税金の計算は、【所得金額】×【税率】=【納める税金額】となります。

所得控除というのは所得を控除するものであり、(【所得金額】-【控除額】)×【税率】=【税金額】となります。

税額控除というのは税額を控除するものであり、(【所得金額】×【税率】)-【控除額】=【税金額】となります。

例えば500万円の所得があり、税率は10%、控除額が20万円だとします。

所得控除の場合は、(500万-20万)×10%=48万となり、税額控除の場合は(500万×10%)-20万=30万となります。

計算方法が全く異なりますのでご注意ください。

日本の所得控除と税額控除は下表の種類があります。

所得控除 雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、 地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
税額控除 配当控除、外国税額控除、政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄附金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除、(特定増改築等)住宅借入金等特別控除、住宅耐震改修特別控除、住宅特定改修特別税額控除、認定住宅新築等特別税額控除、試験研究を行った場合の所得税額の特別控除など

全てを詳しくお話しできませんが、外国人の方がまず知っておくべき控除について続いて紹介します。

 

外国人を受けることが出来る所得税控除

居住者である外国人は上記の控除要件に当てはまれば、基本的に日本人と同様に全て受けることが出来ます。

ここでは全てを説明できませんので、日本に在留する外国人にまず知っておくべき「扶養控除」「外国税額控除」について説明したいと思います。

なお非居住者である外国人は上記表の内、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の3つのみしか受けることが出来ません。

雑損控除とは災害等によって損害があった場合の控除で、寄付金控除は名前の通り寄付した場合に控除されるもの、基礎控除は基本的に誰でも一律に38万円控除を受けることが出来ます。

 

外国人の扶養控除

日本では、下記の条件を満たす扶養家族を有している場合は所得控除として扶養控除を受けることができ、それは居住者である外国人にも認められます。(非居住者は不可)

  • 扶養家族が16歳以上(その年12月31日時点で)
  • 6親等内の血族及び3親等内の姻族(配偶者は配偶者控除)
  • 納税者と生計を一にしていること。
  • 年間合計所得金額が38万円以下であること。(給与のみの場合は103万円以下)

そして、その扶養家族の年齢によって所得金額の控除額は下記の通りとなります。

  • 16歳以上23歳未満:63万円
  • 同居する70歳以上:58万円
  • 同居する70歳以上:48万円
  • それら以外の場合:38万円

上記の扶養控除が日本に在留する外国人が居住者であれば受けることが出来ます。

そして日本に在留する外国人で日本に扶養家族がいる場合は当然受けることが出来るのですが、よく問題になるのが海外に居る扶養家族の取り扱いです。

結論としては海外に居る扶養家族でも扶養控除を受けることが出来ます。問題となっていると言ったのは、外国人が扶養控除を濫用する事例が過去に多く存在していたからです。

つまり日本に在留する外国人が海外に居る扶養家族を申告しても、本当に親族なのか、本当に収入は少ないのか等を、海外の中まで調査することが困難である事をいいことに扶養控除の制度を不正に利用されていました。

しかし平成27年の税制改正により、海外に居る扶養家族の申告が厳しくなりました。

内容は、扶養控除の申告時に明確な「親族関係書類」と「送金関係書類」を提出するという事です。

詳しくは国税庁HP-国外居住親族に係る扶養控除等の適用について-をご確認ください。

厳しくはなったものの、適切に扶養している実態があれば扶養控除を受けることが出来るのでお忘れなく申請してください。

 

外国税額控除

外国税額控除というのは、日本と海外に二重に納税してしまう場合における税額控除です。

日本に在留する外国人で、居住者の区分にあたる方は海外所得の全部または一部にも所得税がかかります。そして何もしなければ海外所得は当然にその母国でも所得税がかかってしまいます。

そのような二重納税を防ぐために日本と他の一部の国で租税条約が結ばれており、締結国から日本に来た外国人の方の二重納税分を日本側で控除することができます。

但しこの租税条約は、締結国によって外国税額控除を認める範囲が異なる場合もありますので、外国税額控除が認められない場合は二重納税しなければなりません。さらに租税条約が結ばれていない国から来た外国人の方は、内容にかかわらず二重納税しなければなりません。

 

外国税額控除の考え方と具体例

外国税額控除の基本的な考え方は、海外所得分について海外で納税した場合は、その事を日本に申告すれば、その納めた税額を日本の税金からマイナスしてくれるという事です。

そして外国税額控除を理解する上で理解しなければならないキーワードは「対象品目」「限度額」「繰越」です。

まず「対象品目」は優先順で、所得税→復興特別所得税→道府県民税→市町村民税です。(法人税は省略)但し、道府県民税と市町村民税は、租税条約を結ぶ国によっては除外されている場合もあります。

次に「限度額」ですが、外国税額控除は海外で納税した海外所得分を全て日本で控除されるわけではありません。外国税額控除には日本の税金を控除してもらえる限度額が存在します。限度額の計算方法は後述します。

最後に「繰越」ですが、その年の海外所得によって限度額を余らしてしまう場合や、限度額を超えて一部控除できない年もあるかと思います。そんな時に過去の3年間分は翌年に限度額を繰り越すことが出来る制度です。

3つのキーワードについて具体例で説明します。

平成26年の納税額

  • 海外所得 :2000万円
  • 海外納税 :1000万円(税率は50%)
  • 国内所得 :2000万円
  • 総所得  :4000万円
  • 所得税  :1600万円(税率は総所得の40%)
  • 復興所得税:32万円(税率は所得税の約2%)
  • 道府県民税:160万円(税率は前年所得の4%、前年総所得も4000万円とする)
  • 市町村民税:240万円(税率は前年所得の6%、前年総所得も4000万円とする)
  • 所得税限度額:800万円(計算方法は後述)
  • 復興所得税限度額:16万円(計算方法は後述)
  • 道府県民税限度額:96万円(計算方法は後述)
  • 市町村民税限度額:144万円(計算方法は後述)

上記のように海外に1000万円の納税したにも関わらず、海外所得+国内所得で計算された総所得に基づいた所得税を日本に納税するという二重納税になってしまっています。

そこで、「対象品目」順にまず所得税1600万円が「限度額」800万円の範囲内で控除されます。従って所得税1600万円の納税後に所得税控除分800万円が還付されます。

そしてまだ海外納税分200万円が二重納税となっています。

次に復興所得税32万円が限度額16万円の範囲内で控除されます。さらに道府県民税160万円が限度額96万円の範囲内で控除されます。

この時点で海外納税分1000万円に対して、日本の納税分が912万円控除されています。

ここで市町村民税240万円が限度額144万円の範囲内で控除してほしいところですが、全て控除されると海外納税分1000万円を超えるので、市町村民税に関しては残りの88万円しか控除されません。

結果的に平成26年度は、1000万円の税金が還付されます。

ここで押さえてほしいことが、「限度額」の「繰越」の話です。

市町村民税以外は限度額分を全て控除されていますが、市町村民税は限度額全て使い切ってませんね。

つまり、平成26年度の限度額余り額は下記の金額となります。

  • 所得税限度額余り=0万円
  • 復興所得税限度額余り=0万円
  • 道府県民税限度額余り=0万円
  • 市町村民税限度額余り=144-88=56万円

そしてもし翌年の平成27年に海外納税分が限度額を上回り二重納税が発生してしまう状況になった場合は、平成26の余りを繰越すことが出来ます。

また、逆に平成25年に限度額を全て使い切っても二重納税が発生していた場合は、平成26年度の限度額余りが発生した分について、平成25年に振り返って平成26年度の限度額余りを適用することができ、結果的に平成25年の控除されなかった部分について還付されます。

このように外国税額控除によって海外と日本に二重納税した分を還付してもらうことができます。

但し、前述したとおり租税条約を結んでいない国から来た外国人の方は諦めて二重納税しなければなりませんし、租税条約を結んでいる国でも場合によっては、道府県民税と市町村民税は対象外だったりしますのでご注意ください。

租税条約締結国については財務省HP-我が国の租税条約ネットワーク-をご確認ください。

また、それぞれの限度額の計算方法は下記の通りです。

  • 所得税の限度額=その年の所得税額×(その年の海外所得総額÷その年の全所得総額)
  • 復興特別所得税の限度額=その年の復興特別所得税額×(その年の海外所得総額÷その年の全所得総額)
  • 道府県民税の限度額=所得税の限度額×12%
  • 市町村民税の限度額=所得税の限度額×18%

また外国税額控除は、国が勝手に控除してくれるものではありません。適正に手続きする必要がありますし、各種証明書の提出が必要です。詳しくは国税庁HP-No.1240 外国税額控除-をご確認ください。

 

外国人の住民税

ここでは外国人の方にかかる住民税について紹介します。

外国人の方にかかる住民税を理解するためには、まず日本の住民税制度を理解しなければなりません。

 

日本の住民税制度

住民税とは道府県民税と市町村民税のことで、ほとんどのサラリーマンの方は給料天引きとして会社が支払っていますが、自分で納税しなければならない方もいます。自分で納税する方は、年4回請求書が自宅に届くはずなので銀行や郵便局に行って納める必要があります。

また住民税の金額の算出方法は、前年の1月から12月までの所得に税率をかけたものとなっています。税率は道府県民税4%と市区町村民税6%の合計10%となっています。

住民税の控除まで詳しく説明すると膨大な量になってしまいますので、ここでは省かせていただきます。

 

住民税を納めなければならない外国人

納税者となる外国人がその年の1月1日時点で1年以上の生活を継続しているまたは居住者の方は、住民税を納税する必要があります。

「居住者とは」については、外国人にかかる所得税の範囲に記載しておりますのでご確認ください。

前述したとおり住民税は前年の所得を基に算出されるので、外国人が日本に来た年は住民税を払う必要はありません。

 

外国人の相続税

外国人が関わる相続税としては、1点の例外を除いて国籍は関係ありません。

考えなければならないことは相続人の住所と相続財産がどこにあるかです。

結論から言うと、被相続人も相続人も海外に住んでいる場合のみ海外の財産が日本では非課税となります。

(1点の例外というのは、日本国籍の場合は5年以上の海外移住が必要だということであり、外国籍の方は関係ありませんのでお忘れください。)

表にまとめると下記の通りとなります。

被相続人の住所 相続人の住所 日本の財産 海外の財産
日本 日本 課税 課税
日本 海外 課税 課税
海外 日本 課税 課税
海外 海外 課税 非課税

例えば、外国人の男性が日本で奥様と暮らしながら母国に母親が居たとします。そして男性が亡くなった場合、奥様が相続しても母親が相続してもすべての財産が課税対象となります。

しかし男性が母親の介護のために奥様と離れて海外に住んていた場合、奥様が相続するならすべての財産が課税対象となりますが、母親が相続するなら日本の財産のみが課税対象となります。

では海外財産にも課税されるとなっていますが、海外でも税金を払わなければならないのでは?と疑問を持つと思います。

そこで所得税控除の項目でお話した、外国税額控除が相続税でも適用されます。

詳しくは外国人を受けることが出来る所得税控除をご確認ください。

もし二重に納税した場合は、相続税控除限度額か海外納税分以内の額を日本で還付を受けることが出来ます。

その相続税控除限度額は下記の通り計算されます。

  • 相続税控除限度額=日本の相続税×(海外にある相続財産の金額÷総相続財産の金額)

但し、租税条約締結国でなければ適用されませんのでご注意ください。

相続全般の話は被相続人の国籍によってどの国の法律が適用されるかなど、非常に複雑なテーマですが、相続税については上記を押さえておくのみで構わないと思います。

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