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「就職・転職をするので在留資格を変更したい」

「日本人と結婚をしたので、活動制限のないビザ(在留資格)に変更したい」

「日本人配偶者と離婚・死別・別居したいけど、何か手続すべきなのか?」

このような疑問・要望を解決するために、在留資格変更・在留資格変更許可申請書について少し知っていきましょう。

この記事では、在留資格変更の前に理解するべき4つの内容について解説します。その4つの内容は下記のとおりとなっていますので、興味のある方はこのまま読み進めてください。

  • 在留資格変更とは
  • 在留資格変更が必要な場面とその注意点
  • 在留資格変更が認められる条件は何か
  • 在留資格変更許可申請の方法

また、下記キーワードについても気になった方はこのまま読み進めてください。

  • ビザ(在留資格)とは
  • ビザと在留資格の違い
  • 専門学生の就職の際の注意点
  • 離婚・死別・別居した場合の注意点
  • 「研修」「技能実習」「短期滞在」からの変更の注意点

在留資格変更とは

ほとんどのビザ(在留資格)には活動内容が決められています(活動内容に制限の無い在留資格もある)。外国人の方が結婚や離婚、就職や転職などのような生活状況が変わる場合や、他の在留資格の付与条件に満たした場合には、在留資格変更の申請をしたほうが良い、またはしなければなりません。

在留資格変更を申請するとは、正確には在留資格変更許可申請書を入国管理局に提出するということです。英語では「Permission to Change Status of Residence」と表記され、またビザ変更と呼ばれることもあります。

「ビザ(在留資格)とは何か」について知りたい方は、ビザ(在留資格)の手続きについて知るべき最も基本的な3つの事ービザ(在留資格)とはにアクセスしてください。また「ビザと在留資格の違い」について知りたい方は、ビザ(在留資格)の手続きについて知るべき最も基本的な3つの事ービザ(査証)とビザ(在留資格)の違いにアクセスしてください。

例えば下記のような場合に、在留資格変更許可が必要またはしたほうが良い場面となります。

  • 日本で働いてる方が日本人と結婚する場合(「技術」ビザ→「日本人の配偶者等」ビザ)
  • 日本人の配偶者が離婚後に引き続き日本にいたい場合(「日本人の配偶者等」ビザ→「定住者」ビザ)
  • 日本へ留学後にそのまま就職する場合(「留学」ビザ→「技術」ビザ)
  • 技術者が通訳者になるような仕事内容に大きな変化がある場合(「技術」ビザ→「人文知識」ビザ)
  • 日本で働いている方が独立して会社の経営者となる場合(「技術」ビザ→「投資・経営」ビザ)
  • 等々、他にも様々

なお、ビザ(在留資格)を変更せずに従来有している在留資格に認められていない活動を専ら行うと不法就労となります。最悪の場合には強制送還に該当します。

忘れずに在留資格変更を申請しましょう。

在留資格変更とは

在留資格変更が必要な場面とその注意点

日本に在留する外国人の生活状況が変わった場合、在留資格変更をした方がよい場面やしなければならない場面が発生します。

生活状況が変わるというのは例えば、結婚や離婚または就職や転職等があった場合のことをいいます。

そのような在留資格を変更する場面の具体例と注意点について解説します。

就職・転職・起業する場合

例えば、日本へ留学する為に在留している外国人の方が就職する場合には、在留資格を「留学」ビザから「技術」ビザや「人文知識」ビザのような職業に適した資格に変更する必要があります。また技術者が翻訳家になる場合や、会社員として働いている外国人が独立して事業を起こすなどといった場合にも、在留資格の変更が必要です。

これらは「変更した方がよい」ではなく「変更しなければならない」です。

但し、他のビザ(在留資格)に変更するには、変更後のビザ(在留資格)を持つ事が認められる上陸許可基準(付与条件)に適合しなければなりません。(詳細は、日本の在留資格・ビザについての全27種類とその内容-在留資格が認定される条件-上陸許可基準をご確認ください。)

変更のタイミング

「留学」ビザを有する留学生が就職活動を経て就職する場合、大学を卒業する直前まではビザ(在留資格)の変更ができません。

つまり就職活動が終わり、大学を卒業して、いざ就職しようと思ったときに、就職先の業務内容が上陸許可基準に適合しなかったという事態も想定されます。

そうならないためにも、就職先と事前に確認することが大切です。

専攻と就職先の関係

就労に関するビザ(在留資格)の上陸許可基準は学歴や職歴が重要な要素なので、学歴や職歴と関係のない職業に就職したり事業を起こす場合は、在留資格変更が認められません。

そこで学校で学習した専攻と就職先の業務がどの程度の関連性を有していればよいか疑問が沸く方もいらっしゃると思います。

これについては「学士」「修士」を取得した大学生・大学院生と、「専門士」を取得した専門学校生とで若干異なります。

大学生・大学院生の場合の進学と専攻の関係について例を挙げると、理系→機械科→流体力学→船舶の流動抵抗、文系→文学部→英米文学→ドイツ文学のように大きな理系文系の分類から段階的に専攻が深まると思います。

上記の例の場合に、船の流動抵抗に関する業務にしか就職できないというわけではありません。大学生・大学院生の場合は、大きく理系業種なのか文系業種なのか程度の関連性で認められることが多いです。

一方、専門学校生の場合は入学当初からある程度の専門性が絞られていますので、認められる就職先の限定的です。

従って、専門学校生の場合はより注意する必要があります。

日本国籍を有する者と結婚する場合

ビザ(在留資格)には、「技術」「技能」「人文知識」等のように活動内容に一定の制限がある資格と、「日本人の配偶者等」等のように活動内容に制限がない資格があります。

例えば、外国料理のコックさんが「技能ビザ」の在留資格を有している場合は活動に一定の制限があるが、そのコックさんが日本国籍保有者と結婚した場合は「日本人の配偶者等ビザ」の在留資格に変更できます。そうすることで、活動内容の制限をなくすことができるというメリットがあります。

これは、在留資格を変更しなければならないではなく、在留資格を変更した方がよいというケースです。

日本国籍を有する配偶者と離婚・死別した場合

「日本人の配偶者等」ビザを有している方が日本人配偶者と離婚・死別した場合は、他のビザ(在留資格)に変更しなければいけません。

「日本人の配偶者等」ビザは日本人の配偶者であることを条件としているので、離婚した場合はその在留資格が認められないのは当然ですが、死別の場合も認められないこととなります。

従来は離婚した後でも「日本人の配偶者等」の在留期間満了まで在留することが認められていましたが、近年の在留管理は非常に厳しくなっており、離婚・死別後に正当な理由なく「配偶者としての活動」を行っていなければ、ビザ(在留資格)を取り消すことが出来るとされています。

さらに女性の場合は、離婚・死別後すぐに再婚をしてそのまま日本に居続けたいという事例もあるかと思いますが、日本の法律には6ヵ月の再婚禁止期間が定められており、それが問題になるケースも多々あります。

また変更できる候補となるビザ(在留資格)については、付与条件に合う職歴や学歴があるのであれば「技術」ビザなどの就労資格に変更できますし、一定の特別の事情があれば「定住者」ビザへの在留資格の変更ができる場合もあります。一定の特別な事情とは、子供を養育している・生活費に余裕がある・婚姻期間が3年以上継続していたなどです。

では離婚したことが入国管理局にバレなければ、そのまま「日本人の配偶者等」ビザで居れるのかと疑問を持つ方もいらっしゃると思います。

繰り返しますが、近年の在留管理制度は非常に厳しくなっています。基本的に入国管理局と敵対したり、また入国管理局から逃れる方法は推奨できません。

外国人の方が離婚した場合、14日以内に離婚したことを入国管理局へ届出る義務があります。もしその手続きを怠ったとしても、入国管理局には情報が伝わります。そして手続きをしていないのはなぜかという問い合わせが来ます。

また、不法滞在には通報制度というものが存在します。外国人の方の近隣の方や元配偶者から入国管理局へ通報する事例も多々あります。

要するに結局は入国管理局にバレてしまうので、正直に入国管理局に届け出をし、さらに日本に居続けたい理由を説得することが入国管理局の心証も良く最良の方法です。

過去に「定住者」ビザへの在留資格変更が認められたケース・認められなかったケースが公開されていますので、法務省HP-「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例及び認められなかった事例について-をご確認ください。

また、離婚後14日以内にする外国人配偶者の届出の方法については、法務省HP-配偶者に関する届出-をご確認ください。

日本国籍を有する配偶者と別居した場合

「日本人の配偶者等」ビザを有する条件として、単に婚姻しているだけではなく、婚姻の実質が認められるような同居生活を継続する必要があります。

配偶者が単身赴任の必要がある場合やDVから逃げるために別居する場合など、特別な事情があれば認められるケースもありますので、このような場合は入国管理局や専門家に相談した方がよいでしょう。

「研修」ビザ、「技能実習」ビザの在留資格を変更する場合

「研修」ビザ、「技能実習」ビザの場合、そのまま日本で就職する事は認められません。

なぜなら「研修」ビザや「技能実習」ビザは、研修や実習によって習得した技術・知識を母国に持ち帰ってその国で発展させてほしいという、国際協力の観点で創設された在留資格であり、日本に居続けることが望ましくない在留資格だからです。

しかし研修や実習中に日本人や永住者と結婚したい場合には、それを妨げる事に人道上問題がありますので認められる場合もあります。

「短期滞在」の在留資格を変更する場合

短期滞在ビザからの在留資格変更については原則は認めないとされています。

なぜなら「短期滞在」ビザとは、その名のとおり観光などの短期の滞在を目的としているので、厳格な入国審査がなく取りやすい在留資格だからです。その簡易的な「短期滞在」から厳格な審査が必要な資格へ変更するという事は、本来の方法によりすべき厳格な審査がスルーされることになるからです。

しかし下記のように「短期滞在」から他の在留資格へ変更したい事例が実際には多々あります。

  • 仕事で長期で日本に滞在する必要があるが、ビザの取得が間に合わないので、いったん短期滞在で入国した後で在留資格を変更したい場合
  • 恋人を日本に短期滞在として呼び、そのまま短期滞在中に結婚した場合
  • 介護の必要がある親を急ぎで日本に「短期滞在」として呼び、そのまま長期滞在の在留資格に変更したい

このような場合、婚姻生活を送る必要がある情報や介護が必要な事情を証する書類の提供をすれば、認められる場合があります。

在留資格変更と資格外活動許可の違い

在留資格変更とは、従来のビザ(在留資格)を放棄して他の在留資格へ乗り換えることをいいます。つまり、従来の活動内容は全くできなくなり、新しいビザ(在留資格)に認められた活動をしなければならないこととなります。

それに対して資格外活動許可とは、従来のビザ(在留資格)を継続しながら他の活動をしたい場合に許可を求める事です。つまり従来のビザ(在留資格)に認められた活動内容は、本来しなければならない事として継続しなければなりません。

要するに、現在の在留資格の活動を維持したまま他の活動もしたい場合には、在留資格変更許可申請をするのではなく資格外活動許可申請が必要になります。

詳しくは、資格外活動許可に向けて理解するべき7つの基本をご確認ください。

在留資格変更の注意点

在留資格変更が認められる条件は何か

在留資格変更が認められる条件は、在留資格更新の場合と同じです。

在留資格更新に向けて理解するべき4つの内容-在留資格更新が認められる条件は何かのページをご確認ください。

在留資格変更許可申請の方法

在留資格変更許可申請の方法について基本的な事項を解説します。

在留資格変更許可申請の申請者・許可までの期間・申請先・手数料・必要書類・申請時期について知りたい方は読み進めてください。

在留資格変更の申請者

1.外国人本人
2.代理人
  • 申請人本人の法定代理人です。
  • 法定代理人とは、外国人本人が未成年ならその親であり、被補助人なら補助人です。
3.申請取次者(本人や代理人が日本に滞在している場合に限られる)
  • 本人から依頼を受け、本人や代理人の代わりに申請を提出できる者です。
  • 申請取次者は、弁護士・行政書士・特定機関の団体や職員、親族や同居者やそれに準ずる者です。
  • 弁護士と行政書士は申請を取り次ぐ事が出来る資格を有するもののみです。
  • 特定機関の団体や職員とは、外国人本人が働いている機関の職員、外国人本人が受けている研修機関の職員と団体、外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益法人の職員で、地方入国管理局長から申請取次の承認を受けている者
  • 親族や同居者やそれに準ずる者が出来るのは、外国人本人が16歳未満か、疾病により自らが出頭できない場合のみです。

在留資格変更の許可が下りるまでの期間

標準処理期間は2週間~1か月です。

在留資格変更の申請先

外国人が住む場所を管轄する地方入国管理局。

入国管理局のHP-組織・機構-にて地図から検索できますので、そちらで「管轄又は分担区域」をご確認ください。

在留資格変更に係る手数料

許可時に4,000円が必要。

収入印紙にて支払います。

在留資格変更の必要書類

  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真(写真の規格については、法務省HP-在留資格取得許可申請をご確認ください)
  • 在留カードもしくは外国人登録証明書(交付を受けている者のみ)
  • 在留カードの写しもしくは外国人登録証明書の写し(外国人本人が申請する場合以外のみ)
  • 資格外活動許可書(許可書を取得している方のみ)
  • パスポートまたは在留資格証明書(提示できないときはその理由書
  • 身分を証する書類(申請取次者が申請する場合のみ)
  • 日本での活動内容に応じた資料

日本での活動内容に応じた資料は、在留資格の種類によって場合分けされています。

詳しくは、日本での活動内容に応じた資料【在留資格変更許可申請・在留資格取得許可申請】から、各在留資格に従ってご確認ください。

また、法務省HP-在留資格変更許可申請-から、申請書様式のダウンロードができます。

在留資格変更の申請時期について

在留資格変更の事由が生じたときから、在留期間が満了するまでとされています。

在留資格変更の事由が発生する事前には申請できませんのでご注意ください。

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