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外国人を適正にサポートし在留許可へ向けて実務をこなすビザ専門行政書士の私としては、入管側の内部基準も理解しておきたいものです。ここでは、2017年入管内部基準に記されている、実態調査について詳しく記述します。

第1章 総則

第1 目的

本編は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」という。)第59条の2の規定に基づく事実の調査(以下「実態調査」という。)に関する入国審査官又は入国警備官の職務の遂行について、その取扱いを具体的に規定し、もって、その適正を図ることを目的とする。

第2 実態調査の根拠規定

本編における実態調査の法的根拠は、事実の調査に係る入管法第59条の2の規定である。

実態調査は、調査の対象となる外国人(以下「対象外国人」という。)又はその関係人や関係機関(以下、対象外国人を含め「対象者等」という。)の任意の協力に基づいて行うものである。

(注1)入国警備官は、入管法第22条の4第1項の規定による在留資格の取消しに関する処分を行う必要がある場合にのみ、入管法第59条の2の規定に基づく事実の調査を行うことができる。

(注2)実態調査においては、対象者等に対して直接的に強制する手段は認められていないことに留意する。

第3 調査担当官と審査担当官との連携

実態調査部門が設置されているなど実態調査の担当官(以下「調査担当官」という。)が申請等の審査担当官と異なる場合には、実態調査に当たって解明すべき事項、対象者等の過去の申請等における動向等実態調査に当たって留意すべき事項等について、調査担当官と審査担当官が綿密に打合せを行い、的確な実態調査を行う。

第4 警備部門との連携

在留資格の取消しに係る実態調査については、入国警備官も行うことができるところ、当該実態調査については、審査部門と警備部門において十分な情報共有を図って連携して実施する。特に、警備部門において、摘発時等に、在留資格取消対象者を発見し、実態調査を行う場合には、審査部門と警備部門が相互に協力して実態調査及び在留資格取消手続をとる。

第5 効果的な実態調査の実施の確保

各地方入国管理官署においては、在留諸申請に係る処分の許否、在留資格取消しの判断及び退去強制手続における実態調査結果の活用状況について、適宜フォローアップを行い、効果的な実態調査の確保に努めるものとする。

(注)実態調査を実施した部門及び出張所を中心に、各官署において行うものである。

第2章 実態調査案件の進行管理等

第1 受理及び配分

1 実態調査を担当する首席審査官、統括審査官若しくは出張所長又は首席入国警備官(以下「調査担当首席審査官等」という。)は、自ら実態調査を行うことを決定したとき、審査担当部門からの依頼により実態調査を行うことを決定したとき、又は他の地方入国管理局・支局からの依頼により実態調査を行うことを決定したときは、遅滞なく当該案件を実態調査台帳(任意様式)に登載し、その処理状況を明らかにする。

(注)在留諸申請に係る審査において、必要に応じて申請人等から電話又は面接等により、申請内容の不明な点について聴取・確認する場合等、調査担当首席審査官等において個別の申請案件とともに進行管理を行い、在留資格審査画像照会システムに入力すべきと考えられるものについては、実態調査台帳への登載及び後記第3の外国人出入国情報システム(以下「FEIS」という。)への入力を行う必要はない。

2 調査担当首席審査官等は、実態調査台帳に登載した案件については、効果的に処理することを念頭に当該案件に係る調査担当官を指名し、調査の時期、調査上の留意点等を具体的に指示した上で配分する。

なお、調査担当官の指名に際しては、原則として複数名を指名し、最上位の担当官が主導的役割を果たしつつ、実態調査を行うこととする。

第2 進行管理

1 調査担当首席審査官等は、調査担当官の調査の進捗状況を定期的に確認する。

2 調査担当官が実態調査案件の配分を受けたときは、同担当官は、調査の進捗状況を常に把握しておくように努める。

また、後記第3のとおり、FEISの実地調査登録に入力し、もって調査の進捗及び結果を管理する。

第3章 実地調査

第1 実地調査の心構え

調査担当官は、実地調査を行うに当たっては、次の点に留意する。

1 実地調査は、あくまでも強制力を伴わない任意の調査であることを十分認識し、調査に際しての発言、行動等には特に留意しなければならない。

2 実地調査により解明しようとする事項を十分理解し、基礎調査・照会調査等を通じて準備に万全を期するとともに、当該事項の解明のために最適な方法・タイミングで調査をするよう留意しなければならない。よって、実地調査の実施の判断に当たっては、これらの準備・タイミング等が整っているか見極める必要がある。

第4章 対象者等からの事情聴取

第1 出頭要請

1 調査担当官が入管法第59条の2第2項の規定に基づき対象者等から事情聴取するために出頭を求める場合は、別記第2号の1様式又は別記第2号の2様式による出頭通知書を使用する。

2 出頭通知書の入国審査官又は入国警備官の氏名は、実態調査を実施する部門の首席審査官若しくは出張所長たる入国審査官又は首席入国警備官たる入国警備官の名をもって行う。なお、別記第2号の1様式及び別記第2号の2様式の番号欄については、必要に応じ、進行管理のために使用する番号等を記載する。

(注1)入国警備官は別記第2号の2の様式に限り出頭通知をすることができる。

(注2)対象者等に対し、電話又は口頭で出頭を求めることを妨げないが、電話で出頭を求めたときは別記第3号様式による電話記録書、口頭で出頭を求めたときは別記第4号様式による面接記録書にそれぞれ記録するとともに、相手方が求めたときは、出頭通知書を作成し、交付する。

第2 事情聴取

(注)実態調査により、人身取引等の被害者又はその可能性がある者を認知した場合の対応については、入国・在留審査要領第10編第1章第3節第4参照。

(注)実態調査により、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律第1条に規定する配偶者からの暴力を受けた外国人(以下「DV被害者」という。)又はDV被害者と思料される外国人を認知した場合の対応については、入国・在留審査要領第10編第1章第3節第5参照。

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