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在留資格(ビザ)の更新のルールをわかりやすく教えて!

日本にお住いの外国人のみなさんや、外国人を雇われている雇用主のみなさん。在留資格(ビザ)の更新に関してきちんと把握していますか?在留資格(ビザ)の更新や、変更は通るものなのか。さらに忘れていた場合にどうなってしまうのか。できるだけわかりやすくまとめましたので、ぜひ参考にして下さい!

在留資格(ビザ)の更新って誰でも通るの?

在留資格(ビザ)の更新は、滞在中の素行などを見て総合的に判断を下されています。ですので、在留資格(ビザ)の更新の可否は、申請を出して見ないと結果がわからないというのが実情です。

では、在留資格(ビザ)の更新や変更をする上で、どのような審査項目があるのかご紹介していきます。

現在の在留資格(ビザ)にのっとった活動を日本国内で行っているかどうか

例外はありますが、滞在の実態が在留資格(ビザ)とかけ離れていると、在留資格(ビザ)は更新されない可能性があります。例としては留学生としての在留資格(ビザ)なのに、実態が明らかに労働だった場合など。

もし、滞在中に実態の変化があった、変化が予定されている場合は在留資格(ビザ)変更届を出す必要が出てきます。ただし、現在持っている在留資格(ビザ)が短期滞在の場合は、よっぽどの事情がない限り変更申請は受理されません。

上陸許可基準に適合しているかどうか

上陸許可基準とは、外国人が日本に上陸する際に問題ないかどうか審査される基準のことです。来日の目的によって細かく基準が定められており、以下の14種類に分類されています。この上陸許可に則った活動を滞在中に行なっているかをチェックされます。

  • 投資・経営
  • 法律・会計業務
  • 医療
  • 研究
  • 教育
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 興業
  • 技能
  • 留学
  • 就学
  • 研修
  • 家族滞在

在留資格(ビザ)を出して問題ない人物かどうか

いわゆるこれまでの滞在中の行動から判断される審査ということになります。

下記のような項目を重点的に見られます。

素行不良でないか

退去強制事由に該当する重大な刑事事件に、滞在中に関連した場合は、在留資格(ビザ)の更新において不利になります。主犯はもちろん発覚の時点で国外退去ですが、関連して刑事処分を受けた場合は素行不良と判断されることになります。

また、後述するマクリーン事件のように政治活動など、日本国にとって好ましくない活動を行う人物も素行不良として心証が悪くなる場合があるようです。

生計を自身で立てられているか

世帯単位で、将来的に安定した生活を継続できるかどうか。滞在者の日本での生活が、公共の負担でまかなわれていないかどうかも判断材料です。公共の負担になっていても、人道上の理由がある場合は考慮されます。

雇用・労働条件が適正であるか

就労している場合に、その雇用・労働条件が適正であるかも判断基準となります。しかしこれは何か問題があったとしても通常雇用者側に責任があるため、日本での滞在状況の参考程度に考慮されると考えればいいでしょう。

納税しているか

納税をしているかどうかも判断基準です。もし、高額な未払いや長期間未納だった履歴がわかれば、審査上減点されると考えてください。特に納税不履行で刑事罰を受けたことがある場合は、納税義務を果たしていないと判断されるので大きなマイナスです。

在留カードの申請をきちんとしているか

日本に中長期滞在する外国人は在留カードを持っていることが絶対です。こちらを紛失したままにしていたり、有効期限内に更新に行かなかった場合は、在留資格(ビザ)の更新において極めて不利になります。在留カードがいらない外国人滞在者は以下の5パターンだけです。

  • ①3ヶ月以下の在留期間が決定された人
  • ②短期滞在の在留資格(ビザ)が決定された人
  • ③外交または公用の在留資格が決定された人
  • ④上記①~③の外国人に準ずるものとして法務省令で定める人
  • ⑤特別永住者

以上のような内容を総合的に判断して、在留資格(ビザ)の更新の可否が判断されます。とはいえ、言語的な問題などでうまく把握できていなかったり、環境的に手続きができなかったり、協力者がいなかったりと、不利な立場に立たされている外国人の滞在者もいらっしゃることでしょう。

その場合は、ごまかそうとせずに、用意できる限りの資料を集め、入管に熱意をもって説明をしてください。

来日した時の上陸許可基準って、在留資格(ビザ)の更新や変更許可申請の際にどの程度影響するの?

そもそもなぜ上陸許可基準なるものが定められているかというと、上陸の目的によっては、我が国の産業・文化・社会に大きな影響を与えることが予想されるからです。

「外交」「公用」「教授」「芸術」「宗教」「報道」といった在留資格(ビザ)に関しては活動内容自体がかなり限定されているため、上陸許可基準は特に定められていません。また「文化活動」「短期滞在」の在留資格(ビザ)も、日本国に影響を与えることが少ないと判断されているため、上陸許可基準はありません。

これ以外の目的での入国に関しては、我が国に与えるリスクを抑える目的で、上陸許可基準に照らし合わせて許可か不許可か決定されるというわけです。

さて、上陸許可基準と在留資格(ビザ)は完全に別物です。しかし、在留資格(ビザ)の更新や変更許可申請の際には、滞在の実態と合わせてある程度考慮されます。

ただ、上陸許可基準と実際の滞在の実態が多少ずれていたとしても、直ちに在留資格(ビザ)を失うことはありません。どういうことか具体的な事例でご説明します。

《例1:化学の学問を修めるべく日本に留学していた大学生が、卒業後に機械設計業務に就職した》

この学生の在留資格(ビザ)は留学ですので、卒業後も日本に滞在する場合には在留資格(ビザ)を変更する必要があります。その際に大学で学んでいた内容と一見関係がないように見える業務に就職するのは、上陸許可基準と実際の滞在の実態がずれているように感じます。

しかし、これに関しては柔軟で良いという通達が出ているため、在留資格(ビザ)の変更が通ることが多いです。主に理系分野なのか文系なのかで判断されます。

また、留学ビザ(在留資格)から「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザ(在留資格)への変更ではなく、既に就労ビザを持っている方が新たに転職し、在留期間更新を迎えた場合、その際にも上陸許可基準の該当性が審査されることがあります。つまり、前職では上陸許可基準に適合した業務を行っていたのにも関わらず、現職では適合しない業務に従事してしまい、それによって不許可となる可能性が発生し得ます。

このような場合には、就労資格証明書交付申請という手続きを転職後すぐにすることをお勧めします。これをせずに転職後にぶっつけ本番で在留期間更新申請をした場合、もし不許可になってしまうとすぐに帰国しなければなりません。しかしこの就労資格証明書交付申請という手続きを転職後すぐにすれば、在留期限が残っている間に、現職の上陸許可基準の適合性を審査してもらうことが可能です。もしこの段階で入管からダメと判断されても、期限が残っているので適切な転職活動をし、無事に更新を迎える対処ができます。

上陸許可基準をどう判断するかは入国管理局次第?

上記例のような判断は、ある意味入国管理局の胸先三寸といった側面があります。日本国として好ましくない活動をしている人物は、入管からの心象が悪く「在留資格(ビザ)の更新や変更申請を許可したくない」ということになります。ですので、上陸許可基準と付き合わせてあら探しをされる可能性が高くなってしまうというわけなのです。

事情があって、在留資格(ビザ)の更新の期限をすぎてしまった。どうしよう!

在留資格(ビザ)の更新のルールをよくわかっていなかったり、天災や病気、事故等のやむを得ない事情で在留資格(ビザ)の更新期限をすぎてしまった場合は救済措置があります。「特別受理」と言って本来の手続き期限から30日以内であれば、在留資格(ビザ)の更新が受理される制度です。

この特別受理される条件としては、「天災や病気、事故等やむを得ない事情かつ、期限内に申請していればまず受理されるであろう内容」だった場合ということになります。ただ実際のところ「悪気はなくうっかりしていた」という理由のものが非常に多く、これまではその場合もだいたい受理がされていました。

しかし、世相や社会情勢、入国管理局の方針等によって特別受理がされやすいかどうかは変わります。これも入管の胸先三寸という側面があり、これまで大丈夫だからと言って今年大丈夫かというと予断を許しません。「期限すぎても特定受理あるから多分大丈夫」と言った安易な判断はせず、まずは期限内に必ず在留資格(ビザ)の更新をすること。万が一、在留資格(ビザ)に更新期限をすぎてしまった場合は、入管の理解を得られるように資料等を用意し、しっかり説明することが必要です。

ちなみに日本で生まれた乳幼児については出生から30日以内に在留資格(ビザ)を申請する必要があります。ただし、実際は60日以内であれば特別受理される可能性は高いです。とはいえ、基本的には期限内にしっかり申請をすることが不測の事態を予防する最善の策です。

さて、期限内に在留資格(ビザ)の更新手続きをしたものの許可されず、国外退去しないといけなくなった場合に、特別受理に似た救済制度があります。「特定活動」への在留資格(ビザ)の変更です。特定活動とは出国準備のことです。

通常の国外退去の場合は定められた期限内に出国準備を終え退去することしかできません。しかし、この「特定活動」への在留資格(ビザ)が発行されることで、出国準備をできるようになります。なお、この出国準備の特定活動ビザ(在留資格)の間に改めて更新申請をかけることも可能です。しかしながら、既に不許可になった更新の不許可理由が解消されなければ、許可にはならないので、現実的にはハードルが高いものです。ただし、可能性としてはゼロではございませんので、入管や在留資格(ビザ)の専門家へ相談することをお勧めします。

【在留資格(ビザ)は必ず期限内に更新しましょう】

上記のように救済措置があっても確実とはいえないのが現状です。不利な立場にならないためにしっかりルールを把握して、定められた通りに手続きを行いましょう!

在留期間内に更新・変更申請し受理されたが、在留期限が過ぎても入管から更新の許可が下りない。私は不法滞在で罪に問われてしまうのでしょうか?

実は平成21年度の法改正まではこのパターンの滞在者は不法滞在扱いでした。もし、この後入管から在留資格(ビザ)の更新の許可が下りた場合は、本来の在留資格(ビザ)の満了日翌日に遡って、更新を行うという事務手続きが取られていました。

在留資格(ビザ)さえもらえれば不法滞在には結果ならないというわけですが、これでは不安です。身分が保証されないので、日常生活でも不安がいっぱいでしょう。

平成22年7月1日に新たな法律が施行されます。「在留期間の特例措置」です。

この法律では、「在留資格(ビザ)の更新や変更の審査中の場合、本来の滞在期間満了日からから2ヶ月間はこれまでの在留資格(ビザ)で滞在できる」となっています。仮に審査が不可と出た場合は、通達された国外退去日と、滞在期間満了日からから2ヶ月間経過した日の、どちらか早い期日までに出国しなければなりません。この期日が過ぎると不法滞在者となってしまいます。

在留期間の特例措置期間を超えても審査が継続することはほとんどありません。しかしもしかしたら何らかの事情で連絡が通じない状況が発生している可能性もありますので、あまりにも遅いと思った場合は遠慮なく問い合わせましょう。ダラダラしているうちに2ヶ月が過ぎてしまい、強制退去となったら目も当てられません。

さて、もし「在留期間の特例措置」中に更新不可となった場合、救済措置として前述の「特定活動」への在留資格(ビザ)を申請することができます。これにより、出国準備ができるようになります。前述したとおり、再度在留資格(ビザ)の更新申請をすることも可能ですが、やはりハードルは高いものです。

在留資格(ビザ)に関する手続きをしっかり把握して、素敵な日本滞在を!

いかがでしたか?在留資格(ビザ)の更新・変更申請についてご紹介しました。外国人の滞在者にとって在留資格(ビザ)は命の次に大切なものと言っても過言ではありません。在留資格(ビザ)の手続き方法とスケジュールをしっかり把握して、安心して日本滞在を送ってください!

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