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この記事では法律・会計業務ビザを取得するための条件である「在留資格該当性」と「上陸許可基準適合性」について解説します。

「在留資格該当性」と「上陸許可基準」については、在留資格認定証明書や在留期間更新の一般要件をご確認ください。

外国人が取得したい在留資格が本当に取得できるのか否か、また要件に適合せずに取得できない場合は、日本での在留を諦めるのではなく他の在留資格の要件に適合するか否か、これらを考える上で実務上はまずこの「在留資格該当性」と「上陸許可基準適合性」を正確に把握して検討を進めなければなりません。

法律・会計業務ビザについて法で定められた「在留資格該当性」と「上陸許可基準適合性」の解説に進めます。

法律・会計業務ビザの「在留資格該当性」

まず入管法別表第1の2に定める法文は下記の通りです。

外国法事務弁護士、外国公認会計士その他法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務に従事する活動

用語の定義・解説

では「事業」とは何か、「事業の経営」とは具体的にどのような事を意味するか、「事業の管理」も同様にどのような事を意味するか、法文を見ても分かりにくいと感じる方が多いと思います。これらについて詳しく解説を進めていきたいと思います。

「法律上資格を有する者が行うこととされている法律又は会計に係る業務」とは

法律や会計に関連する業務独占を有する資格をもって従事する業務であり、資格を有さない者が行う事が出来ない業務のことを意味します。

具体的には上陸許可基準に示されている、下記の者が該当します。

  • 弁護士
  • 外国法事務弁護士
  • 公認会計士
  • 外国公認会計士
  • 税理士
  • 弁理士
  • 司法書士
  • 行政書士
  • 社会保険労務士
  • 土地家屋調査士
  • 海事代理士

上記の者でも、非独占業務に該当する業務を行うことは認められておりません。

他のビザとの境界

「経営・管理」と「法律・会計業務」

法律・会計業務に関する事業の経営・管理をする場合には注意が必要です。

士業しか従事できない独占業務と、士業を含め誰でも従事できる非独占業務を区別して考えなければなりません。

経営・管理をする事業内容が、

  • 独占業務のみの場合は、法律・会計業務ビザが該当します。
  • 独占業務と非独占業務の両方を含む場合は、経営・管理ビザが該当します。
  • 非独占業務のみの場合は、経営・管理ビザが該当します。

となります。

法律・会計業務ビザの「上陸許可基準適合性」

法律・会計業務ビザの上陸許可基準について、基準省令本文について、それぞれに分けて解説します。

基準省令本文

基準省令本文に定められている法文は下記の通りです。

申請人が弁護士、司法書士、土地家屋調査士、外国法事務弁護士、公認会計士、外国公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士又は行政書士としての業務に従事すること。

法文の解説

上記基準省令に示された士業は、例示列挙ではなく限定列挙です。

これらの士業は全て独占業務を有する職業です。上記以外の、中小企業診断士等の場合、法律・会計業務ビザは認められません。

用語の定義

「外国法事務弁護士」とは

外国において弁護士に相当する資格を持って法律業務を行うことを職務とするものを「外国弁護士」といいます。

そして、この「外国弁護士」がさらに法務大臣の承認を受けて日本弁護士会に登録された場合に「外国法事務弁護士」となります。

日本の弁護士資格には独占業務が認められています。単なる「外国弁護士」は日本での弁護士と認められていないので、当該「外国弁護士」が日本で法律業務に従事した場合は、非弁行為として処罰を受けます。

しかし外国の弁護士も、外国法に関する法律事務・渉外的法律関係を取り扱う必要が当然認められる必要がありますので、このような場合には承認を得て「外国法事務弁護士」となり、一定範囲での弁護士活動が認められます。

詳しい内容は、外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法で定められています。

「外国公認会計士」とは

外国において公認会計士の資格を有する者が、内閣総理大臣の承認を受け、かつ、日本公認会計士協会による外国公認会計士名簿登録を受けることにより、「外国公認会計士」となることができます。

「外国公認会計士」となれば、日本の公認会計士と同様の業務に従事することができます。

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