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外国人を適正にサポートし在留許可へ向けて実務をこなすビザ専門行政書士の私としては、入管側の内部基準も理解しておきたいものです。ここでは、2017年入管内部基準に記されている、中長期在留者の活動状況等に関する届出について詳しく記述します。

第1節 中長期在留者の活動状況等に関する届出の目的等

第1 目的

入管法第19条の16に規定する中長期在留者による所属機関等に関する届出は、法務大臣が留管理に必要な情報を正確かつ継続的に把握するため、中長期在留者に義務を課すものである。また、入管法第19条の17の規定に基づき、中長期在留者の所属機関からも情報の届出を受けることとして、外国人、所属機関双方からの情報を突合・分析することにより、情報の正確性を確保しようとするものである。

在留管理制度において法務大臣に届け出ることとされる情報は、在留管理に真に必要な範囲に限定されており、所属機関等に関する届出においては、契約機関や婚姻関係などの特定の社会的関係が在留資格の基礎となっている在留資格について、在留期間の途中においても当該社会的関係が継続しているかどうかを把握する必要性があるものに限っている。

第2 所属機関等に対する協力依頼

前述の目的を達するためには中長期在留者の所属機関の協力が不可欠であることから、地方局等の長は、留学生が在籍する教育機関、技能実習生を受け入れる監理団体、外国人を雇用する企業等の中長期在留者が所属する機関に対して、入管法第19条の16に規定する届出義務について周知するとともに、受け入れている中長期在留者の当該義務の履行状況を把握しておくように協力を求める。また、これに併せて、入管法第19条の17の規定に基づく届出の対象となる機関に対しては、その届出について協力を求める。

第2節 中長期在留者による所属機関等に関する届出

第1 届出の対象者及び事由等

1 所属機関に関する届出

入管法第19条の16第1号及び第2号は、同法別表第1の在留資格の中で所属機関の存在が在留資格の基礎となっているものについて、所属機関に関する届出をする「事由」を規定し、入管法施行規則第19条の15、同規則別表第3の3が、その「事由」別に届け出る「事項」を規定している。また、所属機関自体に異動がない限り、当該中長期在留者の活動内容に異動が生じたとしても、同条の届出義務は課されない。

なお、入管法第19条の16が、第1号と第2号とを分けているのは、同条第2号に掲げる在留資格については、契約の相手方である本邦の公私の機関の存在が在留資格の基礎になっているので、例えば、派遣契約やプロモーション契約など契約の相手方である機関が実際に活動を行う機関と相違する場合であっても、当該外国人の活動について責任を負うべき契約の相手方である機関に関して届出をさせる必要があるため第1号と分けて規定しているものである。

(注)転職により就労資格証明書の交付申請を行った場合であっても、入管法第19条の16の規定に基づく届出は別に義務を課しているものであるため、同申請を理由に同条の届出義務が履行されたことにはならない。

(1)入管法第19条の16第1号
ア 対象者

「教授」、「高度専門職1号ハ」、「高度専門職2号」(入管法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄第2号ハに掲げる活動に従事する場合に限る。以下「高度専門職2号」(ハ)という。)、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療、教育」、「企業内転勤」、「技能実習」、「留学」又は「研修」の在留資格をもって本邦に在留している中長期在留者(以下「1号中長期在留者」という。)

(注)ただし、入管法等改正法(平成21年法律第79号)の施行日(平成24年7月9日)以降に新規の上陸許可の証印又は許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可、永住許可、在留資格の取得許可(入管法第22条の3において準用する場合及び入管法第61条の2の2第1項の規定に基づいて許可する場合を含む。)又は在留特別許可(入管法第50条第1項又は第61条の2の2第2項に基づく許可)を受けた中長期在留者に限る(入管法等改正法附則第12条)。

イ 届出に係る機関

届出に係る機関は、1号中長期在留者が在留資格に応じた活動を行う本邦の公私の機関(以下「活動機関」という。)である。したがって、「医療」の在留資格を有する中長期在留者については病院等が、「教授」、「教育」又は「留学」の在留資格を有する中長期在留者については大学、高校等が、それぞれ活動機関に該当し、これらの設置者たる医療法人や学校法人は活動機関ではない。

(注1)在留資格「企業内転勤」については、雇用契約等の相手方である企業等(法人)が活動機関に該当する。雇用契約等の相手方である企業等が外国の企業等である場合は、当該外国の企業等が活動機関に該当するので、届出の対象となる機関名は、当該外国の企業等の名称(法人名)となるが、届出の対象となる所在地は、外国にある当該外国の企業等の本店所在地ではなく、我が国にある本店に準ずる事業所の所在地となる。

(注2)在留資格「経営・管理」又は「法律・会計業務」については、本邦の企業等(法人)に所属して当該企業等又はその各事業所において活動を行う場合、個人事業主として活動を行う場合がある。前者の場合は各事業所ではなくそれらを統括する企業等が活動機関に該当する。他方、後者の場合は事業所を統括する組織が認められないので、本邦における活動拠点となる事業所が活動機関に該当する。

(注3)在留資格「高度専門職1号ハ」の届出の対象となる機関は、「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」に特定されており、「併せて」行うこととされている活動については、在留資格の基礎とされるものではないので、当該「併せて」行う活動について届出義務は課されない。

(注4)「高度専門職2号」(ハ)の在留資格をもって在留する外国人は、在留期間の制限がなく、所属機関が複数に及ぶ可能性もあるところ、当該外国人が在留資格に応じた活動を行っているか否かを継続して把握しておく必要があることから、全ての所属機関について届出義務を課している。

ウ 届出事由及び届出事項(入管法施行規則第19条の15第1項及び同規則別表第3の3の1の表)

1号中長期在留者は、下記1~5に掲げる事由が生じたときは、届出に係る中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カード番号のほか、当該事由に応じた次の事項を書面に記載して届け出なければならない。

(ア)活動機関の名称が変更したとき

活動機関の名称が変更した年月日、活動機関の変更前の名称及び所在地並びに変更後の名称

(イ)活動機関の所在地が変更したとき

活動機関の所在地が変更した年月日、活動機関の名称、変更前の所在地及び変更後の所在地

(ウ)活動機関が消滅したとき

活動機関が消滅した年月日、消滅した活動機関の名称及び消滅時の所在地

(エ)活動機関から離脱したとき

①届出事項

活動機関から離脱した年月日、離脱した活動機関の名称及び所在地

(注)「留学」の在留資格を決定されて在留する中長期在留者の教育機関からの離脱事由のうち「卒業」の事由の発生日については、各教育機関内部の決定によるものなので、一概に卒業式の日あるいは年度の末日が「卒業」の事由の発生日になるとは限らない。

②離脱に闘する届出の留意事項

a新たな機関への移籍に当たって在留資格の変更を伴わない場合の離脱

b在留資格を変更せずに、旧所属機関から新所属機関への移籍と認められる場合は、旧所属機関からの離脱の届出及び新所属機関への移籍の届出が必要である。

(注1)旧所属機関からの離脱と新所属機関への移籍に時間的間隔がない場合(旧所属機関を退社した翌日に新所属機関に入社した場合など)であっても、旧所属機関からの離脱の届出義務は生じる。

(注2)離脱及び移籍の届出は、在留期間更新許可に係る手続の有無にかかわらず必要となる。

c「技能実習1号ロ」の在留資格を決定されて在留する中長期在留者が監理団体における講習を終えて在留資格認定証明書交付申請時に予定されていた実習実施機関における技能等修得活動に従事する場合は、監理団体は引き続き実習実施機関とともに所属機関の地位にとどまるので、離脱の届出を要さない。

d新たな機関への移籍に当たって在留資格の変更を伴う場合の離脱

在留資格が変更された場合には、当該在留資格変更許可の直前に有していた(旧)在留資格において生じた「事由」は、変更後の(新)在留資格において生じた「事由」ではないので、変更許可後は、(旧)在留資格において生じた離脱の届出義務は消滅する。

(注)「高度専門職1号ハ」の在留資格は、所属機関に係る法務大臣の指定がなされているので、転職等で所属機関が変更した場合には、在留資格の変更許可を要する(入管法第20条第1項)。

(オ)新たな活動機関に移籍したとき

①届出事項

新たな活動機関に移籍した年月日、移籍する前の活動機関の名称及び所在地、新たな活動機関の名称及び所在地並びに新たな活動機関における活動の内容(留学の在留資格をもって本邦に在留する者に係る活動内容を除く。)

(注1)新たな活動機関における活動の内容については、従事する業務の概要の記載がなされる必要があるが、貿易業務、商品開発、システムエンジニア等の職種又は会計課長、取締役等の当該機関における地位の記載によって業務の概要を示せる場合には、そのような記載がなされれば足りるものとする。

(注2)「留学」の在留資格を決定されて在留する中長期在留者の新たな教育機関への移籍事由のうち「入学」の事由の発生日については、各教育機関内部の決定によるものなので、一概に入学式の日あるいは年度の初日が「入学」の事由の発生日になるとは限らない。

②移籍に関する届出の留意事項

a在留資格決定時に予定されている機関に所属する場合における届出

新規の上陸許可等により在留資格が決定され、当該許可処分の際に所属することが予定されていた機関に予定どおり所属した場合は、移籍に当たらない。

(注1)「技能実習1号ロ」の在留資格を決定されて在留する中長期在留者が監理団体における講習を終えて在留資格認定証明書交付申請時に予定されていた実習実施機関における技能等修得活動に従事する場合は、移籍の届出を要さない。

(注2)在留期間更新許可後に、新たな活動機関への移籍があった場合には、改めて移籍の届出義務が生じる。

b別の機関との雇用契約等の締結(二重契約等)

現在の活動機関との関係が維持されているところに新たな活動機関が加わる場合も、籍の移動があると考えられるため、移籍の届出義務が生じる。なお、1号中長期在留者の在留資格の基礎となる社会的関係が新たに活動を行う機関との聞に認められない例外的な場合(例えば、別の機関に1日だけ雇われて、在留資格に応じた活動を行う場合など)は、当該機関は活動機関に該当しない。

(注)しかなる場合に在留資格の基礎となる社会的関係が認められるかについては、新たな機関における活動の頻度・時間、活動機関での立場、肩書、契約に基づく場合は契約の内容等の諸般の事情を総合的に考慮して判断する。

c出張、共同事業等による別機関での活動

出張、研修、共同事業等の名目で、現在の活動機関における仕事の一環として、当該活動機関以外の機関(以下「別機関」としづ。)が所有又は管理する場所で勤務することとなった場合、当該別機関においてもそれまでの活動機関の一員として活動するものであり、中長期在留者と当該別機関の聞には、在留の基礎となっている社会的関係が認められないため、移籍の届出義務は生じなし。

d配置転換(配転)

活動機関の異動命令に基づき、これまでと異なる場所で勤務することとなった場合は、同一所属機関内の異動なので移籍の届出義務は生じない。なお、「教授」等の在留資格を有する1号中長期在留者が、現に所属する大学等とは異なる、同一の学校法人傘下の別の大学等に異動するような場合は、所属機関を異にする異動となり、移籍の届出義務が生じる。

e出向(在籍出向・移籍出向)

出向先が管理する場所において、相当期間にわたり、出向先の指揮命令を受けて出向先の社員として稼働することとなるので、出向した1号中長期在留者と出向先の聞に、在留の基礎となっている社会的関係が認められるため、出向先が活動機関となり、出向先についての移籍の届出義務が生じる。

f労働者派遣

派遣には、派遣労働を希望する労働者があらかじめ派遣元事業主に登録し、個々の派遣ごとに一定の期間を定めて派遣労働者を雇用する形態の「登録型派遣」と、派遣される労働者が派遣元に常用雇用される形態の「常用型派遣」の二種類がある。1号中長期在留者の派遣の場合、活動機関は派遣先であって派遣元ではないことから、登録型派遣、常用型派遣を問わず、在留資格決定後の最初の派遣元との労働契約締結時には移籍の届出義務は生じない。他方で、個々の派遣先で稼働を開始した日には、移籍の届出義務が生じる。

(2)入管法第19条の16第2号の届出
ア 対象者

「高度専門職1号イ」、「高度専門職1号ロ」、「高度専門職2号」(入管法別表第1の2表の高度専門職の項の下欄第2号イ又はロに掲げる活動に従事する場合に限る。以下それぞれ「高度専門職2号」(イ)又は「高度専門職2号」(ロ)という。)

「研究」、「技術・人文知識・国際業務」、「興行」(本邦の公私の機関との契約に基づいて当該在留資格に係る活動に従事する場合に限る。)又は「技能」の在留資格をもって本邦に在留している中長期在留者(以下「2号中長期在留者」としづ。)

(注)ただし、入管法等改正法(平成21年法律第79号)の施行日(平成24年7月9日)以降に新規の上陸許可の証印又は許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可、永住許可、在留資格の取得許可(入管法第22条の3において準用する場合及び入管法第61条の2の2第1項の規定に基づいて許可する場合を含む。)又は在留特別許可(入管法第50条第1項又は第61条の2の2第2項に基づく許可)を受けた中長期在留者に限る(入管法等改正法附則第12条)。

イ 届出に係る機関

届出に係る機関は、2号中長期在留者の契約の相手方である本邦の公私の機関(以下「契約機関」という。)である。

(注1)契約機関は、契約の当事者となることができる個人又は法人である。なお、契約書の相手方署名者が企業等の代表者ではなく、当該企業等の一部門の長(例:人事部長、支局長等)であっても、その者が個人的に契約をするのではなく、この者が所属企業等から契約の締結について授権され、当該企業等の契約手続に関与している場合は、契約機関は当該企業等となる。

(注2)在留資格「高度専門職1号イ」及び「高度専門職1号ロ」の届出の対象となる機関は、「法務大臣が指定する本邦の公私の機関」に特定されており、「併せて」行うこととされている活動については、在留資格の基礎とされるものではないので、当然「併せて」行う活動について届出義務は課されない。

(注3)「高度専門職2号」(イ)及び「高度専門職2号」(ロ)の在留資格をもって在留する外国人は、在留期間の制限がなく、所属機関が複数に及ぶ可能性もあるところ、当該外国人が在留資格に応じた活動を行っているか否かを継続して把握しておく必要があることから、全ての所属機関について届出義務を課している。

ウ 届出事由及び届出事項(入管法施行規則別表第3の3の2の表)

2号中長期在留者は、次の(ア)から(オ)までに掲げる事由が生じたときは、届出に係る中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カード番号のほか、当該事由に応じた次の事項を書面に記載して届け出なければならない。

(ア)契約機関の名称が変更したとき

契約機関の名称が変更した年月日、契約機関の変更前の名称及び所在地並びに変更後の名称

(イ)契約機関の所在地が変更したとき

契約機関の所在地が変更した年月日、契約機関の名称及び変更前の所在地並びに変更後の所在地

(ウ)契約機関が消滅したとき

契約機関が消滅した年月日並びに消滅した契約機関の名称及び消滅時の所在地

(エ)契約機関との契約が終了したとき

①届出事項

契約機関との契約が終了した年月日並びに契約が終了した契約機関の名称及び所在地

②契約終了に関する届出の留意事項

a新たな契約締結に当たって在留資格の変更を伴わない場合の契約終了

在留資格を変更せずに、旧所属機関との契約を終了し、新所属機関との契約を締結する場合は、旧所属機関との契約終了の届出及び新所属機関との新たな契約締結の届出が必要である。

(注1)旧所属機関との契約終了と新所属機関との新たな契約締結に時間的問隔がない場合(旧所属機関を退社した翌日に新所属機関に入社した場合など)であっても、旧所属機関との契約終了の届出義務は生じる。

(注2)契約終了及び新たな契約の締結の届出は、在留期間更新許可に係る手続の有無にかかわらず必要となる。

b新たな契約締結に当たって在留資格の変更を伴う契約の終了

在留資格が変更された場合には、当該在留資格変更許可の直前に有していた(旧)在留資格において生じた「事由」は、変動後の(新)在留資格において生じた「事由」ではないので、変更許可後は、(旧)在留資格において生じた契約終了の届出義務は消滅する。

(注)「高度専門職1号イ」及び「高度専門職1号ロ」の在留資格は、所属機関に係る法務大臣の指定がなされているので、転職等で所属機関が変更した場合には、在留資格の変更許可を要する(入管法第20条第1項)。

(オ)新たな契約を締結したとき

①届出事項

新たな契約機関との契約を締結した年月日、従前の契約機関の名称及び所在地、新たな契約機関の名称及び所在地並びに新たな契約機関における活動の内容

(注1)新たな契約とは、2号中長期在留者が有する在留資格に応じてそれぞれ別表第1の下欄に掲げる活動を行う基となる契約(例えば、雇用契約)に限られ、このような契約の相手方である機関のみが契約機関に該当する。

(注2)新たな契約機関における活動の内蒋については、従事する業務の概要の記載がなされる必要があるが、貿易業務、商品開発、システムエンジニア等の職種又は会計課長、取締役等の当該機関における地位の記載によって業務の概要を示せる場合には、そのような記載がなされれば足りるものとする。

②新たな契約締結に関する届出の留意事項

a新規上陸許可及び在留資格変更許可後における届出

新規の上陸許可等により在留資格が決定され、当該許可処分の際に所属することが予定されていた機関に予定どおり所属した場合は、たとえ当該上陸許可等の後に正式な雇用契約等が締結されたとしても新たな契約の締結には当たらない。

(注)在留期間更新許可後に、新たな契約締結により別の機関の所属となった場合には、改めて新たな契約締結の届出が必要である。

b別の機関との雇用契約等の締結(二重契約等)

2号中長期在留者が、所属機関等との関係を維持しつつ、新たに別の機関と雇用契約等を締結した場合、原則として、当該別の機関も契約機関に該当することになるため、新たな契約締結の届出義務が生じる。

なお、当該中長期在留者の在留の基礎となる社会的関係、が新たな雇用契約等の相手方である機関との聞に認められない例外的な場合は、当該機関は契約機関に該当しない。

(注)しかなる場合に在留資格となる社会的関係が認められるかについては、新たな機関における活動の頻度・時間、活動機関での立場・肩書、契約に基づく場合は契約の内容等の諸般の事情を総合的に考慮して判断する。

c出張、共同事業等による別機関での活動

出張、研修、共同事業等の名目で、契約機関における仕事の一環として、当該契約機関以外の機関が所有又は管理する場所で勤務することとなっても、2号中長期在留者と当該機関との聞には、通常、何ら雇用契約等が締結されないため、新たな契約締結の届出義務は生じない。

d配置転換(配転)

契約機関の異動命令に基づき、これまでと異なる場所で勤務することとなった場合には、同一所属機関内の異動なので、新たな契約締結の届出義務は生じない。

e契約更改

2号中長期在留者が、契約期間の延長や報酬の増額等、これまでの契約条件の一部変更を目的として、これまでの契約機関との間で雇用契約等を更改した場合には、新たな契約締結の届出義務は生じない。

(注)入管法第19条の16第2号の規定は当該2号中長期在留者の活動内容の異動ではなく、所属機関自体の異動を届け出させるものであり、同号の「新たな契約の締結」は、それまでの契約機関とは別の機関との契約の締結に限られる。

f出向(在籍出向・移籍出向)

出向により出向先との労働契約関係が生じ、出向に当たっては労働者である2号中長期在留者の同意が必要であることなどから、出向は新たな契約の締結に該当し、新たな契約締結の届出義務が生じる。

g労働者派遣

2号中長期在留者の派遣の場合、労働契約関係が生じるのは派遣元との間だけであるので、契約機関は派遣元となる。したがって、常用型派遣においては派遣元との雇用契約締結時には入管法第19条の16第2号の新たな契約締結の届出が生じるが、個々の派遣先で稼働を開始した時には、契約機関の異動が生じないため、届出義務は生じない。

他方で、登録型派遣においては、個々の派遣ごとに派遣元との雇用契約が締結されることになるため、その都度、新たな契約締結の届出義務が生じる。

2 配偶者関係の消滅に関する届出

入管法第19条の16第3号は、配偶者としての身分を有することが在留資格の基礎となっている在留資格について、配偶者との離婚及び死別があったときに届け出させることを規定している。

(1)対象者

次の在留資格をもって本邦に在留する中長期在留者

  • ア「家族滞在」(配偶者として行う日常的な活動を行うことができる者に係るものに限る。)
  • イ「日本人の配偶者等」(日本人の配偶者の身分を有する者に係るものに限る。)
  • ウ「永住者の配偶者等」(「永住者」の在留資格をもって在留する者又は特別永住者の配偶者の身分を有する者に係るものに限る。)

(注)ただし、入管法等改正法(平成21年法律第79号)の施行日(平成24年7月9日)以降に新規の上陸許可の証印又は許可(在留資格の決定を伴うものに限る。)、在留資格の変更許可、在留期間の更新許可、永住許可、在留資格の取得許可(入管法第22条の3において準用する場合及び入管法第61条の2の2第1項の規定に基づいて許可する場合を含む。)又は在留特別許可(入管法第50条第1項又は第61条の2の2第2項に基づく許可)を受けた中長期在留者に限る(入管法等改正法附則第12条)。

(2)届出事由及び届出事項(入管法施行規則別表第3の3の3の表)

前記(1)に該当する中長期在留者は、次のア又はイに掲げる事由が生じたときは、届出に係る中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カード番号のほか、当該事由に応じた次の事項を届け出なければならない。

  • ア 配偶者と離婚したとき
  • 配偶者と離婚した年月日

  • イ 配偶者と死別したとき
  • 配偶者と死別した年月日

3 届出期間

前記1又は2に掲げる届出事由が生じたときは、当該事由が生じた日から14日以内に法務大臣に対して届け出iなければならず、これを怠った場合は、罰則(入管法第71条の3第3号)の対象となる。

第2 届出の方法及び受付

中長期在留者が行う所属機関等に関する届出については、前記第1の届出事項を記載した書面を地方入国管理局に提出しなければならない(入管法施行規則第19条の15第2項)。提出方法は、次のいずれかの方法により、いずれも前記第1の届出事項を記載した届出書を提出して行うものとし、疎明資料の提出は求めない。また、法令上、中長期在留者本人に代わって届出や届出の手続を行うことができる者は限定されていないが、記載内容の確認等ができるように、中長期在留者本人又は届出手続を行った者の氏名及び連絡先を書面に明示させる。なお、いずれの届出においても、受付証明等の発行は行わない。

(注1)届出書は、施行規則等に様式の定めがないため、必須の届出事項が記載されていれば任意の棟式でも差し支えないが、必須の届出事項が記載されていなければ、入管法第71条の3第3号に規定する罰則(20万円以下の罰金)の適用対象となり得るため、可能な限り参考様式の届出書を使用するように案内する。

(注2)受付証明等の発行は行わないこととしているところ、届出義務を履行したことの証明のため求めがあった場合は、届出人の用意した届出書の写しに受付印を押印するなどの取扱いをすることは差し支えない。

(注3)提出先である地方入国管理局とは、必ずしも中長期在留者の住居地を管轄する地方入国管理局に限定されていないことに留意する。

1 持参による届出

(1)届出人(中長期在留者本人を含む。以下同じ。)が地方局等に持参した場合は、届出人の身分及び連絡先を確認した上で、①前記第1の1又は2記載の届出事項が届出書に記載されているか、また、②前記第1の3の届出期間内に届けられたものであるかを確認する。前記第1の1又は2記載の届出事項が届出書に記載されていない場合には、その場で届出人に追記をさせるとともに、③入管法第19条の16第1項第1号に規定する移籍及び同項第2号に規定する新たな契約の締結(以下「移籍・新たな契約の締結」という。)に関し、届出のあった機関の所在地とは異なる所在地にある事業所等で活動を行う場合には、活動内容の確認ができるように、当該事業所等の名称、所在地及び連絡先(以下「移籍・新たな契約の締結に係る活動機関の名称等」としづ。)の記載について協力を求めた上で届出を受け付ける。

(注)法令上、届出のあった機関の所在地とは異なる所在地にある事業所等の名称等の記載をしなければならないこととはされていないことに留意する。届出期間を経過している場合は、再発防止のための指導を行った上で届出を受け付ける。

また、地方局等において届出事項を記載した書面を投画するための投函箱を設けて受け付けることとしても差し支えないが、この場合においても、投函箱を設置した地方局等で、投函された届出書の内容について①及び②の確認を行い、届出事項に不備があったとき及び③の記載がないときは、投函箱を設世した地方局等において届出人に連絡をとり、届出書に朱書きで訂正し、届出書余白に連絡日時、連絡を行った地方局等の担当者氏名、訂正箇所(例:現に活動を行う場所の追記)を記載する。

なお、投函方式による届出の場合には、中長期在留者本人の在留カード写しの提出を求めることとし、投函箱にもその旨の案内を明示する。

(2)届出を受け付けた際には、当該届出書に受付番号を付した上、当該届出日を記載した受付印を押印する。また、地方局等で届出を受け付けた場合、届出の受付状況及び情報拠点(東京入国管理局在留管理情報部門をいう。以下同じ。)への送付状況を確認するとともに、その後の問い合わせ等があった場合に備え、地方局等において届出受付台帳(別記第6号の1様式)を作成する。

(3)届出書の記載に当たって使用する言語は日本語であることを原則とするが、英語でも差し支えないこととする。これらの言語以外の言語で記載されている届出書が提出された場合には日本語又は英語による届出書の再提出を求めることとし、改めて日本語又は英語による届出書が提出された場合には、既に提出されている届出書と差し替えを行うが、最初に届出書を提出した日をもって届出日とする。

2 郵送による届出

(1)郵送による届出を行う場合は、情報拠点に直接郵送することを原則とし、中長期在留者本人の在留カード写しを同封するとともに、封筒の表面に「届出書在中」又は「NOTIFICATION ENCLOSED」等と朱書きで記載して送付するように案内する。

(2)郵送による届出の場合、郵便等の受領日をもって届出日とし、当該届出書に当該届出日及び受付番号を記載した受付印を押印する。ただし、受付の時点において、前記第1の1又は2記載の届出事項が届出書に記載されてない場合及び移籍・新たな契約の締結に係る活動機関の名称等の記載がない場合には、前記1(1)のとおり、電話又は文書で照会し、必要に応じて朱書きで追記等した上で、同様に処理する。

(3)外国語で届出書が記載されている場合には訳文を添付しなければならないが(入管法施行規則第62条)、英語で記載された届出書については、訳文の添付がなくても受け付けて差し支えない。訳文の添付が必要な外国語で記載されている届出書が送付された場合には、当該中長期在留者に連絡し、日本語若しくは英語による届出書又は訳文の再送付を求めることとし、改めて日本語若しくは英語による届出書又は訳文が送付された場合には、最初に送付された届出書に係る郵便の受領日をもって届出日とする。

3 電子届出システムによる届出

入管法第19条の16の規定に基づく届出は、入国管理局電子届出システム(以下「電子届出システム」という。)を用いてインターネットを通じて届出を行うことができる。なお、電子届出システムによる届出に関する具体的な取扱いについては、後記第4節によるものとする。

4 届出期間が経過している者を当局で把握した場合の対応

入管法第19条の19による事実の調査や情報提供等により、届出事由が生じているにもかかわらず届出を行わず届出期間が経過している者を把握した場合は、可能な範囲で、当該未届の者に対して連絡をとり、届出を行うように指導する。度重なる指導に応じず、極めて悪質であるため告発しようとするときは、本省入国在留課に上申する。

第3節 所属機関による届出

第1 届出の対象者と事由等

入管法第19条の17は、中長期在留者のうち、「教授」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「技能」又は「留学」の在留資格をもって在留するものを受け入れている本邦の公私の機関が、当該外国人の受入れ開始や終了等に関する事項を、法務大臣に届け出るように努めなければならないとし、受入れ機関に対し、受入れ状況を届け出るように努力義務を課している。

なお、雇用対策法(昭和41年法律第132号)第28条第1項の規定により外国人雇用状況の届出をしなければならない事業主は対象から除外されている。

(注1)中長期在留者が行う所属機関に関する届出とは異なり努力義務であるため、実際に届出がない場合であっても義務違反を問うことはできないが、届出をしない機関に所属している外国人の在留資格変更の許可申請等時に所属機関との関係等を確認するなど審査を慎重に行う。また、所属機関に対しては法務大臣への届出を積極的に行うよう案内する。

(注2)雇用対策法により、事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合には、その者の氏名、在留資格、在留期間等の事項を厚生労働大臣に届け出なければならず、厚生労働大臣は、法務大臣からの求めにより、当該届出に係る情報を提供するものとされている。

1 就労可能な入管法別表第1の在留資格をもって在留する中長期在留者を受け入れている機関による届出

(1)対象

「教授」、「高度専門職」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」又は「技能」の在留資格をもって本邦に在留している中長期在留者を受け入れている機関(雇用対策法第28条第1項の規定による届出をしなければならない事業主を除く。)

(2)届出事由及び届出事項(入管法施行規則別表第3の4の1の表)

前記(1)に該当する機関は、次のア又はイに掲げる事由が生じたときは、届出に係る中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カード番号のほか、当該事闘に応じた次の事項を届け出るものとしている。

ア 中長期在留者の受入れを開始したとき
  • (ア)当該中長期在留者の受入れを開始した年月日
  • (イ)当該中長期在留者が行う活動の内容
イ 中長期作留者の受入れを終了したとき

当該中長期在留者の受入れを終了した年月日

(3)届出期間

前記(2)の事由が生じた場合には、当該事由が発生した日から14日以内に前記(2)の事項を法務大臣に届け出るものとしている。

2 留学生を受け入れている教育機関による届出

(1)対象者

「留学」の在留資格をもって本邦に在留している中長期在留者を受け入れている教育機関

(2)届出事由及び届出事項(入管法施行規則別表第3の4の2の表)
ア 中長期在留者の受入れを開始したとき
  • (ア)中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カードの番号
  • (イ)当該中長期在留者の受入れを開始した年月日
イ 毎年5月1日及び11月1日における留学生の受入れ状況

中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カードの番号

(注1)休学中の者については、何らかの印を付すなど、休学中であることを明示するよう届出機関に協力を求めることとする。

(注2)同居出書は情報拠点において保存している。

ウ 中長期在留者の受入れを終了したとき
  • (ア)中長期在留者の氏名、生年月日、性別、国籍・地域、住居地及び在留カードの番号
  • (イ)当該中長期在留者の受入れを終了した年月日
  • (ウ)卒業、退学、除籍その他の受入れの終了に係る事由
(3)届出期間

ア 前記(2)ア又はウの事由が生じた場合には、当該事由が発生した日から14日以内に前記(2)のア又はウの事項を法務大臣に届け出るものとしている。

イ 毎年5月1日及び11月1日における留学生の受入れ状況を当該日から14日以内に、法務大臣に対して、前記(2)イの事項を届け出るものとしている。

第2 届出方法及び受付

所属機関が行う所属する中長期在留者に関する届出については、前記第1の届出事項を記載した書面を地方入国管理局に提出するものとしている(入管法施行規則第19条の16第2項)。提出方法は、次のいずれかによるものとし、いずれも前記第1の届出事項を記載した届出書以外に疎明資料の提出は求めない。

また、届出の手続を行うことができる者の範囲については定めないが、届出後に記載内容の確認等ができるように、所属機関又は届出手続を行った者の連絡先を提出した書面上に明示させる。

なお、いずれの届出においても、受付証明等の発行は行わない。

(注1)届出書は、必要な事項が記載されていれば任意の様式で差し支えないが、可能な限り参考様式を使用するように案内する。

(注2)受付証明等の発行は行わないこととしているところ、届出義務を履行したことの証明のため求めがあった場合は、届出人の用意した届出書の写しに受付印を押印するなどの取扱いをすることは差し支えない。

(注3)提出先である地方入国管理局とは、必ずしも所属機関の所在地を管轄する地方入国管理局に限定されていないことに留意する。

1 持参による届出

(1)届出人(所属機関の職員を含む。以下同じ。)が地方局等に持参した場合は、①前記第1の1(2)又は2(2)記載の届出事項が届出書に記載されているか、また、②前記第1の1(3)又は2(3)の届出期間内に届けられたものであるかを確認する。この場合において、前記第1の1(2)又は2(2)記載の届出事項が届出書に記載されていない場合は、その場で届出人に追記をさせた上で届出を受け付ける。届出期間が経過しているものについては、次回届出の際、届出期間内に届け出るように依頼した上で届出を受け付ける。

また、地方局等において届出事項を記載した書面を投函するための投函箱を設けて受け付けることとしても差し支えないが、この場合においても、投函箱を設置した地方局等で、投函された届出書の内容について①及び②の確認を行い、届出事項に不備があったときは、当該地方局等において届出人に連絡をとり、届出書に朱書きで訂正する。

(2)届出を受け付けた際には、当該届出書に受付番号を付した上、当該届出日を記載した受付印を押印する。また、地方局等で届出を受け付けた場合、届出の受付状況及び情報拠点への送付状況を確認するとともに、その後の問い合わせ等があった場合に備え、届出の受付状況を把握できるように、地方局等において届出受付台帳(別記第6号の2様式)を作成する。

2 郵送による届出

(1)届出人が郵送による届出を行う場合は、情報拠点に直接郵送することを原則とし、封筒の表面に「届出書在中」又は「NOTIFICATTON ENCLOSED」等と朱書きで記載して送付するように案内する。

(2)郵送による届出の場合、郵便により情報拠点(又は地方局等)に到達した日をもって届出日とし、当該届出書に当該届出日及び受付番号を記載した受付印を押印する。

3 電子届出システムによる届出

入管法第19条の17の規定に基づく届出は、電子届出システムを用いてインターネットを通じて届出を行うことができる。

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