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「国際結婚の場合は夫婦別姓が認められるの?」

「国際結婚の相手の苗字に変更したい」

「国際結婚をした夫婦の子供の苗字はどうなるの?」

このような疑問・要望を解決するために、国際結婚後の戸籍と苗字(名字)について少し知っていきましょう。

この記事では、国際結婚後の戸籍と苗字(名字)について知るべき4つの事について解説します。その4つの内容は下記のとおりとなっていますので、興味のある方はこのまま読み進めてください。

  • 国際結婚の場合は夫婦別姓が認められる
  • 外国人が日本人の苗字に変える方法
  • 日本人が外国人の苗字に変える方法
  • 子供の苗字について

また、下記キーワードについても気になった方はこのまま読み進めてください。

  • 国際結婚後の戸籍
  • 氏変更の申し立て

 

国際結婚の場合は夫婦別姓が認められる

結婚した日本人の場合は、夫婦どちらかの苗字を名乗っています。なぜなら日本人同士の結婚の場合は夫婦同姓ということが法律上定められているからであり、夫または妻の苗字に統一しなければなりません。

しかし外国人と日本人の国際結婚の場合は、夫婦別姓が当然に認められております。

最近は日本人夫婦の場合に夫婦別姓を適用させる事に関しての議論が活発ですが、国際結婚の場合のみに認められる事は不条理だという事も夫婦別姓賛同者の1つの意見としてあるようです。しかしこの国際結婚の場合に夫婦別姓を認めたという趣旨は、特例という意味ではなく、夫婦同姓に縛ることが出来ないというやむを得ない事情によるものです。なぜなら外国人が夫婦同姓は日本の戸籍を持つことができず、たとえ日本人と結婚したところでそれは変わりません。そして姓と名というものは戸籍と完全に結びついております。外国人にとって戸籍を持つことが出来ないという事は、日本の正式な姓と名というものを持つことができないという事になります。このような理由で国際結婚の場合に夫婦別姓が認められております。

話はそれましたが、日本人と外国人が結婚しても何も手続きをしなければ苗字(姓)は変更されません。

要するに山田花子さんとジョン・F・スミスさんが結婚すれば、基本的に山田花子さんとジョン・F・スミスさんという別姓で生活するという事になります。

法的根拠は戸籍法107条2項です。

戸籍法107条2項
外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から6箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。

「苗字を変更したいなら届出をする必要がある」→「届出をしなければ別姓のまま」というロジックです。

しかし中にはせっかく結婚したからには同姓になりたい、別姓では不便だという方もいらっしゃると思います。

 

外国人が日本人の苗字に変える方法

前述した通り、外国人の方が日本人の苗字に変えることが出来ません。

なぜなら外国人は日本に戸籍を持つことが出来ず、本来の「ジョン・F・スミス」という外国の氏名とは別に、日本において正式な姓と名を持つことができないからです。そしてそれは結婚しても同じで、戸籍のある日本人と戸籍のない外国人が結婚しても戸籍が一緒になる事はありません。(本来の意味での入籍はされない)

従って外国人は日本国籍を取得しない限り、日本の苗字を持つことが出来ません。

但し、通名(通称名)というものを持つことが出来ます。通名とは、外国人が日本の氏名を名乗る事ですが、単なるペンネーム的な意味だけではなく、住民票や運転免許証にも載るような法律上有効な名称として扱われます。

つまりジョン・F・スミスさんは結婚しても本当の名前はジョン・F・スミスですが、通名を山田ジョンとして、不便なく山田ジョンとして生活することが出来ることになります。

 

日本人が外国人の苗字に変える方法

一方、日本人の方が外国人の苗字に変える事は全く問題がありません。現在有している戸籍の姓を外国姓に書き換えることになります。

手続きの方法は下記の通りです。

結婚後6ヵ月以内
市区町村役所や大使館・領事館に氏の変更届を出すだけで簡単に変更できます。
結婚後6ヵ月以後
家庭裁判所で許可をもらった後に、市区町村役所等に氏の変更届を提出しなければなりません。

また外国の苗字に変更するパターンはいくつかあり、下記のような変更が可能です。(「山田 花子」さんと「ジョン・F・スミス」さんの結婚の場合)

1.「スミス 花子」
単純に外国の苗字に変更するパターン
2.「スミス山田 花子」
外国の苗字を元の苗字に追加するパターン
3.「スミス 山田花子」
単純に外国の苗字に変更した後に、名前を「花子」→「山田花子」と変更するパターン
4.「スミスF 花子」
ミドルネームを追加するパターンであり、外国の苗字にあたるスミスに付加するものです。「スミスF山田 花子」「スミスF 山田花子」も可能です。

 

但し、2や3のような「スミス」と「山田」の両方を使う複合姓(ダブルネーム)の場合は、結婚後6ヵ月以内の手続きでも家庭裁判所の許可が必要となります。

また日本人の戸籍に記載される苗字(正式な姓)は、戸籍に記載することが認められた漢字とカタカナしか使えません。

つまり、下記のように戸籍に記載され、また正式な姓となるとお考えください。

西洋の姓に変更する場合
「smith」→「スミス」
中国の姓に変更する場合
「王」→「王」「ワン」「ウォン」(王という漢字は日本の戸籍上使えますが、婚姻届けに記載した苗字をカタカナで表記した場合は、その苗字にしか変更できません)
「劉」→「リュウ」(劉という字は日本の戸籍上使えませんのでカタカナ表記になります。)
韓国の姓に変更する場合
「김(金)」→「金」「キム」(김というハングル文字は日本の戸籍上使えません。婚姻届けに記載した文字に従って金かキムになります。)

但し、外国人の方が通名を登録していた場合に、国際結婚をした日本人が外国人の通名の姓に変える事は出来ません。

 

子供の苗字について

国際結婚をした夫婦に生まれた子供の苗字についてはどうなるでしょうか?

 

夫婦別姓の場合

原則は日本人側の苗字を使用します。

なぜなら生まれた子供は日本人側の親の戸籍に記載されるからです。(外国人は日本の戸籍を持つことが出来ない)

もし外国人側の苗字を使いたい場合は、家庭裁判所に「氏変更の申し立て」をして許可をもらう必要があります。

それによって子供の戸籍は単独戸籍となります。

 

夫婦同姓の場合

外国人の苗字を日本姓に変更することはできませんので、夫婦同姓とは夫婦で外国姓を有している事を言います。

その場合は日本人の戸籍の姓も外国姓となっているので、生まれた子供も単に外国姓として同一戸籍に入ります。

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