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2017年入管内部基準に記載されている、「離婚後・死別後・婚姻破綻後に取得する定住者ビザ」における詳細要件について記載します。

他の定住者ビザの種類については、【2017年入管内部基準】定住者ビザの種類について(ビザ)を読んでください。

離婚後・死別後・婚姻破綻後に取得する定住者ビザの詳細要件

離婚後・死別後に取得する定住者ビザ

要件の俯瞰

要件について箇条書きします。各要点に関する詳細解説を読む場合はその下まで読み進めてください。

離婚後・死別後に定住者ビザが認められるためには、下記の全てに該当なければなりません。

  • ① 離婚または死別までに、日本の中で、結婚生活が3年程度継続していたこと
  • ② 日常生活に支障のない程度の日本語能力があること
  • ③ 生活が維持できる資産や能力を有すること
  • ④ 公的義務を遵守していること
  • ⑤ 素行が善良であること

「結婚生活」について

法律上の婚姻関係のみではなく、実態的な結婚生活を営み、同居し互いに扶助しあっていることが必要です。

ただし、特別な事情のある別居の場合は差し支えありません。

例えば、婚姻関係が良好ではなく、その関係を修復するために一時的に別居し、かつ、その間の生活費等の扶助はし合っている場合に、やはり修復ができないとして離婚した場合は、特別な事情として判断されます。

「3年程度」について

厳密に3年以上の結婚である必要はなく、3年程度あればよい取り扱いです。

従って2年11ヶ月であってもそれだけをもって不許可となるわけではありません。

「日本語能力」について

厳密に日本語能力試験の級数やテストを問うものではなく、申請書の記載や面談において意思疎通レベルが図れる程度であれば構いません。

「生活が維持できる資産や能力」について

生活が維持できる資産もなく、かつ就労もしておらず、「公共の負担となるおそれがある」と判断できる場合は要件に該当しない可能性があります。

「公共の負担となるおそれがある」とは、生活保護の支給される可能性のあるような者を指し、申請人の収入・預金・その他資産で判断されます。

金額については入管からは公表されていないので伏字で記載しますが、申請人の「扶養を受ける者(国内外含む)」「申請人本人」「他に身元保証している外国人」の合計人数に〇〇〇万円を乗じた金額が1年間の基準滞在費として判断されます。

従って、その金額に応じて申請人の資産を示す資料で立証することになります。

立証資料は下記のようなものがあります。

  • 住民税の納税証明書
  • 在職証明書、または、確定申告書控え・営業許可書の写し
  • 所得が記載された源泉徴収票
  • 預貯金通帳の写し
  • 年金等を受給していることを証明する文書
  • 不動産の固定資産税書類
  • 雇用予定証明書
  • その他資産を証明する書類
  • その他資産を有するに至った経緯を証明する資料

上記立証資料により許可を得て入国した後、比較的早い段階で生活保護を受給するようになった場合には、更新申請が不許可となる可能性が高いです。

「公的義務を遵守していること」について

納税申告だけではなく、遅滞なく納税義務を完納していることが求められます。ただし、会社員などの場合は事業者が代わりに納付しますが、事業者都合で納税義務を果たしていない場合は、そのことをもって不許可となるわけではありません。

「素行が善良であること」について

素行が善良か否かは下記のように審査されます。

素行が善良と認められるためには下記のすべてに該当しない者でなければなりません。

  • ①日本・海外の法令違反で懲役・禁錮・罰金・これらに相当する刑に処せられたことがある者。(注1)
  • ②少年法による保護処分(1号・3号)が継続中の者。(注2)
  • ③違法行為や風紀を乱す行為を繰り返し行うなど、素行善良と認められない事情がある者。(注3)
  • ④不法就労のあっせんや、自己または他者のビザ手続きにおいて不正行為を行った者。

(注1)

道路交通法違反による罰金は除かれます。ただし、道路交通法違反による罰金を何度も繰り返しているような場合には③に該当する可能性もあります。

また「刑の消滅の規定の適用を受ける者」又は「執行猶予の言渡しを受けた場合で当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過し、その後更に5年を経過した者」は、これに該当しないものとして扱われます。

刑の消滅の規定とは下記のとおりです。(刑法第34条の2)

    (1)禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで10年を経過したときは、刑の言渡しは効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで5年を経過したときも、同様とする。

  • (2)刑の免除の言渡しを受けた者がその言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで2年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。

また、海外における刑罰も審査の対象なので、犯罪経歴証明書や無犯罪証明書を求められる場合があります。

日本の法令違反の審査は前科照会等がなされます。

(注2)

保護処分の1号とは保護観察所の保護観察に付することであり、3号とは少年院に送致することです。

(注3)

「①日本の法令違反で懲役・禁錮・罰金に処せられたことがある者」に該当しないような軽微な法令違反であっても同様の行為を繰り返し行うような場合や、地域社会に多大な迷惑を及ぼす活動を繰り返し行う者が該当します。

例えば、交通違反の反則金は罰金ではありませんが、何度も繰り返すような場合にはこれに該当します。また反則金や罰金がなくとも街宣活動などで何度も指摘を受けているような場合にもこれに該当します。

これらの事情については、関係機関からの報告や一般人からの通報などを調査し、事実と認定した場合に素行善良と認められない特段の事情があるものと判断されます。

離婚後・死別後に取得する定住者ビザ

要件の俯瞰

婚姻破綻時に定住者ビザが認められるためには、下記の①③④⑤、または②③④⑤に該当なければなりません。

  • ① 申請まで、日本の中で、結婚生活が3年程度継続していたこと
  • ② DV被害を受けたと判断できる場合
  • ③ 生活が維持できる資産や能力を有すること
  • ④ 公的義務を遵守していること
  • ⑤ 素行が善良であること

「婚姻破綻」の状態とは

「婚姻破綻」の状態とは、下記のすべてに該当するような場合を指します。

  • 特別な事情で法律上の婚姻関係は継続中である場合
  • 互いに婚姻関係を継続する意思がない
  • 互いに同居・扶助しあう活動が行われていない
  • 上記の状態が固定化されて修復が見込めない

「DV被害」について

DVとは、身体への暴力、または、心身に有害な影響を及ぼす言動を指します。

これらの事実がある場合には、結婚期間が3年程度なくとも定住者ビザが許可される場合があります。

このDV被害に係る申請があった場合は、原則、入管からの事情聴取がありますが、精神的な事情により事情聴取を受けたくない等の理由があれば断ることもできます。

また、配偶者暴力相談支援センターや警察への通報については、原則は本人の意思を確認されるものですが、暴行などの存在により刑事事件に発展するような場合は、本人の意思にかかわらず通報する運用となっています。

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