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2017年入管内部基準に記載されている、「高度専門職ビザを有する外国人の配偶者が就労するための特定活動ビザ」の認められる要件について記載します。

特定活動ビザの全般的な概要と、特定活動ビザのその他の種類については、下記を参照してください。

【2017年入管内部基準】特定活動ビザの審査について(ビザ)

特定研究・特定情報処理を有する外国人の配偶者・子が家族滞在する特定活動ビザについては下記を参照してください。

特定研究・特定情報処理を有する外国人の配偶者・子が家族滞在する特定活動ビザ【2017年入管内部基準】

高度専門職ビザを有する外国人の配偶者が就労するための特定活動ビザ

通常、高度専門職ビザを有する外国人の配偶者は家族滞在ビザが該当します。しかし家族滞在ビザでは、資格外活動許可を取得して週28時間以内しか就労することができません。

技術・人文知識・国際業務ビザ等の就労ビザを取得すれば週28時間以上働くこともできますが、技術・人文知識・国際業務ビザの要件として大卒要件や、実務経験10年の要件などがあり、外国人の方によっては不可能な場合もあります。

しかし高度専門職ビザを有する外国人の配偶者の場合、家族滞在ビザから、就労が認められる特定活動ビザへ拡張することができます。

この就労が認められる特定活動ビザの法文は下記のとおりです。

三十三 高度専門職外国人の配偶者(当該高度専門職外国人と同居する者に限る。)が,本邦の公私の機関との契約に基づいて,従事しようとする活動に日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けて行う別表第五に掲げるいずれかの活動

特定活動ビザが認められる要件などの解説

高度専門職ビザを有する外国人の配偶者は就労ビザへ拡張することができます。その要件は下記のとおりです。

  • 高度専門職ビザを有する外国人の配偶者であること
  • 高度専門職ビザを有する外国人と同居していること
  • 日本の公私の機関と契約に基づいて就労すること
  • 業務内容が要件(別表第五)に合致していること
  • 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬であること

これらについて詳しく解説していきます。

「高度専門職ビザを有する外国人の配偶者であること」について

日本の法律に基づいた適法な婚姻である必要があります。従って、事実婚や外国で同性婚をしたような場合は含まれません。

「日本の公私の機関と契約に基づいて就労すること」について

日本の公私機関とは、下記の機関を指します。

  • 地方公共団体
  • 独立行政法人
  • 会社
  • 公益法人等の法人
  • 任意団体
  • 日本に事業所を有する個人事業主
  • 日本に事業所を有する外国に位置する上記の機関

ただし任意団体は権利能力はないので、契約書の署名当事者となることはできません。

また、契約形態には下記を含みます。

  • 雇用契約
  • 委任契約
  • 委託契約
  • 嘱託契約
  • など

ただし、不特定機関ではなく特定機関でなければなりません。また複数の機関との契約でも構いません。

契約書面の記載事項や契約当事者に関する注意点は、【2017年入管内部基準】本邦の公私の機関との契約・外国の公的機関・外国の教育機関とは(ビザ)を参照してください。

「業務内容が要件に合致していること」について

特定活動ビザが認められて就労を行う場合、下記の業務に限定されます。

  • 研究に従事する業務
  • 教育機関において教育に従事する業務
  • 技術・人文知識・国際業務ビザに認められる業務
  • 「宣伝」「番組・映画の製作」「商業用の写真撮影・録音・録画」の芸能活動業務

「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬であること」について

特定活動ビザを取得するためには、外国人が業務に従事する機関において、日本人と同等以上の報酬を得る必要があります。

「日本人と同等以上の報酬」については、例えば外国人が従事する機関において、同等の地位・技術レベル・経験を有する日本人と比較して、明らかに外国人の給料を安くしていないか否かで判断されます。また、他に日本人従業員がいない場合には同一業種の一般的な報酬額で判断されます。

平均的な新卒の月収は下記のとおりですが、これよりも極端に安い場合は、当該企業におけるほかの日本人の給与についても立証資料として提出したほうがよいでしょう。

  • 大学院卒:22.8万円
  • 大学卒:20.2 万円
  • 高専・短大卒:17.5万円
  • 高校卒:16.0万円

また、報酬に含まれるものと含まれないものがあります。

報酬には、役務の対価としての給与・賞与のみを含み、通勤手当、扶養手当、住宅手当等の実費弁償の性格を有するものは含みません。課税対象となるかどうかが報酬に含まれるかどうかの見極めとなります。

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