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新しい技能実習制度を活用して外国人を受入れたい企業様を対象に、「技能実習制度の概要」「手続きの流れ」「求められる要件」について詳しく解説します。また、導入検討の段階で全ての要件をチェックするのは非常に膨大なので、「致命的な要件」と「手続き中に整える要件」に区別して整理しています。
このページの対象は、下記のようにお考えの企業様です。
- 新しい外国人技能実習制度を活用して、これから外国人を受け入れを検討してみたい!
- 当社でも外国人技能実習制度の要件に当てはまるのか?
- 外国人技能実習制度では、どのタイミングでどのような手続きが必要なのか、すべてのフローをしりたい!
監理団体の方々は、監理団体向け:新しい外国人技能実習ビザの手続き【概要・流れ・要件】へアクセスしてください。
それでは、新しい外国人技能実習制度の「概要」→「流れ」→「要件」という順番で解説します。
新しい外国人技能実習制度の概要
概要
技能実習制度は、海外の人材を日本へ呼び寄せて技能実習として就労させ、OJTを通じて技能を移転する制度です。
技能実習として外国人が従事できる業務内容は、一般的な就労ビザでは認められていないような製造現場における活動が含まれるという点で、日本の企業様にとって有用性のある制度となっております。
期間
技能実習期間は最長5年の期間です。具体的には下記の段階で区別されます。
- 技能実習1号:1年目 (業種制限なし)
- 技能実習2号:2年目~3年目 (業種制限あり、1号中に技能検定基礎級の合格を要する)
- 技能実習3号:4年目~5年目 (業種制限あり、2号中に技能検定3級の合格を要する、優良な事業者・監理団体であること)
2つの受入れ方式
また、技能実習制度では外国人の受入れの流れや要件が異なる「企業単独型」と「団体監理型」の2つの受入れ方式があります。
どちらかを選択するべきかの検討材料としては、下記のとおりです。
- 企業単独型:技能実習をさせる企業が、海外の系列会社・関連会社・緊密な取引先から人材を引っ張ってくることが可能な場合
- 団体監理型:人材の発掘を自社では出来ず、監理団体に任せたい場合
手続きの流れの概要
詳しくは後述しますが、外国人を呼び寄せて実習を開始する日の6ヶ月前~4ヶ月前ぐらいから申請が始まります。
技能実習機構からの技能実習計画の認定、入国管理局からの技能実習ビザの認定を経て、外国人が来日できるようになります。
技能実習外国人の受入れから帰国までの流れ
検討段階
タイミング | すること | 関係機関 | |
---|---|---|---|
(1) | 主要な要件をチェックし、技能実習制度の導入を検討する | ||
(2) | 「企業単独型」「団体監理型」いずれの受入れ方式を選択するか検討する |
主要な要件リストについては、後述する「技能実習制度の導入を検討の為の要件チェック」をお読みください。
「企業単独型」「団体監理型」の選択の検討については、基本的には前述したとおり下記のとおりです。「系列会社」「関連会社」「緊密な取引先」に関する解説は、後述する「※1 受入企業と送出企業が緊密な関係性を有していること」をお読みください。
- 企業単独型:技能実習をさせる企業が、海外の系列会社・関連会社・緊密な取引先から人材を引っ張ってくることが可能な場合
- 団体監理型:人材の発掘を自社では出来ず、監理団体に任せたい場合
「企業単独型」を選択した場合
タイミング | すること | 関係機関 | |
---|---|---|---|
(1) | 企業が技能実習生と雇用契約を結ぶ | ||
(2) | 技能実習計画を作成 | ||
(3) | 実習開始の6ヶ月~4ヶ月前 | 技能実習計画を申請 | 技能実習機構 |
(4) | (3)から1ヶ月~2ヶ月 | 技能実習計画が認定される | 技能実習機構 |
(5) | (4)後、速やかに | 技能実習ビザ(在留資格認定証明書)の申請書類を作成 | 技能実習機構 |
(6) | (4)後、速やかに | 技能実習ビザの申請 | 入国管理局 |
(7) | (6)から約2週間 | 技能実習ビザが認定され、在留資格認定証明書が交付される | 入国管理局 |
(8) | (7)後、速やかに | 在留資格認定証明書を外国人へ送付 | |
(9) | 在留資格認定証明書が外国人の元へ到着 | ||
(10) | (9)後、速やかに | 外国人本人が現地で査証を申請 | 日本大使・領事館 |
(11) | (7)から3ヶ月以内 | 査証と認定証明書をもって外国人が来日 | |
(12) | (11)後、速やかに | 実習実施者届出をする | 技能実習機構 |
(13) | (11)から2ヶ月間 | 技能実習生に対し事前講習を実施 | 法律専門家等 |
(14) | (13)を含めて1年間 | 技能実習1号として技能実習をする | |
(技能実習中は毎年4月~5月末の間で、技能実習実施状況報告書を技能実習機構へ提出します) | |||
(15) | (14)の期限満了の3ヶ月前まで | 技能検定基礎級を受験 | 技能実習機構 |
(16) | (14)の期限満了の6ヶ月~3ヶ月前 | 技能実習2号へ変更申請をする | 技能実習機構 |
(17) | (16)から約1ヶ月 | 変更申請の認定を受ける | 技能実習機構 |
(18) | (17)後、速やかに | 技能実習ビザ2号への変更を申請 | 入国管理局 |
(19) | (18)から約2週間 | 技能実習ビザ2号への変更が許可される | 入国管理局 |
(20) | 2年間 | 技能実習2号として技能実習をする | |
(21) | (20)の期限満了の6ヶ月前まで | 技能検定3級を受験 | 技能実習機構 |
(22) | (20)の期限満了の3ヶ月前まで | 技能実習3号へ変更申請をする | 技能実習機構 |
(23) | (22)から約1ヶ月 | 変更申請の認定を受ける | 技能実習機構 |
(24) | (23)後、速やかに | 技能実習ビザ3号への変更を申請 | 入国管理局 |
(25) | (24)後、速やかに | ビザの変更申請中に一時帰国する | |
(26) | (25)から1ヶ月以上 | 再び日本に再来日する | |
(27) | (25)後 | 技能実習ビザ3号への変更が許可される | 入国管理局 |
(28) | 2年間 | 技能実習3号として技能実習をする | |
(29) | (28)の期限満了まで | 技能検定2級を受験 | 技能実習機構 |
(30) | (28)の期限満了直前 | 帰国 |
「団体監理型」を選択した場合
タイミング | すること | 関係機関 | |
---|---|---|---|
(1) | 監理団体に技能実習受け入れを申し込む | 監理団体 | |
(2) | 監理団体と海外送出機関が選出した人材を現地で面接し、雇用契約を結ぶ | 海外送出機関 | |
(3) | 実習開始の6ヶ月~4ヶ月前 | 監理団体の指導の下、技能実習計画を申請 | 技能実習機構 |
(4) | (3)から1ヶ月~2ヶ月 | 技能実習計画が認定される | 技能実習機構 |
(5) | (4)後、速やかに | 技能実習ビザ(在留資格認定証明書)を申請 | 入国管理局 |
(6) | (5)から約2週間 | 技能実習ビザが認定され、在留資格認定証明書が交付される | 入国管理局 |
(7) | (6)後、速やかに | 在留資格認定証明書を海外送出機関へ送付 | 海外送出機関 |
(8) | (7)が海外送出機関の元へ到着 | 海外送出機関 | |
(9) | (8)後、速やかに | 海外送出機関が現地で査証を申請 | 日本大使・領事館 |
(10) | (6)から3ヶ月以内 | 査証と認定証明書をもって外国人が来日 | |
(以降、企業単独型と同様の手順を踏みますが、基本的に監理団体の指導の下で進めることになります) |
技能実習制度の導入を検討の為の要件チェック
要件リスト
技能実習制度の要件は非常に数多く広範なものです。技能実習制度を新しく導入することを検討している段階では、すべての要件を1つずつチェックしていくと時間が膨大にかかります。
従ってこのページでは要件を下記の2つに区別し、リスト化および解説します。手始めに技能実習制度の導入を検討してみようという企業の場合は①のみをじっくり確認していただき、②は流し読む程度で構わないと思います。
- ①この区分の要件に該当しない場合は技能実習制度の活用を諦めざるを得ないような、致命的な要件
- ②手続きを進める中で、この区分の要件に合致するように調整してクリアできる要件 (適切な体制づくりや在留管理など)
致命的な要件
技能実習制度を新しく導入を検討する段階では、まず下記の要件に該当していることを押さえておいてください。
(表中の対象列の空白は対象が限定されない要件です。必ず当該要件には該当しなければなりません。)
対象 | 要件 | 詳細 解説 番号 |
---|---|---|
企業単独型のみ | 受入企業と送出企業が緊密な関係性を有していること | ※1 |
受入れる外国人が18歳以上であること | ||
受け入れ人数の上限を超えないこと | ※2 | |
実習内容が「本国で修得困難」かつ「同一作業反復の単純作業ではない」こと | ※3 | |
技能実習2号・3号に移行する場合 | 実習内容が省令に規定する移行対象職種・作業であること | ※4 |
実習内容が実習先事業所で「通常行う業務」で、「実習に必要な機械・設備を備えている」こと | ※5 | |
移行対象職種の場合 | 全業務時間に対する「必須業務」「関連業務」「周辺業務」の時間的割合の制約を守ること | ※6 |
帰国後に修得した技能を要する業務に従事すること | ||
報酬の額が日本人と同等以上であること | ※7 | |
来日後2ヶ月間、日本語や日本法令などの講習を行うこと | ※8 | |
受入企業(役員含む)・外国の機関が欠格事由に該当していないこと | ※9 | |
過去に同じ号での実習をしたことがないこと(やむを得ない事情がある場合を除く) | ※10 | |
技能実習2号のみ | 技能実習1号で従事した実習先企業の下で技能実習2号の実習を受けること(やむを得ない事情がある場合を除く) | ※11 |
複数職種の場合 | 「いずれも2号移行対象職種」かつ「関連性があり」かつ「複数させる合理性がある」こと | ※12 |
複数企業で実習を実施する場合 | 当該企業間で緊密な関係性を有していること | ※13 |
特定の業種の場合 | 特別に認められる業種が今後新たに追加されていきます。 告示に定める基準をクリアしていることが要件。 |
手続きを進める中で調整してクリア可能な要件
対象 | 要件 | 詳細 解説 番号 |
---|---|---|
技能の適正な評価を実施すること | ||
技能実習2号に進む場合 | 1号期間中に「技能検定基礎級」または「相当の技能実習評価試験」に合格していること | |
技能実習3号に進む場合 | 2号期間中に「技能検定3級」または「相当の技能実習評価試験」に合格していること | |
技能実習3号に進む場合 | 2号が修了した後に1ヶ月以上、一時帰国をしていること | |
技能実習3号に進む場合 | 実習企業または監理団体が優良要件への適合していること | |
事業所に「技能実習責任者」「技能実習指導員」「生活指導員」を選任すること | ||
適切な宿泊施設を確保していること | ||
安全衛生業務に従事させること | ||
技能実習生や家族等が、「保証金」や「違約金」の定めがされていないこと | ||
実習生が負担する費用について、実習生との間で適正な額で合意がなされていること | ||
団体監理型のみ | 認可を受けている監理団体によって実習監理を受けること | |
団体監理型のみ | 技能実習計画の作成に当たって、監理団体の指導を受けること |
それぞれの要件についての詳細解説
※1 受入企業と送出企業が緊密な関係性を有していること
企業単独型の技能実習の場合、外国人を受け入れる企業と送り出す企業に緊密な関係性がなければ認められません。
この緊密な関係性あると認められるためには、下記のいずれかに該当することを要します。
なお、この緊密な関係の立証については「技能実習計画が認定日から3年間」という有効期間が存在し、3年が過ぎれば再度立証しなければなりません。
- ①「同一法人」「親会社」「子会社」「孫会社」「関連会社」の関係
- ②継続して1年以上の取引の実績のある「取引先」の関係
- ③過去1年間に10億円以上の取引実績のある「取引先」の関係
- ④「業務提携関係」や「重要な事業関係」があり、技能実習生を受け入れることで今後の国際的な関係の強化見込まれ、かつ、事業上のメリットが存在する場合(法務大臣の告示で認められることを要する)
④については下記のようなものが一例です。
・技術提携契約を提携し、日本の受入れ企業から海外の提携企業へ製品の納入が決まっているが、海外企業には製品の据え付け技能がなく、日本で一旦技能実習をさせる必要があるような場合
・商標権提供契約を締結し、海外の提供先企業の売り上げに応じて日本の受入れ企業に商標権使用料を支払うような場合で、海外企業から実習生を受け入れて経営ノウハウを修得させることで、日本企業に事業場のメリットがあるような場合
「同一法人」「親会社」「子会社」「孫会社」「関連会社」の関係について
まず「同一法人」関係にある、海外の支店→日本の本店や、海外の本店→日本の支店、海外の支店→日本の支店の場合は特に難なく認められます。
次に、「親会社」「子会社」「孫会社」「関連会社」の関係のうち、要件に合致するのは下図の場合です。親会社から子会社の関連会社への異動は認められません。
また、「子会社」「孫会社」「関連会社」の定義は、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則の第8条に定義されています。
- 概ね、会社αが会社βの50%の議決権を有していれば、会社βは会社αの子会社といえます。
- 概ね、会社αが会社βの20%の議決権を有していれば、会社βは会社αの関連会社といえます。
ただし、50%以下・20%以下でも、子会社・関連会社といえる場合がありますので、少し具体的に解説します。
子会社の定義
会社Aが会社Bの、「意思決定機関」を支配している場合に、会社Aを親会社、会社Bを子会社となります。
そして「意思決定機関」を支配しているか否かについて、会社Aが会社Bの意思決定機関を支配しているといえる為には下記①②③のいずれかに該当する必要があります。
- ①50%を超える会社Bの議決権を、会社Aが所有している場合
- ②40%~50%の会社Bの議決権を、会社Aが所有している場合で、下記(A)~(E)のいずれかに該当する場合
- ③下記(A)に該当し、かつ、下記(B)~(E)のいずれかに該当する場合
- (A)会社Aと、議決権・出資・人事・資金・技術・取引等の関係で緊密な関係のある会社Cや会社Dが、合同で会社Bの50%を超える議決権を有している場合
- (B)現在、または、過去に、会社Aの役員・業務執行社員・使用人であった者が、会社Bの現在の取締役会(これに準ずる機関を含む)の構成員の過半数を占めていること
- (C)会社Aと会社Bの間に、会社Aが会社Bの意思決定を支配する契約書が存在する場合
- (D)会社Aが会社Bに融資を行っている場合で、その額が会社Bの貸借対照表の負債の部に計上されている総額の過半である場合(Aと
同様に合同で過半を超える場合でも可) - (E)その他、会社Aが会社Bの意思決定機関を支配していることが推測される事実が存在すること。
関連会社の定義
会社Aが、会社Bの「意思決定」に重要な影響を与えることができる場合に、会社Aと会社Bの関係は関連会社といえます。
「意思決定」に重要な影響を与えることができるとは、下記のいずれかに該当する必要があります。
- ①20%以上の会社Bの議決権を、会社Aが所有している場合
- ②15%~20%未満の会社Bの議決権を、会社Aが所有している場合で、下記(A)~(E)のいずれかに該当する場合
③会社Aと、議決権・出資・人事・資金・技術・取引等の関係で緊密な関係のある会社Cや会社Dが、合同で会社Bの20%以上の議決権を有している場合で、下記(A)~(E)のいずれかに該当する場合
④会社Aと会社Bが共同で支配される契約が存在する場合(共同支配企業)
(A)現在、または、過去に、会社Aの役員・業務執行社員・使用人であった者が、会社Bの現在の代表取締役・取締役(これらに準ずる役職を含む)に就任していること。
(B)会社Aと会社Bが重要な融資関係にある場合
(C)会社Aと会社Bが重要な技術を提供関係にある場合
(D)会社Aと会社Bが重要な事業上の取引がある場合
(E)その他、会社Aと会社Bが「意思決定」に重要な影響を与える関係であると推測される事実が存在する場合
※2 受け入れ人数の上限を超えないこと
受け入れ人数の上限表
受入れる技能実習生の人数は上限が設けられております。
上限は、下表の基本人数枠に、それぞれの受入れ企業が該当する倍数を乗じた人数となります。
小数点が発生しましたら切り捨ててください。
表の下に、「表中の言葉の定義」や「複数の号・複数の型の受入れの留意点」も解説していますのでお読みください
基本人数枠
常勤の職員の総数 | 技能実習生の上限人数 |
---|---|
301人~ | 常勤職員総数の20分の1 |
201~300人 | 15人 |
101~200人 | 10人 |
51~100人 | 6人 |
41~50人 | 5人 |
31~40人 | 4人 |
~30人 | 3人 |
企業単独型の上限人数
A:継続的・安定的に企業単独型技能実習をさせる体制がある企業
B:A以外の企業
1号 | 2号 | 優良な受入れ企業 | |||
---|---|---|---|---|---|
1号 | 2号 | 3号 | |||
A | 基本人数枠 | 基本人数枠×2 | 基本人数枠×2 | 基本人数枠×4 | 基本人数枠×6 |
B | 常勤職員総数の20分の1 | 常勤職員総数の10分の1 | 常勤職員総数の10分の1 | 常勤職員総数の5分の1 | 常勤職員総数の10分の3 |
団体監理型の上限人数
1号 | 2号 | 優良な受入れ企業および監理団体 | ||
---|---|---|---|---|
1号 | 2号 | 3号 | ||
基本人数枠 | 基本人数枠×2 | 基本人数枠×2 | 基本人数枠×4 | 基本人数枠×6 |
表中の言葉の定義
常勤の職員の総数とは
外国人に技能実習を実施する企業の、日本の本社・支店・事業所に所属する全体の常勤の職員の総数を指します。当該企業の海外の支店・事業所などの常勤職員や、受入れ予定の技能実習生の数は含めません。
また、技能実習が複数の企業により実施される場合には、複数の企業の常勤の職員の総数を合算して構いません。
次に常勤の職員とは、企業に継続的に雇用されている正社員、または、正社員と同様の就業時間で継続的に勤務している月給・日給待遇の者が該当します。
ただし、建設業・造船業や農業の場合は取り扱いが異なります。
【建設業・造船業の場合】
建設・造船の場合、他の請負企業の作業員も正規職員と同様の管理の下で業務に従事しているという特殊な実態があります。従って、当該特殊性を鑑み、建設業・造船業の場合で、下記の全てに該当する場合は、技能実習生受入企業と請負契約をしている下請企業の常勤の職員は、下請企業の職員ではなく、技能実習生受入企業の職員とみなす。(注:下請企業の常勤の職員数に加算されなくなる)
- 技能実習生受入企業が注文者であり、下請企業との請負契約が過去1年以上概ね継続的に締結されていること
- 技能実習生受入企業と下請企業の双方の職員が共に、技能実習生受入企業の業務にフルタイムで概ね6ヶ月以上継続して従事していること
- 下請企業の職員が、労働関係法令その他の法令に違反するものではないこと
【個人事業主である農業の場合】
下記のすべてに該当するものを常勤の職員の総数として判断されます。
- 確定申告をした前年分の収支内訳書(農業所得用)の事業専従者である者
- 名前だけ事業専従者に入っているのではなく、実態的に就労している者
「継続的・安定的に企業単独型技能実習をさせる体制がある企業」とは
技能実習計画の申請課程で理由書などで立証することにより、法務大臣と厚生労働大臣が認定するものです。そして一度認定されれば、3年間はその認定の効果が持続します。
優良案件とは
企業単独型の場合は企業が優良認定されていること、団体監理型の場合は企業が優良認定され、かつ、監理団体が一般監理許可を得ていることを要します。
具体的には、下記の項目に対して120点満点で72点以上で優良認定されます。
- 過去3年間の技能検定等の合格率
- 過去3年間の技能実習指導員・生活指導員の講習受講歴
- 最も低い賃金をもらう技能実習生の基本給が、地域の最低賃金よりどの程度多いか
- 技能実習生の昇給率
- 過去3年以内の改善命令の有無
- 過去3年以内の失踪者の数
- 相談体制・支援体制の構築
- 地域社会との共生・交流に関する機会の付与の有無
複数の号の技能実習生を受入れる場合の留意点
複数の号の技能実習生を異なる期間で受け入れた場合、1号から2号へ繰り上がる実習生が発生することにより、2号の上限人数を超える場合があります。
例えば、1号上限人数が5人、2号上限人数が10人の企業が、現時点で8人の2号実習生を受け入れているとします。そして新たに5人の1号技能実習生を受け入れた場合、1年経過すれば当該5人は2号実習生となり、2号実習生が13人となります。
このような場合であっても、上限を超えることは認められないので、上限を超えないような技能実習計画を立てる必要があります。
複数の型の技能実習生を受入れる場合の留意点
次に、複数の型(企業単独型・団体監理型)での技能実習生を受け入れる場合、現に技能実習計画の認定申請を行う受入れ形態に従った基準を適用して受入れ人数枠が決まります。
例えば、「常勤職員総数40人」の「優良」かつ「継続的な体制を有さない」企業で、「一般監理事業の許可を得ていない」監理団体の下、団体監理型で1人の1号技能実習生を受け入れているとします。
そして新たに企業単独型で受け入れようとした場合で、上限人数は表から算出すると4人ですが、すでに1人受け入れているので、新たに受け入れる上限人数は3人となります。
そしてその後、「一般監理事業の許可を得ている」監理団体の下、団体監理型で1号技能実習を受け入れる場合、当該人数枠は基本人数の2倍となるので、上限は8人となります。従って、4人の1号技能実習生を新たに追加できるようになります。
※3 実習内容が「本国で修得困難」かつ「同一作業反復の単純作業ではない」こと
「本国で修得困難」については、技能実習制度の趣旨が、日本から技能実習生の本国へ技能の移転を目的とするものなので、修得技能が本国で修得可能であれば、日本へ呼び寄せる必要性がありません。
技能実習生の申告書や、技能実習を行わせる理由書などにより、日本で実習を行う必要性を立証する必要があります。
「同一作業反復の単純作業ではない」については、製造ラインの中で同じ作業を繰り返し、何か技能を修得することもなく、特段のレベルアップが期待できない作業に従事するものを指します。このような単純作業の能力を日本から本国へ移転させる必要はありませんので、認められません。
※4 実習内容が省令に規定する移行対象職種・作業であること
2号技能実習・3号技能実習に移行する場合、技能検定などが整備されている「移行対象職種・作業」であることが要件として設けられていま
す。
新たな職種・作業が追加される可能性もあります。
「移行対象職種・作業」については、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)について-技能実習2号移行対象職種一覧をお読みください。
※5 実習内容は、実習先事業所で「通常行う業務」で、「実習に必要な機械・設備を備えている」こと
本要件は、技能を実習させるのではなく、単に外国人を入国させることを主目的とするような案件を排除するための要件です。
※6 全業務時間に対する「必須業務」「関連業務」「周辺業務」の時間的割合の制約を守ること
移行対象職種・作業の場合、技能実習生が実習に従事する時間について下記の通り制限があります。
- 必須業務:全体の業務時間の2分の1以上
- 関連業務:全体の業務時間の2分の1以下
- 周辺業務:全体の業務時間の3分の1以下
- 安全衛生業務:必須業務・関連業務・周辺業務、それぞれの時間の10分の1以上
必須業務とは
技能実習生が技能を修得するために必ず行わなければならない業務であり、技能検定における評価試験の「試験科目及びその範囲」・「基準の細目の範囲」に該当する業務を指します。
関連業務とは
必須業務に従事する実習生が、当該必須業務の生産工程において行う可能性のある業務であり、必須業務には含まれないが、その業務をすることにより必須業務の技能修得に直接的・間接的に影響を与える業務を指します。
周辺業務とは
必須業務に従事する実習生が、当該必須業務の生産工程において行う中で通常発生し得る業務のうち、必須業務にも関連業務にも含まれない業務であり、かつ、必須業務の技能修得に直接的・間接的に影響を与えない業務を指します。
※7 報酬の額が日本人と同等以上であること
技能実習生に対して不当に低い給料を設定することは認められません。
実習先企業に所属する同じレベルの技能・責任を有する日本人労働者と比較して、極端に低いものであってはならず、日本人と同等であることを立証しなければなりません。
なお、同じレベルの技能・責任を有する日本人がいない場合は、賃金規程に照らした職務能力報酬表のようなものに基づくものであることを立証したり、賃金規定がない場合には職務内容や責任の程度が最も近い職務を担う日本人労働者と比較し、職務内容・責任の差と報酬の差の合理的な関係を説明しなければなりません。
※8 来日後2ヶ月間、日本語や日本法令などの講習を行うこと
技能実習生が入国後、企業単独型の場合は企業が、団体監理型の場合は監理団体が、主体となって下記の内容の座学講習を実施しなければなりません。ただし、③に関しては専門的知識を有する者でなければならず、特に団体監理型の場合には企業・監理団体以外の外部の者が実施しなければなりません
- ①日本語
- ②日本の生活一般に関する知識
- ③出入国・労働に関する法令違反をしていることを知ったときの対応など、技能実習生の法的保護に必要な情報
- ④その他円滑に技能の修得に資する知識
講習時間について
講習時間は原則、1号技能実習の予定実習時間全体の6分の1を割り当てなければなりません。つまりおおよそ2ヶ月となります。
この点、1日に8時間を超える講習をした場合でも講習時間は8時間とみなされるので、講習日数の短縮を図って詰め込むようなことは認められません。
また、上の①②④について入国前講習を実施することにより、入国後の講習時間を12分の1、つまりおおよそ1ヶ月まで短縮することができます。
入国前講習は下記の全ての要件に該当するものでなければなりません。
- 入国前の6ヶ月以内に実施されるものであること
- 1ヶ月以上の期間を設け、かつ、160時間以上の座学を実施すること
また入国前講習機関の指定については、企業単独型の場合は企業が、団体監理型の場合は監理団体が、適正に指定します。そして指定する入国前講習機関は下記のいずれかでなければなりません。
- 外国の国、または、地方公共団体の機関
- 当該外国における正規の教育機関として認定され、かつ、義務教育終了後に入学する機関
- 緊密な関係性を有する外国の公私の機関 (※1を参照)
なお、技能実習計画の認定申請は、技能実習開始の4ヶ月前までに申請しなければなりませんが、申請段階において入国前講習を終えていなければならないわけではありません。申請の段階では見込み時間数を申請し、入国までに前入国前講習を完了させることで構いません。
各科目の時間配分について
講習の主体となる企業または監理団体が、適正に定めることとして差し支えありませんが、③の法令に関する講習については極端に減らすことは認められておりません。
③の法令に関する講習時間の目安は、「技能実習法令」「入管法令」「労働関係法令」「その他法的保護に必要な情報」について、少なくとも各2時間ずつ、合計8時間実施することが必要です。
通訳を介す場合は、8時間を要する講習内容は変わらず、別途通訳に必要な時間を追加しなければなりません。
講習のタイミングについて
入国後講習を実施するタイミングについては、下記のとおりです。
- 企業単独型:③の法令科目のみ、技能実習前に実施
- 団体監理型:すべての科目を、技能実習前に実施
各科目の具体的な内容について
②日本の生活一般に関する知識
下記のような内容を指します。
- 日本の法律や規則
- 社会生活上のルールやマナー
- 交通ルール
- 公共機関の利用方法
- 国際電話の掛け方
- 買い物の仕方
- ゴミの出し方
- 銀行・郵便局の利用方法
- 等
③出入国・労働に関する法令違反をしていることを知ったときの対応など、技能実習生の法的保護に必要な情報
技能実習法令・入管法令・労働関係法令に関する事項に関するもので、特に下記の内容を含むものでなければなりません。主にこの科目は、技能実習法令等の規定に違反しているような不正な監理団体・企業から技能実習生を保護する目的のための講習です。
- 技能実習機構における母国語相談の方法
- 労働基準監督署等の行政機関への連絡方法や、申告の要件、不利益取扱いの禁止に係る事項
- 賃金未払に関する立替払制度や休業補償制度
- 労働安全衛生や労働契約に関する知識
- 厚生年金の脱退一時金制度
- やむを得ない事情により転籍をしなければならなくなった場合における対応等
④その他円滑に技能の修得に資する知識
下記のような内容を指します。
- 機械の構造や操作に関する知識
- 技能実習への心構え
- 企業内での規律
- 現場施設見学
- 等
現場施設見学は座学ではありませんが、当該科目において含む取り扱いです。ただし、見学以外に作業をすることや機械操作に関する教育、安全衛生教育はここに含むことは認められません。(別途設けるべきものです。)
※9 受入企業(役員含む)・外国の機関が欠格事由に該当していないこと
下記の欠格事由に該当する場合、技能実習計画が認定されません。
- 「外国の準備機関またはその役員」が、「過去5年以内」に「技能実習計画の認定」に関して、「偽変造された文書等の提供」を行った (注1)(注5)
- 「受入れ企業」が、「過去5年以内」に「技能実習計画の認定」に関して、「技能実習生の人権侵害行為」・「不正な目的で偽変造文書等の行使」を行った (注2)
- 「受入れ企業またはその役員」が、「各種法令違反により罰金刑以上に処せられた」場合で、「執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない」場合 (注3)(注5)
- 「受入れ企業」が、「過去5年以内」に「技能実習計画の認定を取消」をされた
- 「受入れ企業」に、「過去5年以内」に「技能実習計画の認定を取消」をされた「役員が在籍」する
- 「受入れ企業」が、「入管関連法・労働関連法」に関して、「著しい不当行為」を行った (注4)
- 「受入れ企業またはその役員」が、「被後見人・被保佐人・破産手続きに関して復権を得ない」場合(注5)
- 「受入れ企業またはその役員」が、「過去5年以内」に「暴力団員であった」場合(注5)
- 「受入れ企業の事業」が、暴力団員に支配されている場合
(注1)外国の準備機関
外国の準備機関は下記の機関が該当します。外国の取次送出機関は含みません。
- 技能実習生が本国で所属していた機関
- 入国前の事前講習機関
- 旅券・航空券の取得代行を行う機関
(注2)偽変造文書等の行使
技能実習生への報酬に関する隠蔽を図るために、虚偽の賃金台帳を二重に作成したような場合を指します。
(注3)各種法令違反により罰金刑以上に処せられた
具体的には下記を指します。
- 禁錮以上の刑に処せられた者
- 技能実習関連法令・入管法令・労働関係法令に違反し、罰金刑に処せられた者
- 暴力団関係法・刑法等に違反し、罰金刑に処せられた者
- 社会保険関連法・労働保険関連法に違反し、罰金刑に処せられた者
(注4)著しい不当行為
個別事案ごとに、重大性を判断されることとなります。
ただし、入管から技能実習生の受入れを一定期間認めない通知を受けている場合には、欠格事由に該当します。
(注5)役員
法人の役員に形式上なっている者だけではなく、実態的に法人の事業に対して強い支配力を有する者も対象となります。例えば下記のような者が該当します。
- 業務を執行する社員
- 取締役
- 執行役
- 相談役
- 顧問
- これらに準ずる者
※10 過去に同じ号での実習をしたことがないこと(やむを得ない事情がある場合を除く)
技能実習生として過去に日本で実習をした者は、再度同じ号の技能実習生としては原則入国できません。
例外としてやむを得ない事情がある場合には認められますが、「やむを得ない事情」とは下記のようなものを指します。
- ①技能実習生の病気・怪我、家族の都合により、技能実習の継続ができなくなったが、事情が改善されて技能実習の再開を希望する場合
- ②実習先企業の経営上や事業上の都合により、技能実習の継続ができなくなったが、異なる実習先へ変更できる場合
- ③前回の実習内容に関連した内容、または、より上級の内容の技能の習得を再実習するものであり、さらに下記のABCの全てに該当する場合
- A.前回および今回の技能実習が、移行対象職種・作業ではない第1号技能実習であること
- B.前回の技能実習において、移行対象職種・作業として技能実習計画を策定しなかったことに合理的な理由があること
- C.前回の技能実習で学んだ技能が、母国で既に活用されている、または、活用される予定があること
なお、①②の場合の実習期間は、前回の実習期間と通算して法律の上限内の期間となります。ただし②の場合は、前回の実習先企業に在籍していたが、実習先企業の事情によって実質的に実習を受けることができなかった期間は通算されません。
※11 技能実習1号で従事した実習先企業の下で技能実習2号の実習を受けること(やむを得ない事情がある場合を除く)
1号技能実習と2号技能実習の3年間は、基礎的な技能を効率的に修得するために同一の企業において計画的に一貫して実習を行うことが要求されます。
ただし下記のようなやむを得ない事情がある場合は、異なる実習先企業で2号技能実習へ移行することも認められます。
- 1号技能実習の実習先企業の経営状態の悪化
- 1号技能実習の実習先企業の技能実習計画の認定の取消
- 1号技能実習の実習先企業の労使間の諸問題
- 1号技能実習の実習先企業における対人関係の諸問題
- その他、1号技能実習の実習先企業において適正な技能実習の継続が期待できない事情がある場合
なお、3号技能実習へ移行する場合は、異なる実習先企業で実習を受けることを認めています。
※12 「いずれも2号移行対象職種」かつ「関連性があり」かつ「複数させる合理性がある」こと
旧制度の技能実習では複数の職種・作業は認められませんでしたが、新しい技能実習制度になり、2つまたは3つまでの複数の職種・作業までは認められる取り扱いとなりました。これは、多能工の養成等を目的とするというのが趣旨となっております。
複数の職種・作業をする技能実習計画の認定を受けるためには、下記の要件に該当する必要があります。(主たる職種・作業とは実習時間が最も長いものを指します。)
- 主たる職種・作業と従たる職種・作業が同一の受入れ企業で実施されること
- 主たる職種・作業と従たる職種・作業の合計数が2つ、または3つであること
- 主たる職種・作業と従たる職種・作業がいずれも2号移行対象職種・作業であること
- 実習先事業所において日本人労働者が当該複数の職種・作業を行っていること
- 主たる職種・作業と従たる職種・作業が相互に関連しており、複数の実習をさせる合理的な理由があること
ただし、主たる職種・作業と従たる職種・作業の合計数の場合には、複数の実習をさせる合理的な理由の立証について高い説明レベルが求められます。
なお、従たる職種・作業については技能検定等のクリア要件は課されておりません。
また、「複数の実習をさせる合理的な理由があること」とは、複数の職種をさせることによってより技能実習の効果が高まるような、技能実習制度の趣旨に沿った理由が求められます。
※13 当該企業間で緊密な関係性を有していること
技能実習を行わせる主体は、日本の法人でも個人でも構いませんが、法人が行う場合には複数の法人が共同で技能実習を行わせることも認められています。
ただし、複数の法人の関係性が下記のいずれかでなければなりません。
- 親会社と子会社の関係
- 同じ親会社をもつ子会社同士の関係
- その他緊密な関係を有することを法務大臣・厚生労働大臣が個別に認めるもの
緊密な関係を有する複数の法人の代表的な例としては、以下のような事例が考えられます。
日本の自動車メーカーと、資本関係のない複数のディーラーが共同で技能実習生を受け入れる場合で、自動車メーカーが自社製造工場で自動車の基本構造を実習させ、ディーラー下で点検整備に関する技能を修得させようとする事例。
このような事例は下記のようなポイントを考慮されて認められるものです。
- 当該自動車メーカーとディーラー間には自動車の販売後の点検整備を含む販売委託契約を締結している。
- 自動車メーカーは自動車の点検整備を行う体制を有していないが、ディーラーは当該体制を有する。
- 自動車メーカーとディーラーの双方に事業上のメリットがある。
自動車メーカーとディーラーの双方に事業上のメリットがあるとは、例えば、技能実習生本国の自動車の整備点検技術が向上することにより、自動車メーカーの自動車事業おいて顧客の確保につながり、かつ、ディーラーにとっては自動車メーカーとの取引関係が強化となるようなものを指します。
なお、緊密な関係性の立証は有効期間が3年であり、その期間が過ぎれば再度立証しなければなりません。