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外国人を適正にサポートし在留許可へ向けて実務をこなすビザ専門行政書士の私としては、入管側の内部基準も理解しておきたいものです。ここでは、2017年入管内部基準に記されている、在留資格の取消(送達・特則)について詳しく記述します。

第4節の2 送達

第1 送達する書類

在留資格取消手続における意見聴取通知書及び在留資格取消通知書(以下「意見聴取通知書等」という。)の送達については、入管法第61条の9の2及び本節に定めるところによる。

なお、同条に定める送達の手続は、意見聴取通知書等の送達に限り適用され、その他の書類の交付又は通知には適用されない(入管法第22条の4第3項、第6項)。

第2 送達の方法と手続

入管法第61条の9の2に規定する送達の方法は、郵便又は信書便による送達(以下「送付送達」という。)、交付送達及び公示送達が定められている。

1 全般的留意事項

(1)送達を受けるべき者
ア 原則

送達に係る意見聴取通知書等に記載された事項の効力は、送達を受けるべき者に対する送達の完了によって発生する。

イ 法定代理人に対する送達

送達を受けるべき者が未成年者、成年被後見人、代理権付与の審判がなされた被補佐人・被補助人である場合は、法定代理人に意見聴取通知書等を送達し、当該送達の完了によって、当該送達を受けるべき未成年者等に対して当該意見聴取通知書等に記載された事項の効力が発生する。

ウ 再入国出国中の者に対する送達

送達を受けるべき者が再入国出国中である場合であっても、当該送達を受けるべき者の住居地があるときは、当該住居地に意見聴取通知書等を送達すること自体はできるが、意見聴取通知書については、あらかじめ意見聴取の期日を設定することが困難であり、在留資格取消通知書については、出国期間の指定が困難であること等から、送達を受けるべき者が再入国出国中である場合には、公示送達を含め、意見聴取通知書等の送達を行わない。

なお、在留資格取消通知書の公示送達中の取消対象者から、再入国出国するとして再入国許可申請がなされた場合は、同申請を不許可とし、併せて在留資格取消通知書の交付送達等を行い、現に再入国許可を有するとして出国確認の申請がなされた場合には、公示送達中であること及び公示送達完了後の再入国許可による再入国はできないことを伝達し、そのような事情を前提として出国する旨を記載・証明した書面(任意書式)を提出させた上、出国確認を行う。当該書面については、在留資格取消手続を行っている地方局に送付し、送付を受けた地方局においては、当該者の在留資格取消手続に関する記録とともに編てつして保管する。

(注)再入国出国中に在留資格取消通知書の公示送達が完了した者については、公示送達の完了をもって在留資格が取り消され、出国時に有していた再入国許可も失効することから、再入国許可による上陸の申請がなされた場合には、無査証事案として対応する。

(2)送達すべき場所
ア 原則

送付送達又は交付送達により送達を行う場合は、原則として、送達すべき場所は送達を受けるべき者の住居地となるが(入管法第61条の9の2第1項)、送達を受けるべき者に異議がないときは、その他の場所において交付することができる(同条第4項)。

なお、住居地とは法務大臣に対して届け出られているものに限定されるものではなく、例えば、送達を受けるべき外国人が知人宅に相当期間寝泊まりしている場合については、当該知人宅を住居地として届け出ていなかったとしても、当該知人宅を送達すべき場所とすることができることがある。

イ 外国人が刑事施設に収容されている場合

(ア)送達を受けるべき者が刑事施設に入所するまで単身で世帯を構成していた場合は、当該刑事施設を送達すべき場所とする。

(イ)送達を受けるべき者が刑事施設に入所するまで家族と住居地を一にしていた場合は、当該家族の住居地が送達すべき住居地となる。なお、送達を受けるべき者が、収容されている施設において意見聴取通知書等の交付を受けることについて異議がない場合は、当該施設において当該外国人に書類を交付して送達を行うことができる。

(注)送達を受けるべき者が収容される以前に居住していた住居地に、当該送達を受けるべき者の親族が当該住居地に現に居住しているときは、当該住居地を当該送達を受けるべき者の住居地とすることができる(昭和52年1月31日東京地裁判決、昭和53年3月14日東京高裁判決)。

ウ 住居地と認定できる場所がないとき

送達を受けるべき者に対して、居所や現在地において意見聴取通知書等を交付することについて異議があるか確認し、異議がなければ意見聴取通知書等を交付し、異議を申し立てた場合は、公示送達する。

2 送付送達

送達する意見聴取通知書等を送達を受けるべき者の住居地に郵送することで送達を行う。

(1)方法

原則として書留等(特殊扱いとされる郵便のうち、郵便の配達又は交付を記録する郵便(書留、配達証明、内容証明、本人限定受取等をいう。以下同じ。)により送付する。

(注)特殊扱いとされる郵便とは、郵便のうち、郵便法第44条の規定によるもの(速達の取扱いによる郵便を除く。)をいう。

(2)送達の完了

郵便物の差出しから配達までの記録が日本郵便においてなされるため、送達を受けるべき者の住居地に配達された時(到達時)に送達が完了する。

(3)手続

ア 「転送不要」の表示を行った上で、書留等により送付する。

イ 送付送達を行う場合は、送達を行う書類の名称、送達を受けるべき者の氏名、宛先及び発送の年月日を記録し、通知書番号を付して送付台帳(適宜の様式のもの)を作成する。なお、同一人に対し複数回送付を行う場合は、送付の度に新たな記録を行う。

(注1)書留等により送付送達を行う場合は、通常の取扱いによる郵便と異なり、記録の作成が法律上義務付けられているものではないが、適正な送達手続を行うため記録の作成を行う。なお、通常の取扱いによる郵便をもって送付送達を行う場合は、送達を行う書類の名称、送達を受けるべき者の氏名、宛先及び発送の年月日を確認するに足りる記録を作成しなければならない(入管法第61条の9の2第3項)。

(注2)送付台帳は必要な項目が記載されていれば単一の台帳である必要はなく、在留資格取消手続に係る進行管理簿(適宜の様式のもの)を作成した場合には、当該管理簿と兼用して差し支えない。

ウ 送達を行う通知書の写しを作成し、書留により通知書を発送した際に交付される受領証とともに、一連記録に編てつして保管する。

エ 意見聴取通知書等を発送した後は、日本郵便の郵便追跡サービスを利用して、書類の配送状況を確認し、配達が確認された場合は、当該意見聴取通知書等の写しの欄外に「○○○○年○○月○○日送付送達」と記載し、送達の完了を確認した者が署名又は押印する。また、送付台帳に送達の完了を記載するとともに、送達の完了及び必要な事項をFEISに入力する。

(注)可能な範囲で、インターネットによる日本郵便の郵便追跡サービスを利用することとし、配達完了画面を印刷して一連記録に編てつして保管する。

オ 宛先不明等の理由により、意見聴取通知書等が返送されてきた場合は、送付台帳に返送の事実と返送を受けた日付を記載する。

(注)送付送達は、制度上、郵便(日本郵便(郵便事業株式会社)が扱うものを指す。)又は信書便(民間事業者による信書の送達に関する法律第2条第2項に規定するもの)により行うことができるとされている(入管法第61条の9の2第1項)。

通常の取扱いによる郵便(郵便のうち郵便法第44条の規定による特殊取扱いとされる郵便(速達の取扱いによる郵便を除く。)以外のものをいう。)により送達を行った場合は、その完了は、通常到達すべきであった時に送達があったものと推定されるが、送達の事実がなかった等の反証がある場合、送達は完了しない。なお、「通常到達すべきであった時」とは、そのときの郵便の事情と地理的事情等を考慮して合理的に判定される時をいう。

3 交付送達

(1)方法
ア 原則

入国審査官又は入国警備官が送達を受けるべき者の住居地において、送達を受けるべき者に意見聴取通知書等を交付して行う。

イ 前記ア以外の送達

(ア)出会送達(入管法第61条9の2第4項)

送達を受けるべき者に異議がないときは、出会った場所その他の住居地以外の場所において意見聴取通知書等を交付して行う。

(イ)補充送達(入管法第61条9の2第5項第1号)

送達を受けるべき者の住居地において、送達を受けるべき者本人に出会わない場合、同居の者であって、送達を受けるべき者に受領した意見聴取通知書等を交付することが期待できるものに意見聴取通知書等を交付して行う。

(注1)送達を受けるべき者の住居地以外の場所で補充送達を行うことはできない。

(注2)「同居の者」とは、必ずしも親族又は生計を一にしていることを要しない。

(注3)「交付をすることが期待できるもの」とは、意見聴取通知書等の送達の趣旨を了解し、受領した意見聴取通知書等を送達を受けるべき者に交付することを期待しうる能力を有する者をいい、必ずしも成年者であることを要しない。

(ウ)差置送達(入管法第61条の9の2第5項第2号)

送達を受けるべき者又は前記(イ)に規定する補充送達を受けられる者が、その住居地にいない場合又はこれらの者が宛名の誤記等の正当な理由がなく意見聴取通知書等の受領を拒んだ場合に、当該住居地(玄関内、郵便受け等)に意見聴取通知書等を差し置くことにより行う。

(注1)送達を受けるべき者の住居地以外の場所においては、差置送達を行わない。

(注2)差置送達を行った当該住居地が送達を受けるべき者の住居地でないことが明らかになった等の反証がある場合、差置送達は完了しない。

(注3)意見聴取通知書等の受領拒否の正当な理由がある場合とは、例えば、当該意見聴取通知書等の宛名に誤記がある場合等である。

(2)手続

ア 送達を受けるべき者の住居地において交付送達(補充送達を含む。)を行う場合は、あらかじめ送達を行う意見聴取通知書等の写しを作成し、送達を受ける者(補充送達において本人に代わって送達を受ける者を含む。)に対し意見聴取通知書等の本信を交付するとともに、写しの欄外に当該送達を受けた者の受領の署名及び受領の日付を徴する。

イ 送達を受けるべき者の出頭を求めて出会送達を行う場合は、意見聴取通知書等の交付のために出頭を求めるものであることを当該送達を受けるべき者に明示した上で出頭させ、送達を行う意見聴取通知書等の写しを作成し、意見聴取通知書等の本信を交付するとともに、写しの欄外に当該送達を受けた者の受領の署名及び受領の日付を徴する。

住居地及び地方入国管理官署以外の場所で出会送達を行う場合についても、当該場所で意見聴取通知書等の交付をしようとするものであることを送達を受けるべき者に明示した上、異議がなければ同様に取り扱う。

ウ 意見聴取通知書等を受領した者が署名等を拒んだ場合は、交付を行った者がその旨を意見聴取通知書等の欄外に日付とともに記載する。

エ 差置送達を行う場合は、あらかじめ送達を行う意見聴取通知書等の写しを作成し、意見聴取通知書等の本信を差し置くとともに、送達を行った入国審査官又は入国警備官は、差し置くこととした経緯及び当該住居地の状況等に係る「調査報告書」(別記第4号様式)を作成しなければならない。

オ 交付送達(出会送達、補充送達及び差置送達を含む。)を行った場合は、意見聴取通知書等の写しの欄外に「○○○○年○○月○○日交付送達(出会送達等の場合は「出会送達」等と記載)」と記載し、送達を行った者が署名又は押印した上で、一連記録に編てつするとともに、送達の完了及び必要な事項をFEISに入力する。

4 公示送達(入管法第61条9の2第6項)

送達を受けるべき者の住居地が明らかでない場合には、送付送達又は交付送達に代えて公示送達をすることができる。ただし、公示送達は難民の認定を受けた者の在留資格の取消手続においては行うことができない。

(注)住居地が明らかでない場合とは、送達を受けるべき者の在留状況を勘案し、個々の具体的事情から通常必要と認められる調査を実施しても、送達を受けるべき者の住居地が判明しない場合をいう。

所要の調査をすれば、住所等が判明すべきであったにもかかわらず、単に一回限りの郵便又は信書便による送達が宛先不明で返戻されたこと等を理由として所要の調査をしないで、公示送達をしたときは、公示送達の効力が生じない(明治39.5.29行判、昭和7.12.23行判、昭和44.3.5東京地判)。したがって、住居地等の調査を確実に行わなければならない。

(1)方法

公示送達は、送達すべき書類の名称、送達を受けるべき者の氏名及び法務大臣がその意見聴取通知書等をいつでも送達を受けるべき者に交付する旨を法務省(本省)の掲示場に掲示して行う(入管法第61条9の2第7項)。

(2)送達の完了

前記(1)の掲示を始めた日から起算して2週間を経過したときにその意見聴取通知書等の送達があったものとみなされる。

(3)手続
ア 住居地の調査

(ア)届出情報等の調査

在留資格取消手続及び各種の申請・届出の書類に記載された本人又は関係者の連絡先等の調査を行い、必要に応じて公私の団体に照会を行う。具体的な例としては、送達を受けるべき者が転出届(住基法第24条)をしていることが判明している場合、当該転出に係る転出証明書の記載について市区町村に照会することなどが挙げられる。

(イ)実地調査

公示送達を行おうとする場合は、入国審査官又は入国警備官は、送達を受けるべき者の届出上の住居地又は事実上の住居地と思われる場所の実地調査を行う。

実地調査に当たっては、送達を受けるべき者や同居する者に出会うことを想定し、意見聴取通知書等の交付送達を行うことができるよう準備をして調査に当たるものとする。

(ウ)地方局長への報告

調査を行った入国審査官又は入国警備官は、「調査報告書」(別記第4号様式)を作成し、地方局の長に報告する。

イ 本省への進達

地方局の長は、送達を受けるべき者の住居地が明らかでないと判断したときは、公示送達の実施について、送達を行おうとする意見聴取通知書等が保管されている部門の名称を記載の上、以下の文書を添えて本省(入国在留課)まで進達する。

(ア)送達を行おうとする意見聴取通知書等の写し

意見聴取通知書等の本信はいつでも送達を受けるべき者に交付することができるよう、地方局において保管する。なお、意見聴取通知書等の日付、意見聴取通知書の意見聴取期日及び場所、意見聴取担当入国審査官、在留資格取消通知書の住居地欄及び出国期間等記載欄は送達の完了まで空欄とする。

(イ)送達を受けるべき者の住居地が明らかでないことを示す資料

ウ 公示送達の完了(入管法第61条9の2第8項)

法務省の掲示場に掲示を始めた日から起算して2週間を経過した日をもって公示送達が完了し、意見聴取通知書等の送達があったものとみなされる。公示送達が完了したときは、本省(入国在留課)は公示送達を進達した地方局に対し公示送達の完了を通知する。

通知を受けた地方局は、意見聴取通知書等に以下のとおり公示送達の完了の日付等を記入し、本省からの通知文書とともに一連記録に編てつし、送達の完了及び必要な事項をFEISに入力する。

  • 意見聴取通知書
  • 日付欄…公示送達完了の日付
    意見聴取を行う期日及び場所欄…公示送達完了の日付から2週間後の期日及び意見聴取を行う官署
    意見聴取担当入国審査官欄…意見聴取を行うこととされている入国審査官の氏名

  • 在留資格取消通知書
  • 住居地欄…不詳
    出国期間欄…公示送達完了の日付から起算して20日目の日
    条件欄…住居欄については「現在地」、行動範囲については「現在地のある都道府県及び最寄りの出国港までの順路による通過経路」

エ 公示送達手続中に送達を受けるべき者の所在が判明した場合の取扱い

公示送達手続中に、送達を受けるべき者が入国管理官署に出頭した場合等、送達を受けるべき者を発見又は送達を受けるべき者の住居地を把握した場合は、速やかに意見聴取通知書の送達若しくは通知又は在留資格取消通知書の送達を行う。

意見聴取通知書等の送達が完了したとき又は意見聴取通知書の通知を行ったときは、地方局の長は直ちに本省(入国在留課)にその旨を報告し、公示送達手続を中止する。

第3 意見聴取通知書の送達

第3節第1の3に定める意見聴取通知書の送達は、原則として以下の手順による。

1 送付送達

意見聴取担当入国審査官は、第3節第1の2に従って意見聴取通知書を作成し、本節第2の2に従って、送達を受けるべき者の住居地に送付送達を行う。なお、必要と認める場合は、電話連絡等により送達を受けるべき者の住居地を確認するなどし、送達が完了しないときは、複数回の送付を行う。

2 交付送達

(1)前記1にかかわらず、必要と認めるときは、送達を受けるべき者の出頭を求め、又は送達を受けるべき者の住居地その他の場所に赴いて交付送達を行う。

なお、送達を受けるべき者の住居地以外の場所で出会送達を行う場合は、あらかじめ意見聴取通知書の交付をしようとするものであることを明示した上で行う(本節第2の3(2)イを参照。)。

(2)前記1により送付送達したものの、宛先不明等により送達が完了しない場合において、送達を受けるべき者を発見したとき(地方入国管理官署への出頭(出入国港での出国手続を含む。)、実地調査又は摘発等による。)は、可能な範囲で、速やかに交付送達(出会送達及び差置送達を含む。)又は通知を行う(通知を行う場合の具体的取扱いは第3節第1の2(3)参照)。

3 公示送達

地方局の長は、意見聴取通知書の送達を受けるべき者の住居地が明らかでないと判断したときは、前記第2の4(2)に従い、意見聴取通知書の公示送達の実施について必要な手続を執る。

(注)公示送達の実施について本省に進達するに当たっては、住居地が明らかでないことの立証資料のみならず、取消事由があることを裏付ける立証資料を準備することに留意する。

第4 在留資格取消通知書の送達

第4節の2に定める在留資格取消通知書の送達は、原則として以下の手順による。

1 出頭通知による出会送達

在留資格の取消しを決定した場合は、送達を受けるべき者に対し「出頭通知書」(別記第13号様式)を書留等により送付し、又は電話連絡によって出頭を求め、在留資格取消通知書を出会送達する。

なお、電話連絡する場合は、意見聴取の結果を告知するために出頭を求めるものであることを告げる。

出頭通知書が宛先不明又は受領拒否等の理由により返送された場合は、電話連絡等により送達を受けるべき者の所在を確認するなどして、改めて出頭通知を行うものとするが、必要と認める場合は、後記2の送付送達手続を執る。

(注)出頭通知書の送付は入管法第61条の9の2に規定する送達手続には当たらないため、送付先は送達を受けるべき者の住居地に限定されない。

なお、書留等で送付することによって、郵便物の受領を確認することができるため、送達を受けるべき者が出頭しない場合であっても、その住居地について一定の端緒を得ることができ、事後の手続の参考となる。

2 送付送達

入管法第22条の4第1項第3号から第10号まで(第5号については同条第7項ただし書による場合を除く。)に規定する取消事由に係る在留資格取消処分に関し、前記1により出頭通知を行ったものの、送達を受けるべき者が出頭しない場合又は地方入国管理官署内における交付送達に異議がある場合は、送達を受けるべき者の住居地に対し送付送達を行う。

なお、入管法第22条の4第1項第1号、第2号又は第5号(同条第7号ただし書による場合に限る。)に規定する取消事由に係る在留資格取消処分に関しては、後記3の(注)による。

3 送達を受けるべき者の住居地等における交付送達

前記2までの手続によっても在留資格取消通知書の送達が完了しない場合、入国審査官又は入国警備官が送達を受けるべき者の住居地に赴いて交付送達(補充送達及び差置送達を含む。)を行う。

また、送達を受けるべき者の住居地が判然としない場合は、公示送達手続を想定した実地調査を併せて実施する。

(注)入管法第22条の4第1項第1号、第2号又は第5号(同条第7項ただし書による場合に限る。)に該当するものとして在留資格取消通知書を送達するときは、必要に応じて入国審査官と入国警備官が共に送達を送達を受けるべき者の住居地に赴いて送達を行うものとする。

4 公示送達

地方局の長は、前記3までの手順によっても在留資格取消通知書の送達が完了しない場合であって、在留資格取消通知書の送達を受けるべき者の住居地が明らかでないと判断したときは、前記第2の4に従い、在留資格取消通知書の公示送達の実施について必要な手続を執る。

なお、意見聴取通知書が公示送達された場合であって、被聴取者が意見聴取の期日に出頭せず、引き続きその住居地が明らかでないと判断される場合は、直ちに住居地の調査を開始し、在留資格取消通知書の送付送達等を行うことなく、公示送達することとして差し支えない。

(注)在留資格取消通知書の公示送達の実施について本省に進達するに当たっては、住居地が明らかでないことの立証資料のみならず、取消事由があることを裏付ける立証資料を準備することに留意する。

第5節 特則・その他

第1 退去強制手続中の者に対する取消しの特則

地方局の長は、既に退去強制手続中の者が在留資格取消対象者であるとの報告(第2節第1の1(1))を受けた場合は、退去強制手続の進捗状況(退去強制令書の発付事実等)を考慮し、在留資格取消手続を執るか否かを判断する。

同様に、既に在留資格取消手続が開始されている者が退去強制事由に該当し、退去強制手続が開始されることとなった場合についても、在留資格取消手続を継続するか否かを判断する(第4節第5を参照。)。

1 意見聴取手続の実施

在留資格の取消手続を開始又は継続する場合には、速やかに必要な手続を進め、意見聴取手続を実施し、在留資格の取消しの可否について決定する。

特に、在留資格取消対象者が収容令書によって収容中である場合は、収容期間等を考慮し、警備、違反審査、審判等の関係各部門と緊密に連絡を取り、退去強制手続に支障が生じないように速やかに手続を進める。

2 在留資格の取消しの可否について決定した場合の措置

(1)入管法第22条の4第1項第1号、第2号又は第5号(同条第7項ただし書による場合に限る。)に該当するものとして、在留資格を取り消すことを決定した場合は、在留資格取消決定連絡書により関係部門に連絡する。

取消対象者が収容されている場合は、関係部門と調整の上、速やかに在留資格取消通知書の交付送達等を行う。この場合における送達すべき場所については、刑事施設に収容されている場合に準ずる(第4節の2の第2の1(2)イ参照)。

在宅調査中等、取消対象者が収容されていない場合は、在留資格取消通知書の送達について関係部門と調整を行う。

(2)入管法第22条の4第1項第3号から第10号まで(第5号については、同条第7項ただし書による場合を除く。)のいずれかに該当するものとして、在留資格を取り消すことを決定した場合は、現に退去強制手続中の警備、違反審査又は審判のいずれかの部門に「在留資格取消決定連絡書」(別記第15号様式)により連絡するにとどめ、送達手続を保留し、退去強制手続を優先させる。

なお、関係部門において行っている退去強制手続を「容疑なし」、「容疑不十分」又は「放免」等により終局処分とするときは、事前に連絡してもらうよう依頼しておき、当該連絡があった場合には、速やかに当該外国人に対し在留資格取消通知書の送達を行う。

(3)在留資格を取り消さないことを決定した場合は、現に退去強制手続中の警備、違反審査又は審判のいずれかの部門へその旨連絡するとともに、時機を調整の上、当該対象者に対し、第4節第2の1に従い通知する。

第2 刑事手続中の者に対する取消しの特則

1 意見聴取手続の実施

(1)在留資格取消対象者が刑罰法令違反等により勾留等されている事実が判明した場合は、当該外国人に係る刑事手続の状況、釈放(仮釈放、仮退院を含む。)の日及び意見聴取手続に係る利害関係人、代理人の参加意思等を考慮し、刑事手続の状況に応じて検察官及び在留資格取消対象者が勾留等されている機関と調整した上で、意見聴取手続の期日を決定し、可能な限り勾留等、当該外国人の身柄が拘束されている期間中に意見聴取手続を実施する。

(2)在留資格取消対象者の勾留等、当該外国人の身柄が拘束されている期間中に意見聴取手続を行うことができない場合は、身柄の釈放後、速やかに意見聴取手続を実施する。

2 在留資格の取消しの可否について決定した場合の措置

(1)入管法第22条の4第1項第1号、第2号又は第5号(同条第7項ただし書による場合に限る。)に該当するものとして、在留資格を取り消すことを決定した場合であって、当該外国人が現に退去強制事由に該当せず、退去強制手続が執られていない場合は、在留資格取消通知書を送達した後に、入管法第24条第2号の2又は第2号の3該当容疑者として、退去強制事由該当容疑者通報書により警備部門へ通報する。

この場合において、在留資格取消通知書の送達は、可能な限り勾留等、当該外国人の身柄が拘束されている期間中に行うものとする。

また、旅券等に記載されている証印への取消(CANCELLED)印の押印、在留カードの返納等の必要な措置をするに当たり、その旅券、在留カード等が押収等されている場合は、可能な範囲で、押収等をしている関係機関の協力を求め、また、配偶者等の関係者が当該旅券、在留カード等を所持しているときは、親族、代理人等に旅券等の持参を求めるなどして必要な措置を執るように努める。

(2)入管法第22条の4第1項第1号、第2号又は第5号(同条第7項ただし書による場合に限る。)に該当するものとして、在留資格を取り消すことを決定した場合であって、当該外国人が現に退去強制事由に該当するものとして退去強制手続が執られており、釈放時に当局に身柄が引き渡されることが見込まれる場合には、前記第1の2(1)に準じて措置する。

(3)入管法第22条の4第1項第3号から第10号まで(第5号については同条第7項ただし書による場合を除く。)のいずれかに該当するものとして、在留資格を取り消すことを決定した場合であって、当該外国人が現に退去強制事由に該当するものとして退去強制手続が執られており、釈放時に当局に身柄が引き渡されることが見込まれるときは、前記第1の2(2)に準じて措置する。

(4)入管法第22条の4第1項第3号から第10号まで(第5号については同条第7項ただし書による場合を除く。)のいずれかに該当するものとして、在留資格を取り消すことを決定した場合であって、当該外国人が現に退去強制事由に該当せず、退去強制手続が執られていないときは、身柄の釈放後に在留資格取消通知書の送達を行う。

第3 本省報告

地方局の長は、在留資格を取り消した事案について、「在留資格取消処分状況報告書」(別記第19号様式)により、在留資格取消手続を終了(取り消さない決定又は終止)した事案について「在留資格取消手続終了報告書」(別記第19号の2様式)により、1か月分を翌月10日までに本省入国管理局長へ報告する。

第4 その他

1 在留資格の取消手続と在留関係の諸申請が同時に進行している場合の取扱い

(1)在留資格変更又は在留期間更新の許可の申請

在留資格取消処分の決定を待って申請の処分を決定する(入管法第22条の5の規定により行われる申請を除く。第4節第1の3(2)を参照。)。

具体的には、審査の結果、在留資格変更又は在留期間更新の許可の決定をしたとき又は請訓若しくは進達の結果許可すべき旨の通知を受けたときは、在留資格の取消手続について、第4節第2の1の措置を執った後に、在留資格変更又は在留期間更新の許可処分を行う。

ただし、申請の内容から、地方局の長が不許可と決定することが相当と認める場合であって、不許可処分に伴い出国が見込まれ、かつ出国させることが相当と認められるときは、不許可処分の通知を行い、申請人の単純出国をもって、在留資格の取消手続を終止することができる。

なお、入管法第22条の4第1項第1号、第2号又は第5号(同条第7項ただし書による場合に限る。)に該当する疑いがあるとして在留資格取消手続を行い、在留資格を取り消すことを決定した場合は、警備部門と調整の上、在留資格取消通知書の送達を行い、送達の完了後に申請に係る処分の通知を行う。

(2)再入国許可の申請

第10編第8章に規定するところにより申請の許否を決定する。ただし、意見聴取を終了しているときは、直ちに在留資格の取消しの可否を検討し、在留資格を取り消す決定をした場合は、申請を不許可とし、在留資格取消通知書の送達を行う。

なお、既に意見聴取通知書の送達又は通知を受けて在留資格取消手続中にある者については、入管法第26条の2に規定するみなし再入国許可の対象とはならない。

(3)永住許可の申請

在留資格の取消しに係る手続と永住許可に係る審査を同時に進め、取消しに係る処分を先行して行い、先に取消処分の決定を行った上で申請に係る処分を告知する。

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